Europa Universalisとは、パラドックスインタラクティブ社製RTSのシリーズ名である。
Paradox ストラテジー時代区分 | |||
中世 | 近世 | 近代 | 現代 |
Crusader Kings | Europa Universalis | Victoria | Hearts of Iron |
概要
15世紀から18世紀までの期間当時実在していた国を担当し、史実通りにヨーロッパ諸国での植民地運営に乗り出してみたり、為す術無く滅ぼされていったアフリカ諸国で歴史を捻じ曲げ欧州植民地支配の波に対抗をしてみたりと色々な国家運営と戦争が楽しめるPCゲームである。
Paradox社製ゲームの常として、ボードゲーム的スタイルで世界が細かいタイルに分割されており、基本的には陣取りゲームと考えれば間違いない。ただ、そこに史実であった様々な要素、即ち交易、植民地、外交、内政、宗教、そして戦争等がちりばめられており、それらが複雑に絡み合った結果非常に奥の深いゲームとなっている。特筆すべきは、時代背景を反映し、ゲーム開始当時は世界の殆どが未発見となっている事である。それぞれの国家はこの未開の地を開拓し、そこにある国家を滅ぼすのか、或いは同盟国とするのか、はたまたそもそもその存在を無視するのか、といった決断も下さなくてはいけない。
当然この時代に存在した全ての国家をプレイする事が可能であり、プレイヤーの一挙手一投足と上記の様々な要素がそれぞれに影響を与えあい、結果として世界は史実と違う形を取って行く事が非常に多い。「大ドイツ主義により統一されたドイツ」や、「グレートブリテン島すら領土としたアイルランド」、或いは「ビザンツ帝国のイタリア帰還」。そんな言葉に心が踊るのならば是非プレイしてみるべきだろう。
ゲーム内最小時間単位はハーツオブアイアンシリーズが一時間となっているのに対して一日となっている。
日本語版(ローカライズ版)はサイバーフロントから発売されており、英語版も含めたシリーズ全体としては2013年10月現在で以下の5シリーズ12作(拡張パック込)が発売中となっている【内は邦題】・(括弧内は略称)
また、EU4の日本語版については2014年1月にサイバーフロントから発売予定となっていたが、サイバーフロントの解散に伴い発売中止となった。
- Europa Universalis (EU)
- Europa Universalis IIシリーズ
- Europa Universalis IIIシリーズ
- Europa Universalis IVシリーズ
- Europa Universalis IV (EU4)
- Europa Universalis IV: Conquest of Paradise (CoP)
- Europa Universalis IV: Wealth of nation(WoN)
- Europa Universalis IV: Res publica(RP)
- Europa Universalis IV: Art of War(AoW)
- Europa Universalis IV: El Dorado
- Europa Universalis IV: Common Sense(CS)
- Europa Universalis IV: The Cossacks
- Europa Universalis IV: Mare Nostrum(MN)
- Europa Universalis IV: Rights of Man(RoM)
- Europa Universalis: Romeシリーズ
1香港のゲーム会社がEU2のアジア方面を強化した作品。パッチ対応が行なわれておらず、あまりプレイされていない。なお国内の販売元はサイバーフロントではなく実はライブドアの関連会社である。
作品ごとの概要
Europa Universalis
記念すべきシリーズ一作目。同名のボードゲームをParadox社がコンピューターゲーム化したもの。コロンブスの新大陸到達(1492年)からフランス革命(1792年)までを扱っている。プレイ可能な国家はヨーロッパ国家のみで、ヨーロッパの普遍化を追体験していくことになる。なお、日本語版は発売されていない。
Europa Universalis II
ここから存在したほぼ全ての国家でプレイできるようになり、それに伴ってシステムも拡張された。フス戦争(1419年)からナポレオン時代の終焉(1819年)までの400年間をプレイできる。
まだまだシステムがこなれているとは言えないが、国別AI(国家がなるべく史実に準じた振る舞いをするように個性付けをしたAI)と歴史イベント(ルターの宗教改革など。日本のそれもかなり多い)によって、歴史的雰囲気の再現を試みている。ユーザー作成MODの豊富さも特徴。また、データコンバートを利用して、CKからのデータ引き継ぎ、またVicへのデータ引き継ぎが可能。
Europa Universalis II: Asia Chapters
EU2に香港のTyphoon Gamesがアジア関係強化の修正を施したもの。しかし、その結果として通常版のパッチが反映されず、MODなども互換性がなくなってしまった。しかしながら、日本で最初に発売された最初のEU、という意味では記念碑的な作品でもある。
For the Glory
EU2ゲームエンジンの公開を受けCrystal Empire Games社が開発、Paradox社より販売されている作品。ユーザーインターフェースの改良や大型MODの標準添付など、様々な変更が施されたスタンドアローンの作品である。
Europa Universalis III
ゲームエンジンを一新して作成された新シリーズ。ゲーム期間はビサンツ帝国の滅亡(1453年)からフランス革命(1793年)までとなった。
最大の特徴として、「史実性の撤廃」が挙げられる。国別AIや歴史イベントを廃止し、これまでは史実通りの人物であった君主も、基本的にはランダムとなった(オプションで史実通りの君主が登場するよう設定することは可能)。これにより歴史沿いの展開ということはまず起こらないようになったが、その一方で先の見えないダイナミックに変貌する世界にその都度プレイヤーは対応することを求められるようになり、ある意味ではヒストリカルだ、と評する向きもある。
Europa Universalis III: Napoleon's ambition
拡張パック第一弾。ゲーム終了時期が1820年(ナポレオン時代の終焉)まで延長され、また歴史イベントが多少追加された。
Europa Universalis III: In Nomine
拡張パック第二弾。サブタイトルの意味は「御名において」。プレイ開始時期が一般に「近世の始まり」と言われるヘンリー4世の戴冠日(1399年)になった。
タイトルの意味する通り宗教関連の仕様に大きく手が入れられ、異なるカテゴリに属する宗教同士の場合それが常に宣戦布告事由になるようになった。また、寛容度スライダー(国家がどの宗教にどの程度寛容かを定めるスライダー)が廃止された。
更にもう一つ大きい変更として、「ミッション」と「政策」の導入が挙げられる。ミッションは国家の掲げる短期的な目標、政策は国家ごとのボーナスのようなもので、これらをある程度国家別に用意することによりプレイヤーのプレイ方針となるだけでなく、AI国家はやや史実に準じる振る舞いをするようになった。
Europa Universalis III: Heir to the Throne
王朝、国家の正統性、後継者と言った概念が導入され、君主制国家のプレイが強化された。また、神聖ローマ帝国の統一を可能とする帝国改革やハンザ同盟を代表とする交易同盟の概念なども導入されている。
Europa Universalis III: Divine Wind
拡張パック第四弾にして最終拡張パック。サブタイトルの意味は「神風」。
タイトルから想像がつくように、日本を始めとしたアジア国家の強化が図られている。しかし、その日本は藤原、橘、源、平が争う謎戦国仕様であり、特殊な外交動作もあってバグも多く著しく不評であった(EU4についての公式からのアナウンスがあった時、真っ先に削られるシステムとして名が挙がった程である)。
他には明には派閥の導入、遊牧国家にも独自のシステムが導入されたが、総じて評判は芳しくない。EU4の際には、全てもう少し穏やかな(独自色の弱い)システムに変更されている。
Europa Universalis IV
待望のEU本編新シリーズ。ヴァルナの戦い(1444年)からナポレオン時代の終焉(1820年)までをプレイ可能。
「政策スライダーの廃止」「収入関連システムの大幅変更」「国策システムの大幅変更」「交易システムの全面改定」など、非常に大きな変更が加えられている。CK2からシステムを輸入しての外交関係の強化や、SENGOKUの資産を生かした大名の配置など、過去作の経験が生かされていると見られるところがあちこちにある。
また、歴史イベントを「動的歴史イベント(DHE)」という、IIのように特定の日付になると発動するのではなく、一定年限のうちに条件を満たすと発動する、という弾力的なものとして実装し、国家ごとに「伝統」「国策」「野望」という3種類10項目のボーナスを設定することによって国家ごとの性格付けも強化されている。
Europa Universalis IV: Conquest of Paradise
EU4拡張パック第一弾。サブタイトルの意味は「楽園の征服」。新大陸とも呼ばれたアメリカ大陸を焦点とした拡張パックで、楽園とは果たして誰にとって、どのような意味での楽園なのか、深読みのできるタイトルになっている。
従来は新しい拡張パックが出るとアップデートはその拡張パックがインストールされていることを前提としたアップデートになっていたが、この拡張パックについては拡張パックを入れなくともアップデートを受けられることが明言されている。実際、CoPの拡張内容はオプションというニュアンスが強い。
拡張内容としては「楽園の発見」「楽園の住人」「楽園の征服」として、アメリカ大陸のランダム生成(古いゲームであるが、アートディンクのthe Atlasを想像して貰えればいいだろう)、ネイティブアメリカンへの様々な要素の追加、植民地国家の概念の追加がされている。大陸ランダム生成はオプションでON/OFFができるので、「さすがに空想大陸はちょっと……」という人でも安心。
Europa Universalis IV: Wealth of nation
EU4拡張パック第二弾。サブタイトルの意味はアダム・スミスの「国富論」。タイトルの通り貿易を焦点とした拡張パック。
拡張内容として「貿易会社」「私掠船」「運河建設」といったものが追加される。特に貿易会社はこれがあるとないとでは大違いで、ポルトガルやオランダなど近世にアジア交易で富をなした国でプレイする場合は特に恩恵を得ることができる。
Europa Universalis IV: Res publica
EU4拡張パック第三弾。サブタイトルの意味は「共和国」。タイトルの通り共和制を焦点とした拡張パック。
拡張内容としてはオランダに固有の共和制システム、ポーランドの選挙王政への介入が追加されるとほぼ狭い範囲のものだが、特定の君主点を増加させるナショナルフォーカスが極めて便利なので、どの国を選択しても恩恵を得ることができる。
Europa Universalis IV: Art of War
EU4拡張パック第四弾。サブタイトルの意味はおそらく孫子の「兵法」。タイトルの通り軍事関連を焦点とした拡張パック。
拡張内容としてとりわけ特筆すべきなのが三十年戦争の追加である。他にもナポレオン戦争に関する革命関連のイベントも追加されるが、どちらかというと痒い所に手が届く類の追加要素が多く、ぜひ入れておいた方がいいDLCとなっている。
Europa Universalis IV: El Dorado
EU4拡張パック第五弾。サブタイトルの意味は「黄金郷」。タイトルの通り新大陸を焦点とした拡張パック。
新大陸系の三宗教の補強、財宝船の追加と中南米プレイや植民地運営を様変わりさせるものとなっている。また海洋自動探索要素が追加されなかなか便利なものとなっている。
Europa Universalis IV: Common Sense
EU4拡張パック第六弾。サブタイトルの意味はアメリカ独立戦争時のトマス・ペインのパンフレットでもおなじみの「常識」。どちらかといえば制度面を焦点とした拡張パック。
とりわけ目玉となるのが議会政治や土地開発の追加。一方仏教や神権政治、プロテスタント周りも補強されるのだが、先の追加要素のためプロテスタント国家はだいぶ強化されている。また属国への要求の追加も何気に大きい。
Europa Universalis IV: The Cossacks
EU4拡張パック第七弾。サブタイトルの意味は読んだまま「コサック」。
サブタイトルからの印象だと、一見遊牧民関連を中心とした拡張パックと思われるが、その中心を占めているのはむしろ「階級」の導入である。また属国での徴兵が可能になったり、スパイ活動が強化されたりと、確かに遊牧民関連も補強されているが内容はどちらかといえばサブタイトルからは程遠い。
Europa Universalis: Rome
EUのシステムを利用して古代ローマ帝国の時代を取り扱った作品。 ピュロス戦争(B.C.280年)から帝政への移行(A.D.27年)までの地中海世界を楽しむことができる。
Europa Universalis: Vae Victis
EU:Rの拡張パック。 サブタイトルの意味は「哀れなるかな、敗残者」。ローマがガリアに征服されようとしていた時に、それでも賠償金を値切ろうとしたローマに対しガリアの将軍が怒りと共に叫んだ言葉と言われている。
元老院や枢密院に関するシステムが追加されている。
関連動画
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関連項目
- 2
- 0pt