公共交通機関とは、個人所有物ではない乗り物と定義されるものである。
概要
一般的には、誰もが運賃を払えば乗車できる公共の乗り物を指す。
それらの離発着する駅、バス停、空港、港や付随する施設も多々あり、多くの人が行きかう。駅や路線は共有していても貨物列車などは公共交通機関には含まれない。
海外においては側面から屋根まで定員オーバーどころではない人数が乗っていることもある。
公共交通機関が無かったら
よく「公共交通機関をご利用ください」とあるが、つまり自家用車や自転車などの個人所有物で来るな、ということである。
たとえば国際展示場や大田区産業プラザなどに個人の車や自転車などで来訪すると、駐車場や駐輪場がそれほど整備されてないために路駐などの青空駐車で交通渋滞を引き起こすことになってしまう。
基本的に都市部の施設は広大な駐車場面積を確保しづらいため、公共交通機関での来訪が基本である。厳密には近隣に有料の駐車場がある場合も多いのだが、割高であることも多い。近年はスマホひとつで乗り換え時刻まですべて表示してくれるので便利だが、充電切れには要注意。
欠点
- 目的地によって乗り換えの手間もある。(→乗り換え)
- 駅や停留所しか止まれないため目的地まで中途半端な距離で乗る/降りる羽目になることも。
- 災害や事故・道路状況・悪天候といったトラブルによって遅延しやすい。
- 不特定多数の人間が乗車する。
- 騒音・開かずの踏切など沿線地域への影響がある。
- バスを除き、容易に路線や設備を増やせない。(線路・架線などが必要)
- 田舎や過疎地においては本数が少なく、乗り遅れると長時間の待ち時間が発生してしまう。用件によっては致命的な遅れとなる。
- 利用客が少なければ路線廃止される場合もある。
- 都心部では満員電車などの問題は解決されておらず、痴漢や痴漢冤罪などの被害もある。
- 小さな駅などはバリアフリーが行き届いておらず、近隣の有人駅から係員を呼ぶ必要もある。
- 一部の悪質なファンによって運行や他の利用客・沿線住民が被害を受ける場合もある。
- 鉄道など、長大な架線の点検・メンテナンスが必要。
- たまに時刻表などが改正されるため、日常で気付かないと混乱する。
歴史
この当時、馬車は非常に高価なものであり、貴族や王などしか利用できなかった。賃貸式の馬車もあったが、非常に高額であるために平民には手の届かないものだった。
1622年、哲学者であり思想家でもあり数学者などでもある「人間は考える葦である」との名言を残したブレーズ・パスカルが、乗合馬車を提案した。誰もが「5ソル」を支払えば利用できる馬車である。
これが公共交通機関の始まりとされる。
ただしこの馬車、営業許可時の条件により、「兵士、近習、召使い、その他の労働者」の利用は禁止となっていたため、成功したのは初期だけで、利用条件の煩わしさから利用客が減り、1677年には廃止されてしまう。
再び乗合馬車が復活するのは、150年後の1828年まで待たなければならなかった。
一時衰退
日本では公共交通機関はその利便性から広く一般的に利用されるが、1960年代頃から利用率が低下する。この頃から世界各地、特に先進国で自家用車を持つ個人が増大したためであり、日本は特に顕著だった。自家用車があれば、当然公共交通機関は利用しなくなる。
のち、1990年代までに倒産や解散した公共交通機関の会社は増え続けた。
復活
1990年代後半に入り、バブルがはじけたことで自家用車を手放す人々が増え、また駐車場や路上駐車に対しての法整備が強化されていき、公共交通機関が見直されはじめた。
しかし、再び受難の時代が訪れた。2020年からのコロナ禍を機にテレワークが普及し、通勤・出張需要が蒸発。行楽需要も感染対策に有利な自家用車へ流出した。特に首都圏では2021年以降も旅客減少に歯止めがかかっておらず、内部補填どころかドル箱路線が更なる損失を生む悪循環に陥っている。加えて人口減少と無料高速(新直轄方式)の拡充、労働力不足の三重苦で各社の経営は行き詰まり、再び存廃の岐路に立たされている。一方で地方都市では比較的早く客足が戻ったため一度は収まっていた「痛勤」問題が再燃しており、老朽化した設備の更新が課題となっている。
現在
現在、バスにおける高度道路交通システムの強化やGPSによる渋滞予測、鉄道サービスの充実化、旅客システムの全面バリアフリー化計画(注・PDF)、など公共交通機関は全面見直し段階に入っている。一方で鉄道の早期廃止要求やバスレーンの撤去、デマンド交通への転換など公共交通の維持を諦める自治体も増えてきている。
フィクション作品において
- 車内など、登下校の風景として汎用性が高い。
- 舞台となっている都道府県・市町村の鉄道・バスが登場することも。
- バス停や駅で待っている様子、追いかける、乗り遅れるなどトラブルも演出できる。
- バトルものにおいては乗客もろとも吹き飛ばされることもある。
- アクションものやサスペンスものなどでは、日常にある風景でありながら、「高速で動く密室」という状況を簡単に作り出せるため、スピード感あるアクションシーンが描ける。また、目的地に着くまでは逃げ場がない、目的地に着くまでに問題を解決しなければならないというタイムリミットを設けることもできる。
関連動画
関連項目
- 通勤 / 通学
- 旅行 / 観光
- 乗り物
- 乗り換え
- 遅延証明書
- 時刻表
- インフラ
- 東京ビッグサイトへの公共交通機関でのアクセスについて
- 幕張メッセへの公共交通機関でのアクセスについて
- 公共交通機関でのアクセスに関する記事一覧
脚注
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