並行在来線とは新幹線と並行している在来線の事を指す。当記事では主に新幹線の開業に伴い発足した平行路線や経営分離予定の路線について記述する。
概要
正確には新幹線の開業に伴ってそれまでの(特急列車等の)利用客が新幹線に移ることで、旅客輸送量が著しく減少する線区のことを並行在来線という。だが一般的には並行在来線といった場合には経営分離された路線と運営のための第三セクターのことを指し示す。
1990年の12月24日に「建設着工する区間の並行在来線は、開業時にJRの経営から分離することを認可前に確認すること」が与党、政府によって決定された。これにより1991年以降、新幹線に並行する在来線に関しては経営分離し国鉄の二の舞を避ける事となった。
経営分離として並行在来線が最初に導入されたのが1997年10月1日の北陸新幹線長野開業による信越本線の一部廃止及び経営移管である。その後東北新幹線八戸延伸や九州新幹線部分開業時にも適用されている。
(※但し、北海道新幹線と一部並行する津軽線は管轄がJR東日本である為、北海道新幹線開業後もJR東日本の路線として経営されている)
なお、並行在来線であっても走行区間が都市圏などで元々収益がよく新幹線開業後も一定の収益が見込まれる区間はJR側は必ずしも経営分離を行う必要はない。(信越本線高崎-横川間、篠ノ井-長野間や鹿児島本線博多-八代間、川内-鹿児島中央間など)
経営分離された区間は第三セクター化・もしくは廃止されるのだが、これらの第三セクターの経営状況は今までの特急需要が一切無くなりローカル輸送中心となるためどの会社も厳しい経営が続いている。
JR貨物は経営移管以降もその区間を走る事となるが、東北新幹線八戸延伸時には地元自治体と一悶着あった。
(経営環境の厳しいJR貨物はアボイダブル=コスト=ルールという方式で在来線を保有するJRに線路使用料を払っている。これは、貨物列車が走ったことによって生じる最低限の経費だけが線路使用料にカウントされる方式でJR貨物に対する特例措置だが、原則としてJRにしか適用されていない。その為、第三セクター化に伴って線路保守の費用にも苦労する第三セクター会社が順当な本来の費用を求める事となり揉めるのである。上記のことを受けて2011年からは鉄道・運輸機構からJR貨物経由で貨物調整金が給付されるようになっている)
ところで貨物としては必要な路線であるが、地元が旅客営業は不要としてバス転換を求めたらどうなるのかは今まで事例が無かったため不明である。北海道新幹線札幌延伸時にこれに該当しそうな区間が出てしまい、現在国・北海道レベルで協議している状況。
なお、手続き上はJRが廃止した路線を第三セクターが引き受ける形を採っている。このため、JRが同区間向けに発券した切符や定期券は第三セクター開業後は使用出来なくなる。青春18きっぷも一部の区間(青い森鉄道・八戸-野辺地-青森間を経由して八戸線・大湊線・奥羽本線・津軽線、IRいしかわ鉄道線・金沢-津幡間を経由して北陸本線・七尾線、あいの風とやま鉄道線・富山-高岡間を経由して高山本線・城端線・氷見線に乗り継ぐために通過利用する場合に限る)を除いて使用できない。そして料金が上がる。
並行在来線鉄道事業者協議会
経営基盤の強化に向けて情報交換や国への要望活動を行う協議会である。IGRいわて銀河鉄道が事務局を担当。
新幹線の開業によって分離され誕生した鉄道会社
北陸新幹線(長野新幹線)
分離前路線 | 駅名 | 分離路線 | 分離会社 | 経由県 | 分離年月日 |
---|---|---|---|---|---|
信越本線 | 高崎 | 存続 | 群馬県 | ||
横川 | |||||
廃止 | |||||
軽井沢 | |||||
しなの鉄道線 | しなの鉄道 | 長野県 | |||
篠ノ井 | |||||
存続 | |||||
長野 | |||||
北しなの線 | しなの鉄道 | 2015年3月14日 北陸新幹線金沢開業のため |
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妙高高原 | |||||
妙高はねうまライン | えちごトキめき鉄道 | 新潟県 | |||
直江津 | |||||
北陸本線 | 日本海ひすいライン | ||||
市振 | |||||
あいの風とやま鉄道線 | あいの風とやま鉄道 | 富山県 | |||
倶利伽羅 | |||||
IRいしかわ鉄道線 | IRいしかわ鉄道 | 石川県 | |||
金沢 | |||||
大聖寺 | 2024年3月16日 北陸新幹線敦賀開業のため |
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敦賀 | ハピラインふくい線 | ハピラインふくい | 福井県 |
- 信越本線・高崎駅~横川駅間はJR東日本のまま存続。
- 旧・信越本線・横川駅~軽井沢駅間は廃止されたが、復活させる構想がある。
- しなの鉄道 - 軽井沢駅~篠ノ井駅間(旧・信越本線)。
- えちごトキめき鉄道 - 妙高高原駅~直江津駅~市振駅(信越本線、北陸本線)。2015年3月14日の金沢延伸時に転換。
- あいの風とやま鉄道 - 市振駅~倶利伽羅駅(北陸本線)。2015年3月14日の金沢延伸時に転換。
- IRいしかわ鉄道 - 倶利伽羅駅~金沢駅(北陸本線)。2015年3月14日の金沢延伸時に転換。
- ハピラインふくい - 大聖寺駅〜敦賀駅(北陸本線)。2024年3月16日の敦賀延伸時に転換。
- なお、敦賀以西に関しては「小浜・京都ルート」で正式決定したため、該当する並行在来線は湖西線、小浜線(東小浜~敦賀間)となる(京都~新大阪間はJRのまま)。ただし、湖西線に関しては、「小浜・京都ルート」は滋賀県を通らないことから、滋賀県が湖西線の第3セクター化を容認する可能性は低く、小浜線に関してはそもそも並行在来線にあたるのかどうかが微妙なところである。
東北新幹線
分離前路線 | 駅名 | 分離路線 | 分離会社 | 経由県 | 分離年月日 |
---|---|---|---|---|---|
東北本線 | 盛岡 | いわて銀河鉄道線 | IGRいわて銀河鉄道 | 岩手県 | 2002年12月1日 東北新幹線八戸開業のため |
目時 | |||||
青い森鉄道線 | 青い森鉄道 | 青森県 | |||
八戸 | |||||
2010年12月4日 東北新幹線新青森開業のため |
|||||
青森 |
九州新幹線
分離前路線 | 駅名 | 分離路線 | 分離会社 | 経由県 | 分離年月日 |
---|---|---|---|---|---|
鹿児島本線 | 博多 | 存続 | 福岡県 佐賀県 |
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八代 | 熊本県 | ||||
肥薩おれんじ鉄道線 | 肥薩おれんじ鉄道 | 2004年3月13日 九州新幹線 一部区間開業のため |
|||
川内 | 鹿児島県 | ||||
存続 | |||||
鹿児島中央 |
北海道新幹線
分離前路線 | 駅名 | 分離路線 | 分離会社 | 経由県 | 分離年月日 |
---|---|---|---|---|---|
津軽線 | 青森 | 存続 | 青森県 | ||
海峡線 | 木古内 | ||||
江差線 | 道南いさりび鉄道線 | 道南いさりび鉄道 | 北海道 | 2016年3月 北海道新幹線 新函館北斗開業のため |
|
五稜郭 | |||||
函館本線 | 存続 | ||||
新函館北斗 |
- 道南いさりび鉄道 - 五稜郭駅~木古内駅間(江差線)。2016年3月の新函館北斗延伸時に転換。
- 札幌延伸時に並行在来線となる函館本線・函館駅~新函館北斗駅~長万部駅~倶知安駅~小樽駅間は、函館駅〜新函館北斗駅間が第3セクター鉄道に転換(おそらく道南いさりび鉄道へ)、長万部駅〜倶知安駅〜小樽駅間はバス転換となる見込み。新函館北斗駅〜長万部駅間は未定である。
- 津軽線は運営会社の違いから「並行在来線ではない」とされるため、JR東日本のまま存続。
- 函館本線・小樽駅~札幌駅間はJR北海道のまま存続予定。
西九州新幹線
関連項目
並行在来線会社一覧 |
東北・北海道:IGRいわて銀河(岩手) - 青い森(青森) - 道南いさりび(北海道) |
北陸:しなの(長野) - えちごトキめき(新潟) - あいの風とやま(富山) - IRいしかわ(石川) - ハピラインふくい(福井) |
九州:肥薩おれんじ(熊本・鹿児島) |
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