ジョジョの奇妙な冒険(対戦型格闘ゲーム)とは (ジョジョノキミョウナボウケンとは) [単語記事]

ジョジョの奇妙な冒険（対戦型格闘ゲーム）とは、カプコンが発売した対戦型格闘ゲームである。

荒木飛呂彦の漫画作品「ジョジョの奇妙な冒険」第3部を原作とする。
この項では続編（アッパーバージョン）「ジョジョの奇妙な冒険未来への遺産」についても記述する。

概要

1998年に一作目、1999年に「未来への遺産」が稼働開始。基板はCPシステム III。
操作形態はレバー＋弱・中・強・スタンドの4ボタン。

本作の特徴的なシステムに「本体モード」と「スタンドモード」がある。原作におけるスタンドについてはスタンド(ジョジョの奇妙な冒険)の項を参照。プレイヤーキャラの多くはスタンドで戦闘を行い、半数以上はスタンドボタンを押すことで二つのモードを切り替えることが出来る。モードを切り替えると技の性能が変化し、それぞれのモード専用の技もある。

スタンドモードではチェーンコンボに似た連続攻撃「スタンドラッシュ」が使用可能で削りダメージ無効、ダウンしないなどの利点があるが、攻撃を受けることで「スタンドゲージ」が空になると「スタンドクラッシュ」が発生し大きな隙ができるリスクがある。また回り込みや中・大ジャンプは本体モードでしか使えない。本体とスタンドが分離できるキャラは本体モードでスタンドと同時攻撃が出来る。

またスタンドモードが存在するキャラだけが「タンデムアタック」を使用出来る。スタンドボタンを押している間（一定時間は時間が停止する）にコマンドを自由にプログラムし自動で動くスタンドと本体の同時攻撃が可能な「プログラムタイプ」と、スタンドモードのキャラが全ての技を全ての技でキャンセルできるオリジナルコンボに似た状態になる「リアルタイムタイプ」が存在しキャラによって異なる。

キャラゲーにして傑作

一般的に漫画やアニメのキャラクターを用いたゲーム、所謂キャラゲーは作り込みが甘い駄作が多いとされるが、本作は原作の再現度の高さだけでなくゲームとしての評価も高い。

スタンドモードによるスタンドバトルの表現、特定の技がぶつかりあった際に発生する「突き（ラッシュ）の速さ比べ」、ゲームオーバー時に自キャラがダービーにコインにされる等原作ファン感涙の演出面に加え、各キャラの個性も非常に強い。例を挙げれば、

時を止めて無抵抗の相手を攻撃できるDIO、承太郎
当て身技で取った技が通常技でガードキャンセル可能になるアヌビス神系キャラ
常時浮遊しツララで弾幕を張るペット・ショップ
完全無敵かつガード不能のスーパーコンボを持つヴァニラ・アイス

など原作の再現度、性能ともに強烈である。普通の格ゲーではヤバい仕様を敢えて盛り込んだ結果、総じてキャラは高性能だが強いキャラは突き抜けて強く、さらにバグの多さから対戦バランスは良くない。それでも長い間多くのプレイヤーを惹き付けたのは原作の魅力をこれでもかと言うほど表現した結果生まれた本作の特異性に他ならない。本作はキャラゲー故に名作たり得た希有なゲームと言えよう。

家庭用移植

PS版の無印、DC版の「未来への遺産」、PS3/Xbox360版の「未来への遺産 HDVer.」（DL専売）が存在する。

PS版は無印のキャラに加え「未来への遺産」で追加されたキャラが使える（追加技は無い）。スタンドの減色や各キャラストーリーのデモがOPEDを除き削除、各技の性能や演出の変化など移植度は低いが、原作のストーリーに沿ってプレイヤーキャラになっていないキャラともミニゲームで戦える「スーパーストーリーモード」が存在する。移植度の低さにも関わらず中古価格が暴騰している。

DC版は無印と「未来への遺産」のカップリングとなっており、どちらも移植度が高い。そのためDC版の移植度とPS版の独自要素を兼ね揃えた完全版の発売という贅沢な望みを抱くファンがいる。

HDver.は「未来への遺産」のほぼ完全な移植となっており、PS版の独自要素はカットされている。またその名の通りグラフィックがHD化され、オンライン対戦も実装された。ただし全キャラの防御力を均一化するという乱暴なバランス調整のため、ペット・ショップ（後述）の強さに手が付けられなくなっている。

登場キャラクター

プレイアブルキャラクター

空条承太郎（CV：梁田清之）: 第3部の主人公にして本作主人公。主人公にしては珍しく飛び道具や無敵対空技を持たず接近戦に特化している。接近してしまえば判定の滅法強い通常技からノーゲージの連続技でごっそり減らせる原作同様の「近距離パワー型」。原作では数回しか使わなかった「スターフィンガー」が攻めに重宝する技となっており多用されることになる。時を止めることも出来るが実戦で使うには難易度が高く見返りが薄い。
ジョセフ・ジョースター（CV：大川透）: 第2部の主人公で承太郎の祖父。一部の必殺技に第1部主人公ジョナサンの技名が当てられている。スタンドが腕と一体になるので通常技の変化が丁度武器を持つ感じでわかりやすい。また唯一スタンドモードでも無敵時間こそないが回り込みが使える。本体時は牽制と反撃が強い立ち回り重視のキャラ。スタンド時はリーチが伸び中距離が得意になるがタンデムアタックを使った連続技によるある程度の火力もある。
モハメド・アヴドゥル（CV：江川央生）: ジョセフの友人で占い師。リュウタイプの万能キャラ。二種類の飛び道具による牽制、対空技、使いやすい通常技に連続技の火力も備える。苦手な距離やキャラが無く、攻めに強い本体モードと守りの堅いスタンドモードという性質もわかりやすく初心者でも使いやすい。「未来への遺産」ではスーパーコンボの「灼熱のアンク」に無敵時間（溜めによって2秒ほどまで延長可能）の間に相手を投げるとゲージを消費しないバグがあり、無敵からの投げを繰り返す理不尽なハメ技がある（HDver.では無敵判定が削除されている）。
花京院典明（CV：真殿光昭）: DIOの刺客だった高校生。機動力が高く、設置技の「法皇の結界」と長いリーチによるテクニカルな攻めが得意。スタンドモードはリーチがさらに長くなり弾数の多い飛び道具「エメラルドスプラッシュ」による牽制で中遠距離に強い。非常に癖が強く操作も難しいが使いこなせば強い上級者向けのキャラ。
ジャン＝ピエール・ポルナレフ（CV：垂木勉）: 元DIOの刺客。格ゲーには彼をモデルにしたキャラが何故か多い。スピードタイプのキャラだが速さとゲームバランスの両立のためタメキャラになった。技の発生が速くリーチが長く、中距離での牽制が得意。中段技の「シューティングスター」によるガード不能連係も有る。一方で攻撃力、防御力は低いので慎重さが求められる。
イギー（CV：真殿光昭）: スタンド使いの犬。本体モードは他キャラの数分の一の大きさしか無く逃げに適している。スタンドモード時は攻撃力が高く、移動投げや特殊動作の滞空で翻弄出来るがやられ判定が逆にでかめになる。本体モードとスタンドモードの適確な使い分けが要となる上級者向けのキャラ。
デーボ（CV：岸祐二）: DIOの刺客。「呪いのデーボ」の異名をとる殺し屋。人形を操り必殺技で攻撃させたりスタンドモードで操作する。操作されていない人形には当たり判定が無くステージに置き去りとなる。これを利用して相手を挟み込み怒濤の連係が可能。スタンドモードでは常にスタンド遠隔操作状態になり本体が無防備になるため使いどころを選ぶ。
ミドラー（CV：長沢美樹）: DIOの刺客の女性。原作では素顔が登場せず、本作のために原作者が描き下ろした。原作では遠隔操作タイプのスタンドなのだが何故かシステムとしてのスタンド遠隔操作が出来ない。通常技、必殺技ともにリーチが長く距離を問わずに攻められ攻勢を維持しやすい一方、守りに使える技が無く火力も低いため逆転されやすい。
チャカ（CV：長嶝高士）: DIOの刺客のスタンド刀「アヌビス神」に魅了された気弱な青年。刀を抜かない（スタンドモードにならない）と殆どの技が使えない。アヌビス神キャラに共通する強みとして当て身技でとった技が通常技で反撃可能になる。チャカは加えて通常技の発生が速く連続技も多彩で火力が高いと開発も認める凶悪なまでの攻めキャラ。「未来への遺産」では調整を食らい火力が下がってしまった。
アレッシー（CV：垂木勉）: DIOの刺客。弱いものいじめが好き。スタンド能力で人間を若返らせる。本体モードは小柄で素早く接近しての連続技、スタンドモードはリーチが長く中距離での牽制が得意。スタンドモードがあるキャラでは一人だけスタンドラッシュが使えない。特定の必殺技で相手を子供にする（キャラによっては他の原作キャラになるなど妙なことになる）と一定時間ほぼ一方的に攻撃出来る。無印（及びPS 移植版）では子供化の時間が長く強力。
DIO（CV：千葉一伸）: ジョースター家の宿敵。ストーリーモードでは1ラウンドを取ると原作で承太郎にダメージを負わされジョセフの血を吸って復活した後の姿になる。プレイヤーキャラとして使えるのは後者のみ。攻撃性能は承太郎に近いが、移動技や飛び道具を持つため遠距離にも対応出来る。また防御力が非常に高い。しかし通常投げが反撃確定（「未来への遺産」のみ）、回り込み動作が長すぎるなど基本システムが使いづらく、体も大きいためむしろ防御面が弱い。時止めはやはり実戦では使いづらいがスーパーコンボの「チェックメイトだッ」の性能が変化したり「ロードローラーだッ」を決めるほぼ唯一のチャンスであるなど多分にロマンを感じさせる。
邪悪の化身ディオ！（CV：千葉一伸）: 第3部初期（というか最終盤以外）の姿のDIO。通称影 DIO。キャラによってはストーリーモードの初戦から出てくる。スタンドモードが無くスタンドボタンでスタンドを使った特殊技が出る。スタンド攻撃を絡めたノーゲージの連続技や飛び道具を使った中遠距離戦が強いが、スーパーコンボが使いづらくゲージが余る。攻撃を回避して背後に回る「恐怖の片鱗」や肉の芽を飛ばす「カリスマ！」など原作再現度は滅法高い。時止めは発動時の暗転が無く悟られにくい。
誇り高き血統ジョセフ（CV：大塚芳忠）: 第2部当時の姿のジョセフ。通称若ジョセフ。ゲーメストに苦ジョセフと書かれたことがある。設定的にも唯一スタンドが使えず、スタンドボタンはクラッカー攻撃になっている。「クラッカーブーメラン」や「アイアンボーガン」といった変則的な飛び道具とリーチが長く多段ヒットのクラッカー攻撃による遠距離戦が強いが、攻撃力が低くノーゲージでは対空も弱い。

「未来への遺産」から登場

ホル・ホース（CV：安原義人）: DIOの刺客。J・ガイル（CV:安原義人）と共に登場。「一番よりNO.2」が信条の殺し屋。スタンドモードが無くスタンドボタンで必殺技「皇帝ッ！」が出る。飛び道具による牽制、中段判定の飛び道具「J・ガイルのだんな！」による強力なガード崩し、ヒットすると追撃が可能な「ハングドマン」、ガード不能の飛び道具「弾丸の軌道」など豊富で強力な攻め手を持つが、DIO同様通常投げが反撃確定であり、回り込みで回避されやすい弱点がある。
アヌビス二刀流ポルナレフ（CV：垂木勉）: 「アヌビス神」に乗っ取られたポルナレフ。スタンドモードが無くスタンドボタンはポルナレフのスタンドによる攻撃になっている。通常技の性能が高くノーゲージの連続技が強く、威力と無敵判定に優れるスーパーコンボ「絶対に負けんのだッ！」が様々な場面で使える。一方必殺技の隙が長めで手数も極端に少なく、待ちに入られると辛くなる。
マライヤ（CV：長沢美樹）: DIOの刺客。脚がグンバツの美女。スタンドモードが無くスタンドボタンで必殺技「バステトの磁力」が出る。「バステトの磁力」をヒットさせる度に必殺技の性能が最大8段階まで向上し、効果はラウンドをまたいで持続する。必殺技の多くは飛び道具で性能を上げられれば遠距離戦が強くなる。原作通りの付かず離れずの立ち回りが要のキャラ。
ペット・ショップ（CV:真殿光昭）: DIOの館の番鳥。スタンドモードが無くスタンドボタンで必殺技「キルフリーズ」が出る。画面上を自由に飛んで移動でき、相手によっては高く飛ぶだけで手が出せなくなる。遠距離では多彩な飛び道具による牽制が強力。近距離でもガード中でも出せる上に中段判定の設置型飛び道具「アイスィクルピック」を相手の連係に差し込んだり、下段技と同時に撃ってガード不能連係から連続技を決めることが出来、連続技の火力も非常に高い。空中ガードが出来ない、防御力が極端に低いなど弱点もあるが上級者に使われると手がつけられず、本作最強の壊れキャラで禁止ルールの常連。ゲームの枠を超えて強キャラを語る際に引き合いに出される程だが、アーケード版に関しては研究が進んだ現在では一部のキャラには理論上不利であり、強キャラではあるが一概に最強とは言えないとされる。
ヴァニラ・アイス（CV：速水奨、一部を岸祐二）: DIOの忠臣。無印ではCPU専用。スタンドモードは本体がスタンドに食われ一体化する。攻撃力が非常に高く、連続技の火力が高く中段判定の「クリームッ！」によるガード不能連係を持つ。またタンデムアタックとの相性が良く、タンデムからスーパーコンボに繋いで即死も狙える。一方でやられ判定が大きいことと通常技の癖が強いことから慣れを要する上級者向けのキャラでもある。PS版では「アーケード版より一発が強いキャラに」というコンセプトでダメージ補正がさっぱり掛からないという無茶な調整をされ、容易に即死の狙える凶悪キャラと化している。
ラバーソール（CV：真殿光昭、一部を岸祐二）: DIOの刺客。花京院に化けて戦う。スタンドモードが無くスタンドボタンで必殺技「ハイエロフェイク」が出る。「ハイエロフェイク」や飛び道具「ヘドぶち吐きなッ！」による牽制が強く、その他の必殺技は決まれば強いが隙が大きいハイリスクハイリターンな技が揃う。一方で当たり判定が大きく動きも遅いため相手のペースになると厳しくなる。
カーン（CV：長嶝高士）: 「アヌビス神」に乗っ取られた床屋。スタンドモードが無くスタンドボタンで必殺技「連華斬」が出る。攻撃力が高めでヒットすれば一発でスタンドクラッシュする「既命斬」や当て身技でとった技からの反撃が強力。姿勢が低く機動力があり積極的に攻めるのに向いているが、防御力はペット・ショップに次いで低く守勢に回ると極端に脆い。
ホル・ホース&ボインゴ（CV：安原義人＆高木早苗）: DIOの刺客ボインゴとコンビを組んだホル・ホース。スタンドモードが無くスタンドボタンで必殺技「皇帝ッ！」が出る。「ハングドマン」や「弾丸の軌道」が無くなり、スーパーコンボにコマンド投げの「予知は絶対」、画面に現れたパイプから一定時間後に弾丸が飛び出す「パイプメイズ」が追加されている。
恐怖を乗り越えた花京院（CV：真殿光昭）: DIOとの決戦時の花京院。通常の花京院に輪を掛けて機動力が高く、画面全体に攻撃判定の出る「真・半径20Mエメラルドスプラッシュ」が追加され、「法皇の結界」がヒットすればどこからでもダメージを奪える。一方で防御力が下がり、「法皇の結界」がスタンドモード専用に、「エメラルドスプラッシュ」の射程が短くなるなどの弱体化がある。

CPU戦専用キャラ

デス13（死神13）（CV：長沢美樹）: 相手の夢の中に現れて襲ってくる、マントを纏ったピエロのようなスタンド。本体は赤ん坊にして高い知能を持ったスタンド使い「マニッシュ・ボーイ」。承太郎サイドのキャラでプレイしていると現れる。出現条件が妙に厳しく、存在に気づかなかったプレイヤーも少なくない。常に浮遊しており、神出鬼没にワープし、回転する鎌を飛ばして攻撃してくる他、プレイヤーのキャラのスタンドのダミーを出現させてくる。敗北してもゲームオーバーにはならず、次へ進む。
ンドゥール（CV:岸祐二）: 水に乗り移り、様々な形状になって攻撃するスタンド「ゲブ神」を使う盲目のスタンド使い。承太郎サイドのキャラクターでプレイした時のみ現れる。ゲブ神の攻撃を潜り抜けながら長大なステージを進む特殊なステージになる。
ヴァニラ・アイス（CV:岸祐二）: 亜空間に取り込んだ物体を消し去るスタンド「クリーム」を使うスタンド使い。プレイヤーキャラとしてのヴァニラ・アイスとは別仕様になっており、画面から消えては無敵状態&ガード不能の突進技を繰り出し無防備に戻ってくる。