オペラハウス(Opera House)とは、1988年生まれのイギリスの競走馬。
5歳にて一気に開花したサドラーズウェルズ初期の代表産駒。
引退後日本で種牡馬入りし、サドラーズウェルズの血を日本で花開かせた。
名前はロンドンにあるロンドン・オペラ・ハウスから。サドラー産駒によくある劇場系の命名。
概要
父Sadler's Wells、母Colorspin、母父High Topという血統。
父のサドラーズウェルズは現代では知らぬ者無い大種牡馬であり、オペラハウスは3年目の産駒である。母のカラースピンは愛オークス馬。兄弟には全弟にGI4勝を挙げた名ステイヤーKayf Tara、半妹に仏GI馬のZee Zee Topがおり、祖母Reprocolorから広がる牝系には多数の重賞馬がいる。ゴリゴリのステイヤー血統であるが良血馬である。
2歳の10月に行われたメイドン(未勝利戦)でデビューすると、いきなり2着に10馬身差をつける圧勝を収める。しかしレースの後に球節を故障してクラシックシーズンを丸々棒に振ってしまい、こけら落としから次の公演までに11ヶ月を要してしまう。復帰初戦は勝利するが、3歳シーズンは3戦1勝に終わる。
ようやく軌道に乗り始めたのは4歳になってから。シーズン初戦こそ出遅れたり前が壁になったりで3着に敗れるがタタソールズ金杯(GIII)で重賞初勝利、続くブリガディアジェラードS(GII)も勝ち重賞を連勝。その勢いで夏のGI戦線に挑むが、当時はGIIだったプリンスオブウェールズSで1番人気を裏切って6着に敗れたことからケチが付いたのか、エクリプスSではKooyongaの2着、キングジョージはSt. Joviteの3着に敗れる。
4歳シーズンはこの後カンバーランドロッジS(GIII)を勝利し7戦3勝。BCターフ出走も計画されたが自重した。
5歳になると遂に成熟。欧州競馬シーズンの始まりを告げるガネー賞で2着に入った後、コロネーションカップ、エクリプスステークスと一気にイギリスのGIを連勝。
夏の大一番であるキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークス、通称「キングジョージ」に挑戦。相手はかなり強力な面子となり、相手は
- 英ダービー、愛ダービーを連勝した無敗の*コマンダーインチーフ
- 前年の英愛+ヨークシャーオークスを制し、当年のサンクルー大賞典も制したUser Friendly
- 伊ダービーを制し5連勝中のユタカのトラウマ*ホワイトマズル
- ミラノ大賞を制してやってきたドイツの優駿Platini
などが参戦。他にもEnvironment Friendなど、結構な面子が揃った。ジャパンカップにも来た面子が結構いる。当時のジャパンカップは外国産馬がガチで草刈りに来てた。
さて、レースでは中団好位から直線でいち早く抜け出したオペラハウスが*ホワイトマズル、*コマンダーインチーフのダンブレ産駒2頭を押さえ込み優勝。GI3連勝を飾る。
しかし秋シーズンになると勢いを失い、愛チャンピオンSでは2着、凱旋門賞はUrban Seaの3着と勝ちきれず、アメリカへ遠征しBCターフに出たが*コタシャーンの6着に敗れる。
ジャパンカップへの出走も取り沙汰されたが結局BCターフを最後に引退。GI3連勝の実績から最優秀古馬に選出され、一応の花道を飾った。
ジャポニズム・オペラ
引退後は日本中央競馬会、つまりJRAが購入して日本軽種馬協会にて種牡馬入り。
当時の欧州でサドラーズウェルズ旋風が巻き起こっており、実績を挙げたサドラーズウェルズ産駒として初めて日本で種牡馬入りした。
種牡馬入り後は初年度産駒であるニホンピロジュピタが南部杯を制し、更に2年目の産駒であるテイエムオペラオーが皐月賞を制し、翌年には古馬王道を完全制覇するという偉業を成し遂げ2000年のサイアーランキング4位にまでつけた。少し年をまたぎメイショウサムソンが牡馬2冠と天皇賞春秋制覇を達成し、2006年には自己最多の157頭の繁殖牝馬が集まった。
ニコニコ的にはプペペポピーの被害馬、オペラシチーがオペラハウスの子。
しかし繁殖牝馬の質はさほどであり、勝ち上がり率はそんなに高くなく産駒毎に成績のムラが激しい、いわゆる「一発大物型、一子相伝型」の種牡馬である。実際テイエムオペラオーやメイショウサムソンなどの上級産駒は高額の賞金を稼ぐため、1頭毎の収得賞金の平均を出すアーニングインデックスという指標では高い数値を出している。
産駒の特徴としては、我々が考える欧州競馬のイメージに近く、しぶとい末脚と勝負根性、豊富なスタミナに素直な気性、頑丈な体といった感じである。ただ昨今の日本競馬に求められる一瞬で抜け出す瞬発力という点では若干欠けており(3~4歳オペラオー除く)、次第に主流から外れていった感は否めない。
ダートではニホンピロジュピタやミラクルオペラ、ヤマトマリオンなどがいるが走るのは少数派である。
ちなみに1999年にメイセイオペラがフェブラリーSを制したときに、名前からオペラハウス産駒と勘違いした生産者から種付けの問い合わせが殺到したというエピソードがある。
あと、オペラハウス産駒は障害競走で非常に良く走った。スプリングゲント、マジェスティバイオがJGIを制し、阪神ジャンプS出走機会4連覇のコウエイトライもオペラハウスの子供である。
変わり種では、現役時代1勝で終わったシングンオペラが種牡馬入りし、その産駒に中山大障害を勝ったシングンマイケルが出てきた事が挙げられる。
2012年をもって種牡馬を引退し、2016年に左脚に粉砕骨折を起こし安楽死となった。享年28歳。母は29歳、祖母は32歳まで生きた長寿牝系なので何もなければもう少し長生きしていたかもしれない。
後継であるテイエムオペラオーが思いっきりずっこけ、メイショウサムソンは堅実ながらも重賞級の馬は少ない為、サイアーラインの存続は難しそうである。
血統表
| Sadler's Wells 1981 鹿毛 |
Northern Dancer 1961 鹿毛 |
Nearctic | Nearco |
| Lady Angela | |||
| Natalma | Native Dancer | ||
| Almahmoud | |||
| Fairy Bridge 1975 鹿毛 |
Bold Reason | Hail to Reason | |
| Lalun | |||
| Special | Forli | ||
| Thong | |||
| Colorspin 1983 鹿毛 FNo..13-e |
High Top 1969 鹿毛 |
Derring-Do | Darius |
| Sipsey Bridge | |||
| Camenae | *ヴィミー | ||
| Madrilene | |||
| Reprocolor 1976 栗毛 |
Jimmy Reppin | Midsummer Night | |
| Sweet Molly | |||
| Blue Queen | Majority Blue | ||
| Hill Queen | |||
| 競走馬の4代血統表 | |||
主な産駒(GI優勝馬は太字)
平地重賞優勝馬
- ニホンピロジュピタ (1995年産 牡 母ニホンピロクリア 母父*ブレイヴェストローマン)
- テイエムオペラオー (1996年産 牡 母*ワンスウェド 母父Blushing Groom)
- アクティブバイオ (1997年産 牡 母ロイヤルバイオ 母父シンボリルドルフ)
- カリスマサンオペラ (1997年産 牝 母ミホクイーン 母父*テスコボーイ)
- ミラクルオペラ (1997年産 牡 母マックスフリート 母父*ダンサーズイメージ)
- オペラシチー (2001年産 牡 母シャルムマイヤー 母父*ブレイヴェストローマン)
- ミヤビランベリ (2003年産 牡 母アステオン 母父ホリスキー)
- メイショウサムソン (2003年産 牡 母マイヴィヴィアン 母父*ダンシングブレーヴ)
- ヤマトマリオン (2003年産 牝 母ヤマトプリティ 母父アンバーシャダイ)
- テイエムアンコール (2004年産 牡 母スナークサクセス 母父*ブライアンズタイム)
- トーセンクラウン (2004年産 牡 母サンデーブレーヴ 母父*ダンシングブレーヴ)
障害重賞優勝馬
- スプリングゲント (2000年産 牡 母スプリングマドンナ 母父ニッポーテイオー)
- バローネフォンテン (2000年産 牡 母ジュピターガール 母父*パークリージェント)
- コウエイトライ (2001年産 牝 母ダンツビューティ 母父ホリスキー)
- スリーオペレーター (2003年産 母スリーケープ 母父*ミシル)
- マジェスティバイオ (2007年産 母ハイグレードバイオ 母父*ヘクタープロテクター)
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
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