ルガル(Lugal)とは、2020年生まれの日本の競走馬である。青鹿毛の牡馬。
主な勝ち鞍
2023年:橘ステークス(L)
2024年:スプリンターズステークス(GⅠ)、シルクロードステークス(GⅢ)
概要
父ドゥラメンテ、母*アタブ、母父New Approachという血統。
父は社台の結晶というべき超良血馬で春のクラシックの二冠馬。種牡馬入り後9歳の若さで早世してしまったが、タイトルホルダーやリバティアイランドなどの活躍馬を送り出し2023年にはリーディングサイアーに輝いている。
母はアイルランド産で、イギリスで4戦1勝。祖母がフランス二冠牝馬East of the Moon、さらにその母が当時の欧州記録を更新するGⅠ10勝を挙げたMiesqueという名牝の一族である。ちなみにドゥラメンテの父父KingmamboはEast of the Moonの半兄であり、本馬はMiesque4×4という牝馬クロスを持っている。母の父はヨーロッパでダービーステークスなどG1・5勝を挙げた名馬。種牡馬としてもDawn Approachなどの活躍馬を送り出している。
2020年3月7日に北海道浦河町の三嶋牧場にて誕生。馬主は江馬由将、デアリングタクトやジャスティンパレスを管理した栗東の杉山晴紀調教師の管理馬。
馬名の由来は、シュメール語で「王」。母名が古代メソポタミアの王アタブであり、そこからの連想と思われる。
𒈗~不屈の王様~
2歳(2022年)
11月22日の阪神競馬場の2歳新馬戦(ダ1800m)を松山弘平を背にデビューするも直線早々に後退し最下位9着に敗れてしまう。翌月の阪神競馬場の2歳未勝利戦(ダ1400m)では距離短縮が効き、直線逃げ粘って2着と好走した。
3歳(2023年)
年が明け1月8日の中京3歳未勝利戦(ダ1400m)は4着として、中2週で出走した21日の中京3歳未勝利はダ1200mへの短縮がプラスに出たか悠々逃げ切り初勝利。暫く休んで4月29日の京都3歳1勝クラス(芝1400m)に出走。初芝ながらも2着と好走した。
5月7日の橘ステークスでは角田大河を背に2番人気で出走。2番手の追走から直線であっという間に差を広げ、5馬身差の圧勝。続いて葵ステークスに2番人気で出走。好位から内を通って前に迫るも、フライング染みた好発馬から逃げたモズメイメイを捕らえられずに2着に敗れた。
とはいえ賞金は加算しOPに昇級。その後は一休みして朱鷺ステークスで1番人気に支持されるが末が甘く3着。ちなみにこのレースで勝利したのが翌年ヴィクトリアマイルで大穴を開けるテンハッピーローズだった。
スワンステークスでは出遅れが大きく響き、巻き返したが4着まで。ジャパンカップと同日に行われた京阪杯はその後主戦になる西村淳也を背に1番人気の支持を受けたが発馬で滑ってしまい、5番手から伸びはしたが直線突き抜けて連覇したトウシンマカオの2馬身差2着に敗れた。西村はインタビューで敗因とこれからの期待を語っていた。
4歳(2024年)
1月のシルクロードステークスでは1番人気の支持を受けて出走。前走とは違い好発馬を決めて2番手を追走。直線では1頭早々と抜け出すと2着のアグリの3馬身差を付ける圧勝で重賞初制覇を果たした。西村は「見ての通り強かったですね。終始手応えは良かった。ゲートだけが難しい馬だけど、ゲートもクリアしてくれて言うことがないです」と圧勝ぶりを褒めたたえた。
その後は高松宮記念に1番人気で出走、先団に取り付く競馬をするも10着とデビューからの最低着順に終わる。更に左橈側手根骨々折、左第3手根骨々折が判明して全治半年以上と診断され、春は全休となってしまった。
幸いなことに比較的回復が早く、ぶっつけ本番ではあったがスプリンターズステークスに出走。ここには春のスプリント王マッドクール、前年の覇者ママコチャ、善戦ウーマンのナムラクレア、実績を積み重ねたトウシンマカオ、更に香港からは高松宮記念3着のビクターザウィナーとムゲンといった実力馬が参戦していた。ルガルは故障明け初戦ということもあり9番人気という低評価に留まった。
レースは好発馬を決めて3番手を追走。ピューロマジックが飛ばして前半3ハロン32秒0という超ハイペースを作ったが、一方で馬群が縦長になり後方待機馬はやや緩い流れに嵌まるという展開となった。ルガルと鞍上の西村はポジションを保ち、3番手から2番手に並びかけながら4コーナーを通過、残り50mほどで前にいたピューロマジックらを交わして先頭に立ち、最内を突いたトウシンマカオと外から強襲するナムラクレアをクビ差振り切ってゴール板を通過。怪我を乗り越え、高松宮記念10着から逆襲のGⅠ初制覇を果たした。
鞍上の西村淳也は7年目でGⅠ初制覇。ゴールの瞬間から男泣きし、インタビューでは何度も言葉を詰まらせながら「レースのことは何も覚えていない。女手一つで育ててくれた母親や支えてくれたたくさんの方に感謝したい」と語った。2024年に入ってからやや元気がなかったドゥラメンテ産駒は同年のGⅠ初制覇。産駒から初のスプリントGⅠ馬誕生となり、改めて産駒の能力の高さを示した。
なお従来ならSNSにレースの勝ち馬がトレンドに入るのだが、ルガルは馬名が3文字なので仕様上トレンドに名を残せない、という珍しい現象が起きた。西村騎手はちゃんとトレンド入りしております。
なお、中26週でのGI勝利というのはかなり長いほうである(参考資料)。
順位 | 馬名 | 前走 | 休養明け勝利レース | 間隔 |
---|---|---|---|---|
1 | トウカイテイオー | 1992年有馬記念(11着) | 1993年有馬記念 | 中51週 |
2 | ニホンピロバロン | 2018年中山グランドジャンプ(3着) | 2018年中山大障害 | 中35週 |
3 | トゥザヴィクトリー | 2001年ドバイワールドカップ(2着) | 2001年エリザベス女王杯 | 中32週 |
4 | ダノンキングリー | 2020年天皇賞(秋)(12着) | 2021年安田記念 | 中30週 |
5 | サクラスターオー | 1987年皐月賞(1着) | 1987年菊花賞 | 中28週 |
6 | トランセンド | 2011年ドバイワールドカップ(2着) | 2011年マイルCS南部杯[1] | 中27週 |
7 | ルガル | 2024年高松宮記念(10着) | 2024年スプリンターズS | 中26週 |
8 | モーリス | 2015年安田記念(1着) | 2015年マイルCS | 中23週 |
9 | ファビラスラフイン | 1996年NHKマイルカップ(14着) | 1996年秋華賞 | 中22週 |
この後は香港スプリントへの招待を受諾、初の海外遠征に挑む。春シーズンのチェアマンズスプリントプライズではマッドクールが奮わずシャティン競馬場で苦戦している日本馬だが、今年は前哨戦のジョッキークラブスプリントをレコードで楽勝したKa Ying Risingらが立ちはだかる。暮れの短距離本番で巻き返しなるか。
血統表
ドゥラメンテ 2012 鹿毛 |
キングカメハメハ 2001 鹿毛 |
Kingmambo | Mr. Prospector |
Miesque | |||
*マンファス | *ラストタイクーン | ||
Pilot Bird | |||
アドマイヤグルーヴ 2000 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo | |
Wishing Well | |||
エアグルーヴ | *トニービン | ||
ダイナカール | |||
*アタブ 2012 鹿毛 FNo.20 |
New Approach 2005 栗毛 |
Galileo | Sadler's Wells |
Urban Sea | |||
Park Express | Ahonoora | ||
Matcher | |||
Moon's Whisper 1999 黒鹿毛 |
Storm Cat | Storm Bird | |
Terlingua | |||
East of the Moon | Private Account | ||
Miesque |
クロス: Miesque 4×4(12.50%)、Northern Dancer 5×5(6.25%)
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関連項目
脚注
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