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戦闘妖精・雪風』(せんとうようせい ゆきかぜ)とは、神林長平SF小説及び、それを原作としたOVA作品シリーズである。

概要

FAF 特殊戦第5飛行戦隊 3番機スーパーシルフ雪風 by 77 雪風スレ#8突如、南極大陸超空間からの通路が出現し、そこから異体「JAMジャム)」の侵攻が始まる。人類は地球上からジャムを撃退し、現在では逆に超空間通路の向こう側にあるフェアリィに基地拠点を築き、ジャムとの戦闘を続けていた。

ジャムと戦うために結成された人類側組織「フェアリィ空軍(FAF)」は、長く続いた戦いでその人員構成が変容。地球に居場所がないはみ出し者達が送り込まれるようになっていく。その中でも、特に共感性の欠如した人材ばかりを集めた特殊戦第五飛戦隊、通称「ブーメラン戦隊」所属のパイロットである深井と、彼が乗る戦闘機雪風」の戦いを描く。

小説は1979~83年まで『SFマガジン』誌上で連載され、1984年、『戦闘妖精・雪風』として早川書房より文庫化。当時のカバーイラストは『Ma.K(マシーネンクリーガー)』で有名な横山が担当した。

アメリカ海軍戦闘機操作マニュアル引用としたといわれる操作シーンや、人類と異質な存在、<ジャム>、そして人類側と戦闘コンピューターとの関係性などが、作者である神林長平の独特な文体と衝撃的な物語展開ともあいまって、長い間SFファンの間では名作と呼ばれている。

シリーズ最新作は「戦闘妖精・雪風 第五部」で、SFマガジン2025年2月号に最終回が掲載され、単行本化された。

単行本等

ハードカバー単行本のカバーイラスト雪風等のデザイン長谷川正治が担当している。

この他、単行本に収録されていない短編として、1984年SFマガジンに掲載された『敵は海賊』とのクロスオーバー作品「被書間」と、2002年7月出版の『戦闘妖精・雪風解析マニュアル』で書き下ろされた「ぼくの、マシン」がある。「被書間」は『敵は海賊・短篇版』、「ぼくの、マシン」は『いま集合意識を、』などの短編集に収録済。

OVA

OVA版は2002年りスタート。以後5巻まで続いた。タイトルは「・」(中黒)の『戦闘妖精雪風』と表記される[1]

銀河鉄道999』のメーテル役で御染みの池田昌子演技でより深みを与えられたリン・ジャクスンは必見である。

登場キャラクター

深井(ふかい れい) (CV:堺雅人)
深井零少尉
FAF少尉。特殊戦戦術偵察機雪風』のパイロット。登場時点では他者に興味関心がく、『雪風』以外信用することなく、地上ではブッカー以外にはほとんど人付き合いすらしなかった。
しかし相手から話しかけられたならば返答はし、とくにブッカー少佐とはジョークを交えて会話することもあり、まったくの無口ではない。OVAでは雪風への心酔具合、寡黙さが原作よりかなり強調されている。
ジェイムズブッカー (CV:中田譲治)
ジェイムズ・ブッカーFAF少佐
FAF少佐ブーメラン戦隊指揮官からはジャックと呼ばれる。の直属上官。階級ではなくとの友人関係をもつ。元パイロットエンジニア。『雪風』の名づけ。のちにこの戦いの背後にあるものに興味を持つ。ブーメラン作りが趣味
エディス・フォス (CV:山田美穂)
FAF特殊戦軍医、大尉。グッドラックより登場。と『雪風』の関係性に興味を持つ。
リディアクーリィ (CV:麻上洋子)
FAF准将。特殊戦副の肩書きを持っているが、事実ブーメラン戦隊官である。FAFの一部隊に過ぎない特殊戦をその政治力で軍団レベルの存在にまで引上げた。
リチャードバーガディシュ  (CV:桐本琢也)
FAF少尉。『雪風』の二代後席パイロット(電子戦オペレータ)。ブーメラン戦隊らしいパイロットチキンブロス
リン・ジャクスン (CV:池田昌子)
JAMの脅威を伝えた「ジ・インベーダー」の著者でありジャーナリスト。ただし、地球に住む人々が自書をまるでフィクションのように捉えていることを不安視し、出版後も精力的に活動している。ブッカーとも知己を得ている。
原作では大きな役割を果たすのだが、OVAではその出番は少ない。

登場機種

FAF 特殊戦第5飛行戦隊(ブーメラン戦隊) 運用機

スーパーシルフ[2]  FFR-31MR Super Sylph
原作ではFFR-31シルフィード」の初期生産を改修したものだが、OVA版では改良という名であるが実際は設計やエンジン等も全く違う別の機体となっている。ブーメラン戦隊に全13機(OVA版では13機中、雪風のみD)配備されている多偵察機
情報を持ち帰るという的のため、非常に高度な電子戦力と、自機を守るための高い力をもち、さらには自己学習コンピューターを搭載している。
双発副座原作ではクリップデルタ、形状は固定後退。OVA版ではカナード付きデルタ端が斜め下へ折れ下がっている。
スーパーシルフ雪風”  FFR-31MR Super Sylph “雪風” (OVA版はFFR-31MR/D)
ブーメラン戦隊こと特殊戦第5飛行戦隊の3番機として配備された戦術偵察機であり、FFR-31MRスーパーシルフ」の1機。双発副座の後退機。OVA版はラムジェットブースターを装着せずに生産されたDの内の1機(FAF運用機「スーパーシルフ」で説明)。
識別式表記はB-503(又はB503)、呼称はB-3。パイロット深井少尉(後に中尉)。
原作ではコクピットOVA版では機首先頭にブッカー少佐の手による「雪風」の文字がある。
高度な中枢制御体(電子脳)を持ち、律した戦術判断や戦闘を能にしており、時零の操縦を離れて勝手に戦闘機動を行う。
後にジャムに関心を持たれ鹵獲されそうになった際、雪風自身が試験飛行中のFRX-00「メイヴ」へ自転送。その後、「スーパーシルフ雪風”」は生まれ変わった「メイヴ“雪風”」によって破壊される。
メイヴ“雪風”  FFR-41MR Mave “雪風” (FRX-00 Mave雪風”)
ブッカー人戦術偵察機FRX-99「レイフ」を原に有人機を造るようシステム軍団に要請し開発された戦術偵察機。双発副座の後退機(アニメ版は前進機)。
OVA版は、雪風FRX-99「レイフ」に自転送したため、特殊戦が独自に改修した機体という設定。双発副座の上下可動式前進となっている。
雪風自身が自転送後、特殊戦1番機(B-1)(OVA版は3番機のまま)として配備される。
軍に制式配備される際にFFR-41、「スーパーフェニックスMk.XIエンジン搭載後はFFR-41MRへと式が変わる。
原作では後にフォス大尉の手によって心理分析ソフトを搭載。ある程度の人語によるコミュニケーションを可にした。
OVA版でも後半、機体表面にジャム機のようない紋様を発生させる視覚的な迷彩ジャムセンスジャマー」を搭載している。
レイフ  FRX-99 Rafe
FRX-00と同時期に開発され原ともなった次期人戦術偵察機
OVA版では、雪風が中枢データ転送する際の体となり、後にFRX-00へと改修された。
原作では途中、メイヴ“雪風”が1番機になる際に、13番機として配備される。

雪風」という愛称は、あくまでブーメラン戦隊における個々の機体(あるいは電子頭)を区別するために付けられるパーソナルネームであり、俗に言うペットネーム(機体の公式愛称)は「スーパーシルフ」や「メイヴ」に該当する。

ペットネームメイヴ」の表記はOVA公式サイトでも「Mave」か「Maeve」であやふやだったが、DVD-BOXの続編予告詐欺特典映像EXPERIMENTAL MOVIE」冒頭でも「MAVE」となっているため、現在は「Mave」で安定している模様。

リン・ジャクスンが発言した「FFR-44MR」という式は、FAFから地球側に伝わった正確ではない情報だと考えられる。

特殊戦第5飛行戦隊所属機/パイロット一覧

特殊戦第5飛行隊、通称「ブーメラン戦隊」はFFR-31MRスーパーシルフ13機で編成されていたが、後に3番機(B-3)"雪風"が喪失。FFR-41MRメイヴ "雪風"が1番機として編入。あわせてFRX-99レイフがB-13として編入したのは上述の通り。このとき若干の入れ替えがあったと思われる。残りの所属機体パーソナルネームおよび搭乗パイロットは以下の通り。(ただしアニメ版は若干異なるので注意) 

番号 名称 英語 由来 パイロット フライオフィサ
B-1 雪風 yukikaze 日本海軍陽炎型駆逐艦 深井   
B-2 カーミラ carmilla 吸血鬼 ミハイル・ズボルフスキー フリードリッヒ
ポルガー
B-3 chun yan 中国王妃 唐 応徳 王 
B-4 ズーク zouk 音楽ジャンル ルドルフオットー ジョゼフ・コベット
B-5 アプサラス apsaras インド クリシュナスワーミ・
チャンダル
レジナ・ベネット
B-6 ミンクス minx 生意気おてんば アナスタシヤ・
コヴァレフスカ
イヴァン・
イヴァノヴィッチ・
コズロフ
B-7 ランヴァボン Llanvabon マレーラインスターSF小説
"Fast Contact"に登場の宇宙
ヴィンセントブリューイ タデウシュ・
ノヴァコフスキ
B-8 ジルウェット girouette 風見鶏 イザベルガラン アルフォンスデュラン
B-9 エリゴス eligos ソロモン72魔神の一人 セシルグレイ エドガーブラッドリィ
B-10 ラマッス lamassu メソポタミアの守護神 アーマド・アーザード ハーマン・カーン
B-11 ガッターレ gattare のえさ ヴィットリーニ・
プッツァー
ジャンリシュリュー
B-12 オニキス onyx 瑪瑙(宝石) ウォルター・サシュリン メラスノウ
B-13 レイフ rafe 知恵の (無人機) (無人機)

FAF 運用機

ファーンI  FA-1 Fern I
元々は地球での実用評価中だった機体をフェアリィの侵攻に合わせて優先配備したFAFの力制戦闘機
単発単座で、シルフィードが力になった現在でも一部前線基地の戦術戦闘隊(TFS)で運用されている戦術戦闘機
シルフィード  FFR-31 Sylphide
FAFの力制戦闘機であり、FAFが初めて独自開発した双発の大戦術戦闘機
力機であったファーンIに代わる力機として開発されたものの、生産コストが高くなったため配備数は少ない。
シルフィード」とは、女性の「風の妖精[3]を意味し、ブーメラン戦隊の「スーパーシルフ」と区別して「ノーマルシルフ」とも呼ばれる。
スーパーシルフ  FFR-31MR/D Super Sylph
防衛偵察航空団の戦略偵察隊に配備されている高速戦術偵察機OVA版のみ。
D型ブーメラン戦隊に配備されている通常FFR-31MRを、力設計の見直し、エンジンの高出力化、ラムジェットブースター装着等をして高高度高速機として改良。見たど変わらないが、TARPSポッドセンサーブレードの小化やテイルコーンの追加等、僅かに細部設計が違う。
数機がラムジェットブースターを装着せずに生産されており、OVA版ではその内の1機が「スーパーシルフ雪風”」としてブーメラン戦隊に配備された。
ファーンII  FA-2 Fern II
FAFの次期力制戦闘機であり、FA-1の後継機として開発された新戦術戦闘機。前進などの力設計や、軽量化を施しシルフィード以上の機動性を発揮する。
原作では無人機としての運用も考慮されており、テストフライトを担当したパイロットが耐え切れず死亡する程の高機動を発揮した。

互換性のないスピンオフ作品

メイヴちゃん by 77 77(絵師)スレ#52

OVAメカデザイナー山下いくとがデザインした美少女キャラ、『メイヴちゃん』を使った「互換性のない」スピンオフ作品である『戦闘妖精少女 たすけてメイヴちゃん』もOVAとして発売されている。

劇中に登場する『スーパーシルフちゃん』には神林長平直筆のパーソナルネーム雪風』の揮毫が衣装の一部分に記されている。

関連動画

関連チャンネル

関連商品

関連リンク

関連項目

脚注

  1. *「・」の在るしで作品が原作小説OVAかを区別する「中黒依存症」のファンが多い。[要出典]
  2. *シルフ四精霊・四元素の内の一つ、「精霊」「元素」の名前を意味する。男性名詞だが、男性精霊を意味するとは限らず、女性精霊を意味する場合も有る。他には「細身の魅力的女性」、「フタオハチドリ」の意味がある。
  3. *女性名詞。

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戦闘妖精・雪風

248 ななしのよっしん
2023/11/02(木) 15:34:22 ID: +ILcxS5aP2
書籍表の第4世代戦闘機じみたスーパーシルフ雪風すき

アニメ版のタンデムキャノピきらい、前進機を何でもかんでも雪風呼ばわりするニワカと同じくらい
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249 ななしのよっしん
2024/02/27(火) 22:03:16 ID: URFYyyZBLl
今更読み始めたけど凄いっすねこ
ChatGPTかったどころか、コンピュータの計算力が今とべりゃ本当にポンコツだったであろう1979年にこの物語が書かれたという事実に、もはや畏れに近いものを覚える
いったい著者には何が見えていたというのか…
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250 ななしのよっしん
2024/04/21(日) 03:02:53 ID: yAgWIFkjsx
>>249
人工知能もだけど、(特に一巻の)戦闘機を操っている描写もすごい。ホンマオパーツの類。
ああいったドッグファイトの動きがどうとかではなくてこのボタンを押してこれがこうなる、みたいな書き方する作品って他にあるんだろうか?
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251 seian
2024/10/16(水) 21:00:23 ID: f/p1YvpsN+
そないやこの前、アートワークスみたいな感じの本が地元の書店で売られてたわ
アドミラル56の詳細画とか原案が中々面かったわ
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252 ななしのよっしん
2024/10/25(金) 13:42:48 ID: PLL/YT38q8
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253 ななしのよっしん
2025/02/06(木) 17:05:02 ID: 9NVmNUNE6M
第5作発売決定!と思ったらさっそく記事に追記されてた
今でもちゃんと続き出してくれるのほんとありがたい…神さん長生きしてくれ
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254 ななしのよっしん
2025/02/22(土) 23:29:44 ID: QKbwkng7Oy
五部エピローグで着いたのが侵略以前のフェアリィだとすると、そこに「帰ってきた」と感じる雪風の正体は……
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255 ななしのよっしん
2025/02/25(火) 10:56:35 ID: oTytj069/Z
>>254
そんな描写あったっけ?アレアレだとするとアレがアッチのアレを守るためアッチとコッチを切り離しやがって素通りしたってことかと思った
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256 ななしのよっしん
2025/02/25(火) 11:39:10 ID: oTytj069/Z
>>249
戦闘知性体の設定はAIの登場で外れた未来予測になるかと思いきや、
現代のAI言語モデルにしてもパターン認知AIにしても自然な会話をしたり精度の高い検出はするけども内部でなにを考えてるのか意味論的にはよく分からない、でもどうやら単語や言葉の意味を理解しているわけでも世界を認知しているわけでもないようだって感じで、やっぱり戦闘知性体はこの現代AIのちょうど一歩先を行ってるんだよね
AIロボットの体を手に入れことで物質世界と直接触れ合う手段を得たことで自らしきものが芽生え、そして外界とコミュニケーションすべく言葉をに理解しようとしていると。
30年経って陳腐化せずしかし次世代AIの姿はこんなだと予感させるこの設定を生み出したのは絶妙
現実でもAI戦闘機が実用化してAI体を獲得したら雪風みたいに自進化的になっていくかもしれないね
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257 ななしのよっしん
2025/03/24(月) 17:22:21 ID: 507+Ov3lvI
4巻読み終えた所だがこのシリーズ物理的に飛んでる方が断然生き生きしてる気がする
OVAから逆輸入したような学ジャマーぶちかまして離陸する所から地球戦闘機との戦いは人知れず始まってる(決着が着いてる)のも面かった
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