成功者とは
才能と運だけを頼りに
休まず戦い続けるなんて
とうてい無理な話道は長く険しい
息をつくことだって必要で
失敗から学ぶことも
静かに力を蓄えることも大切だ経験と反省を糧にして
ここぞという時にうまくやれ
それが成功者となる秘訣だ
ゼンノエルシド(英:Zenno El Cid、香:禪宗勝者)とは、1997年生まれの日本の競走馬(外国産馬)。青鹿毛の牡馬。
マイルCSを勝ったことよりも、芝1600mの日本レコードホルダーだったことよりも、新馬戦の5本脚が有名な馬。
主な勝ち鞍
2001年:マイルチャンピオンシップ(GⅠ)、京成杯オータムハンデキャップ(GⅢ)
概要
父Caerleon、母*エンブラ、母父Dominionという血統のアイルランド産馬。
父カーリアンは1983年のフランスダービー馬。2度の英愛リーディングサイアーに輝いた欧州の名種牡馬だが、産駒は日本にも適応し、本馬のほかシンコウラブリイ、ビワハイジ、フサイチコンコルドなどを輩出した。
母は1985年のイギリス2歳G1チェヴァリーパークSの勝ち馬。ゼンノエルシドは第8仔。2000年から日本に輸入されたが、輸入時点で17歳という高齢もあってか、日本では流産や不受胎が続いて5年間で産駒は1頭しか産まれず、2004年に用途変更になっている。
母父ドミニオンはイギリス産馬で、1975年の英2000ギニー3着。現役終盤はアメリカで走り、フランスとアメリカのG3を勝つなど通算48戦14勝。種牡馬としては2度の英愛2歳リーディングに輝くなど早熟馬を出す種牡馬として活躍した。
1997年3月26日生まれ。オーナーはゼンノロブロイなど「ゼンノ」冠名を用いた大迫忍。
馬名の「エルシド」は11世紀後半のレコンキスタでバレンシアを征服した、カスティーリャ王国の英雄エル・シッド、もしくは彼を主人公にした1961年の映画『エル・シド』からか。
※本馬の現役期間は2001年の馬齢表記変更を挟みますが、本記事では現表記(満年齢)に統一します。
男を魅せろ
伝説の新馬戦
後にゼンノ軍団代表・ゼンノロブロイも所属することになる、美浦の名伯楽・藤沢和雄厩舎に預けられたゼンノエルシドは、1999年10月10日、東京・芝1800mの新馬戦でデビュー。単勝1.4倍という断然の支持に応え、ゲートを嫌がったりスタートで出遅れたりしながらも、豪快に差し切って1と3/4馬身差をつける快勝デビューを飾る。
……と、これだけなら普通の新馬戦だが、ゼンノエルシドの名前には必ず、この新馬戦が笑い話としてくっついてくる。何故かというと、このレース……
彼はパドックからずっと、股間に立派な5本目の脚をブラブラさせていたからである。
まあ、パドックでいわゆる馬っ気を出す馬というのは実際のところそう珍しくはない。馬っ気を出した馬は(レースに集中できていないということなので)馬券的には常識的に消しと言われるが、何なら彼のデビューの数年前に馬っ気を出しつつジャパンカップを勝った名馬もいる。それに比べたらゼンノエルシドは地上波中継のない新馬戦のこと、日曜午後のお茶の間にご立派なモノ♂を晒したわけでもないので、インパクトでは一枚落ちるかもしれない。
しかしそのピルサドスキーにしても、さすがにレース中には収まっていた。実際、ピルサドスキーのジャパンカップの写真を見ても、ゴールしたときの彼に5本目の脚は確認できない。
だが、ゼンノエルシドの新馬戦はレース中もゴールするまでずっとビンビン♂だった。
さすがにレース映像は見つからないが、レース中の写真がYouTubeに動画形式で投稿されており、彼が最終直線でも5本脚をブラブラさせていることがはっきりと確認できる。
はたして彼以前に、パドックからゴールまで馬っ気をずっと出しっぱなしでレースに勝った馬というのが存在するのかどうかについては記録がない(あってたまるか)のでわからない。が、少なくともほとんど類例のない事例であるのは間違いない。この話は競馬笑い話、"珍"レースとして競馬ファンの間で語り草となり、ゼンノエルシドはこの後の戦績よりこのエピソードが有名な馬となってしまった。
ちなみにこのとき騎乗した岡部幸雄騎手は、彼に対して「いいモノを持っている」とコメントしたそうな。
また、彼が馬っ気を出した相手はこのレース唯一の牝馬であった3着のマルターズスパーブと推定されているが、彼女は翌年のフラワーカップ(GⅢ)勝ち馬であり、秋華賞を最下位に終わったあとでアメリカに渡り、日本調教馬として初めてBCフィリー&メアターフに出走したという記録を持っている。
そしてこのレース以降、彼の出走するレースでは、ときたまパドックにこんな横断幕が飾られることとなった。
男を魅せろ!ゼンノエルシド
それはさておき雌伏の日々
馬っ気を出したまま勝ったということはそれだけの能力があったということで、続くいちょうS(OP)でも1.4倍の断然人気を集めたゼンノエルシドだったが、8頭立て6着に撃沈。そのうえこのあと脚部不安を発症してしまい、当時マル外ダービーであったNHKマイルカップにも縁なく終わってしまった。
明けて3歳となり、NHKマイルカップの翌週、新馬戦と同条件の夏木立賞(500万下)で復帰すると、ここは1.4倍の支持に応えて4馬身差で楽勝。それから夏の北海道に渡り、函館・芝2000mのSTV杯(900万下)はちょっと距離が長かったか5着に敗れたが、芝1800mの洞爺湖特別(900万下)は早め先頭で2馬身半差の快勝。
実力は既に条件馬レベルではなかったが、まだ脚元の不安が拭えず、このあとまた5ヶ月の休養。年末に中山・芝1800mのクリスマスカップ(1600万下)で復帰するも勝ち馬と同タイムの僅差3着に敗れ3歳を終える。
明けて4歳、東京新聞杯(GⅢ)で重賞初挑戦したが、先行するも沈んで8着。3ヶ月休んで自己条件に戻ったが、朱雀S(1600万下)2着、下鴨S(1600万下)4着と勝ちきれずにいるうちに1000万下に降級となってしまう。札幌に渡り、降級初戦の芝1500m、摩周湖特別(1000万下)を快勝して準OPに復帰した。
レコンキスタの英雄
続いて向かったのは京成杯オータムハンデキャップ(GⅢ)。53kgという軽めのハンデを貰ったこともあり、逃げ馬クリスザブレイヴと人気を分け合い、2.6倍の1番人気に支持されたゼンノエルシドは、ユーワファルコンが追い風に乗ってハイペースで飛ばすのを、クリスザブレイヴとともに追走。抜群の手応えで直線を向くと、横山典弘の追い出しに応えて上がり最速で一気に突き抜けて4馬身差の圧勝。
そして勝ち時計1:31.5は堂々の芝1600m日本レコードであった。このレコードが更新されるのは実に9年後、ダノンシャンティのNHKマイルカップでのことになる。
日本レコードで重賞初制覇を飾ったゼンノエルシドは、一躍秋の短距離戦線の注目株となり、続くスプリンターズS(GⅠ)ではなんと初の1200mにも関わらず2.8倍の1番人気に支持された。しかしやっぱり1200は短かったようで、高松宮記念馬トロットスターのレコード勝ちの後ろで12頭立て10着に撃沈。
気を取り直して本領のマイル戦に戻り、マイルチャンピオンシップ(GⅠ)に参戦。鞍上には初騎乗の名手オリビエ・ペリエを迎えることになったゼンノエルシドだったが、前走の大敗で評価を落とし、7.8倍の4番人気に留まった。
しかし逃げるクリスザブレイヴをインの2番手で追走したゼンノエルシドは、直線入口であっさりクリスザブレイヴを捕まえ先頭に踊り出る。そのまま力強く抜け出すと、猛然と追い込んできた同期エイシンプレストンの追撃を全く寄せ付けず、3/4馬身差で見事に押し切ってゴール板へと駆け込んだ。
大迫オーナーはこれが嬉しいGⅠ初制覇。そしてペリエはこのあと翌週のジャパンカップをジャングルポケットで、翌々週の阪神JFをタムロチェリーで勝利し、JRA史上初の3週連続GⅠ勝利を記録することになる。
物語のあと
夏まで条件馬の立場から、日本レコードホルダー、そしてGⅠ馬へと一気に駆け上がったゼンノエルシド。だが、彼の輝かしい全盛期は短かった。続く香港マイル(GⅠ)でも1番人気に支持されたが、このレース中の直線で脚を痛めてしまったらしく、ずるずると後退、エイシンプレストンの勝利のはるか後ろで最下位14着に大敗。
そして、以降の彼の戦績は見る影も無い。翌年は京王杯スプリングカップ(GⅡ)8着、安田記念(GⅠ)最下位18着、スワンS(GⅡ)16着。そしてマイルCS(GⅠ)を14着に敗れ、現役引退となった。通算18戦6勝 [6-1-1-10]。
引退後はアロースタッドで種牡馬入りし、2006年秋からはビッグレッドファームに移ったが、初年度産駒のマイネルシーガルが2007年の富士Sを勝ったぐらいで産駒は目立った結果が出ず、2008年夏から青森送りとなる。その後北海道に戻り、2013年限りで種牡馬引退。
その後は大迫オーナーの息子と縁があるらしい新冠町の村上欽哉牧場にて功労馬として過ごした。2024年9月1日、老衰のため死亡。27歳だった。
血統表
Caerleon 1980 鹿毛 |
Nijinsky II 1967 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Flaming Page | Bull Page | ||
Flaring Top | |||
Foreseer 1969 黒鹿毛 |
Round Table | Princequillo | |
Knights Daughter | |||
Regal Gleam | Hail to Reason | ||
Miz Carol | |||
*エンブラ 1983 黒鹿毛 FNo.16-g |
Dominion 1972 鹿毛 |
Derring-Do | Darius |
Sipsey Bridge | |||
Picture Palace | Princely Gift | ||
Palais Glide | |||
Kaftan 1975 栗毛 |
Kashmir | Tudor Melody | |
Queen of Speed | |||
Blessed Again | Ballymoss | ||
No Saint |
主な産駒
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