トニオ・トラサルディーとは (トニオトラサルディーとは) [単語記事]

トニオ・トラサルディー（Tonio Truss ardi）とは、漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の登場人物である。

ワタシ、イタリア人でス、トニオ・トラサルディーと言います。

ジョジョの奇妙な冒険・第4部「ダイヤモンドは砕けない」に登場。杜王町にてイタリアンレストラン「トラサルディー」を経営するイタリア人。ナポリ生まれ。「自分の作った料理でお客様に快適になってもらう」事に情熱を傾ける生粋の料理人である。

杜王町（日本）へやってくるまでは理想の料理を追い求めるべく修行のために中国の漢方やアマゾンの薬使い師など様々な研究をしながら、世界中を旅していたという。故郷であるイタリアでは「年齢が若い」という理由から自分の店を持つ事が認められず、日本の杜王町に店を構えたが、店員を雇うまで余裕が無いためか店では料理以外にもウエイターその他の業務全てを1人で切り盛りしており、店内にもテーブルが2つしかないという小さな店舗となっている。

また、後述するスタンド能力に目覚めたお陰か料理修行の賜物なのかは判明しないが、相手の手の平を見ただけでその人の体調・健康状態が解るという特技があり、お店ではそれらに応じて料理を提供する。そのため、店のメニューも「お客様次第」という他所では見られないものであり決まったメニューは無いのだが、コーヒーやデザートなどの簡単なメニューは取り扱っているらしい。

もっとも、料理の腕前も超一流で、億泰がトニオの料理を口にするたびに『ンまぁああ～い!!』と賞賛し、「天才料理人」「天使のような料理人」とまで絶賛されているほど。基本的に善人であり自分の料理を食べた人を健康・幸せにしたいという人柄だが、その一方で料理店や調理施設の常識として厨房内の衛生状態にはとても気を配っており、手を洗わずに無断で厨房に入ると凄まじい形相で怒り出し、包丁を投げつけるなどといった過激な行動・言動を見せる一面もある。
しかし作品中では衛生上の問題から動物を入れてはならないとされる厨房内に子犬を連れてきている部分をツッコまれている事も少なくないようである（厳密には厨房の隣の部屋、若しくは勝手口の外のようなので動物を厨房内に入れてはいないと考えていいようだが。本人も多少は気にしているのか、ゲージにいれ、動き回らないようにしていた。）。

スタンド能力「パール・ジャム」の能力によって、自らの料理を食べた人を健康にするという力を持ち、後述するようないろいろ凄まじい現象を見せた後に身体の不調部分を万全の状態にする。その知らない者が見れば誤解を与えかねないオーバーリアクションから、連日のスタンド使いとの出会い・戦いから疑心暗鬼となっていた仗助には「自分達に敵意のあるスタンド使い」と誤解されてしまう。
結果としては全て仗助1人の空回りであり、厨房内に無断で立ち入ってあちこち触るなどした罰として仗助は掃除係としてこき使われる事となってしまった。

本編では語られていないが、その後レストラントラサルディーは億泰や岸辺露伴をはじめ杜王町の住人達に愛されているらしい。

その後、2013年 10月（週刊少年ジャンプ・46号）にて発表された短編「岸辺露伴は動かない～エピソード6：密漁海岸～」で第4部以来久々の登場を果たし、相変わらずの能力で岸辺露伴の疲れ目を癒していた。
この短編にて日本の杜王町へ出店したのは、世界中を旅した結果たどり着いた、日本にしか存在しない神聖なる食材・クロアワビを使った料理を作ることで故郷に残してきた重病の恋人を治療したい、という一縷の望みのためであった事が彼自身の口から明かされる。そのため、トニオはレストラン経営と合わせて杜王町の「密漁の伝統」を調べ上げ、ある時レストランへ訪れた露伴に対して友人として「クロアワビの密漁に手を貸して頂きたい」と話を持ちかけるが・・・

その穏やかな人柄から、作品中のみならずファンの間でも専ら「トニオさん」と、『さん』付けで呼ばれる機会が多い。また、トニオの作った料理を再現する動画や、ジョジョに関連する料理を作った動画がニコニコ動画でも投稿されており、しばしば「野生のトニオ」なるタグが付く事もある。

なお、トラサルディーという姓の元ネタはイタリアの一流ファッションブランド「トラサルディ（TRUSS ARDI）」だと思われる。そのためか、Crunchyrollで配信されているテレビアニメの北米版では、トニオ・トレンディー (Tonio Trendy) と改名されている。

スタンド

パール・ジャム 【破壊力：E / スピード：C / 射程距離：B / 持続力：A / 精密動作性：E / 成長性：C】: トニオのスタンド。料理に混入する事で、その料理を食べた者の体調不良を治療する。プチトマトに顔と腕が付いたような容姿をしており、バッド・カンパニーやハーヴェスト程ではないものの複数体存在する。
群体型のスタンドであるためか、食べる時や調理するときにはダメージを受けていない様子。; パール・ジャムが入った料理を食べると身体に様々な事が起こり、症状にもよるが作品中では「ミネラルウォーターを飲んだら涙が滝のように流れ続け止まらなくなり、その後睡眠不足・眼精疲労が解消された」「チーズとトマトのサラダを食べたらソフトボール大の垢が出て、肩凝りが解消した」「スパゲッティーを食べたら虫歯が銃弾の如く飛び出し、その後物凄い勢いで新しく歯が生え変わった」「肉料理を食べたら不調の内臓が体内から飛び出し、その後腹痛が治った」「プリンを食べたら足の水虫が治った」「鮑のリゾットを食べたら両眼の眼球がドロドロに溶けて流れ落ち、その後疲れ眼がスッキリした」などといった現象が確認されている。
「お客様次第」のメニューからすると、治療する症例や病状によって、（治す病気によって対応する薬をそれぞれ提供するように）作る料理も様々に決まっているのかもしれない。本人曰く、この能力でも治せなかった病気もあるらしく、上記の密猟海岸の話から察するに、病気に対して対応する食材も必要なのかもしれない。; トニオに曰く、「世界中を旅していた時に初めて気づいた能力」である。シリーズでは珍しい、戦闘行為とは縁が薄いスタンド能力でもある。また、ジョジョは「鉄鍋のジャン」や「中華一番」のような料理主体の作品ではないため、これらの現象を本人が悪用するような描写や他人が唆す素振りなどは見られない。; 名前の由来はアメリカのロックバンド「パール・ジャム（Pearl Jam）」。そのためか、Crunchyrollで配信されているテレビアニメの北米版では、ポール・ジャム (Pole Jam)と改名されている。; 「料理を食べた人が異常なまでに急激に老廃物を排出し、その結果として健康になる料理店」という発想は筒井康隆の小説作品「薬菜飯店」のオマージュであるか。

恥知らずのパープルヘイズ

ジャンプへの連載から18年が経過した2011年に発売された小説「恥知らずのパープルヘイズ」ではフーゴ達の倒す敵・麻薬チームの主要人物たるマッシモ・ヴォルペの回想の中でトニオの過去が登場する。
（もっともこれらの設定は、本編と無関係の外伝小説の中に出てきた設定につき厳密には公式設定と扱われない点には注意されたい。）

トニオの本名は『アントニーオ・ヴォルペ』（Ant onio Volpe, なおトニオはアントニオ^[1]の数多い愛称形のひとつ）といい、元はイタリアの貴族ヴォルペ家の嫡男であったが、彼の身内は貴族の地位を金で買った商人達が大半であるため血の繋がりが無い成金同然の叔父や叔母達に、そして彼らに対し表向きは媚び諂いながらも裏では罵詈雑言を垂れる父に囲まれながら日々を過ごしていた。
やがてトニオはそんな彼らに愛想を尽かし、古い時代の考えに固執する父に『料理人になりたい』という夢を告げた末に勘当されてしまい、弟のマッシモがヴォルペ家の後継者となった。

家を出た後はマッシモやヴォルペの名を憚って亡き母方の姓を名乗り『アントニーオ・トラサルディー』^[2]となって正式に貴族であることを捨てた。

また、この時のマッシモの言葉によれば、子供の頃からマッシモが認めるほどに料理の技能や才能に優れていた事、マッシモがその数年後パッショーネに身を堕とした際スタンド「マニック・デプレッション」が覚醒した時、兄であるトニオにも同じくスタンドが覚醒したかもしれない事が仄めかされている。

ドラマ『岸辺露伴は動かない』

演：Alf redo Chia ren za

2024年に放映された第9話「密漁海岸」に登場。前半部は第4部の登場エピソードを元にしており、仗助と億泰の役割が露伴と泉京香編集に割り振られている。

ドラマでは「スタンド」という名称やヴィジョンが登場せず「天から授かったギフト」と称されるが、トニオの場合は「手を見ただけで体調がわかる能力」の方がギフトであり、料理の薬効は本来猛毒を持つ食材を適切に調理し無害化する薬学の知識の応用と説明された。同時に能力に目覚める前にサソリの毒を誤って大量に摂取して死にかけており、原作におけるスタンドの試練を彷彿とされるエピソードとなっている。

杜王町にやってきた動機は「密漁海岸」と同様だが、恋人は日本人のパティシエである森嶋初音と変更され、回復した彼女がプリンを提供することでエピソードを締めくくっている。露伴と京香に水虫の持病は無かったようだ。

実際にイタリア出身である俳優が好演しており、高い再現度と話題になった。衣装については原作より派手なコック帽を被っているのだが違和感なく馴染んでいる。また、無断で厨房に入られてキレる場面が無いため奇人感もなく純粋に良い人に見える一方、前半部では露伴と京香のリアクションがホラー寄りになっているので原作以上の不穏さを醸し出している。

ディアボロの大冒険

ジョジョファンの有志によって作成されたフリーゲーム「ディアボロの大冒険」でもトニオとトニオのスタンド「パール・ジャム」が登場する。
パール・ジャムのDISCは装備すると満腹度の減少速度が半分になるというもので、満腹度がピンチの時はDISCの能力で非常食として用いるなど、これ1枚で食糧問題が解決できる。餓死寸前にこのDISCを見つけた時の感動といったら3日間砂漠をうろついて初めて水を飲むが如く、億泰以上にトニオさんに感謝したくなる事請け合いで、恐らくお世話になったプレイヤーも多いだろう。

また、トニオさんはダンジョン内のショップの店主としての登場で、店の名前は「レストラン・トラサルディー」となっているが、食べ物アイテムに限らず普通に様々なアイテムが陳列されている。もっとも、ヤバイもの（シレンシリーズでいう、壷系アイテム）が揃っている場合はレストランどころか死体置き場と化している事もある。
またローグライクゲームのお約束として、店主だけにゲーム中でも最強クラスの戦闘力を誇るキャラクターでもあり、特にグラフィックが一新された最新ver.ではマニック・デプレクションでドーピングしたんじゃないかと思えるような、怪物じみた外見となった怒りのトニオさんが見られる。恐らくマッシモも裸足で逃げ出すだろう。
泥棒する以外にも、ちょっとした操作ミスや何かしらの偶然の事故だったとしてもそれらは全てトニオさんには悪意ある反逆行動と見なされ、石鹸パンチで襲い掛かられる事も少なくない。具体的には、以下のような事故事例が多いか。