「成歩堂龍一」とは、CAPCOMのゲーム『逆転裁判』シリーズに登場するキャラクターである。
通称「なるほどくん」。海外版では「Phoenix Wright」。
担当声優は『1』から『4』までのゲーム本編では開発者でもある巧舟、PVと『5』と『6』では近藤孝行、実写映画と『レイトン教授VS逆転裁判』では成宮寛貴、『ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3』では鳥海浩輔、アニメ版では梶裕貴。
概要
シリーズ1・2・3・5・6の主人公、4のメインキャラクター。ここでは1~3と4と5と6とで分けて説明する。
『逆転裁判1~3』
主人公の弁護士。ギザギザ頭と青いスーツがトレードマーク。熱い正義感と苦し紛れのハッタリと発想の逆転で真実を追求していく。
綾里千尋が経営する「綾里法律事務所」に勤める新米弁護士として登場。『逆転裁判』第二話にて千尋が殺害された後、浅い経験ながら自らの事務所「成歩堂法律事務所」を設立、千尋の妹である真宵とともに活動する。年齢は『1』で24歳、『2』で25歳、『3』で26歳。
元々はシェイクスピア役者を目指す芸術学部の学生だったが、いくつかの出来事がきっかけで弁護士を志すようになる。司法試験には一度で合格しているものの、学力はそんなに高くなく、六法全書を見ると頭が痛くなる。法廷における成績は優秀ながら、事務所は儲かっていない様子が度々描写されており、事務所の家賃支払いにも苦慮している。
彼の弁護士としての信念は「弱いものの味方となる」こと。どんなに不利な状況であっても、どんなに周囲から見放されていても、依頼人のことを信じ、戦う。これは彼の人生において弁護された二度の経験が元になっている。
どんな事があっても諦めず、「ゆさぶり」、ツッコミから「ムジュン」を探し出して「突きつけ」、窮地に追い詰められても発想を逆転させる事で光明を見出すその弁護術は、彼の依頼人への強い信頼が生み出していると言えるだろう。こうしたスタイルを「ツッコミ大王」「恐怖のツッコミ男」などと呼ばれた事もある。
御剣怜侍、矢張政志とは小学生時代の親友。その頃に遭遇した“事件”が、成歩堂が弁護士を志す最初のキッカケでもある。子供の頃に「弁護士を目指す」と言っていたハズの御剣が、黒い噂の付きまとう検事となっていたことから、その真相を確かめるため、弁護士になる決意をする(矢張とはそれ以上に長い付き合いのはずだが、あまり語られることはない)。
御剣とは当初は明確に対立していたが、様々なエピソードを経てライバルにして親友と言う関係を再び築いていく。
違法スレスレの捜査(1-5)や証拠品の”偽証”(3-3)を行うなど危うい面もあり、時にはその弁護士としての姿勢を嫌われることもある。しかし極僅かな例を除いて、依頼人は彼に会って生き方を見つめなおしたり、新たな道を歩むようになる。彼の心には「何か」があるようだ。
性格は比較的常識人で、アクの強い周りの人物に振り回されてはボヤいたりツッコミを入れる係。状況によってはツッコミさえ許されず内心で突っ込んでいる事もある。
ちなみに超絶に悪運が強い。消火器や七支刀で頭を殴られたり高い崖から冬の急流へ落っこちたりしながらも生きている。
『2』以降は霊力の込められた勾玉を貰った事で、それを使って「相手が秘密を隠しているかどうか」を「錠前」という形で視認することができるようになった。この錠前は「サイコ・ロック」と呼ばれており、『2』以降は相手を問い詰め、証拠品や情報を的確に相手に提示することで、この「サイコ・ロック」を外して相手から情報を引き出せるようになった。
『逆転裁判4』
主役の座を王泥喜法介に譲るも、メインキャラクターの一人として登場。
ロシア料理のレストラン「ボルハチ」にいる「ピアノが弾けないピアニスト」。しかしそれは表の姿で、裏の顔は「ポーカー勝負で7年間無敗の勝負師」である。年齢は33歳。娘のみぬきと共に「成歩堂芸能事務所」を営んでいる。(王泥喜の加入により「成歩堂なんでも事務所」に改名)
7年前(『3』第5話の2ヵ月後)に担当したある事件の裁判で「証拠品をねつ造」した疑惑から弁護士バッジを剥奪され、法曹界から追放されたため、弁護士ではなくなっている。性格に元々あった若干冷めた部分が大きくなったイメージが強く、『4』の主人公・王泥喜法介に助言とも冗談とも取れない言動をとったりと、理知的で飄々とした雰囲気を纏わせている。
特徴的なギザギザ頭とギザギザな眉毛はニット帽で覆われて見えず、さらに無精ひげを生やしただらしない姿をしているが、これは『4』の監督を務めた巧舟が同作のキャラクターデザインを担当した塗和也に、「やさぐれている、成歩堂だとわからないようにしてほしい」とオーダーしたことが、『4』公式ガイドブックの成歩堂の紹介ページで明かされている。肩から腕にかけて青色のラインが入った灰色のパーカーに黒のズボン、さらにピンク色の「PaPa」の文字が入った水色のニット帽(みぬきのお手製)を被っている。
額部分には、『蘇る逆転』で当時高校生だった宝月茜が所持していたバッジをつけているが、実はバッジ型隠しカメラである(バッジの口の部分がカメラのレンズになっている)。この隠しカメラは、成歩堂が茜に頼んで用意してもらった物。
ピアニストを名乗っているにもかかわらず、ピアノはほとんど弾けない(それゆえファンからはピアニートとも呼ばれる)。弁護士バッジを剥奪されたばかりの頃は、ピアノの鍵盤の配置すらわからない状態だった。うるさい客のリクエストでたまに弾くことはことはあっても、一曲弾けば大抵の客は黙り込んでしまうらしい。
王泥喜らの世代の弁護士からは伝説の弁護士として名が知られており、王泥喜も憧れの人物として尊敬していた。ちなみに、カプコン公認の『4』公式ガイドブックの第4話の紹介ページでは、「初法廷から3年間不敗を誇る、法曹界の伝説的な弁護士」と記されている。
非協力的とも思える態度を取りがちで、かつ事務所からちょくちょく姿を消すため、王泥喜は手を焼いている。しかし、これは成歩堂が彼独自の目的の為に行動しているからである。終盤、7年前の「ねつ造」疑惑の真相と、弁護士を辞めても依頼人のために戦い、真実を追求する情熱は衰えていない事が判明する。
ちなみに悪運は未だ尽きておらず、前述のポーカーもさることながら、自動車にぶつかり10m跳ね飛ばされて電柱にしたたか頭をぶつけても、足の怪我だけで済んだ。という不死身の身体は健在だった。
デザインを担当した塗氏曰く、これらの服装は「ダサかっこいい」がテーマとのこと。 しかしネット内では外見が「ダルそうな成歩堂」だから略して「ダルホド」という不名誉な名称がつけられた。
『逆転裁判5』
再び主役に返り咲いて登場。
『4』のエンディングで「もう一度受けてみようかな、司法試験でも‥‥」と発言しており、大事な約束を胸に試験を受験し合格。弁護士として復活し、『3』から数えて8年ぶりに法廷に立つ。『5』時点で34歳。
『4』から1年後となる『5』の法曹界は、法の秩序が崩壊し、ねつ造や冤罪が当たり前のように横行してしまっており、『4』第1話で成歩堂が発言していた「法曹界に暗黒時代が訪れ、序審法廷制度が生み出したゆがみが広がっている」という言葉がまさに現実の物になってしまっている。いわゆる「法の暗黒時代」が到来している法曹界で、成歩堂は新パートナー・希月心音と共に新たな戦いに挑む。
事務所の名称は『4』と同じく「成歩堂なんでも事務所」のままだが、所長の座に戻っている。
デザインも一新されており、トレードマークのギザギザ頭と青いスーツは同じだが、『3』まで閉めていたスーツの前を開け、中には白のベストを着用。また、前髪を一筋垂らしている。胸ポケットからは金色の鎖が覗いているが、これは『4』で着用していた義理の娘・みぬきの写真が入ったペンダント。また、ペンダントの写真は16歳になったみぬきの写真に変更されている(『4』では8歳の頃の写真だった)。
『逆転裁判6』
5から続投。デザインは『5』と変わらない。
今作では日本で活躍する王泥喜達に対して、「クライン王国」という外国で活躍する様子が描かれる。
クライン王国での修行を終える綾里真宵を迎えに行くために訪れていたのだが、そこで事件に巻き込まれガイド役の少年が逮捕されてしまう。心配した成歩堂は法定に入るが、そこで『御魂の託宣』によって「被害者の直前の行動を見る」事で全てが決められる、「弁護士不要の裁判」を目の当たりにする。
納得できず自ら少年の弁護を申し出た成歩堂だが、そこで更に「犯罪者を弁護した者はその犯罪者と同じ罪を負う」という『弁護罪』の存在を聞かされる。それでも被害者の無実を信じる成歩堂は自らの意志で弁護席に立ち、日本とは違う霊媒の支配する法廷に命懸けで挑んでいく。
余談だが最新作でも昔と同じ古い携帯電話(ボタン式のもの)を使っていることがPVで明らかになっている。着信音はシリーズを通して「トノサマンのテーマ」になっている。
『逆転裁判』本編以外での成歩堂龍一
『逆転検事』シリーズ
スピンオフ作品『逆転検事』『逆転検事2』にも密かに登場している。台詞も立ち絵も全く無く、背景にいるだけなので気付きにくいが、良く捜してみてみよう。また、御剣怜侍らが成歩堂のことを回想するシーンもある。
『レイトン教授VS逆転裁判』
コラボ作品『レイトン教授vs逆転裁判』では、現実と幻想が交錯する中世都市「ラビリンス・シティ」に迷い込み、レイトン教授とともにナゾとムジュンに挑む。CVは成宮寛貴。
『ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3』
対戦格闘ゲームでは、『タツノコvsカプコン』の追加キャラ候補だったり(最終的に登場せず)、前作の『MARVEL VS. CAPCOM 3』のPC『シーハルク』のエンディングに登場していたが、『ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3』にて追加のプレイヤーキャラクターとして登場した。
の3つのモードを使い分けるキャラで、綾里真宵を召還して攻撃させたり、サイバンチョを出したりといった原作オマージュのネタが満載になっている。なおサイコロックは実装していない。
しかしキャラ性能そのものは、リーチが非常に短く、フェニックスを超える破壊力を持ち、唯一レベル3のハイパーコンボ「逆転裁判」が使用可能な逆転モードになるまでが運の要素や発生の遅い技をヒットさせる必要がある等、完全に上級者向けのキャラクターになっている。
アレンジコスチュームには「ゴーストトリック」のシセルの衣装を模したものがある。
『PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD』
SRPG『PROJECT X ZONE』シリーズ第2作に、サポート用ソロユニットとして真宵とコンビで参戦。他のコンビと違い、2人だがソロという特殊な扱い。
三島平八(『鉄拳』シリーズ)の弁護を依頼され、神室町で待ち合わせていたところバイオテロに巻き込まれる。さらに平八と敵対するシャドルー(『ストリートファイター』シリーズ)に雇われた殺し屋バレッタ(『ヴァンパイア』シリーズ)に付け狙われるハメに。身を守るためにモリガン(同じく『ヴァンパイア』シリーズ)から春美の勾玉と真宵を通して力を与えられ、『待った!』と『異議あり!』で戦う。
他にも『龍が如く』シリーズの真島吾朗の弁護を行ったことがあるらしく、真島の兄さんからは非常に気に入られている。なお、UVC3でモリガンやリュウと共演しているが、本作とは無関係の模様。
シナリオではパーティでもほぼ唯一の一般人ということで荒事に巻き込まれては悲鳴を上げているが、逆に頭脳面では敵の策謀や嘘、ムジュンには即気付いてツッコミを入れるなど、原作ゲームさながらの見せ場も多い。特に中盤、沙夜(『ナムコクロスカプコン』)の嘘を追求するシーンはまさに逆転裁判さながら。EDでは、逆転裁判シリーズお約束の「あの」シーンも。え。え。え。え。
ユニットとしては攻撃力は低いが、相手のブロック(一定以上の攻撃を当てないとダメージを受けない)を一撃で破壊でき、更にサイコロックで相手を束縛、本命のコンボを叩き込めるため非常に使い勝手がいい。更に味方にブロック無効を与えるスキルも持つため、ブロック無効が重要な本作では必須級のソロユニットと言える。攻撃モーションはUVC3が元ネタなものも多い。
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