株式会社ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)とは、東京都港区赤坂八丁目に本社を置いている企業。
かつては男性のアイドル事務所「ジャニーズ事務所」として営業していたが、2023年10月17日からは「SMILE-UP.」に社名を変更しており、また芸能事務所ではなく後述する「創業者による性加害の被害者への補償」を目的とした企業に変化している。株式非上場。
代表取締役社長はかつて同事務所所属のタレントでもあった東山紀之。前社長は創業者ジャニー喜多川(喜多川擴)氏の姪である藤島ジュリー景子で、後述する理由で2023年9月に東山に譲る形で社長を退任した後も代表取締役を務めている。
概要
2023年までの日本の芸能界において「ジャニーズ抜きで男性アイドルの番組は作れない」とまで言われるほどの絶対的な権力を持っていた芸能事務所であった。
1962年創業。ジャニー喜多川が作った野球チーム「ジャニーズ」のメンバーから4人の少年をスカウトし、野球チームと同名の男性グループを結成。このジャニーズの所属事務所として創業したことから「ジャニーズ事務所」という社名となった。
1970年代までにフォーリーブス、郷ひろみ、川崎麻世等の男性アイドルを輩出したが、現在まで続く確固たる地位を確立したのは1980年初頭に爆発的な人気を獲得した田原俊彦、野村義男、近藤真彦からである。この3人の苗字から取り「たのきんトリオ」と称された。
以降、シブがき隊、 少年隊、光GENJIなどを世に送り出し、1980年代に確固たる地位を築き上げた。
子会社にレコード会社のジャニーズ・エンタテイメントなどがあった。
ネット上での肖像権管理
事務所として、所属タレントの顔写真等がネット上で露出することを極度に嫌っていることで有名であった。
ドラマ番組等の公式ウェブサイトでも、共演している他所のタレントが普通に掲載されているなかで、ジャニーズ所属タレントだけは黒抜きだったり、写真がボカされて見えなくされていることがよくあったが、近年では各種公式サイトや広告に限り所属タレントの写真使用を一部認めるようになった。
SMAPや嵐、TOKIOらジャニーズ事務所の所属タレントが出演した「第60回紅白歌合戦」(2009年12月31日)は期間限定で有料配信された。ジャニーズ事務の所属タレントが出演する番組のインターネット配信が初めて解禁された。
2013年9月15日NEWSが結成10周年を迎え、NEWS作詞・作曲の「愛言葉~てをひいて~」のライブ映像が所属レコード会社のジャニーズエンタテイメントの公式サイトにて(同日0時から24時まで)1日限定で無料配信された。ジャニーズ事務所所属のタレントのライブ映像を1曲まるごとフルで配信するのは初めての試みであった。
2014年4月1日より「dwango.jp」などの音楽配信サイトでジャニーズの楽曲のiPhone端末向け配信がスタートした。これまではAndroid端末とスマートフォン向けに配信されていたが、ユーザーからの強い要望に応えてiPhone端末向け配信が開始された。
所属タレントの騒動
- 2001年8月24日、SMAPの稲垣吾郎が女性警官3人に駐車違反を指摘された所、車を急発進させ、1人の女性警官の膝に接触させたとして、公務執行妨害と道路交通法違反(駐車禁止)で逮捕されている。それ以降、稲垣はSMAPの活動を自粛していたが、2002年1月14日に復帰している。
- 2005年7月16日、NEWSに所属していた内博貴が当時フジテレビアナウンサー菊間千乃と飲酒していたことが分かり、内が脱退、無期限活動休止となる(その後、再びジャニーズ事務所でソロとして復帰。)酒を飲ませたとされる菊間千乃も当時、フジテレビから無期限謹慎処分を受けていた(後にこれも解除される。)また、2006年1月31日に今度は草野博紀に飲酒疑惑が浮上し、NEWS脱退と無期限謹慎処分を受けた(内と同じ舞台で草野もジャニーズ事務所で復帰。)。
- 2007年10月28日、元光GENJIの赤坂晃が東京都豊島区の路上で覚醒剤を所持していたのを発見され、警視庁に現行犯逮捕された。その後、事態を重く見た事務所側は史上初の所属タレント解雇という決断を行った。
- 2009年4月23日、草彅剛が全裸で『シンゴー!シンゴー!』などと叫んでいたとして、東京都港区で公然猥褻で逮捕された。ちなみに、その際草彅は大量の酒を飲んでいた模様。5月に入って不起訴処分となり、5月29日の『笑っていいとも!』から公の場に復帰した。
- 2010年11月17日、KAT-TUNが発売した『CHANGE UR WORLD』のCDのカップリング曲『NEVER x OVER ~「-」 IS YOUR PART~』が、VOCALOID巡音ルカの曲『DYE』(2010年2月発表)と似ているという指摘があった。VOCALOIDの曲を作成したプロデューサーAVTechNOは、ブログに「ショックです。」というコメントを残した。ちなみに、ニコニコ動画から『DYE』を削除したのは、運営者削除ではなく、KAT-TUNの酷似疑惑が浮上する前に自主的に削除を行った。ニコニコ大百科内でも、いわゆる『ボカロ厨』と『ジャニヲタ』の小競り合い(論争)が起こっている。尚、KAT-TUNは歌っただけであって、作曲を担当したHans Johnsonが主犯だと思われる
創業者による所属少年への性加害
ジャニーズ事務所創立当時の1960年代から、創業者「ジャニー喜多川」氏が事務所に所属する少年たちに性加害を行っていたという疑惑が散発的に持ち上がっていた。
この件について報じた週刊誌とジャニーズ事務所で民事訴訟になったこともあった。1999年から2004年にかけて争われたその裁判において、いくつかあった争点の中でも性加害疑惑については裁判所が「真実性」を認定して結審している。よって少なくとも裁判官の判断としては「根も葉もないデマ」ではなかったことが伺える。
だが、この疑惑について取り扱ったメディアはジャニーズ事務所から「タレントを出演させない」という反発を受けたとされ、そのことに委縮したのかほとんどの大手メディアは基本的にはこういった疑惑について報道せず、沈黙を貫いてきた。
大手メディアがこの件について報道し始めるのはジャニー喜多川氏が2019年に亡くなって4年経過した、2023年のことである。
ジャニーズ事務所からこの問題に関する調査・再発防止策を委託された「再発防止特別チーム」は2023年8月29日に、71ページある「公表版」と2ページに要約された「概要版」の2つの「調査報告書」をジャニーズ事務所の公式ウェブサイトにて公開した。
「公表版」においては、以下のような文面が含まれており、「ジャニー喜多川氏が多数の未成年者に対して性加害を行ってきたこと」を「紛れもない事実」と認定している内容であった。
上記のとおり各被害者のヒアリングを実施した結果、ジャニー氏が、自宅や合宿所や公演先の宿泊ホテル等において、ジャニーズ Jr.のメンバーを含む多数の未成年者に対し、一緒に入浴したり、同衾した上、キスをしたり、身体を愛撫したり、性器を弄び、口腔性交を行ったり、肛門性交を強要したりする、などの性加害を行っていたことが明らかとなった。
元ジャニーズ Jr.がジャニー氏による性加害に遭った時期は、1970年代前半から2010年代半ばまでの間に万遍なく続いており、しかも同時期に多数のジャニーズ Jr.が被害を受けていたことも証言からあきらかとなった。したがってジャニー氏によるジャニーズ Jr.の思春期少年に対する性加害は、長年にわたり広範に行われていたことは紛れもない事実である。
同報告書にはこういった性加害が長年継続された原因として「メリー氏による放置と隠蔽」「ジャニーズ事務所の不作為」「被害の潜在化を招いた関係性における権力構造」などの点も詳細に指摘されている。
また、背景として「同族経営の弊害」「ジャニーズ Jr.に対するずさんな管理体制」」といったジャニーズ事務所側の問題点に加えて、「マスメディアの沈黙」「業界の問題」など、マスメディア側が報道を控えたことが被害の拡大を招いた可能性や、エンターテインメント業界自体の持つ問題点なども明記されていた。
事務所による記者会見
2023年9月7日木曜午後に、ジャニーズ事務所による記者会見が行われた。藤島ジュリー景子、東山紀之、井ノ原快彦の3名の事務所幹部と、顧問弁護士の木目田裕が登壇。
故・ジャニー喜多川による性加害問題につきまして、2023年8月29日、特別チームによる調査結果と提言が公表されましたが、ジャニーズ事務所といたしましても、私、藤島ジュリー景子個人といたしましても、ジャニー喜多川に、性加害はあったと認識しております。被害者の皆様に、心よりお詫び申し上げます。
と語り、低頭して謝罪した。
その後、「9月5日をもって藤島ジュリー景子は社長を辞任し、東山紀之が新社長となったこと」「それに伴い、東山紀之は年内にも表舞台から降りて社長業に専念すること」「被害者救済の方策を検討していくこと」「ジャニーズ事務所代表取締役副社長の白波瀬傑も辞任したこと」などを発表した。
- ニュースサイト「モデルプレス」による記者会見の回答全文文字起こし記事シリーズ(ただし記者の質問などは省略されている箇所がある):【ジャニーズ会見全文 Vol.1】、【Vol.2】、【Vol.3】、【Vol.4】、【Vol.5】、【Vol.6】、【Vol.7】、【Vol.8】
「ジャニーズ」解体・終焉へ
「ジャニーズ」の名前ひいては事務所その物の存続の是非が問われる中、2023年10月2日に東山、井ノ原らが記者会見で事務所を解体する旨を発表した。
- ジャニーズ事務所はタレント関連の事業から撤退して企業名を17日付で「SMILE-UP.」に変更する事が決定。改名後は被害者への補償に専念し、補償を終えた後は廃業する方針になっている。
- 新たなエージェント会社を設立し、所属していたタレントやグループは個別にエージェント契約を行い活動していく方式となるとの事。社名はファンからの公募により「STARTO ENTERTAINMENT」となった。当初は東山を社長、井ノ原を副社長にする予定であったが、実際にはスピーディ社長の福田淳が社長に就任した。藤島はこの会社には一切関与しない方針。
- 活動中のグループも含めてジャニーズの名前をすべて消すという東山の宣言に基づき、「関ジャニ∞」「ジャニーズWEST」等の"ジャニーズの名"を冠するグループはいずれも改名する予定。
関連動画
以下、「かつて所属していたタレント一覧」「解散したグループ一覧」「楽曲記事」は、ニコニコ大百科に記事がある場合のみ追加可能です。
「所属タレント」の追加は公式サイトにて特設ページがあるグループのみに限ります。
所属タレント
TOKIO | 城島茂 | 国分太一 | 松岡昌宏 |
嵐 | 大野智 | 櫻井翔 | 相葉雅紀 | 松本潤 |
NEWS | 小山慶一郎 | 増田貴久 | 加藤シゲアキ |
SUPER EIGHT | 横山裕 | 村上信五 | 丸山隆平 | 安田章大 | 大倉忠義 |
KAT-TUN | 亀梨和也 | 上田竜也 | 中丸雄一 |
Hey!Say!JUMP | 藪宏太 | 髙木雄也 | 伊野尾慧 | 八乙女光 | 有岡大貴 | 山田涼介 | 中島裕翔 | 知念侑李 |
Kis-My-Ft2 | 千賀健永 | 宮田俊哉 | 横尾渉 | 藤ヶ谷太輔 | 玉森裕太 | 二階堂高嗣 |
timelesz | 菊池風磨 | 佐藤勝利 | 松島聡 |
A.B.C-Z | 五関晃一 | 戸塚祥太 | 塚田僚一 | 橋本良亮 |
WEST. | 中間淳太 | 濱田崇裕 | 桐山照史 | 重岡大毅 | 神山智洋 | 藤井流星 | 小瀧望 |
ふぉ〜ゆ〜 | 越岡裕貴 | 松崎祐介 | 福田悠太 | 辰巳雄大 |
King & Prince | 永瀬廉 | 髙橋海人 |
SixTONES | ジェシー | 京本大我 | 松村北斗 | 髙地優吾 | 森本慎太郎 | 田中樹 |
Snow Man | 深澤辰哉 | 佐久間大介 | 渡辺翔太 | 宮舘涼太 | 岩本照 | 阿部亮平 | 向井康二 | 目黒蓮 | ラウール |
なにわ男子 | 藤原丈一郎 | 西畑大吾 | 大橋和也 | 高橋恭平 | 大西流星 | 道枝駿佑 | 長尾謙杜 |
Travis Japan | 川島如恵留 | 七五三掛龍也 | 吉澤閑也 | 中村海人 | 宮近海斗 | 松倉海斗 | 松田元太 |
Aぇ! group | 正門良規 | 末澤誠也 | 草間リチャード敬太 | 小島健 | 佐野晶哉 |
内海光司 | 佐藤アツヒロ | 岡本健一 | 木村拓哉 | 坂本昌行 | 長野博 | 井ノ原快彦 | 堂本光一 | 内博貴 | 岡本圭人 | 河合郁人 | 中山優馬 | 中島健人 | 長谷川純 | 林翔太 | 室龍太 | 高田翔 | 寺西拓人 | 原嘉孝 | 今江大地 | 松本幸大 | 冨岡健翔 | 野澤祐樹 |
かつて所属していたタレント一覧(50音順)
- 赤坂晃(光GENJI)
- 赤西仁(KAT-TUN)
- 生田斗真
- 稲垣吾郎(SMAP)
- 植草克秀 (少年隊)
- 大沢樹生(光GENJI)
- 風間俊介
- 香取慎吾(SMAP)
- 北山宏光(Kis-My-Ft2)
- 草彅剛(SMAP)
- 郷ひろみ
- 近藤真彦
- 斎藤恭央
- 佐藤寛之(光GENJI)
- 滝沢秀明(タッキー&翼)
- 田中聖(KAT-TUN)
- 田原俊彦
- 堂本剛(KinKi Kids)
- 中居正広 (SMAP → ソロ)
- 長瀬智也 (TOKIO)
- 錦戸亮 (関ジャニ∞)
- 錦織一清 (少年隊)
- 二宮和也(嵐)
- 野口隆史
- 野村義男(THE GOOD-BYE)
- 東山紀之(少年隊)
- 平野紫耀(King & Prince)
- マイコーりょう(ジャニーズJr.)
- 森内貴寛(NEWS)
- 森内寛樹
- 森且行(SMAP)
- 森本龍太郎 (Hey!Say!JUMP)
- 諸星和己(光GENJI)
- 薬丸裕英(シブがき隊)
- 山下智久(NEWS)
- 山本淳一(光GENJI)
- 山口達也(TOKIO)
解散したグループ
大百科にある楽曲記事
少年隊
光GENJI
SMAP
TOKIO
V6
嵐
関ジャニ∞
King & Prince
ソロ
その他・派生ユニット、グループなど
関連項目
関連リンク
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