修羅の門(しゅらのもん)とは、「月刊少年マガジン」で二度にわたり連載された、川原正敏作の格闘漫画である。第一部~第四部は1987年5月号~1996年12月号、第弐門は2010年11月号~2015年7月号。
概要
「陸奥圓明流」と呼ばれる古武術を使う少年、陸奥九十九の戦いを描いた格闘漫画。単行本は全31巻、文庫版が全15巻出ている。
当時の「月刊少年マガジン」を代表する大人気漫画であったが、第四部の結末に対する一部読者の批判を受け、作者が続ける気力を失くしてしまう。そのため連載が中断されてしまい、再開の見通しが立っていなかった(詳しくは31巻のあとがきを参照の事)。
ところが、川原正敏が連載していた「海皇紀」が連載終了した次月の「月刊少年マガジン」2010年9月号で「修羅の門」の復活が発表され、同年11月号より『修羅の門 第弐門』として約14年ぶりに連載再開された。連載は約5年にわたり、2015年7月号を以って完結を迎えた。単行本は全18巻。
ちなみに、連載途中から九十九の祖先である歴代陸奥圓明流伝承者の姿を描いた歴史漫画「陸奥圓明流外伝 修羅の刻」を「月刊少年マガジン」誌上で不定期に連載しており、現在も続いている。こちらは2004年にテレビ東京でアニメ化もされた(一応「修羅の門」もOVA化の話があったようだが、お蔵入りになっている)。
また、「修羅の門 第弐門」と並行して、スピンオフ作品として原作:川原正敏、作画:飛永宏之のサッカー漫画「修羅の門異伝 ふでかげ」が、「月刊少年マガジン」にて2010年12月号から2014年12月号まで隔月連載された。単行本は全8巻。「修羅の門」ブラジル編に登場した神武館ブラジル支部長・徳光将の甥が主人公で、本編で九十九と戦ったイグナシオも登場する。
現在、スピンオフ作品として「陸奥圓明流異界伝 修羅の紋 ムツさんはチョー強い?!」(原作:川原正敏、作画:甲斐とうしろう)が「月刊少年マガジン」にて連載中。川原正敏の画業35周年を記念して「月刊少年マガジン」2020年2月号にプロローグが掲載された後、同年5月号より不定期連載中。魔法が存在する世界に陸奥一族の男(下の名前は不明)が召喚されるという、いわゆる「異世界転移」モノのお話。全体的にユルい、コメディタッチの作品となっている。
登場人物
主要人物
- 陸奥九十九(むつ つくも)
- 主人公。歴史の影に生き無手にて最強であろうとする一族「陸奥」の技、「陸奥圓明流」の継承者(第四十代目)。
基本的には暢気でマイペース。しかし強者との戦いを求める修羅の血が流れており、身の内に一匹の獣を眠らせている。陸奥が地上最強であることを証明し、自身の代で圓明流を終わらせるために表舞台に姿を現した。
170cm・66kgと格闘家としては小柄だが、尋常ならざるスピードとベンチプレスで200kgを平然と上げるほどのパワーを持つ。 - 龍造寺舞子(りゅうぞうじ まいこ)
- ヒロイン。神武館館長・龍造寺徹心の孫娘。自身も神武館空手を修めており、中学時代には全国制覇した実力者。
上京してきた九十九と出会った当初はマイペースな九十九に振り回されていたが、徐々に惹かれていった。
ぼろぼろになりながら戦う九十九を心配しながらも信じており、九十九も舞子のことは大切に思っている様子。
神武館
- 龍造寺徹心(りゅうぞうじ てっしん)
- 舞子の祖父。神武館の館長。「生ける武神」と呼ばれる空手家。
陸奥信玄との縁から九十九を神武館で預かることになる。 - 龍造寺凜子(りゅうぞうじ りんこ)
- 舞子の母。徹心の娘。徹心の一番弟子である龍造寺巌の妻。
マイペースで飄然としているが、洞察力が鋭い。第四部以降、鉄心不在の神武館の館長代理を務める。 - 徳光将(とくみつ まさる)
- 神武館ブラジル支部長。「魔術師(マジシャン)」と呼ばれた空手家。関西人。
イグナシオの師匠で、彼の力に惚れ込んでいる。巌とは兄弟弟子で、恋のライバルでもあった。
協力者
- フランク・クラウザー
- 「プロレスの神様」と呼ばれた伝説のプロレスラー。飛田の師匠。
徹心とは旧知の間柄。九十九と飛田の戦い以降、色々と九十九に協力する。 - テディ・ビンセント
- 数々のチャンピオンを生み出した名ボクシングトレーナー。日系アメリカ人。
ボクシングから離れていたが、再起し九十九に力を貸す。教えは「Stand and Fight(立って、そして戦いなさい)」。 - ジルコォー・マッイイツォ
- インディアン、ネズ・パース族の青年。
かつてネズ・パース族を救った青年(修羅の刻・アメリカ西部編に登場する雷(アズマ))の遺言「いつかこの地に陸奥を名乗る者が現れたら、そいつの力になってやってくれ」に従い、アメリカに現れた「ムツ」である九十九に協力する。
ネズ・パースの長老である大婆様(雷と心を通わせた少女・ニルチッイ)の作った塗り薬を持っており、九十九は彼女の想いがこもったこの「魔法の薬」を他のどの薬よりも信頼している。
陸奥
- 陸奥信玄(むつ しんげん)
- 九十九の祖父。陸奥圓明流第三十九代継承者。
飄々とした老人。若いころに徹心と戦ったことがある。左目を当時10歳の九十九に抉られ失明している。 - 陸奥冬弥(むつ とうや)
- 九十九の4つ違いの兄。故人。
天性の才能を持ち、穏やかな性格で、九十九にとっては敬愛する兄であり越えられない壁でもあった。
陸奥圓明流を継ぐには優しすぎる男であり、人を殺せないと自覚していた(陸奥の一族で稀に生まれる「修羅をその身に宿さない」と言う表現が第弐門でされている)。
本編開始の2年前、九十九の継承者としての資質を確かめるために本気で仕合い、神の子の動きを見せた九十九に殺害される。享年19。 - (不破)現(うつつ)
- 第弐門に登場した九十九と冬弥の父。不破の一族であり、北斗は兄の幻(まほろ)の息子で甥に当たる。
九十九というよりもその性質は長男である冬弥に近く、実際に修羅を身に宿してなかったことから、一族では出来損ないとされた(これは不破の一族内部のみならず、陸奥の当主であった信玄にすら知られていたので、それなりに有名であった可能性が高い)。
このことは本人も(本物の陸奥や不破に勝つことは不可能だと)自覚しており、実際に兄の死後も「不破」を名乗っていない。だが純粋な技量や身体能力だけならば兄や甥を凌ぐほどの実力者であり、オリジナルの圓明流の技もいくつか編み出している。また九十九を瀕死に追い込んだケンシン・マエダにも死闘の末に勝利(実際にはほぼ相討ち)したことがある。なお第弐門では一貫して偽名である「山田」を名乗っており、九十九にも父であることを明かしていない。
各部あらすじ・対戦相手
第壱門
第一部
伝説の古武術「陸奥圓明流」の継承者・陸奥九十九と、実戦派空手「神武館」との戦い。突如として神武館を訪れた九十九は先客の道場破りと道場指導員を一蹴し、神武館の高弟『四鬼竜』に戦いを挑む。
対戦相手
- 毅波秀明(きば ひであき)
- 先に道場破りを行っていた青年。九十九に一蹴される。
- 木村(きむら)
- 神武館のNO.5で道場指導員。道場生共々九十九に一蹴される。
- 増畑大志(ますはた たいし)
- 出身地と体格から「北の重戦車」が渾名の大男。四鬼竜の一番手。
- 泉敏彦(いずみ としひこ)
- 「鳥人」の渾名を持つ空中戦の名手。四鬼竜の二番手。
- 陣雷浩一(じんらい こういち)
- 血気盛んな戦いを見せる神武館のNO.2。四鬼竜の三番手。
- 海堂晃(かいどう あきら)
- 神武館空手大会の全国覇者。四鬼竜の筆頭として九十九の前に立ちはだかる。
第二部
神武館館長・龍造寺徹心により日本一の男を決めるべく、流派を問わない異種格闘技大会の開催を宣言。更なる戦いを求めて九十九は戦いへの参加を表明する。
対戦相手
- 竹海直人(たけみ なおと)
- キックボクサー。宮本武蔵を彷彿とさせる求道者。
- 羽山悟(はやま さとる)
- シュートボクサー。持ち前の打撃力は一撃必殺の威力を誇る。
- 飛田高明(ひだ たかあき)
- プロレスラー。実戦派プロレスを標榜し、圧倒的なタフネスに巧みな技術を併せ持つ。
- 片山右京(かたやま うきょう)
- 鬼道館空手全国覇者。空手に関する天賦の才を持つ天才肌の格闘家。
- 不破北斗(ふわ ほくと)
- 圓明流の一派「不破圓明流」の継承者。圓明流宗家たる陸奥一族を葬るべく出場する。
第三部
異種格闘技戦の後、九十九は日本を離れて海外へと戦いの場を移す。北米へ流れ着いた九十九は米国の国技とも言うべき「ボクシングヘビー級」の世界チャンピオンに、相手の土俵であるリングで勝負を挑む事を宣言。かくして異国の地での過酷な環境に耐えながらの戦いが始まる。
対戦相手
- リック・ガンフォード
- ヘビー級ボクサー。白人系で強い人種主義の持ち主。
- マイケル・アーロン
- WBCヘビー級王者。科学的なスポーツ理論に基く合理性な戦いを信念とする。
- ジャージィ・ローマン
- ベテランボクサー。豊富な経験による隙の無い戦いを見せる。
- 龍造寺巌(りゅうぞうじ いわお)
- 舞子の父。神武館最高師範。九十九のスパーリングパートナーを引き受けるも、真剣勝負に発展する。
- アリオス・キルレイン
- ピーカブースタイルを駆使する現代最強のボクサー。
第四部
圓明流を巡る因縁と過去に決着を付けるべく、九十九はコンデ・コマの足跡を追って南米へと向かう。辿り着いたブラジルでは柔術と空手、2つの流れが遠く離れた異国で新たな強者を育てていた。九十九はその内の一方であるブラジリアン柔術の使い手・グラシエーロ家が主宰するヴァーリ・トゥードに出場する。
対戦相手
- リカルド・マジーニョ
- カポエラ使い。南米伝統の格闘技を駆使して大会に挑む。
- 南洋竜
- サモア出身の元外国人力士。「相撲は喧嘩」と称して実戦派相撲を作り上げた。
- ブラッド・ウェガリー
- 傭兵。凶器使用・目突きなど、通常では有り得ない実戦の流儀で優勝を狙う。
- イグナシオ・ダ・シルバ
- 神武館南米覇者。体格と俊敏さ、磨き上げた技巧を併せ持つ神武館の怪物。
- レオン・グラシエーロ
- 神父。名が示すとおりグラシエーロ家の一員で、流派の継承者。
- ケンシン・マエダ
- コンデ・コマの血を引く伝説の格闘家。
九十九の父ではないかという疑惑もあったが、実際には血の繋がりはなかった……が無関係というわけでもなく、外伝「修羅の刻」では九十九の父である現とともに静流に惚れ、彼女の夫の座を賭けて現と死合ったことがあるというのが真相。
第弐門
ケンシン・マエダとの死闘で半死半生の状態に追い込まれた九十九は、生死不明のまま南米の地で失踪する。数年の月日が流れ、新しい選手や流派が現れる中で、次第に九十九と圓明流の名は一般大衆の記憶から消えていった。
しかし、実際に拳を交えた格闘家達は圓明流と九十九の生存を信じていた。
そしてプロモーターへ転身していた飛田高明が主宰する総合格闘技大会に、圓明流を駆使する覆面の男が現れる…
対戦相手
ゲーム
メガドライブ版 セガ 1992年7月発売
原作の第二部までを舞台にしたゲーム。ジャンルはコマンド選択式のアドベンチャーゲームで、システムを例えるならば「ファミコンのキャプテン翼のような格ゲー」である。
ゲーム内容に関しては良く出来ており、デモムービーなどのイベントシーンも(当時としては)完成度が高い。しかし、原作通りに戦わないとクリアが困難である為、「原作漫画が攻略本」と揶揄された。
プレイステーション版 講談社 1998年4月発売
第四部までのキャラ+オリジナルキャラが登場する3D格闘ゲーム。
キャラの動きが悪い、効果音がショボい、さらにマウントに持ち込めばほぼ勝利が確定するチートキャラレオンの存在などが災いし、「ファミ通」のクロスレビューで史上最低タイの12点を叩き出した伝説のクソゲー。
「超ヤバイ!!本当に完成品か?」という名言を生み出した。
ただし、後に「マウントに入る状態~普通にマウントパンチを喰らっている中」でも投げ抜け(〇+×)が容易に可能であることや、そもそもマウントが出来なくなる状態になることを含めた四肢破壊技などを用いた立ち回りなど、地味に対戦がきちんと成立することが明らかとなっている(そのため現状レオンは中堅どころか下位程度に扱われやすい)。現在ではガチ勢による攻略サイトも現れているなど、再評価が進みはじめている…といえるかもしれない。
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関連項目
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