ロードス島戦記とは (ロードストウセンキとは) [単語記事]

ロードス島戦記とは、水野良原案の架空幻想世界「フォーセリア」(ロードス島戦記のほか、クリスタニア、ソード・ワールドの舞台である)に存在する、戦乱の絶えない“呪われた島”ロードスを舞台としたハイファンタジー作品である。

概要

最初期はその世界観やストーリーをテーブルトークRPG（以下TRPGとする）である「クラシック・ダンジョンズ&ドラゴンズ」のルールを使ったリプレイ集としてコンプティーク誌上で連載されていたが、そこでかなりの人気を得たため、後に小説化、ドラマCD化、コミック化、アニメ化、コンピューターゲーム化と幅広いマルチメディア展開が続けられた。

基本的には角川スニーカー文庫で出版されているライトノベル「ロードス島戦記」シリーズのことを指すが、その元となったTRPGを指していることもある。

発表当初こそ「ヒロインの人気で保っているだけの作品で、ファンタジーとは言えない」などという批判もあったが、ファミリーコンピューター（通称ファミコン）のコンピュータRPG「ドラゴンクエスト」の人気が爆発した以降はそれ以上に“軽い”亜種ファンタジーが国内では主流になってしまったため、今となってはロードス島戦記も貴重なハイファンタジー作品になっている。

世界観は今の時代では王道を超えてありきたりになってしまった「古代の偉大な魔法文明が滅びたあとの世界の剣と魔法のファンタジー」であり、ストーリーの大まかな流れも「ひとりの騎士が平和なロードスを目指して島の歴史を影で操る魔女を打倒する英雄物語」と言えるので、ファンタジー作品であふれかえる現在では“昔人気があった典型的なヒロイックサーガ作品”の一言で片付けられてしまいがちである。

しかしながら、ロードス島戦記は常に主人公を上回る英雄が周りにいる状況を作り出しているので、決して主人公の独りよがりなストーリーにはならず、敵対する者にも大抵は集団対集団の「戦争」という形で決着をつけているため、その硬派な一連の流れを評価し続ける者は多い。

さらに言えば、この作品は元がTRPGであるため、物語としての大きな流れは主人公である自由騎士パーンが主軸になっているが、各巻ごとに主役となっている人物はそれぞれ異なり、ロードス島戦記が決して一人の英雄のみによって紡がれる物語ではないことを示している。後半部分などは特にその面が色濃く表れており、初期パーティーであるパーンとその他一行はあまり登場していない。

また、この作品の世界観やキャラクターに影響を受けた作品は多く、後年のファンタジー作品にはロードス島戦記の面影を残すキャラクターや設定部分が数多く見受けられる。

なお、本家となる「ロードス島戦記」の他にも、戦記の前の時代に六英雄が活躍した魔神戦争を描く「ロードス島伝説」と、戦記後半の主人公であったスパークが王になる続編の「新ロードス島戦記」がライトノベルとして存在し、同一の「フォーセリア」世界である「ソードワールド」や「クリスタニア」なども関連作品としてあげられる。

2019年 8月1日に新作「ロードス島戦記誓約の宝冠」が刊行された。

主な登場人物

パーン

アラニアの騎士だった父の形見の鎧を着て戦う人間の男性。
親友のエトを誘って行ったゴブリン退治から様々な人々と出会い、伝説に語られるロードスの自由騎士へと成長していく。
TRPG リプレイでは「無理・無茶・無謀」の三無主義を掲げる暴走型戦士だった。

ディードリット

帰らずの森のハイエルフの女性。精霊の扱いに長ける他直接戦闘もこなせる魔法戦士な実力の持主。
人間世界への興味から故郷の森を飛び出した後にパーンらに合流。冒険を続ける中でパーンと相思相愛の仲となり、エトやスレインらと分かれた後もパーンと行動を共にした。
和製エルフのスタンダードとなった金髪に貧乳細身の美女で長い笹穂耳が特徴。

エト

人間の男性で至高神ファリスの神官。
パーンと同じザクソン村の出身で幼馴染でもある。パーンに誘われてゴブリン退治に出た結果、美人の姫と結婚し、ヴァリスの国王になる。

スレイン

アラニアにある賢者の学院出身の魔術師。人間の男性。
スターシーカーを自称してザクソン村で隠遁していたが、パーンの旅に同行した事で様々な戦いや陰謀を経験した結果、探し求めた星のレイリアを娶り、砂漠の国フレイムの宮廷魔術師となった。
TRPG リプレイでは、のんびり屋のうんちくキャラ。

ウッド・チャック

アラニア出身の人間の男性盗賊。長身で頬に大きなキズがある。
若い頃のつまらない盗みで捕まった結果、22年のも長い間収監されていた。
王子誕生の恩赦で出所した際にパーン一行と出会い、盗賊としてパーティーに参加した。

ギム

ドワーフ族の男性で細工師の腕前でも知られる歴戦の戦士。
行方不明になった友人の娘を捜していた時にパーンらと出会う。
宿敵カーラとの最終決戦において戦死。

オルソン

人間の男性戦士にしてシーリスと行動を共にする傭兵。
最愛の姉を惨殺された事から怒りの精霊に取り憑かれており狂戦士化する。
TRPG リプレイ第二部に登場したプレイヤーキャラで、どこかで聞いたような雄叫びをあげながら剣を振るうもダイス運が無さに泣かされる。元祖「不幸」の代名詞。
ダイス運の無さは、リプレイ最終回から数話前の最終決戦であっさり死んだ結果、GMからのお情けで蘇生魔法と奇跡の魔法を行使されるという蘇生チャンスを2度与えられたにもかかわらずどちらも失敗する程。なおリプレイ第三部ではしれっと復活してNPCとして登場した。

シーリス

赤い髪と赤い衣装が特徴の人間の女戦士。
実家はカノン王国の近衛騎士隊長という貴族出身だが、カノン王国滅亡後オルソンと共に傭兵生活を送っていた。
火竜山の戦いの後にハイランド公国王レドリックと結婚。ドラゴンライダーとして竜を駆る戦う王妃となった。

フォース

美男子だが女性嫌いな人間の男性盗賊兼吟遊詩人。
自由都市ライデンの盗賊ギルドマスターの養子だったが、義父を殺した犯人にギルドをのっとられた上に義父殺しの犯人にされてしまった為、偽名を名乗ってフレイムで傭兵をしていた時にパーンらと知り合う。
後に義父を殺した犯人を倒してライデンの盗賊ギルドのマスターとなり、盗賊（シーフ）という呼び名をスカウトに改めた。
TRPG リプレイでもカリスマの高さから美男子キャラでロールプレイしていたが、実際のカリスマ値は最大値の18ではなく16。しかもマールの方は17だったりする。

セシル

長髪で女性に間違われるほどの美しい見た目をした人間の魔術師。
短気で直情的な性格なうえに、女性的な見た目を気にしてか意図的に男性的な強気口調で話し、ダガー片手に接近戦を挑む。一人だけカプコン版D&Dをやっているような奴。
スレインの押しかけて弟子として共に行動した後、ザクソン自治領の相談役となった。
TRPG リプレイ第二部に登場。魔法使いだがHPに影響を与える頑健さが最大値の18だった為レベル4スタート時点で戦士のオルソンとHPが同じで、オルソンの攻撃があまりにヒットしない為、代わりに接近戦に参加してダイスロールでクリティカルを出すという前衛魔法使いの先駆けとなった。

マール

アレクラスト大陸出身のグラスランナーの男性。吟遊詩人だが種族特性で盗賊の素養が高い。
グラスランナーの例に漏れず好奇心旺盛で、大陸最強の剣士を追ってロードス島へと渡ってきた。
パーン・ディードリット一行と巡り合い、パーンに新たな英雄伝説を見届ける為に旅に同行。カノンの解放運動に参加した。
TRPG リプレイではハーフリング。「降伏勧告のバラード」などの持ち歌を数曲もっている。

スパーク

ロードス島戦記後半およびリプレイ第三部の主人公。人間の見習い騎士の男性。
邪神を復活させる「魂の水晶球」奪還の旅にでて経験を積み、邪神戦争後に正式な騎士となり、後にマーモ王国の初代国王になった。
TRPG リプレイ第3部では、愛馬ライトングを駆る新米騎士として登場。毎度運の無さに見舞われる二代目「不幸」の代名詞。リーフからは「スパークくん不幸」とよく言われていた。

ギャラック

屈強な体格をした人間の男性でフレイム王国の傭兵。
スパークくんの「魂の水晶球」奪還の旅に同行し、バグナードとの戦いで戦死するもマーファの奇跡で蘇った。
TRPG リプレイでは、「フレイムの白色彗星」をなのって頼れる戦士を演じていたが、肝心のバグナードとの最終決戦で一人だけファイアボールの抵抗に失敗して戦死。蘇生魔法にも失敗して二代目オルソンになりかけたが、魂の水晶球の力で復活した。

ライナ

片目が隠れた髪型の人間の女盗賊。ボンデージ風な鎧を着てムチを操る。アイヴィー
スパークくんの「魂の水晶球」奪還の旅に同行。ギャラックと良い仲となり後に結婚した。
TRPG リプレイでは、スパークくんの財布を掏る事に成功した上、スパークくんの方も判定に失敗して気づかない結果になった事が、スパークの不幸伝説のはじまりとなった。

リーフ

パーンやディードリットと行動を共にするハーフエルフの少女。
ロードス島におけるハーフエルフの通例とは逆に父親がエルフで母親が人間で、両親に愛されて育った事が帰らずの森を開く事になった。
スパークくんの旅に精霊使いとして参加。マーモにてエルフとダークエルフの調停者となった。
TRPG リプレイでは、スパークくんの出目の悪さや運の悪さが出たり、締めの言葉として「スパークくん不幸」とツッコむ役を担当している。
探していた母親役として読者投稿キャラが採用された。

アルド・ノーバ

モアイの様な厳つい顔と巨体を誇る人間の男性。フレイム王国の宮廷魔術師。
温厚で臆病な性格ゆえ巨体と怪力を活かした戦士の道に進まず、魔法使いスレインの弟子となった。
スパークくんの旅に同行。邪神戦争後はマーモ王国の宮廷魔術師になった。

グリーバス

マイリー神官のドワーフの男性。フレイム王国の宮廷司祭。
スパークくんの旅に同行後、マーモ王国のマイリー神殿長に就任した。
TRPG リプレイでは、「マイリーの白色矮星」をなのってボケまくり、ギムが築き上げたドワーフのイメージを破壊するようなロールプレイをしていた。

アシュラム

ベルド率いるマーモ帝国の暗黒騎士団を率いる「黒衣の将軍」。
ベルド戦死後は、邪神戦争を経てクリスタニアにたどり着く。

ピロテース

OV版から登場したOVA オリジナルキャラ。ダークエルフの女性でアシュラムの配下。
ディードリットと同じ長い笹穂耳だが、胸は巨乳で肌色は褐色で、ダークエルフといえば青肌ではなく褐色肌を印象づけたキャラクターと言われている。
原作に逆輸入された後、クリスタニアにも登場した。

TRPGリプレイ連載

第1部（ダンジョンズ＆ドラゴンズ）
連載期間：コンプティーク 1986年 9月号～1987年 4月号

パーティー	パーン	ギム	ディードリット	スレイン	エト	ウッド・チャック
キャラクター	戦士	ドワーフ	エルフ	魔術師	僧侶	シーフ
HP	6	6	3	4	4	4
強さ（STR）	14	18	13	8	10	7
教養（INT)	10	9	12	13	10	12
知恵（WIZ)	8	10	9	8	13	10
敏捷性（DEX）	9	10	15	12	14	16
強靭さ（CON）	11	11	8	10	5	6
魅力（CHA）	11	11	11	13	15	5

第2部（ダンジョンズ＆ドラゴンズ）
連載期間：コンプティーク 1987年 6月号～1988年 7月号

パーティー	オルソン	マール	シーリス	フォース	セシル
キャラクター	戦士	ハーフリング	戦士	シーフ	魔法使い
HP	24	24	19	17	24
強さ（STR）	14	11	16	10	8
教養（INT)	9	9	12	12	14
知恵（WIZ)	7	7	9	10	11
敏捷性（DEX）	14	16	16	18	9
強靭さ（CON）	12	13	7	12	18
魅力（CHA）	14	17	13	16	10