アイコンテーラー(Icon Tailor)とは、2018年生まれの日本の競走馬。栗毛の牝馬。
主な勝ち鞍
2023年:JBCレディスクラシック(JpnⅠ)
概要
父ドゥラメンテ、母ボイルトウショウ、母父*ケイムホームという血統。
父はもはや言わずと知れた、2021年以降タイトルホルダー、スターズオンアース、リバティアイランドなどを輩出してGⅠ戦線を席巻し、早すぎる死が惜しまれ続けている2015年の二冠馬。アイコンテーラーはその初年度産駒の1頭である。
母は主にダートを走って5戦未勝利。半兄に2006年のアルゼンチン共和国杯(GⅡ)勝ち馬トウショウナイトがいる。
母父はアメリカでサンタアニタダービーなどG1を3勝。種牡馬として日本に輸入されたが、インティを輩出したぐらいで期待されたほど結果を出せず、九州送りとなって2021年に死亡した。
三代母NorthernetteはあのStorm Bird(大種牡馬Storm Catの父)の全姉で、自身も1977年のカナディアンオークス(現:ウッドバインオークス)、1978年のアメリカG1トップフライトハンデキャップを勝利している。
2018年5月2日、新ひだか町の畠山牧場(主な生産馬にホットシークレット、アルコセニョーラなど)で誕生。オーナーは紳士服メーカー「オンリー」の代表取締役で、紳士服の仕立屋を意味する「テーラー」冠名を用いる中西浩一。
仕立屋の娘
2歳~5歳春
騎手時代から牝馬の扱いに定評があった栗東・河内洋厩舎に入厩。2020年11月1日、京都・芝1400mの新馬戦で酒井学を鞍上にデビューしたが、デビュー当初は全く注目されていなかった。新馬戦は77.3倍の14番人気で全く見せ場なく12着(ちなみに勝ち馬は後の重賞馬ララクリスティーヌ)。その後の未勝利戦では単勝277.7倍のブービー人気で6着、その次の未勝利戦も105.9倍の11番人気で7着。こんなに人気のなかった平地GⅠ馬も珍しい(新馬・未勝利で単勝万馬券オッズを2回も経験しているのは他にコーリンベリーぐらい)。
しばらく休んで3歳となり、5月の未勝利戦(新潟・芝2000m)で復帰。ここで亀田温心に乗り替わると、ここでも47.6倍の9番人気という人気薄だったが、ここを外から鋭く差し切って勝利。
続く新潟・芝1800mの早苗賞(1勝クラス)も先行策から新潟の長い直線で差し切り連勝。以降は亀田が主戦となる。
この連勝で秋華賞を目指すことになったが、初重賞となったラジオNIKKEI賞(GⅢ)は見せ場なく8着、優先出走権を目指して挑んだトライアルのローズS(GⅡ)も8着。結局秋華賞には出られず、その前週の新潟・芝1800mの村上特別(2勝クラス)に向かい快勝。さらに中2週で新潟・芝2000mの魚沼S(3勝クラス)に向かうと、ここも早め先頭から押し切って連勝、オープンに昇格して3歳を終える。どう見ても新潟専用機です。本当にありがとうございました。
明けて4歳は1月の中京・愛知杯(GⅢ)から始動。ここはハナを切って逃げ粘ったものの5着。小倉の関門橋S(OP)は中団に控えたが前2頭に5馬身も突き放された3着。阪神・大阪城S(L)は前目で進めたが直線で伸びるのが遅く3着。悪くない走りはするものの勝ち負けには若干足りない感じ。
ならば得意の新潟で! と新潟大賞典(GⅢ)に向かい、新潟実績と52kgの軽ハンデも買われて4.9倍ながら1番人気に支持されたが直線伸びず9着に撃沈。
デビュー前のドゥラエレーデにブチ抜かれた追い切り動画が話題になったマーメイドS(GⅢ)も見せ場なく11着、捲土重来を期した新潟牝馬S(OP)も9着に沈み、あえなく亀田騎手はここで降板となった。和田竜二が騎乗したアンドロメダS(L)ではショウナンバルディを制してハナを取り久々に逃げたが5着まで。
年内最後は中日新聞杯(GⅢ)。鞍上はここから菱田裕二に乗り替わり。29.3倍の10番人気だったが、3番手で先行すると、直線でも狭いところを突いて0.1秒差の3着に好走。
明けて5歳、愛知杯(GⅢ)も2番手先行からアートハウスに差し切られたものの2着に粘る。
しかし5月のメイS(OP)は直線で沈み12着。
5歳秋
さて、ここまで重賞制覇にはちょっと足りない感じではあったものの、賞金はコツコツ持ち帰っているし、決して悪い成績ではなかったアイコンテーラー。このまま芝を走らせ続けても別に何もおかしくない感じである。だが、陣営はここでひとつ試してみることにした。ダート挑戦である。
というわけで8月の新潟、BSN賞(L)。牡馬相手に初ダートの5歳牝馬、8番人気と大して注目されていなかったアイコンテーラーだったが、外枠から菱田騎手が気合いをつけて先行すると、4コーナーで前を捕まえて早くも先頭へ。そのままグングン後ろを突き放し、ブルベアイリーデの追撃も全く寄せ付けず2馬身差で完勝。時計も1:50.8の好タイムである。
菱田騎手も「姿勢のバランスが良いのでダートもこなしてくれるのではと思っていましたが、予想以上に強かったです」、河内師も「あそこまで手応え良く回ってこられるとは」とびっくりしており、決してダート適性に明確な自信があっての挑戦というわけではなかったことが窺える。何事も挑戦してみないとわからない。アイコンテーラーの真の適性が見つかった瞬間だった。
続いてシリウスS(GⅢ)に乗りこんだアイコンテーラーだったが、ここで思わぬアクシデントが襲う。菱田騎手が当日にまさかの落馬負傷。脱臼で戦線離脱となり、急遽団野大成に乗り替わりになってしまった。レースは3番手で進め、4コーナーで前を捕まえて先頭に躍り出る。そのまま押し切ろうとしたが、ハギノアレグリアスの差し脚に屈して2着。それでも3着は3馬身半突き放し、牡馬の一線級相手でも勝ち負けできる実力を示す。
となれば向かうはダート女王決定戦、JBCレディスクラシック(JpnⅠ)。この大一番に陣営は河内師の弟弟子でもある武豊に騎乗を依頼。ところが5日前の10月29日、今度は武豊が騎乗馬に蹴られて負傷、またしても急遽の乗り替わりとなってしまう。代打を任されたのは松山弘平だった。
前年のリベンジを誓うグランブリッジ、そのグランブリッジを前走で差し切ったアーテルアストレア、個性派テリオスベルに3歳馬ライオットガール、前年覇者ヴァレーデラルナなど現役ダート女王決定戦に相応しいメンバーが揃ったが、前2走で牡馬相手に見せたパフォーマンスから、アイコンテーラーは2.8倍の1番人気に支持される。
レースは最内から逃げるヴァレーデラルナをぴったり2番手で追走。4コーナーでヴァレーデラルナをかわし、例によって捲ってきたテリオスベルが迫ってきたが、気にすることなく直線であっさり突き放すと、あとは独壇場。後ろからはグランブリッジとアーテルアストレアが追ってきたが全く寄せ付けず、そのまま4馬身差の圧勝で一気にダート女王へと駆け上がった。
中西オーナーも畠山牧場も嬉しいGⅠ級初勝利。そして河内師も開業19年目にして待望のGⅠ級初勝利となった。
この勢いに乗って、次走はチャンピオンズカップ(GⅠ)へ殴り込み。当日は松山がテーオーケインズに騎乗するため、鞍上はJBCクラシックでキングズソードと共に初の外国人ジョッキー勝利を達成したジョアン・モレイラに乗り替わりとなった。ダート戦線のほぼ現役オールスターみたいな面子が揃う中、1番人気レモンポップとともに8枠に入ることになったが、鞍上補正と前走の勝ちっぷりなどもあってか、18.3倍の7番人気と、牝馬としては高い評価を集める。
隣のレモンポップがハナを切りに行く一方、アイコンテーラーは先行できず最後方でのレースに。モレイラ曰く「ダートに使うようになって初めて砂をかぶる競馬になり、それに抵抗してやる気がなくなっていました。びっくりしてリズムが乱れて進んで行かず、ベストを出せませんでした」とのことで、直線では完全に置いて行かれ、13着グロリアムンディからさらに2秒離されたブービー14着に撃沈。牡馬の壁以前に、ダート経験が浅いが故の砂被りが苦手という弱点が露呈し、前走で完勝したアーテルアストレア(9着)からもはるか後ろという結果に終わった。
6歳
明けて6歳初戦は武豊と新コンビを組み、中央の仁川S(L)へ。牝馬限定とはいえGⅠ級勝ち馬がハンデ戦のリステッド競走に向かうというのは珍しいが、牡馬混合戦なので牝馬限定ハンデ戦のクイーン賞よりは斤量がマシになるだろうということだろうか。実際の斤量は57kgで、3.0倍の1番人気。
レースは大外枠から前目で砂を被らずレースを進めたが、3コーナーで行きたがって折り合いを欠き、直線で一度は先頭に立つもダイシンピスケスに差し返され、ウェルカムニュースにもかわされ3着。
続いて川崎記念(JpnⅠ)に挑戦。ダートの主要メンバーはドバイに行っているかサウジ帰りの休養中のため、相手関係はセラフィックコール、ノットゥルノ、グロリアムンディ、ディクテオンといった面々となり、9.1倍の4番人気に支持される。鞍上は松山弘平に戻った。
レースは逃げる地元川崎のライトウォーリアを2番手で追走。4コーナーでライトウォーリアを捕まえにかかり、あとはかわして押し切るだけ――と思いきや、直線でライトウォーリアに驚異のド根性で差し返され、さらに追い込んできたグランブリッジにも最後ハナ差かわされて3着。完全な勝ちパターンに入ったと思っただけに悔しい敗戦となった。
血統表
ドゥラメンテ 2012 鹿毛 |
キングカメハメハ 2001 鹿毛 |
Kingmambo | Mr. Prospector |
Miesque | |||
*マンファス | *ラストタイクーン | ||
Pilot Bird | |||
アドマイヤグルーヴ 2000 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo | |
Wishing Well | |||
エアグルーヴ | *トニービン | ||
ダイナカール | |||
ボイルトウショウ 2011 栗毛 FNo.4-j |
*ケイムホーム 1999 黒鹿毛 |
Gone West | Mr. Prospector |
Secrettame | |||
Nice Assay | Clever Trick | ||
*インフルヴユー | |||
*ミッドナイトオアシス 1993 栗毛 |
Java Gold | Key to the Mint | |
Javamine | |||
Northernette | Northern Dancer | ||
South Ocean |
クロス:Mr. Prospector 4×4(12.50%)
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