酒匂(さかわ)とは、艦船擬人化ブラウザゲーム『艦隊これくしょん~艦これ~』に登場する、大日本帝国海軍の阿賀野型軽巡洋艦4番艦「酒匂」をモデルとしたキャラクター(艦娘)である。
ぴゃん♪ 阿賀野型軽巡四番艦、酒匂の概要です!
2013年秋のイベント「決戦!鉄底海峡を抜けて!」では阿賀野型軽巡洋艦の1~3番艦である「阿賀野」「能代」「矢矧」が実装されたものの、その後4番艦である「酒匂」についての情報はしばらく無かった(「矢矧」の画像が運営のTwitterアイコンで部分公開された際、艤装から「酒匂」ではないかと噂されたことはある)。2013年冬イベント「迎撃!霧の艦隊」でも同様であった。
しかし、艦娘図鑑では「大鳳」や「レーベレヒト・マース(Z1)」などの海外艦娘らが実装されても、No.138~139「阿賀野」「能代」「矢矧」の次に当たるNo.140は空白で、運営Twitterでも「酒匂」実装を仄めかすアナウンスが散見され始めた。
そして、2014年春のイベント「索敵機、発艦始め!」の最終海域「【第2段階作戦】 北太平洋海域」の突破ボーナスとして実装されることになった。同イベント海域は屈指の鬼畜難易度で有名で、挑戦する提督の力が試された。
また、イベント終了5ヶ月後の2014年9月26日のアップデートで、新実装された6-2海域「MS諸島防衛戦」において、ボスドロップでの入手が可能となった。
艦娘としての酒匂
見た目は長女「阿賀野」のようで、ちょっといつもボーっとしている。口みたいな栗である。ショートカットでさっぱりしており軽巡屈指の重装甲である姉達と違って控えめ。
セリフ類も何処か幼く抜けている感じが多いのは、現在の艦これ実装艦としては最も竣工の遅い末っ子的な艦であり、戦闘や輸送作戦にも参加せず舞鶴でお留守番していた史実の反映だろうか。「矢矧」と行動を共にする機会を失った為か「阿賀野」に対する「能代」のような掛け合いもあまりない。
口癖は『ぴゃあっ』。
そんな酒匂であるが、提督LOVE勢の一人として数えられている。母港でつっつくと開口一番に『司令大好き!』と好意を直球でぶつけてくる。また時報でも『今日も司令、朝から素敵!なぁ~んてうっそぴょーん!』と言ってきたり、自分の好きなものに司令を挙げたり、夜になると『司令、お風呂にする?ご飯にする?それともさ・か・わ?』という新婚三択を出してきたり、夜戦(意味深)してから寝ようと誘ってきたりする。このように並み居る提督LOVE勢の中でも積極性はトップクラスであり、そのストレートな愛情表現に轟沈した提督も少なくないようだ。
装備は阿賀野型に準じているが、改装すると……なんと、未装備になる。これはヴェールヌイと同様に復員船を経て引き渡された事の表現か。
また、損傷もなく終戦を迎えたからか運はかなり高い。姉三人に比べて火力が低めだが、対潜がわずかに高く、運の高さもあって実は結構器用だったりする。
それでも軽巡の中では未だ高い入手難度であり、実戦ともほぼ無縁の存在だったため、非常に胸と影の薄い存在だった酒匂だが、2016年秋イベントにて突如出番が訪れた。
当イベント最終マップとなるE-5海域のモデルはMS諸島近海のB環礁。そして「渚を越えて」というある海外小説を彷彿とさせる作戦名や、マップ選択バナーで赤い海から立ち上る閃光の柱…
まさかのビキニ環礁とクロスロード作戦オマージュである。
そしてボス戦において、クロスロード作戦の標的となった長門、プリンツ・オイゲン、酒匂(そして報酬のサラトガ)がボスに特効ダメージを叩き出すことが発覚。
各鎮守府で眠っていた、あるいは当海域で現地調達された酒匂が一斉に戦場へと駆り出され、ボス戦で数百~時に千以上の猛烈なダメージを叩き出すことになった。
おそらく艦これの歴史上で後にも先にも、酒匂が最も注目を浴びた時期となるだろう。
以降、改二の実装はないものの年々姉妹と共に少しずつ強化されており、17年には高角砲を増設枠で装備可能になり、翌18年には中型増設バルジと瑞雲等の水上爆撃機が装備できるようになった。
史実で戦闘未経験であることからイベント海域ではあまり活躍できないようなイメージがあるかもしれないが、 イベントで補正を受ける可能性がある艦を温存するために代理として運用しやすいという史実の艦歴を逆にメリットとして考えることもできる。
育てておけば対潜先制、水上爆撃機、カットイン雷撃、さらには対潜と夜戦連撃の両立など海域の特徴に合わせて様々な作戦を立てられるので、途中交代させて軽巡枠の余計に消耗するアクシデントも起こりにくい。 ただし、どうしても昼戦の砲撃火力だけは他の艦に劣るため、そこだけは別でフォローが欲しいところ。
ちなみに史実補正は他の艦に比べほとんどないと言っても、上記の16年秋イベのようにクロスロード作戦が関係すると非常に重要な役割を担う可能性が高いので、 何かしら関係のある艦が報酬としてアナウンスされたときは温存しておいた方がいいかもしれない。
18年12月21日のクリスマス直前のアップデートでは阿賀野型としてゲーム内初の期間限定衣装が実装された(一応ゲーム外では姉妹全員ローソンコラボの冬服姿があり、ゲーム内でも18年冬イベで能代、矢矧に決戦modeが追加されているが、既存のグラに鉢巻を追加したものなので完全新規となると酒匂が初)。
普段の服の上にサンタクロース色のパーカーを着ており、しかも艤装の主砲は砲身が外されている。 おそらくは酒匂が終戦後の45年12月に復員船として活動していたことや、酒匂とは直接関係ないもののクリスマス休戦の逸話を反映したものだと思われる。「無防備で海域に出て大丈夫なのか?」とかツッコんではいけない。
また、姉たちには及ばないものの、身体も少しだけ成長しているようだ。
酒匂の史実、ちゃんと見ててね♪
元ネタは阿賀野型軽巡洋艦4番艦「酒匂」(さかわ)。「酒匂」は1942年11月21日、佐世保海軍工廠において起工され、1944年11月30日に竣工した。姉の「矢矧」のほぼ1年後に起工し、竣工に至っている。名前の由来は静岡県、神奈川県を流れる「酒匂川」である。「さこう」とも読めるが「さかわ」と読む。
阿賀野4姉妹の長女である「阿賀野」は1944年2月17日に戦没し、次女「能代」も同年10月26日には戦没しているので姉妹でありながら面識らしい面識がない(一応、「酒匂」は1944年4月9日に進水しているが、「能代」「酒匂」両艦が共同戦線を張ることはなかった)...というか、竣工時は大勢は決したと言っても過言ではなく、「酒匂」には取れる作戦が全くなかった。
第十一水雷戦隊旗艦として錬成部隊の旗艦を務めるも、同水雷戦隊には戦時急造モデルともいえる松型駆逐艦、橘型駆逐艦などがメインでかつての水雷戦隊の面影は殆どなかった。そもそも、第十一水戦は錬成を行う部隊で、一時期は軽巡洋艦「龍田」を筆頭に第六駆逐隊(「響」「雷」「電」)の面々や多くの秋月型や夕雲型などの艦隊型大型駆逐艦らが訓練に励んでいたが、「酒匂」編入時は戦況は絶望そのもので、水雷戦隊自体が壊滅状態であった。
1945年3月には天一号作戦のため呉へ移動。最期の作戦として姉妹艦「矢矧」とともに「大和」護衛の任務に就く予定が、急遽「酒匂」の出撃は取りやめになり、舞鶴へ移動することとなった。その頃は艦船を動かすどころか維持する燃料すらなく、舞鶴で繋留され燃料枯渇によりボイラーなどの機関は完全に停止され、電力は陸地から電線を引く形で賄った。
アメリカによる機雷を使った封鎖作戦や本土への空襲被害も増えてきた1945年6月になると酒匂率いる第十一水雷戦隊は軍港を刺激しないようにと福井県の小浜湾へ移動。しかし、当時の情勢では複数の艦船による艦隊行動はかなり目立っていたようで、結局小浜湾も機雷が投下され、F4Fなど艦上戦闘機にも襲撃されて町にも被害が出たという。
6月26日には駆逐艦榎(えのき)が触雷し、大破着底状態となる。酒匂の最初にして最後に失った僚艦であった。榎の仇もとれぬまま、燃料不足から第十一水雷戦隊は7月15日に解隊された。帝国海軍の誇る水雷戦隊の歴史はここに幕を閉じたのである。
解隊後機雷だらけで身動きもとれない状況の中、酒匂と残された駆逐艦たちは再び小浜湾から舞鶴へ戻ることになる。危険な賭けではあったが、「機雷は感応から爆発までやや時間があるため高速で進めば被害は少ない」という判断から移動は決行され、何とか無事に舞鶴へ到着。敵艦も戦闘機も一切いないものの、酒匂にとって唯一勝利と言える航海であった。
舞鶴到着後は「榛名」などの特殊警備艦(本土決戦や防空用の繋留艦船で、実質は浮かぶ砲台)とされた記録もなく、陸上用迷彩や樹木で擬装され、対空砲火も一切禁止された。7月29、30日に舞鶴もついに模擬原爆を投下されるなど大規模な空襲に遭い、坊ノ岬海戦の生き残りであった初霜もついに大破着底し力尽きるなど甚大な被害を受けるが、酒匂は比較的端の方にいたことや擬装、そして迎撃禁止の命令が役に立ったのか幸運にも被害がなく、そのまま終戦を迎えた。
『撃ちたかったんだぁ、てぇ♪』と思ったかは不明だが、記録上は艦歴のほぼ全てで戦闘を経験していない。ただし、内海訓練中にB-29の編隊を発見して砲撃したという証言や、小浜湾で戦闘機の襲撃を受けていたことから、わずかながら対空戦闘を行っていた可能性は考えられる。
終戦に伴って45年10月1日に除籍され、特別輸送艦(復員船)として国内外での人員輸送に尽力。『少し休むぅ~、えっ特別輸送艦とかって?ないない!』。船体には識別のため白文字で大きく「SAKAWA」と書かれ、砲兵装などは撤去された。『ぴゃああぁぁぁ、砲塔が、砲塔が無い!』 ちなみに、この時は本来の定員の1/3ほどの300名足らずの乗員で運用されていた。艦これ内の復員船は軽空母「鳳翔」が有名。
1946年、特別輸送艦としての任を解かれ、アメリカ海軍に引き渡される。ここで、意外な不運に見舞われた(まぁ、最期が一番不運なのだが... )。アメリカ海軍に対し日本側が操縦指導を行っている際、意思疎通の欠如によりアメリカ海軍乗員が主蒸気管が完全に閉鎖されていない状態でクラッチを切ってしまったらしく、負荷を取り除かれた巡航タービンが規定回転数を超えて暴走してしまったのだ。両国の乗員は爆音から異変に気づき、避難し事なきを得るがタービンが1基破損してしまった。『ぴゃあっ!?火、火を消さなきゃ!』と心の叫びがあったかは不明だがとにかく災難である。その後、諸般の事情(後記)により修理は一切せず取り敢えず動けるからいいや、と放置された。
くろす…ろーど?なあにそれ?知らないけど多分嫌い!
修理されないのには理由があった。そう、この「酒匂」はビキニ環礁での核実験「クロスロード作戦」での実験艦として処分されることとなったからである。
実験では「長門」などが有名だが、「酒匂」は「長門」とともに主目標とされた。「酒匂」は同じく実験艦とされた米戦艦「ネバダ」左舷側に配置され、第一実験ABLE(空中爆発実験)を迎えることになる。なお、「長門」は「ネバダ」の右舷前方に配置された。何の因果か「酒匂」右舷後方には、長女「阿賀野」を葬ったバラオ級潜水艦「スケート」が配置されていた。核爆弾は「酒匂」艦尾右舷側450m地点で炸裂し、「酒匂」は24時間炎上した。爆発で上部構造物は壊滅し、艦尾が激しく損傷し、やがて沈没し始めた。アメリカは第二実験であるBAKER(水中爆発実験)の為、「酒匂」の沈没を食い止めようと、米海軍タグボート「アチョマウイ」にワイヤーでの曳航を命じるのだが……
なんとこのタグボート、曳航している「酒匂」に引きずり込まれるかのように沈没しかける。危ういところでワイヤーをガス溶断を用いた緊急切断を行い、難を逃れる。この切断に失敗すれば同船は沈没していたとすら言われている。「不知火」の"あのセリフ"を地でいっている感じもある……。結果、「酒匂」は沈没しその生涯を終えた。46年7月2日沈没。なお第二実験では沈没した「酒匂」の150m近辺で核爆弾が炸裂している。
現在「酒匂」はビキニ諸島の海底に直立した状態で沈んでいる。特徴的な砲塔や艦橋もそのまま保たれているようだが、他の標的艦よりも水深が深い位置に沈没しており、海底の「酒匂」に会いに行くには、「長門」に会うよりも更に高いスキューバダイビングのスキルを求められるようである。
えっ、特別な逸話とかって?ないない!
作戦参加したこともなければや外洋に出たこともないため目立ったエピソードの少ない酒匂だが、実は一つだけフィラデルフィア実験のような少し現実離れした逸話が存在する。
上記のクロスロード作戦時、酒匂には実験動物が何匹か乗せられており、そのうちの一匹に「311」の識別タグが付けられた子豚がいた。
この子豚は甲板のトイレに閉じ込められ、そのまま酒匂と共にエイブル実験で核爆弾の被害に遭ったのだが、なんとこの子豚は生還し、海に浮かんでいたのである。
しかも驚くべきことにこの子豚は実験直後こそ血球数の減少など原爆や放射線の影響が見られたが、時間がたつと徐々に回復し、その後普通に成長して数年ほど生きたという。
豚がすり替えられた可能性、あるいはこの話自体がでっち上げられた可能性も否定はできないが、アメリカでは新聞や雑誌の記事にもなっており、当時はそれなりに話題となっていたようだ。
子豚の話の真偽はどうであれ、少なくとも敵と戦う軍艦として誕生した酒匂が、逆に誰かを生かす船として生涯を全うしたことは事実である。
ぴゃあ!関連動画、いい感じ~
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うんうん、関連コミュニティはいいよね~!
関連項目...。ねぇ寝ててもいい?
クロスロード組 / クロスロード作戦 (標的艦) |
日:長門型戦艦 - 長門 独:A.Hipper級重巡洋艦 - Prinz Eugen 日:阿賀野型軽巡洋艦 - 酒匂 米:Lexington級航空母艦 - Saratoga 米:Nevada級戦艦 - Nevada ほか |
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