タイムボカンシリーズ 逆転イッパツマンとは、タツノコプロ制作で1982年~1983年までフジテレビ系列で放送された『タイムボカンシリーズ』の第6作目となるテレビアニメ作品である。全58話。
概要
本作の主人公・豪速九役には、これまで『タイムボカンシリーズ』のナレーションだった富山敬が満を持して起用された。それに伴い、本作のナレーションを鈴置洋孝に変更。鈴置の独特の言い回しは富山のナレーションに劣らなかった。
また、ストーリーもシリーズで唯一三悪が勝つシーンがあったり(ただし詳細はちょっと違う)、物語後半で徐々にシリアス路線に転換していくなど、やや異色な内容になっている。
好評により52話で終わるところを6話延長して58話まで続けた。
なお、第2作『ヤッターマン』から第4作『タイムパトロール隊オタスケマン』までは、少年・少女が変身する1号と2号がいたが、第5作『ヤットデタマン』では少年1人となり、今作でも社会人の青年がヒーローとなり大体1人で戦っている。
ただ、第1作『タイムボカン』は変身ヒーローものではないので、少年少女の主人公はいても1号・2号は存在しない。
また、前作同様に巨大ロボで戦う設定となり、これは今は倒産したスポンサーの要請で行った。
この作品は野球をモチーフとしており、主人公の名前が「豪速九(ごう そっきゅう)」で「豪速球」のもじりだったり、主人公の武器が野球ボールのような球だったり、三悪のトリオ名が「クリーン悪トリオ(クリーンアップと掛けている)」だったりと、やたら野球を意識している。
このような背景として、読売ジャイアンツの中畑清(現・横浜DeNAベイスターズ監督)の愛称が「ヤッターマン」だったり、不振の時に一発が飛び出したらスポーツ紙に「ヤットデタマン」と使用されていたからであるが、受けを狙った「イッパツマン」は結局放送が終了しても誰の愛称にもならなかった。また、放送中に新聞の見出しにもなることはなかった。
オープニングテーマは、元オリックス・バファローズの北川博敏が本拠地での登場テーマソングとして使用していた。これは近鉄時代の2001年に代打逆転サヨナラ満塁優勝決定ホームランを放ったことにちなむ。
また、オリックス・バファローズ応援団のチャンステーマ「ジャンプ」の原曲でもあり、元々はオリックス・ブルーウェーブ高橋智の応援歌で移籍後はブルーウェーブのチャンステーマとして使用されていた。
ちなみに2001年のホームランは大阪近鉄バファローズ対オリックス・ブルーウェーブの試合であり、この出来事から2005年に合併した両チームにとって思い入れのある曲でもある。
ナレーターの鈴置洋孝が2006年8月に逝去した事を受け、同年に作者の山本正之によってリメイクされ、2007年発売の自身のアルバムに収録された。その際、2番までだった歌詞に、鈴置と13回忌を翌年に控えた富山敬への追悼の意を表した3番が追加されている。
ちなみに後年、カプコンの格闘ゲーム『タツノコVSカプコン』シリーズに登場。愛機の逆転王もLv.3ハイパーコンボ使用時に登場している。
ストーリー
タイムリース社は、依頼があれば時空を越えて、過去でも未来でも現代でも世界各地に荷物を届ける、業界のトップ企業。一方業界第2位の大手・シャレコーベリース社だが、タイムリース社本社のすぐそばにあるオストアンデル北部支社は業績絶不調。会長のコン・コルドーは、ムンムンを始めとした社員にタイムリース社の営業妨害を命じた。ムンムンたちは「クリーン悪トリオ」となり、営業妨害を続ける。ハル坊がピンチ通信を出すと必ずイッパツマンが助けにやって来る。
Wikipediaより
登場人物
タイムリース社
- 豪速九 / 逆転イッパツマン(CV:富山敬)
- タイムリース社に勤務するメカニックの青年で本作の主人公。
下記のランのみならず、タイムリース社の女子社員および敵であるムンムンのあこがれの的である。
第30話でイッパツマンが倒されるまではその正体が豪かと思われていたが、第31話のイッパツマン復活と同時に豪も再び姿を見せ、第32話ラストにおいてこれまでのイッパツマンが豪のサイキックウェーブで動くサイキックロボットであり、第31話以降から登場するイッパツマンは豪自身が変身した存在であることをラン達に明かした。
なお、豪自身が戦う時は星ハルカのサポートを受けている。
武器は「レインボール」。
第30話までは「弾丸ヘッド号」から、第31話からは「弾丸ブースター号」で毎回クリーン悪トリオを倒しにやってくるが、
毎回敵の巨大ロボット(例外的にモビルスーツを装着したコスイネン)の攻撃で窮地に立たされることとなる。
だが、額のVマークが輝き、「トッキュウザウルス」を「逆転王」、「トッキュウマンモス」を「三冠王」と変身させて戦う。
ネーミングの由来は「豪速球」。
- 放夢ラン(CV:原えりこ)
- 「トッキュウザウルス」および「トッキュウマンモス」のメインパイロットを務める本作のヒロイン。なお、これらのマシンには、いとこのハル坊やロボットの2-3も一緒に乗車している。
豪のことを想っており、この事をハル坊にからかわれたりする。
三冠王登場後は、ハル坊と共に三冠王の胸部にある「三冠ミサイル砲」を受け持つ。
ネーミングの由来は「ホームラン」。
- ハル坊(CV:つかせのりこ)
- いとこのランやロボットの2-3と共に「トッキュウザウルス」、「トッキュウマンモス」に乗車する少年。両親は19世紀のオーストラリアに駐在中である。
豪からイッパツマンを呼ぶための通信機を渡されており、これを押さないとイッパツマンが出てこない。第24話では病気のため出動できず2-3が代わりに豪に連絡していたが、その時「出撃する豪」の後をつけて、その際にホームベーサーおよび豪と並んでいるイッパツマンを見ており、このときからイッパツマン=豪ではないと思っていた(その時は熱でうなされて見た夢だとされたが、第30話でランがイッパツマン=豪だと熱弁する時も否定し、イッパツマンが倒された際も何度も豪を呼んでいる)。
三冠王登場後は、ランと共に三冠王の胸部にある「三冠ミサイル砲」を受け持つ。
ネーミングの由来は「ファールボール」。
- 2-3(CV:山本正之)
- ランやハル坊と共に「トッキュウザウルス」や「トッキュウマンモス」に乗車する、三河弁を操るロボット。
胸にテープデッキがあってデータを読み取ったり音楽を再生できたりする(当時はテープの時代)。
性格は気が利くが、少しお調子者。
上記の通り、第24話では病気のハル坊に代わって豪にピンチ通信を送った。
三冠王登場後は、トッキュウマンモスが変形したリリーフカーを操縦して三冠王をサポートする。
ネーミングの由来は「フルカウント(2ストライク3ボール)」。
- 星ハルカ(CV:幸田直子)
- 第31話より登場したヒゲノ部長の秘書。
豪と同じく超能力者であり、豪がイッパツマンとして出撃する時はそのサポートを行う(なお、豪が身動きできない時に1回だけハルカがイッパツマンになったこともある)。豪とは息のあったコンビネーションを見せており(偽装結婚をしたこともあった)、そのことでランに何度か嫉妬されている。
実は16歳の時(8年前)にコン・コルドー会長に誘拐・洗脳されたことがあり、第57話ラストでは指令がかかったのかサイキックロボットに関する重要機密を盗み、第58話(最終回)では特殊スーツに身を包んでイッパツマンと戦うこととなる。
同じ超能力者同士でも、能力はハルカが上であるためイッパツマンを追い詰めるが、イッパツマンをかばうランの姿を見て洗脳が解け、コン・コルドー会長による能力強化によりスーツが消失し、その後は行方不明となった。
- ヒゲノ濃造(CV:長堀芳夫(現・郷里大輔))
- タイムリース社の技術部長だが、その正体は「トッキュウザウルス」などサイキックロボットの責任者である。
重要な枠柄だがギャグ要員にもなってしまう。家のローンにも振り回されているらしい。
最終回での事件の責任を取ってタイムリース社を退社し、去り際に豪とランが幸せになることを願いつつハルカを探す旅に出た。
シャレコーベリース社
- ムンムン(CV:小原乃梨子)
- 「クリーン悪トリオ」のリーダーであり、肩書はオストアンデル北部支社長。
ろくな仕事も与えられずにグループ最低を維持し続けている支社を立て直すため、会長の裏稼業(タイムリース社の営業妨害)に悪戦苦闘している。
第4話で自分を助けた謎の男性を「ミスターX」と呼び慕い続けたが、その男性がライバル社の豪(敵であるイッパツマン)であると分かってもそれは変わらなかった。
- コスイネン(CV:八奈見乗児)
- 名前通りに狡い。肩書は部長。
三悪の頭脳系キャラで唯一の既婚者(妻の名は「東北アンナ」で、顔はムンムンとうり二つ)。
機械の他にそば作りが得意。「ポチっとな」に代わるボタンの押し方は「コスっとな」。生身でイッパツマンに対抗したこともあり、『タイムボカンシリーズ』の頭脳系キャラではやたら強い方である。
- キョカンチン(CV:たてかべ和也)
- 名前の通りに巨漢。肩書は課長。
やけに忠実でまじめな性格で、常に「であります」を使う。これは元軍人という設定だからである。しかし、ムンムンとコスイネンと同行していくせいで、その真面目さが失われていった。
- コン・コルドー(CV:肝付兼太)
- 「いないいない、ばばば~」で画面に登場するシャレコーベリース社の謎の会長。声優が男性だが女性。
ムンムン達に悪事を働かせている。
自分の意に合わない社員は消し去るなど、やや独裁者的な行動が目立つ。その正体は地球人の宇宙進出を阻む宇宙人である。
- ミンミン(CV:土井美加)
- 会長の孫。やたらと羞恥心がなく、すぐに下着姿になったり裸になったりする。会長の孫だけあってお金に困らずにいるのでコスイネンやキョカンチンにご飯をおごるなど面倒見はいい。
ただ、その正体は・・・
- 隠球四郎(CV:小滝進(現・大滝進矢))
- シャレコーベリース社オストアンデル西部支社のエリート支社長。
かなりニヒルで嫌みったらしい性格であり、落ちこぼれのクリーン悪トリオを見下している。
イッパツマンを倒すことだけを生き甲斐としており、第30話ではクリーン悪トリオを利用してダイヤモンド弾丸で逆転王を小破させ、そしてイッパツマンをも撃ち抜いて見事倒した(事実を知らないクリーン悪トリオは自分たちが倒したものと思っていた)。
実は、大学時代に無理なダイエットを強行して死亡しており、コン・コルドー会長によって脳を移植されたロボットに生まれ変わるが、球四郎はその事実を知らずにいた。
だが、レントゲンを撮った際にその事実を知ってコルドーに反逆、怒ったコルドーによってタイム空間に追放された。
ネーミングの由来は「隠し球」と「四死球」。
余談だが、声を演じた小滝氏は同時期には『戦闘メカ ザブングル』の主人公ジロン・アモスも演じており、第26話でジロンがウォーカーギャリアに乗り換えた五週間後にイッパツマンは三冠王に搭乗しており、小滝氏は主要キャラとして同時期にロボット交代劇を続けて関わっている。
- 今井市郎
- 厳密に言えばシャレコーベリース社の下請け会社「マシンフレンド」尼崎第三工場の工場長。
第32話より登場し、この回よりメカの登場前に彼とコスイネン(1回だけ球四郎)との会話のやりとりがある。
ネーミングの由来は「イマイチ」で、文字通り彼の作るメカにはイマイチもしくは未完成な物が多い。
ゲスト
- オタスケマン1号(CV:水島裕)
オタスケマン2号(CV:島津冴子)
- 『タイムパトロール隊オタスケマン』の主人公2人組。
第41話に登場し、クリーン悪トリオによる弁慶に機関銃を渡して牛若丸を倒す(歴史を狂わせる)作戦を妨害した。
出番は少なかったが、それなりに戦闘があり、そして相変わらずのバカップルだった。
本来なら、オタスケマンとしての出動時は使用メカのオタスケサンデー号はカモフラージュの意味を含めて別形態に変形するのだが、この話で登場した時は変形した様子はなかった(通常態)。
メカニック
タイムリース社
- トッキュウザウルス
- 第30話までラン達が乗り込む恐竜型のメカ。
イッパツマンが登場した際、腕と胴体が逆転王に変形し、トッキュウザウルスの残りの部分は待機用メカの「リリーフドン」となる。しっぽに繋いだトッキュウトレーラーに依頼品を積んで運ぶ。
- 弾丸ヘッド号
- 第30話までイッパツマンがやってくる時に乗っている戦闘機で、後述の逆転王の頭部にもなる。
武器は付いておらず、最初は乗り捨て状態となっているが、逆転王と合体する際には再び乗り込む。
- 逆転王
- トッキュウザウルスから分離し、さらに変形した胴体部分と弾丸ヘッド号が合体して誕生する巨大ロボット。
胸部のダイヤモンドでイオンを合成し、武器を召喚するが、プロレス系のメカにはプロレス技で対抗する。
第30話で球四郎からダイヤモンド弾丸を撃ち込まれて破壊された。
ちなみに、OVA「タイムボカン王道復古」では富山敬がイッパツマンなしで声をあてていており、イッパツマンのAIが組み込まれていた可能性がある。
- トッキュウマンモス
- 第31話よりラン達が乗り込むマンモス型のメカ。
武器らしい武器がなかったトッキュウザウルスと違って銃座がついている。ただし、後述の三冠王に変形・合体するまでこの銃座は使われていない。
イッパツマンがピンチの際には、銃座と胴体・両脚部分が分離して三冠王に変形・合体し、トッキュウマンモスの残りの部分はサポート用メカの「リリーフカー」となり三冠王と連携を取る。
- 弾丸ブースター号
- 三冠王のコックピットとなる戦闘機。
使い方は弾丸ヘッド号と同様で、三冠王と合体する時に再び乗り込む。
なお、三冠王となった際は、弾丸ブースター号の翼の部分が「三冠炎熱ブースター」という武器となる。
- 三冠王
- 第31話より登場した新巨大ロボット。
トッキュウマンモスの胴体と両脚が分離・変形し、銃座部分が合体。さらにイッパツマンの乗る弾丸ブースター号と合体して完成し、「三冠王飛来、ここに参上!」の名乗りと共に現れる。
なお、三冠王自身にはAIが組み込まれており、イッパツマンがいなくても行動は可能。また、合体時の胸部に「三冠ミサイル砲」が装着しており、これはランとハル坊が操縦する。
「三冠ミサイル砲」以外の武器は逆転王と同じくイオンで形成されているようである。
主力武器は「三冠アームガン」で、三冠王登場後の武器としては使用回数が最も多い。
ちなみにネーミングの由来は文字通り「三冠王」。これは放映当時の落合博満のパ・リーグ三冠王からきている。
合体シーンは当時の子供達の憧れであり、服の袖に隠した手をバッと出す合体シーンのマネは、当時の子供なら誰もがやったことだろう。
- ホームベーサー
- タイムリース社の地下に接続されているイッパツマンやトッキュウザウルスなどをメンテナンスする秘密基地。
弾丸ヘッド号を目的地に飛ばすために二門の高速大砲が置かれており、一つは現代での長距離移動用、もう一つはタイムスリップ用である。緊急時には社屋から分離する。
シャレコーベリース社
- シャレコーベバギー
- クリーン悪トリオが移動用に使用するバギー。
武装はマシンガンしかなく、緊急時には送られてくる巨大メカと合体する。
- レスラーメカ
- 逆転王と戦うために毎回開発されるクリーン悪トリオのメカ。
梱包された状態でクリーン悪トリオの所に送られ、コックピットと合体する。様々な物をイメージして作られている。
- シャレコーベダチョウ
- 第31~57話に登場の新型マシン。
シャレコーベバギーと同様に巨大メカと合体することになるが、空を高速で飛べたり、自力でワープできたり、様々な武器が内蔵されていたりとあらゆる面でシャレコーベバギーよりも性能がアップしている。
- スポーツメカ
- 第32~57話に登場する、クリーン悪トリオの新しいメカ。
やはり毎回クリーン悪トリオの元に送られ、コックピットと合体する。
その名の通り、様々なスポーツをモチーフにしたメカが登場するのだが、大半は未完成(イマイチ)なのが多い。
関連動画
関連リンク
関連項目