2000年クラシック世代とは、競馬において1997年に生まれ2000年にクラシック競走を走った(旧4歳、現3歳を迎えた)競走馬の世代である。
概要
国内
ハナ差7cmで三冠を逃した二冠馬エアシャカールと、河内洋に悲願のダービーを贈ったダービー馬アグネスフライトを代表とする世代。あるいは中央・地方・海外・芝・ダート・良馬場・重馬場と条件を問わず1600m~2000mのGIを6勝した「変態」「戦場を選ばぬ勇者」アグネスデジタル、同じく芝・ダート兼用GI馬イーグルカフェ、香港GIを3勝した「香港魔王」エイシンプレストン、ジャパンカップをGI史上最大着差で逃げ切ったタップダンスシチー、新馬戦での5本脚がGI勝ちより有名な2001年のマイルチャンピオンシップ優勝馬ゼンノエルシド、重賞6連勝で初代JBCスプリント王者に駆け上がったノボジャックら「マル外」の世代。
牝馬ではSS産駒のクラシック完全制覇を達成した桜花賞馬チアズグレイス、そのチアズグレイスと優駿牝馬で山内厩舎ワンツーを達成したオークス馬シルクプリマドンナ、10番人気で武幸四郎に初GIを贈った秋華賞馬ティコティコタックがいる。桜花賞では無傷の4連勝でチアズグレイス、シルクプリマドンナ、エアトゥーレといった有力馬を横綱相撲で完封してきたサイコーキララが人気を集めていた。
芝路線では他に、マイルのダイタクリーヴァ、中距離のトーホウシデン、長距離のエリモブライアンらが活躍した。2001年の京都記念ではベガの全弟マックロウがアグネスフライトとナリタトップロードを破る大金星で注目を集めた。
ダートでは前述のアグネスデジタル、イーグルカフェ、ノボジャックらの他、二代目JBCスプリント王者スターリングローズ、ダートの名牝ロジータの子でハイペース大逃げを武器に帝王賞や川崎記念を制したカネツフルーヴ、ロジータの孫でJBCクラシックなど交流GI3勝のレギュラーメンバー、牡馬相手にダートの混合重賞を3勝した女傑プリエミネンスらがいる。条件馬ではあるが、後に蹄葉炎から生還して現役復帰を果たすアグネスデキシイ[1]のプラタナス賞
は伝説となっている。
地方では、レジェンドハンター、ミツアキサイレンス、ブラウンシャトレーら東海勢が充実していた。高知競馬ではオオギリセイコーが史上2頭目の高知三冠馬となった。大井の牝馬アインアインは2002年のNARグランプリ最優秀短距離馬に輝いている。他、アングロアラブに、デビューから無傷の12連勝を記録して2000年のNARグランプリ最優秀アラブ系4歳馬に輝いた荒尾のコウザンハヤヒデがいる。
障害競走では、ゴーカイの弟ユウフヨウホウが最低人気で中山大障害に大穴を開け2着ゴーカイとGI級兄弟ワンツーを達成、ギルデッドエージがその翌年の中山大障害でロシェル・ロケット騎手に女性騎手JRA重賞初制覇を贈り、ブランディスは中山大障害と中山グランドジャンプを連勝してサンデーレーシングの中央GI初制覇を果たした。
繁殖牝馬としては、オルフェーヴルとドリームジャーニーを産んだオリエンタルアート、自身も重賞勝ちにモーリス・ド・ゲスト賞2着の実績を持ち皐月賞馬キャプテントゥーレなど重賞馬4頭の母となったエアトゥーレがいる。
上記以外で特筆性のある馬としては、皐月賞のアクシデントのあと一部観客の悪意に翻弄されたラガーレグルス、JRA重賞を勝った20世紀最後のサラブレッド系種マイネルビンテージ、種牡馬としてスウェーデンに輸出されスウェーデン2000ギニー馬を出したエイシンダンカーク、ゼンノエルシドのセクハラ被害馬で日本調教馬として初めてアメリカのダート競走に勝利しブリーダーズカップフィリー&メアターフにも出走したマルターズスパーブ、日本調教馬初の凱旋門賞馬(勝ってない)シルヴァコクピット[2]、しゃべる馬アグネススペシャル、アブトロニックで腹筋崩壊のキングザファクトなどがいる。
この世代は香港GI4勝やらモーリス・ド・ギース賞2着やら日本競馬史上初となる北米ダート競走勝利など国際的に活躍した一方で国内の芝王道路線では苦戦が続いた。しかし6歳秋以降にはGI2勝のタップダンスシチーを筆頭にアクティブバイオやウインブレイズなどもGIで掲示板に飛び込みユキノサンロイヤルが8歳で日経賞を勝つなど年齢の割には意外な活躍も示した。
海外
欧州では、史上初めて英ダービー・愛ダービー・凱旋門賞の3競走に優勝したシンダー、英ダービーでシンダーの2着に敗れたものの翌年に凱旋門賞を6馬身という史上最大着差で圧勝したサキー、英愛セントレジャー・アスコット金杯・メルボルンカップなど長距離路線から路線変更して凱旋門賞を勝ったマリエンバード、と凱旋門賞を3連覇している。
マイル~中距離路線では2000年に7ヶ月で10レースに出走しGI5連勝を記録した鉄の馬ジャイアンツコーズウェイが活躍した。
また、フランス牝馬のレベルが特に高かった世代としても知られ、サンタラリ賞を勝ったレーヴドスカー、仏オークスを勝ったエジプトバンド、ヴェルメイユ賞を勝ったヴォルヴォレッタがフランス牝馬3強を形成し、エジプトバンドとヴォルヴォレッタは2000年の凱旋門賞で2着・3着となり、レーヴドスカーは日本に輸入されて繁殖牝馬として成功した。
その他には、デビューから無傷の6連勝で独ダービーとバーデン大賞を制したドイツのザムム、ドイツ・イタリア・カナダ・日本・シンガポール・イギリス・アメリカ・香港・ドバイ・フランス・オーストラリアの11カ国で24のGI競走に出走してGI3勝を挙げた国際派パオリニなどがいる。
北米では、BCクラシックを連覇したティズナウが代表。また、日本人馬主・関口房朗氏所有のフサイチペガサスがケンタッキーダービーを勝ったことは話題になった。牝馬には、スーパー牝馬フランダースの娘で2000年エクリプス賞3歳牝馬に輝いたサーフサイドがいる。ドバイワールドカップでトゥザヴィクトリーを破ったキャプテンスティーヴもこの世代。
南米には、ジャパンカップダートにも参戦した史上初のチリ・ダート三冠馬リドパレスがいる。
オセアニアでは、サンライン、ノーザリー、ロンロ、マカイビーディーヴァといった各世代のトップホースたちと戦い続け最高齢記録となる9歳でコックスプレートを制した騸馬のフィールズオブオマーが代表と言えるだろう。
主要競走勝利馬
中央
地方
海外
その他の平地主要競走(芝)
| 競走名 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
クイーンエリザベス2世カップ(女皇盃) (Queen Elizabeth II Cup) |
エイシンプレストン | エイシンプレストン | |||||
ガネー賞 |
Execute | ||||||
シンガポール航空インターナショナルカップ |
非開催 | ||||||
タタソールズゴールドカップ |
|||||||
コロネーションカップ |
|||||||
プリンスオブウェールズステークス |
|||||||
アスコット・ゴールドカップ |
|||||||
サンクルー大賞 |
Mirio | ||||||
エクリプスステークス |
Giant's Causeway | Medicean | |||||
キングジョージVI世&クイーンエリザベスステークス |
|||||||
アーリントンミリオンステークス |
Beat Hollow | ||||||
インターナショナルステークス |
Giant's Causeway | Sakhee | |||||
バーデン大賞 |
Samum | Marienbard | |||||
アイリッシュチャンピオンステークス |
Giant's Causeway | ||||||
マンノウォーステークス |
|||||||
アイリッシュセントレジャー |
|||||||
ターフクラシック招待ステークス |
|||||||
カドラン賞 |
Give Notice | ||||||
凱旋門賞 |
Sinndar | Sakhee | Marienbard | ||||
チャンピオンステークス |
|||||||
カナディアンインターナショナルステークス |
|||||||
ジョッキークラブ大賞 |
Kutub | Ekraar | |||||
コーフィールドカップ |
|||||||
ロワイヤルオーク賞 |
|||||||
コックスプレート |
Fields Of Omagh | Fields Of Omagh | |||||
メルボルンカップ |
Ethereal | ||||||
ブリーダーズカップターフ |
|||||||
香港カップ(香港盃) (Hong Kong Cup) |
アグネスデジタル | ||||||
香港ヴァーズ |
その他の平地主要競走(ダート)
| 競走名 | ||||
|---|---|---|---|---|
ドンハンデキャップ |
Captain Steve | |||
ガルフストリームパークハンデキャップ |
Hal's Hope | |||
サンタアニタハンデキャップ |
Tiznow | Milwaukee Brew | Milwaukee Brew | |
ドバイワールドカップ |
Captain Steve | |||
ピムリコスペシャルハンデキャップ |
Include | 非開催 | ||
ハリウッドゴールドカップ |
Aptitude | |||
ホイットニーステークス |
Lido Palace | Left Bank | ||
パシフィッククラシックステークス |
Skimming | Skimming | ||
ウッドワードステークス |
Lido Palace | Lido Palace | ||
ジョッキークラブゴールドカップ |
Albert the Great | Aptitude | ||
ブリーダーズカップクラシック |
Tiznow | Tiznow |
年度表彰馬
JRA賞
| JRA賞 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 表彰部門 | (現2歳/旧3歳) |
(現3歳/旧4歳) |
(4歳) |
2002年 (5歳) |
2003年 (6歳) |
2004年 (7歳) |
| 最優秀3歳牡馬(~2000) 最優秀2歳牡馬(2001~) |
エイシンプレストン | 3歳限定部門 | ||||
| 最優秀3歳牝馬(~2000) 最優秀2歳牝馬(2001~) |
ヤマカツスズラン | 3歳限定部門 | ||||
| 最優秀4歳牡馬(~2000) 最優秀3歳牡馬(2001~) |
エアシャカール | 3歳限定部門 | ||||
| 最優秀4歳牝馬(~2000) 最優秀3歳牝馬(2001~) |
チアズグレイス | 3歳限定部門 | ||||
| 最優秀5歳以上牡馬(~2000) 最優秀4歳以上牡馬(2001~) |
4歳以上限定部門 | アグネスデジタル | ||||
| 最優秀5歳以上牝馬(~2000) 最優秀4歳以上牝馬(2001~) |
4歳以上限定部門 | |||||
| 最優秀父内国産馬 | ||||||
| 最優秀短距離馬 | ||||||
| 最優秀ダートホース | ||||||
| 最優秀障害馬 | ギルデッドエージ | ブランディス | ||||
| 年度代表馬 | ||||||
NARグランプリ
| NARグランプリ | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 表彰部門 | (現2歳/3歳) |
(現3歳/旧4歳) |
(4歳) |
2002年 (5歳) |
2003年 (6歳) |
| サラ系3歳最優秀馬(~2000) サラ系2歳最優秀馬(2001~) |
レジェンドハンター | 3歳限定部門 | |||
| アラ系3歳最優秀馬(~2000) アラ系2歳最優秀馬(2001~) |
3歳限定部門 | ||||
| サラ系4歳最優秀馬(~2000) サラ系3歳最優秀馬(2001~) |
3歳限定部門 | ||||
| アラ系4歳最優秀馬(~2000) アラ系3歳最優秀馬(2001~) |
3歳限定部門 | ||||
| サラ系5歳以上最優秀馬(~2000) サラ系4歳以上最優秀馬(2001~) |
4歳以上限定部門 | ||||
| アラ系5歳以上最優秀馬(~2000) アラ系4歳以上最優秀馬(2001~) |
4歳以上限定部門 | 2003年廃止 | |||
| アラ系最優秀馬 | 2003年新設 | ||||
| 最優秀牝馬 | |||||
| 最優秀短距離馬 | アインアイン | ||||
| 年度代表馬 | |||||
| ばんえい最優秀馬 | |||||
著名馬
国内
- アクティブバイオ
アグネススペシャル
- アグネスデキシイ
アグネスデジタル
アグネスフライト
アドマイヤボス
イーグルカフェ
エアシャカール
- エアトゥーレ - モーリスドゲスト賞2着、キャプテントゥーレら重勝馬4頭の母
エイシンプレストン
- エリモブライアン
- オオギリセイコー - 高知三冠馬
オリエンタルアート
カネツフルーヴ
ギルデッドエージ
- コウザンハヤヒデ - 旧4歳時に6戦6勝レコード5回で最優秀4歳アラ系に輝く
- サイコーキララ
シルヴァコクピット
シルクプリマドンナ
スターリングローズ
ゼンノエルシド
ダイタクリーヴァ
タップダンスシチー
チアズグレイス
ティコティコタック
- トーホウシデン
トーホウドリーム
ノボジャック
- ハッコーディオス - 通算31勝を挙げるなど園田のアラブ競馬史晩年を彩った芦毛の名馬
- フサイチゼノン
- フサイチソニック
ブランディス
- プリエミネンス
- マイネルビンテージ - JRA重賞を勝ったサラブレッド系種
- マルターズスパーブ
- ミツアキサイレンス - 佐賀記念連覇など重賞を10勝した笠松の強豪
ヤマカツスズラン
ユウフヨウホウ
ラガーレグルス
レギュラーメンバー
レジェンドハンター
海外
- ヴォルヴォレッタ(仏)
- エジプトバンド(仏)
キャプテンスティーヴ(米)- サキー(英)
- ザムム(独)
ジャイアンツコーズウェイ(愛)- シンダー(愛)
スウェプトオーヴァーボード(米)
ティズナウ(米)- パオリニ(独)
フサイチペガサス(米)- ペトルーシュカ(英)
マリエンバード(英)- リドパレス(智) - 南北アメリカでGI7勝を挙げたチリのダート三冠馬
- レーヴドスカー(仏)
関連リンク
関連項目
| 前世代 | 当記事 | 後世代 |
|---|---|---|
| 1999年クラシック世代 | 2000年クラシック世代 | 2001年クラシック世代 |
競走馬の世代一覧
| クラシック世代別 | ||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1930年代 | 1923 | ・・・・ | 1932 | 1933 | 1934 | 1935 | 1936 | 1937 | 1938 | 1939 |
| 1940年代 | 1940 | 1941 | 1942 | 1943 | 1944 | 1945 | 1946 | 1947 | 1948 | 1949 |
| 1950年代 | 1950 | 1951 | 1952 | 1953 | 1954 | 1955 | 1956 | 1957 | 1958 | 1959 |
| 1960年代 | 1960 | 1961 | 1962 | 1963 | 1964 | 1965 | 1966 | 1967 | 1968 | 1969 |
| 1970年代 | 1970 | 1971 | 1972 | 1973 | 1974 | 1975 | 1976 | 1977 | 1978 | 1979 |
| 1980年代 | 1980 | 1981 | 1982 | 1983 | 1984 | 1985 | 1986 | 1987 | 1988 | 1989 |
| 1990年代 | 1990 | 1991 | 1992 | 1993 | 1994 | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 |
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関連項目
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