※曖昧さ回避 |
- 後志総合振興局:2010年に後志支庁に代わって設置された、北海道の出先機関である総合振興局のひとつ。この総合振興局が管轄する地域のことを「後志地方」もしくは単に「後志」と呼んだりする。
- 後志国:明治維新のころに置かれた、日本の地方区分である国のひとつ。現在の後志総合振興局の大部分と、檜山振興局の一部(北部)を管轄していた。
本項目では1を説明する。
概要
渡島半島の付け根あたりの部分の地域を主に管轄する。総合振興局への移行にあたっては、管轄地域の変更は特にされていない。北海道の地域区分としては道央に入れられることが多いが、道南との結びつきが強い面もある。
後志地方はその多くが山地で占められており、小樽市という比較的大きな都市を有しながらも管内全体の人口は少ない。しかし、その地理条件からニセコ・ルスツなどウインタースポーツが盛んな場所もあり、冬季には賑わいを見せる。特にニセコエリアはオーストラリア人観光客などを中心に人気が広まり、海外資本のコンドミニアムが多数建設されるなどした結果、今や世界中から人が集まる高級リゾート地として注目を浴びている。
数ある山々の中でも、羊蹄山は標高1,898mほどだが独立峰であることからこの周辺では圧倒的な存在感を放っており、その整った山容から蝦夷富士の異名を持つ。
管内の面積も北海道の14振興局の中では小さいほうであるが、市町村数は多く、なかでも村の数は14振興局中最多である。面積の割に市町村数が多いのは、平成の大合併の時期に持ち上がったこの地域の合併構想がすべて協議の決裂などにより実現できなかったこともひとつの原因であろう。
後志総合振興局管内の市町村一覧
羊蹄山麓
- 倶知安町
後志地方の中央付近に位置するためか、後志地方最大の都市である小樽市をさし置き後志総合振興局が置かれている町。町名の読みは「くっちゃんちょう」。人口は小樽市・余市町に次ぎ後志地方では3番目に多く(2010年現在)、後志地方南西部の中心都市的な存在となっている。
町の南部に羊蹄山やニセコアンヌプリなどの山があり、市街地はその少し北側にある。ニセコエリアの一角をなす町内には「グラン・ヒラフ」をはじめいくつかのスキー場があり、冬季は観光客で賑わう。また、羊蹄山麓には「半月湖」と呼ばれる湖があり、この付近から羊蹄山への登山に挑戦することが可能である。
将来的には、町の中心駅である倶知安駅を北海道新幹線が経由する見通しである。 - 喜茂別町
羊蹄山の東側に位置する町で、羊蹄山への登山コースのひとつ「喜茂別コース」がある。東端の一部が札幌市に接しており、ここにある中山峠は札幌定山渓から羊蹄山周辺に抜けるための交通上の要所となっている。
中山峠の近くには「中山峠スキー場」と道の駅「望羊中山」がある。道の駅で売られているあげいもが訪問者に人気。他にも味噌やアスパラガスなどの特産品がある。 - 京極町
美瑛町に本部を置く「日本で最も美しい村」連合の加盟自治体のひとつで、羊蹄山の東側に位置する町。喜茂別町と同じく東側が札幌市に接しているが、山林で完全に隔てられているため直接アクセスすることはほぼ不可能である。
観光名所としては、羊蹄山の湧き水が出る「ふきだし公園」などが挙げられる。また羊蹄山への登山コースもある。
名産品は前述の湧き水を使ったコーヒーや酒、町で生産されたジャガイモ(男爵イモ)など。 - ニセコ町
全国的にも珍しいカタカナ市町村名。羊蹄山の西側、ニセコアンヌプリの南側にある。ちなみに単に「ニセコ」と言うと、この町と倶知安町・蘭越町にまで跨るニセコアンヌプリ周辺の地域をまとめた総称を指す場合がある(そのため、倶知安町や蘭越町などにも「ニセコ」の名を冠する地名・施設がある)。
スキーリゾートで知られるニセコの一角ということもありウインタースポーツが盛んで、「ニセコアンヌプリ国際スキー場」や「ニセコビレッジスキーリゾート」などの所在地となっている。 - 留寿都村
カタカナで「ルスツ」と書かれるとどんな場所なのかピンとくる方も多いであろう、北海道最大級のスキー場をはじめ遊園地やゴルフ場などを有する「ルスツリゾート」の所在地。羊蹄山から南東に少し離れた場所に位置する。特産品はみそまんじゅう・ジャガイモ(キタアカリ)・アスパラガス・ながいも・スイートコーンなど。童謡「赤い靴」ゆかりの地とも言われている。 - 真狩村
羊蹄山の南側に位置する村。羊蹄山の麓に「羊蹄山自然公園」があり、この付近から羊蹄山への登山に挑戦することが可能。基幹産業は農業で、特に食用ユリ根・花ユリ球根は全国でも全国でも有数の出荷量を誇る。他にジャガイモ・大根・ニンジンなどの生産も行っている。
後志北部
- 小樽市
後志地方の人口の半分以上が集まる、後志総合振興局管内唯一の市。観光地として全国的に知名度が高い。サブカルチャー方面では「最終兵器彼女」のメイン舞台としても知られている。「小樽市」の項目も参照。 - 余市町
積丹半島の北側の付け根に位置する町。民謡ソーラン節発祥地の有力候補であることからもわかる通り、かつてはニシン漁が盛んであった(ソーラン節はニシン漁を歌った民謡である)。現在ニシン漁は衰退したが、漁業自体は今でも盛んである。果樹栽培も盛んで、北海道有数のリンゴ産地となっている。
また、札幌のすすきのビルにある広告でおなじみ「ニッカウヰスキー」の創業地としても知られる。JR余市駅から少し歩けば、雰囲気のあるニッカウヰスキー工場を見ることができる。
ちなみに、宇宙飛行士の毛利衛はこの町の出身。 - 仁木町
キャッチフレーズは「果実とやすらぎの里」。リンゴ・サクランボ・ブドウなどの果樹栽培が盛んで、町内には観光農園も多く見られる、いわば「フルーツの町」である。 - 古平町
積丹半島の北側にある町。隣の余市町・積丹町と同じく、かつてはニシン漁が盛んであった。現在の主な漁獲物はエビ・タコ・ホッケ・カレイなど。また水産加工業、特にタラコ製造も盛んである。 - 積丹町
積丹半島の先端部分に位置する町。ソーラン節発祥候補地のひとつで、こちらもかつてはニシン漁が盛んであった。ニシン漁の衰退後もウニ・サケ・タラなどの漁業が産業の中心となっている。
積丹岬・神威岬・黄金岬などの岬が観光スポットとして人気。 - 赤井川村
「日本で最も美しい村」連合加盟自治体のひとつ。東端で札幌市と接しているが、直接アクセスする手段は無きに等しいため、小樽市などを経由することになる。
ニセコ・ルスツと並び札幌近郊のスキーリゾートとして人気のある「キロロリゾート」の所在地。観光以外では農業も盛んで、米・ジャガイモ・カボチャ・スイートコーン・メロン・スイカなどを生産する。
後志西部
- 岩内町
2010年現在、北海道の町としては最も人口密度が高い。日本ではじめてアスパラガスの栽培が行われた町。
文豪夏目漱石が、この地に戸籍だけを22年間移していたことで知られる。 - 共和町
フランスで高い評価を得た画家・西村計雄の出身地。町内には氏の記念美術館もある。
産業は農業が盛んで、特産品の「らいでんスイカ」や「らいでんメロン」は全国的な支持を得ている。
ニセコパノラマライン沿線、標高765mほどのところにある神仙沼は、ニセコエリア周辺で最も美しい沼と評価されている。 - 蘭越町
ニセコアンヌプリの南西に位置する町。町内を流れる尻別川の流域は肥沃な平坦地となっており、良質な「らんこし米」の生産が行われている。近年、町の農業は稲作中心の経営から水田・畑作の複合経営に移行しつつあり、米以外にもイチゴ・トマト・アスパラガスなどの生産も行っている。
ニセコエリアの一角をなす町でもあり、「ニセコチセヌプリスキー場」や「ニセコゴルフ&リゾート」などのスポーツ施設のほか、温泉施設が所在する。 - 黒松内町
渡島半島の付け根を横切り、太平洋(内浦湾)と日本海の両方に接しそうな町域を持つ町。ただし町域そのものは海に接していない。後志地方の中では最も太平洋に近い場所にある。
ブナの自生北限地であり、町内には国の天然記念物に指定されたブナ林もある。 - 寿都町
留寿都村が「るすつむら」と読むのに対し、こちらは「すっつちょう」。風の強い土地柄で、それを生かした風力発電所がある。この町もかつてニシン漁が盛んだった場所で、当時ニシン漁師に対して商売をしていた仕込屋の建物が宿泊施設として残されている。漁業自体は現在も盛んで、カキ・アワビ・ホッケなどの漁獲物がある。
なお、有名な北海道土産であるわかさいもは、この町が元祖である可能性が高いと言われている。 - 泊村
積丹半島の西側の付け根に位置する村。地域情報化政策に積極的で、光ケーブル網を利用したCATVサービスを村内全世帯に提供している。また北海道で使われる電気の約4割を賄う原子力発電所があり、「エネルギーのふるさと」「北海道最大の電気エネルギー基地」と呼ばれている。原発のおかげで財政は豊かで、財政力指数は北海道内ではダントツ(平成28年度は1.710。2位の千歳市の倍以上)である。
この村もかつてはニシン漁が盛んであった。村内には当時のニシン漁の様子を伝える資料館「鰊御殿とまり」がある。 - 神恵内村
難読地名のひとつで、読みは「かもえないむら」。積丹半島の西側にある。こちらもかつてニシン漁が盛んだった場所で、村内を流れる古宇川までニシンが上がってきたこともあったという。現在も産業の中心は漁業で、ウニ・ホタテ・ホッケ・イカ・タラ・アンコウなどが獲れる。
また、村内には日本の伝統的な郷土玩具や凧を集めた「童心館」という施設がある。 - 島牧村
後志地方の南西端にある町。特産品はウニ・エビ・シラスの水産加工品やハチミツなど。冬から春にかけて、アメマス・サクラマスの釣果を競う「あめますダービー」というイベントが開催される。
観光名所としては、平均海面から塔頂までの高さ日本一の「茂津多岬灯台」や、松前藩の財産を龍が守護しているという伝説のある「賀老の滝」などがある。
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