サトノアラジン(Satono Aladdin)とは、2011年生まれの日本の競走馬・種牡馬である。鹿毛の牡馬。
主な勝ち鞍
2016年:京王杯スプリングカップ(GⅡ)、スワンステークス(GⅡ)
2017年:安田記念(GⅠ)
生産者はノーザンファーム、所有者はサトミホースカンパニー。管理調教師は池江泰寿(栗東)。
概要
父ディープインパクト、母*マジックストーム、母父Storm Catという血統。
父は説明不要、無敗の三冠馬にして歴史的大種牡馬。
母は米国馬で現役時代はGⅡを1勝しており引退後繁殖牝馬として輸入された。実は牝系が下総御料牧場の基礎牝馬[1]である星旗と繋がっていたりする[2]。1歳上の全姉にエリザベス女王杯を勝ったラキシスがいる。
母父は1980~90年代に米国で一時代を築き、種付け料の最高額記録を塗り替えるほどの活躍を見せた大種牡馬。BMSとしても活躍馬が多いが日本では特に父ディープインパクトとの相性が抜群で、本馬や姉のほかにもダービー馬キズナ、海外G1・2勝エイシンヒカリ、ドバイターフ馬リアルスティールと海外GⅠ3勝オークス馬ラヴズオンリーユーの兄妹、その近親のフランスダービー馬Study of Manなどワールドワイドな多くのGⅠ馬がこの血統である。
本馬はディープインパクトの4世代目の産駒。生まれた頃にはディープインパクトの初年度産駒が3歳になって桜花賞をマルセリーナ、安田記念をリアルインパクトが勝利するなど活躍を始めており、セレクトセールでは1億3000万円の高額で落札された。
現役時代
2歳~3歳
2歳となった2013年の8月に新潟競馬場芝1600m新馬戦で戸崎圭太を鞍上にデビュー。中団から道中外外を回ったが直線では軽く促されただけで大外から他馬を置き去りにし、単勝1倍台の断然人気に応えて余裕たっぷりに3馬身半差をつける快勝。これで一気に注目を集めたが、一呼吸置いてここも1人気で迎えたGⅢ東スポ杯2歳Sでは今度も中団に構えて直線大外からいい脚は使ったもののインコースで巧く立ち回った先行馬に追いつけず後の皐月賞馬イスラボニータの5着に惨敗する。関西に戻ってまたも1人気のGⅢラジオNIKKEI杯2歳Sでは序盤後方から道中で最内から中団まで位置を上げたが、コーナーで仕掛け遅れて直線前が壁になり馬群を縫ってなんとか追い込んだが後のダービー馬ワンアンドオンリーの3着まで、3戦1勝で2歳を終える。
3歳初戦は共同通信杯。岩田康誠に乗り替わったこのレースでは好スタートから引いて後方に控えたものの、コーナーで抑えきれないという風に大外を回って上がっていき直線入口では先頭に立ったが最後に甘くなり3着に敗れた。またも東京芝1800mで大外をを回って道中インを通ったイスラボニータに敗れて賞金加算に失敗してしまう。春クラシックへの挑戦権を賭け間隔を詰め2400mに距離延長して挑んだ自己条件戦ゆきやなぎ賞でも中団から外を回して追い込んだがスローの逃げした前を捉えきれず2着に敗戦。まだ成長途上とみた陣営は春のクラシックをパスすることを決断、成長促進を兼ねて休養に入る。
3ヶ月ほど休んで夏の中京で復帰。2000mに距離を戻した初戦の500万下茶臼山高原特別はZ.パートンを鞍上に初めて先行策に出て2番手から上がり最速で2馬身ぶっちぎり、鞍上浜中俊で小倉へ転戦しての1000万下九州スポーツ杯でも先行し3番手から上がり最速で3馬身ぶっちぎりと素質の違いを見せつけ2連勝。しかし再び距離延長した神戸新聞杯では中団から外を回して一旦は先頭に立ったが更に外から来たワンアンドオンリーに叩き合いで競り落とされて4着、抽選が通って出走した菊花賞も最後方待機で向正面から徐々に位置を上げていったが直線で先頭争いには加われず進路も塞がれて6着と大敗、年末に1800mまで戻った1600下の逆瀬川Sも先行して早めに動いたが前を捉えられず後ろにも差されて6着。大器の片鱗は見せながら結果を残せずにクラシックシーズンを終える。
4歳
4歳初戦は池添騎手とのコンビで3月の武庫川S。デビュー戦以来のマイルで中団のインに控えたが口を割る様子を見せ、直線では仕掛け遅れて10番手から狭い最内を通って追い込み、勝ち馬には逃げ切られたが前が残る中を上がり最速で2着に突っ込んだ。
続いて関東遠征した春興SはC.ルメールに乗り替わり前2頭の行った行ったになるかというところを後方から上がり32秒7の鬼脚できっちり差し切り8ヶ月ぶりの勝利でオープン入り。OP初戦のモンゴル大統領賞も後方待機すると直線一気上がり最速の脚でぶち抜き2連勝する。
これで本格化…かと思われたが、前走と同じコースのGⅢエプソムカップは同じ父ディープインパクト×母父Storm Catの素質馬エイシンヒカリと鞍上武豊の絶妙な逃げに対して先行し直線では内から迫ったが僅かに届かず2着。秋まで休養を取って挑んだGⅢ富士Sは後方待機から直線の末脚で内前の馬は飲み込んだが、道中サトノアラジンのすぐ後ろにいて更に外を追い込んだこれまた同父のダノンプラチナとの末脚勝負に敗れまた2着。GⅠマイルCSは中団の内に位置したことで他馬の仕掛けに遅れてしまい直線半ばで外に出した時には外から突き抜けたモーリスは遠く、出遅れたイスラボニータにも差されて4着。初海外の香港カップはエイシンヒカリが逃げる中後方待機して早めに動いたが直線で伸びず11着惨敗。成長の跡を見せつつも重賞戦線では勝ちきれずにこの年を終える。
5歳
5歳初戦はマイルに戻ってGⅢダービー卿CT。2番人気に支持され中団のインを追走したが仕掛け遅れて直線入り口でやや置いて行かれたのが致命傷となり序盤同じ位置の外にいたマジックタイムの3着に敗戦。
次走GⅡ京王杯スプリングカップでは川田将雅騎手を鞍上に初の7ハロン戦に挑む。レースではいつものように後方待機から外に出して追い込むと上がり32秒4の強烈な末脚で馬場の真ん中から他馬をゴボウ抜きして最後は若干流しながら1馬身半差の快勝。念願の初重賞勝利をレースレコードのおまけつきで飾る。
この勝利もあって3人気でGⅠ安田記念に参戦。ここも後方に構えて直線一気で追い込んだがロゴタイプが作ったスローペースに末脚を封殺され4着。
秋はスワンSから始動。安定の後方から大外直線一気で追い込み前を撫で斬りにしつつ同じ勝負服のサトノルパンとの末脚勝負も制して重賞2勝目を挙げる。
しかしこれで1番人気に支持されたマイルCSでは中団から進めるも前残り気味の展開とゴール前の不利に祟られ5着。再度遠征した香港マイルでも最後方追走から直線追い込んで前との差は詰めたが7着までとGⅠには届かずじまいで終わる。
6歳
じっくり休養を取り前年制した京王杯スプリングカップで戦線復帰。再度1番人気に支持されたが、重馬場で直線内目を行くしかなかったのが災いしたか後方から流れ込むだけの9着に敗れてしまう。
この大敗が効いたか安田記念では7番人気まで転落。ただしモーリスが現役を去ってマイル戦線が主役不在の中であり、単勝12.4倍と人気はやや割れていた。
鞍上の川田将雅はこのレースも後方待機の競馬を選択。今回もロゴタイプが逃げてペースを作ったが前年と違ってハイペースだったために先行勢は大崩れ、このため直線で横に広がった先行馬群が垂れてきて後方勢の壁になってしまう。当のロゴタイプだけは粘り続けて最後の坂で後続を突き放し逃げ切ろうとしたが、そこに十八番の大外直線一気が幸いして壁を回避したサトノアラジンが猛然と駆け上って迫り、ゴール板寸前でクビ差かわして優勝。6歳にして悲願のGⅠ勝利を成し遂げた。
秋は毎日王冠から始動。決め手勝負で後方から上がり最速を出して伝説の名馬リアルスティールのクビ差2着。充実を印象づける。
しかし天皇賞(秋)は台風で記録的な超不良馬場。鞍上の川田が「少しでも雨が降るといい走りをするのが難しい馬」と語るほどの雨嫌い。しかも東京2000mで絶対的に不利な外枠を引き当ててしまっては競馬にならず、鞍上の川田も無理をさせないように後方で回ってくるだけの最下位18着。とはいえ最低限の負担で乗り切った…のだが、これで馬の気持ちが切れてしまったのかマイルCSでは後方から直線で伸びず12着、引退レースとして出走した香港マイルでは最後方から4コーナーで押し上げたがやはり直線で全く伸びず11着と連続で大敗し現役生活を終えた。
最終成績は29戦8勝。
種牡馬時代
引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬入り。同年からニュージーランドへもシャトルされることとなった。しかし多士済々のディープ産駒の中で重賞3勝ではやや実績不足であり、産駒もOP馬がようやく数頭という状況の中2023年にはブリーダーズスタリオンステーションへ移動と早くも暗雲が立ちこめた・・・
と思いきやシャトルされていたニュージーランドでは活躍馬が続々登場。中でもPennywekaはニュージーランドとオーストラリアのオークスを連覇する出色の成績を残した。同シーズンには2歳世代からも重賞馬Tokyo Tycoon(G1の1着は薬物検出で取り消された)が現れ、2022/23シーズンの2歳リーディングサイアーとセカンドシーズンリーディングサイアーをWで獲得。これを受けてニュージーランドでの種付け料は日本と同額の100万円から一気に400万円まで高騰した(日本では据え置き)。
以降もオセアニアでコンスタントにグループウィナーを送り出しており、その実績から2025年以降は日本へ帰国せずニュージーランドのリッチヒルスタッドに留まり現地での種牡馬活動に専念する。
主な産駒
2019年産
- Grand Impact (牡 母 Serena Slam 母父 Swiss Ace)
- Pennyweka (牝 母 Threepence 母父 *ペンタイア)
- Sacred Satono (牡 母 Belle Joie 母父 Mellifront)
2020年産
- Lantern Way (牡 母 No More Doubt 母父 Redoute's Choice)
- Lupo Solitario (騸 母 She's Aloof 母父 *ペンタイア)
- Raf Attack (牡 母 Sima 母父 *コマンズ)
- Still Bangon (牝 母 Shebang 母父 Le Bec Fin)
- Tokyo Tycoon (騸 母 All About the Coin 母父 Starcraft)
- Firestorm (牝 母 Dancing Embers 母父 Istidaad)
- Bozo (牝 母 So Ard 母父 High Chaparral)
2022年産
血統表
| ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
| Cosmah | |||
| Wishing Well | Understanding | ||
| Mountain Flower | |||
| *ウインドインハーヘア 1991 鹿毛 |
Alzao | Lyphard | |
| Lady Rebecca | |||
| Burghclere | Busted | ||
| Highclere | |||
| *マジックストーム 1999 黒鹿毛 FNo.16-h |
Storm Cat 1983 黒鹿毛 |
Storm Bird | Northern Dancer |
| South Ocean | |||
| Terlingua | Secretariat | ||
| Crimson Saint | |||
| Foppy Dancer 1990 鹿毛 |
Fappiano | Mr. Prospector | |
| Killaloe | |||
| Water Dance | Nijinsky II | ||
| Luiana |
クロス:Northern Dancer 5×4×5(12.5%)
関連動画
関連リンク
関連項目
脚注
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