ブレイディヴェーグ(Brede Weg)とは、2020年生まれの日本の競走馬である。鹿毛の牝馬。
通算成績6戦4勝[4-2-0-0]
主な勝ち鞍
2023年:エリザベス女王杯(GⅠ)
2024年:府中牝馬ステークス(GⅡ)
生産者はノーザンファーム、所有者はサンデーレーシング。管理調教師は宮田敬介(美浦)。
栄光への道
父ロードカナロア、母インナーアージ、母父ディープインパクトという血統。
父は史上最強スプリンターの呼び声も高いGⅠ6勝の名馬で、種牡馬としてもGⅠ9勝アーモンドアイなど多彩な活躍馬を送り出しキングカメハメハの後継争いをリードしている。
母は芝中距離で4勝を挙げた馬で、全妹に二冠牝馬ミッキークイーンを持つ。母父の説明は割愛。
2歳~3歳(2022年~2023年)
デビュー戦は2歳8月の新潟芝1800m。福永祐一を鞍上に迎え、血統や調教内容から単勝2.2倍の1番人気に支持される。しかしゲートでダッシュがつかず中団後方から外を押し上げる強引な競馬を余儀なくされてしまう。それでも直線は大外から上がり3ハロン32秒3という凄まじい末脚を繰り出したが、自身の一列前から上がり32秒5を記録したロードプレイヤーとの叩き合いに競り負けアタマ差の2着。3着には5馬身差をつけて力の差を見せただけに悔しすぎる惜敗となってしまう。
さらに不運は重なり、レース後に左前脚第一指の剥離骨折が発覚し手術を受ける緊急事態。全治3~6ヶ月の診断を受け、年内全休が事実上確定してしまった。
不幸中の幸いで比較的治りは早く11月に運動を再開でき、復帰戦は明けて3歳2月の東京競馬場。クリストフ・ルメールを新たに迎え、牝馬限定の未勝利戦(芝1800m)に出走する。単勝1.2倍の断然人気に応えるように、外目の3番手から直線で軽く追い出されるだけで楽々と抜け出し、ステッキ一発でぶっちぎり最後は流して余裕の6馬身差。積雪後で稍重発表ながら上がり33秒3を叩き出す別格のパフォーマンスで初勝利を挙げる。
しかし喜びも束の間、レース翌日に今度は右前脚に新たな剥離骨折を発症し、またも全治3ヶ月の診断。再び手術を受け、牝馬クラシックへの挑戦権すら獲得できずに終わる。
回復は想定より早かったのか、6月の東京開催に復帰が間に合い、開催最終日の1勝クラス戦(芝2000m)に出走。クリストフ・ルメールは同日の宝塚記念に騎乗のため、戸崎圭太に乗り替わる。古馬とは初対決となったが本馬が単勝1.4倍の断然人気。レースはまたもやや出遅れたが持ち直して中団につけ、直線は軽く促されるだけで先頭に立ちノーステッキで後続をちぎり捨て、最後は鞍上の戸崎が後ろを見て流す余裕綽々の競馬で3馬身半差をつける完勝。勝ちタイム1分57秒9、上がり最速33秒6と時計も非常に良く、改めてそのポテンシャルを遺憾なく発揮した。
陣営は秋華賞を目標に定め、ステップレースには広いコースを求めて関西遠征してのローズS(GⅡ)を選択。賞金的なハードルはあったが最終的な出走登録が17頭でフルゲート割れしたため抽選を受けることなく出走できた。
クリストフ・ルメールに手が戻り、実績馬もそれほど多くなかったため前走までのパフォーマンスが評価された本馬が単勝2.1倍の1番人気。しかしゲートでまたしても出遅れて後方4,5番手の競馬になり、しかも3コーナーで外から被せられて大外にも持ち出せなくなり進路が見つからないまま直線を向いてしまう。それでも馬の間をすり抜けるようにどうにか押し上げ、残り1ハロンでようやく空いた進路から上がり32秒9という鬼脚で追い込んだが、大外から一足先に突き抜けていた7番人気マスクトディーヴァに全く届かず1馬身半差の2着に敗れた。勝ちタイムはコースレコードをコンマ9秒更新…どころか芝1800mの世界レコードを32年ぶりにコンマ4秒更新する1分43秒0の猛時計。コンマ2秒差の本馬もレコードタイムを超える激走を見せたが、スタートの失敗が明暗を分けた。
敗れたものの強い競馬をしたのは間違いなく、これで秋華賞の有力候補に浮上したと思われたが、レース後に歩様の乱れと疲労が見られ、陣営は両脚の骨折歴があることも考慮し、秋華賞を回避してエリザベス女王杯に向かうと発表。結局牝馬三冠競走には出走できずに終わってしまった。
そして新たな目標となったエリザベス女王杯(GⅠ)。三冠牝馬となったリバティアイランドはジャパンカップに向かっており不在のため、出走馬は三冠すべてで善戦したハーパー、前年覇者のジェラルディーナと2着のライラック、府中牝馬Sでワンツーだったディヴィーナとルージュエヴァイユなど、多士済々ながらやや混戦模様。その中で前走までの内容が評価された本馬が重賞未勝利ながら単勝1番人気となった。
最内1枠1番から出走。ゲートはやはりそれほど早くなかったが今度は比較的二の脚がつき、最内も利して押し上げ、ハーパーをマークする5番手の絶好位を確保する。1000m61秒1で逃げ馬2頭から馬群が離れる展開だったがじっくり構え、ハーパーを完全にロックオンしながら4角を通過。ここで鞍上のルメールが追い始め、直線外に振ったハーパーを横目に馬場の真ん中で一気に加速。残り200mでトップスピードに入ると逃げ粘るアートハウスを一瞬のうちに斬り捨てて先頭に立ち、外から追いすがるハーパー、そして自身をマークして最内から伸びてきたルージュエヴァイユも3/4馬身差振り切ってゴールイン。初重賞タイトルがGⅠとなった。
キャリア5戦でのエリザベス女王杯勝利は、古馬混合戦となった1996年以降では2002年の勝ち馬ファインモーションの6戦を21年ぶりに更新する最短記録。開業4年目の宮田敬介調教師はJRA・GⅠ初勝利。そして鞍上のクリストフ・ルメールは菊花賞、天皇賞(秋)に続くJRA・GⅠ3連勝となった。
この後は出走せず休養に入り3歳を終えた。
4歳(2024年)
4歳初戦は当初ドバイターフへの出走を目指したが、帰厩直後に右後肢の飛節内腫を発症。万全の状態で臨めないとしてドバイ遠征は回避となった。
そのまま春は全休となってしまい、夏を挟んで9月頭の新潟記念で復帰の予定だったが、今度はトモに軽度の筋肉痛が出てここも回避。
結局、復帰戦は10月の府中牝馬ステークス(GⅡ)。鞍上は引き続きルメールとなったが、11ヶ月ぶりのレースでトップハンデ57kg、宮田師のコメントも「ようやく75~80点くらい」「まずは無事に走って次に」というぐらいのトーンだったため、1番人気はローズSで敗れたマスクトディーヴァに譲り、3.6倍の2番人気となった。
しかしレースは中団後方から進め、直線で外に出して残り400mでルメールが気合いをつけると一気に加速。あっという間に前を呑み込み、インから先に抜け出したマスクトディーヴァを薙ぎ払い、外から追いかけてきた10番人気シンティレーションも全く寄せ付けず1と1/4馬身差をつけて完勝。長期休養も斤量もなんのその、力の差を見せつけるような勝利だった。
次走は連覇の懸かるエリザベス女王杯には向かわず、距離短縮でマイルチャンピオンシップ(GⅠ)へ進む事になった。エリ女本番はルメールがレガレイラに乗る事による鞍上重複の回避に加え、レース後の疲労や今後の進路選択を考慮したルートを選択。1番人気に支持されたものの初のマイルでリズムが違ったか反応が遅く、初めて連対を外しソウルラッシュの4着。
5歳(2025年)
5歳初戦はドバイターフの前哨戦として選んだ東京新聞杯(GⅢ)。2度目のマイルでここも1番人気に支持されたが、休み明けで馬体重が14kg増加していたことも響いたか、脚を伸ばしたものの16番人気で逃げた3着メイショウチタンからもクビ差の4着。
続いてドバイターフ(GⅠ)に出走。好位追走も直線で末脚が不発に終わり、ソウルラッシュが勝利する中で7着。
血統表
| ロードカナロア 2008 鹿毛 |
キングカメハメハ 2001 鹿毛 |
Kingmambo | Mr. Prospector |
| Miesque | |||
| *マンファス Manfath |
*ラストタイクーン | ||
| Pilot Bird | |||
| レディブラッサム 1996 鹿毛 |
Storm Cat | Storm Bird | |
| Terlingua | |||
| *サラトガデュー Saratoga Dew |
Cormorant | ||
| Super Luna | |||
| インナーアージ 2010 鹿毛 FNo.2-s |
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
| Wishing Well | |||
| *ウインドインハーヘア | Alzao | ||
| Burghclere | |||
| *ミュージカルウェイ 2002 栗毛 |
Gold Away | Goldneyev | |
| Blushing Away | |||
| Mulika | Procida | ||
| Gazelia |
クロス:Mr. Prospector 4×5(9.38%)、Nureyev 5×5(6.25%)
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