地獄楽とは、『少年ジャンプ+』上にて、2018年1月22日より2021年1月25日まで毎週月曜更新で連載された賀来ゆうじによる漫画である。単行本全13巻。
概要
賀来にとって2014年の『FANTASMA』以来となる2作目の連載作品。
江戸時代後期、死罪人たちが不老不死の仙薬を巡って謎に満ちた島を探索し戦う、生死を悟る忍法浪漫活劇。
舞台化を果たしている。また、2023年4月1日からはアニメ第一期が放送され、第二期の放送も決まっている。
あらすじ
最強の忍として畏れられながらも、抜け忍として囚人となった画眉丸は、一見死罪を受け入れたように見せながらも、打ち首執行人の山田浅ェ門 佐切に、生への執着と妻を愛していることを看破され、彼女から極楽浄土と噂される島で「不老不死の仙薬」を手に入れれば無罪放免になれるという条件を聞かされる。
妻ともう一度会うため、画眉丸はその話に乗り、他の凶悪犯と監視役の山田一門らとともに島へと渡るが、謎ばかりのその島は不気味な化物が跋扈する幻想的な地獄だった。
主な登場人物
主要人物
画眉丸 声 - 小林千晃
主人公。一人称は「ワシ」。小柄な背丈と白髪が特徴。基本的に喜怒哀楽をあまり表に出さないが若干粘着質なところがある。一途なため妻以外の女性には惹かれない。氣は「火」で、火を扱う忍術に長ける。「がらん[1]の画眉丸」というあだ名で呼ばれるほど血も涙もない男だと思われていたが、結婚を機に情が芽生え、妻と二人して静かに暮らすため忍を辞めたいと告げたところ、仲間の裏切りに遭い、囚人となった。地獄のような島で人生を取り戻すため踠く。
山田浅ェ門 佐切 声 - 花守ゆみり
山田浅ェ門家現当主の娘。幼い頃から罪人が斬首される様を見て来た打ち首執行人だが、未だ人を斬ることに迷いを抱いている。「がらんどう」と呼ばれる画眉丸の情に感化されたことで自身も情と向き合い、彼のような人間が人生を取り戻せるかを見届けることを決意する。氣は「木」。
死罪人
杠 声 - 高橋李依
くのいち。「傾主の杠」の異名を持つ美女。切り替えが早く、残虐で冷酷な振る舞いが目立つ嘘つきだが、自分には決して嘘をつかない。風呂好き。氣は「土」。
亜左弔兵衛 声 - 木村良平
盗賊頭。若くして大盗賊団を率い、伊予の山奥に賊の村を作り上げた。顔の傷は自分でつけたもの。適応能力が凄まじく高い。氣は「金」。
民谷巌鉄斎 声 - 稲田徹
「剣龍」「八州無双」と呼ばれる大剣豪。伝説として語り継がれるほどの存在になることを望み、強者を求める。島について早々に左手を失ったため、不知にフック付きの腕に改造してもらった。氣は「火」。
ヌルガイ 声 - 小市眞琴
幕府に帰順しない逆賊として死罪人となった、まつろわぬ山の民の末裔。ボロボロの民族衣装を身に纏い、髪はボサボサで肌は褐色。こうみえて女。氣は「水」。
山田浅ェ門
殊現
試一刀流二位。剣の実力は山田家随一。佐切の初恋の人でもある。強い正義感で悪を許さないが、時に行き過ぎたそれが暴走することも。勉強熱心で、他の山田家の動きは愚か、氣をもトレース可能。氣は「水」。
十禾
試一刀流三位。飄々とした遊び人のバイ。遊ぶ金欲しさに刀を質に入れたため、腰に下げているのは竹で出来た装飾用の刀だが、それでも見事にお役目を果たして来た。氣は「土」。
士遠 声 - 小林親弘
試一刀流四位。 生まれつき盲目の剣豪。教え上手。典坐の師匠にして恩人。盲目をネタにした洒落が得意。氣は「木」。
付知 声 - 市川蒼
試一刀流九位。巌鉄斎の担当。解剖好きのマッドサイエンティスト。人体で一番好きな部位は肝臓。学者気質の仙汰とは仲が良い。氣は「金」。
典坐 声 - 小林裕介
試一刀流十位。ヌルガイを担当する監視役。語尾に「〜っす」とつけるのが口癖。ヌルガイが捕らえられた経緯を知り、どうして無実の少年が処刑されるのだろうと思い立ち、彼女を助けるため監視役に立候補するなど一本気。剣速は優れるがスタミナに不安を残す。昔はグレていた。氣は「火」。
桐馬 声 - 小野賢章
女性と見間違うほど美しく、髪が長い弔兵衛の弟。賊の村が包囲されたとき、身を挺して自分を逃した兄の期待に応えるため、山田家に潜り、入門1ヶ月で代行免許を与えられると、兄を救うため監視役となり、ともに島へと向かう。センスはあるが実戦経験に乏しい。氣は「土」。
仙汰 声 - 山下大輝
試一刀流五位。杠を担当する監視役。タヌキっぽい見た目で、オランダ製の眼鏡をかけている。刀をフェンシングのように扱う。宗教学や蘭学、植物学などに明るい。幼い頃は画家を目指していたが、しきたりに逆らえず嫌々山田家に入った。自由奔放な杠に憧れを抱く。氣は「水」。
威鈴
位はまだ定められていない。源嗣の妹で、兄に似て色黒で大柄。 幕府の別式に推薦した殊現に深い恩義を感じている。得物は巨大な双刃。氣は「水」。
清丸
位はまだ定められていない。高い才能を持つ、一見少女と見間違うような美少年。子供特有の無邪気さと冷酷さを併せ持つ。子供扱いせず一人の剣士として接してくれる殊現に心酔している。氣は「金」。
天仙
蓮(リエン) 声 - 諏訪部順一/甲斐田裕子
天仙のリーダー。他の天仙とは別次元の力を有する。本土の人間を全て仙薬にし、徐福の復活を目論む。絵は苦手。よく怒るが以前はとても優しかったらしい。氣は「土」。
メイ 声 - 小原好美
初期に生みだされた天仙。特上の陰の気だが天仙なのに陽は持たない劣等種なため、丹田を破壊された上で蓬莱から追放された。不完全な体のため氣を使うと樹化が進む。氣は「水」。
朱槿(ヂュジン) 声 - 諏訪部順一/甲斐田裕子
胎息(呼吸法)を修める。天仙の中では落ちこぼれに近い存在で、それゆえ褒められたいという欲が強い。氣は「水」。
菊花(ジュファ) 声 - 諏訪部順一/甲斐田裕子
桃花のペアとして創られ、彼女と房中術を修める。いつもイラついているが、それは桃花を守るため敢えて嫌われ役を買って出ているから。氣は「火」。
桃花(タオファ) 声 - 諏訪部順一/甲斐田裕子
菊花と房中術を修める。天仙の中でも特に女の体であることにこだわる。明るく見えるが、内心、自分達ではあと1000年研究を続けても完璧な不老不死には辿り付けないことを察し、今の生活については「何も楽しくない」と憂いている。いつも笑顔なのは笑っていないとおかしくなってしまうから。島に辿り付いて花化した人間を小舟で帰し撒き絵にするという案は桃花のもの。氣は「木」。
牡丹(ムーダン) 声 -諏訪部順一/甲斐田裕子
周天(気功法)を修める。頭が良く意地悪。氣は「土」。
蘭(ラン) 声 - 諏訪部順一/甲斐田裕子
導引(体操法)を修める。 全身に硬質な氣の鎧を纏う武闘家。蓮を兄上、メイを姉上と呼ぶなど、他と比べ礼節を重んじる。無機物を操作することが得意で、島の建物や石像の改修・移動はお手の物。お節介で優しい。氣は「水」。
桂花(グイファ) 声 - 諏訪部順一/甲斐田裕子
守一(瞑想法)を修める。淡々とした性格。人見知りなため、いつも本で顔を隠している。天仙の中でも争いを好まず、常に雌雄同体でいる。房中術も自分だけで済ませることがほとんどのようだ。氣は「金」。
石隠れ衆の里
里長 声 - 麦人
石隠れ衆忍を支配する残忍な男。画眉丸の義父でもある。 幻術が得意で不老不死と噂される。
結 声 - 能登麻美子
石隠れ衆の里長の娘で画眉丸の愛妻。女として生きることを諦めさせるため父親に顔に大きな火傷を負わされるも、それでも普通に生きてみたいと願う健気で心優しい女性。画眉丸が生還し無罪を勝ち取ろうとするのは全て結のため。杠らによって里長が術で見せた幻想ではないかという指摘がなされる。
シジャ
次代『画眉丸』に選ばれた忍。結と同じく、顔に火傷の跡が残る女。当代画眉丸の修行仲間で、幼い頃から彼にいびつだが深い愛情を抱いている。特技・趣味は共に生皮を剥ぐこと。氣は「水」。
雲霧
画眉丸の修行仲間かつ元部下の青年。実力者だが、島に向かう船中で石隠れの忍びを訝しむ清丸に対し、忠誠心を見せるため自害した。氣は「金」。
その他
徳川斉慶 声 - 茶風林
この世界の江戸幕府第11代征夷大将軍。探していた島があったから仙薬もあるはずという理由で島の探索を命じる酔狂で驕慢な屑。
木人 声 - チョー
天仙を神と崇める一般島民最後の生き残り。今現在は木の化け物といった風貌だが、元は人の姿をしていた。蓬莱から追放されたメイを先に樹化した娘と重ね合わせ、数百年共に暮らす。樹化が進行しており、老い先は長くない。
青木 声 - 若林佑
徳川斉慶に仕える役人。内心では将軍のことを見下げている。
徐福
秦の始皇帝の命を受け不老不死を研究していた、天仙から宗師と呼ばれる彼らの生みの親。
用語
- 山田浅ェ門……刀剣の試し切りや処刑執行を生業とする一門。当主が名乗る名で、家名でもある。公職ではなく浪人扱いで、幕府からすれば、言う事は聞き腕も立つが身内ではないという、とても扱いやすい存在。副業としてて刀剣の鑑定や死体売買などを行っており、中でも死体を材料とした製薬は大きな収入源となっている。位は次期当主としての格付けで、純粋な技能だけで決まるわけではない。
- 石隠れ衆……伊州の山間にある忍び里。石隠れの忍びは人の心を捨てて修行に明け暮れる。
- 氣(タオ)……万物に流れるエネルギー。極めれば神の如き力を得る。氣を視て高めるには強さと弱さを両立した心が必要。五行思想に沿った五つの属性と相性がある。氣は丹田から生み出されるとされ、それゆえ天仙の弱点となっている。
- 島……琉球近くの南海に浮かぶ生命の実験場。人工的で歪な宗教体系を成している、不死の命を生成・観察するための箱庭。
- 房中術……セックスのこと。氣を高めるのに最も重要な修行で、陰陽を循環させる効果がある。
- 天仙……徐福の氣と植物の氣を掛け合わせて作られた七人の仙人。見かけは人間に見えるが正真正銘の化け物。再生能力を持ち性別も自由に入れ替え可能。顔も声も皆同じ[2]だが性格や役割が違い、それぞれが自分のやり方で不老不死を研究している。氣の量も質も人間とは比べ物にならない。
- 木人(ほうこ)(種族としての木人)……蓮曰く「不死者の営みを観察する為につくられた天仙の試作品のようなもの」。姿は人と同じだが再生力は高く、寿命も長い。次第に体が樹化していく。島の「方丈」と呼ばれるエリアに住んでいたが、天仙が消費した氣を補給する用の存在でもあったため、今現在生き残っているのはメイの保護者だけ。
- 竈神……死の概念が薄い木人達に道徳を教え、秩序を守る存在として作られた、仙汰に「できそこないの神様」と表現された化け物。
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関連静画
関連リンク
関連項目
脚注
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