この番組は、視聴者から寄せられ
優秀なる探偵たちを野にはなち、
世のため、人のため、公序良俗と
安寧秩序を守るべく、この世のあ
娯楽番組である。
探偵!ナイトスクープとは、関西の金曜深夜を代表する朝日放送制作の人気番組である。
概要
司会者が探偵局長、アシスタントが秘書、ゲストが顧問、レギュラー出演者が探偵という、探偵事務所に見立てられた呼び名が付けられ、視聴者から送られた疑問や依頼を解決するという内容の番組である。
放送日時は初期が土曜夜11:30~深夜0:25で、1991年4月から現在の金曜夜11:17~深夜0:12に移動。土曜日には、それまで金曜の同時間帯に放送されていた「合コン!合宿!解放区」(桂小枝と清水圭が司会の視聴者参加型お見合い番組。出演者やスタッフが「ナイトスクープ」と共通していた)が土曜夜11:55~深夜0:50の枠に移動した。
枠交換の理由は、土曜日の11時台のニュース番組の放送枠が同月から25分延長されることとなったため、当時人気上昇中であった「ナイトスクープ」の放送時間が繰下げられることを回避する目的で行われたものと思われる。
依頼VTRにおいてツッコミテロップを初めて導入した番組のひとつであり、関西のみならず全国のテレビ番組に影響を与えた番組。 当初は関西ローカルで始まった番組だったが徐々に全国各地で放送されるようになり、熱狂的なファンを抱えるようになった番組である。関西では全盛期に30%を超える平均視聴率を記録したことがある(最高記録は1998年5月1日放送分の32.2%)、2012年頃まで18%前後を記録していたが、近年は視聴率が下落傾向にあり、2015年現在では15%を切ることも多くなっている。しかし時間帯を考えるとそれでもゴールデンタイムの20%前後に匹敵する視聴率であり、四半世紀に渡り同時間帯トップの座を譲っていないお化け番組である。
しかし、関東(特に東京)ではあまり受け入れられず、かつて関東広域のテレビ朝日で放送された時期もあったが、深夜から昼になるなど時間帯の移動を繰り返した末に2005年に打ち切られてしまった (それでも13年間放送していた)。2005年以降は都県域の独立局に引き継ぐ形で放送されている(詳細は後述)
2009年春には初のゴールデンタイムでの全国ネット特番が放送されたものの、21.4%という高視聴率を獲得した関西とは違い、関東では5.3%という低視聴率であった。これはどちらかといえばえげつない内容も多いため、文化の違いから一般に受け入れづらいという背景もある。
余談であるが、番組の名物の一つであるエンド5秒の一発ギャグは、視聴率獲得を目的に始められたものである。初期の頃はエンディング終了後3分間のCMを挟んだ後に「探偵!ナイトスクープ END」という文字だけを表示していたのだが、この間に視聴率が急落してしまい、当時の悲願であった視聴率20%にあと一歩届かない状況が続いていたために、そこで考案されたものである。
ちなみに初めて放送されたエンド5秒の一発ギャグは「桂小枝がジャイアント馬場のマネ(格好)をして突っ立っているだけ」であり、上岡局長が(こんなんで視聴率が)「取れるか!」と局長席からツッコミを入れる、というものであった。
TVerでの配信開始を機に2016年11月18日放送分よりABCテレビ深夜の看板枠である『ナイトinナイト』枠に編入された。これ以前は月~木が『ナイトinナイト』枠であったものが、同週より月~金に拡大されたこととなる。ただし枠編入に伴う放送枠の変更等は行われていない。
探偵局長・秘書・最高顧問
局長
初代探偵局長は上岡龍太郎。時にぬるい内容のVTRがあると辛辣に酷評し、自身が大のオカルト否定派であるためにオカルトを安易に入れた内容のVTRが流されると激怒し、時には収録を放棄して帰ってしまったこともある。
しかし、その辛辣さが番組のクオリティー維持に大きな貢献をしたという見方も出来る。
2000年に上岡が芸能界を引退したため、しばらくの間局長代理としてゲストやレギュラーによる代理司会となった。
その後、この番組の大ファンでもあった西田敏行が2001年から2代目探偵局長に就任。西田登板以降、全体的に内容がマイルドになり、1回の放送で紹介される3本の依頼のうち最後の1本は「お涙頂戴モノ」であることが多くなった。涙もろいので知られる西田はそういうVTRが紹介されるとほぼ間違いなくハンカチ片手に涙している。が、「(世間一般的には)くだらない努力が実る」ようなVTRでも涙していることがあり、その事に関して他の出演者から突っ込まれるという出来事も珍しくなく、一種のお約束となっていた。
2019年11月、西田敏行が局長を勇退。3代目探偵局長として松本人志(ダウンタウン)が就任した。なお、松本は以前より番組の大ファンを公言しており、局長就任以前にも依頼者として登場したこともある。
同年11月29日放送回(関西地方)より正式にバトンタッチを受けて現在に至っている。
秘書
秘書は現在、4代目の増田沙織(ABCアナウンサー)が務めている。
初代秘書は女優の松原千明が番組開始から1年ほど務めたが、番組出演オファーの際に説明された「ニュースステーションのような社会派路線の番組」という話から番組コンセプトが脱線していったことに違和感を感じて降板した。
1989年より2代目秘書の岡部まりが起用され、以降番組人気の上昇と20年近くに渡る長期出演からよく知られるようになった。このため、岡部が初代秘書という誤解をされる場合もある。なお、岡部は2010年の参議院議員選挙に出馬したため、2010年4月に秘書を降板している。
3代目秘書はバイオリニストの松尾依里佳が2010年に就任。2018年に出産に伴う芸能活動休止と同時に降板。以降2年弱ほどは「見習い秘書」という肩書で週替りの秘書を起用する形で凌いでいた。
4代目の増田は3代目局長の松本人志と同時に秘書に就任し、番組史上初の局長・秘書同時刷新となった。
最高顧問
非常に出演が多く親しまれている顧問は「最高顧問」と呼ばれる。現在はキダ・タローが最高顧問。故人では横山ノックもかつて最高顧問と呼ばれた。
有名なスクープ・依頼
ラインバックは死んだのか!?
1990年9月放送。当時会社員だった依頼者が日刊スポーツの記事を見て依頼。早速調査を開始した。
マイク・ラインバックは1976年~1980年、ユニフォームに黄色ラインがあった時代の阪神タイガースで活躍し、1979年は打率.309、本塁打27本の活躍をしていたが、80年限りで阪神を退団後、母国アメリカでビジネスをしていた。
しかし、妻との離婚や父親の死など、不幸が相次いでいたという。元阪神監督の吉田義男氏などに連絡するも、安否が分からず、アメリカ・カリフォルニア州まで飛ぶことになった。
そして、現地のラインバックを知る人が「ラインバックは1988年5月に崖から自動車ごと転落し、死亡した」という答えを出した。
この言葉に、関西中が涙をし、依頼者の希望で甲子園の一塁側の土がラインバックの墓に撒かれた。
日本全国アホ・バカ分布図
1990年、「関東出身の夫が『バカ』、関西出身の妻(依頼者)が『アホ』と互いに罵倒しお互いに傷つく。このバカとアホの境界線はどのあたりにあるのだろうか?」という依頼があり、東京から西へ移動しながら調査したところ、愛知県で第三の罵倒語『タワケ』まで登場する事態となる難調査となった。調査の末、アホとタワケの境界線を岐阜県関ケ原町に発見した。しかし、上岡局長から「『バカ』と『タワケ』の境界線も調べろ」という追加命令が飛び出し、翌1991年に改めて大々的に調査された。
結果、「日本全国アホ・バカ分布図」が完成。この調査から、かつての日本の首都であった京都から等距離の位置にある地域では同じ言葉が使用されているという事実が判明。『蝸牛考』で柳田國男が仮説を立てていたが実証には至らず、本人も「あれは違うかもしれない」と消極的に意見となっていた方言周圏論の存在を裏付けるものとして、日本方言学会でも貴重な検証例として引用されるなど多大な功績を残した。
この大々的な調査と学術性・娯楽性の両立した秀逸な企画として大きく評価され、1991年に日本民間放送連盟賞テレビ娯楽部門最優秀賞受賞・第29回ギャラクシー賞選奨・第9回ATP賞グランプリを受賞した。
謎の爆発卵
1993年放送。依頼者の友人が電子レンジでゆで卵を作って食べようとしたところ、爆発したので調べてほしいという趣旨の依頼。検証の結果、探偵(桂小枝)、依頼者、その友人が身を以て爆発卵の危険性を思い知ることとなった。
ニコニコ内では、桂小枝氏の発した言葉に呼応するかのように卵が爆発したことに由来し、「シオアル」「モウイマニ」「コレデ」の3呪文が定義された。
現在は「電子レンジでゆで卵を作ってはならない」という禁忌は常識であるが、広く知れ渡るきっかけになったはこの番組だと言われている。当初は視聴者がマネをすると言う懸念からお蔵入り寸前であったが、かえって危険性を啓蒙する結果になったのは言うまでも無い。
なお、この回は毎回、もう一度見たい依頼のリクエストで幾度となく1位を取っていたなど、もはや依頼者のノリも含めて伝説である。
林先生の料理シリーズ
大阪の調理専門学校講師である林繁和氏による、「母乳でケーキ作り」(1994年9月2日放送)に端を発したシリーズ。この放送で初めて番組に協力した林先生であったが、見事に母乳を使った菓子を作り、依頼者の期待に応えた。その仕事っぷりや話術も相まって人気を博すようになった。
以来、珍食材や食材とは呼べない物まで食べてみたいという依頼があると、ほぼ林先生の元へ舞い込むのがお約束となった。探偵が訪れるたびに「またか・・・」と嫌そうな顔をしながらも最善の結果を出そうと奮闘するあたり、林先生のツンデレっぷりを垣間見ることが出来る。
ちなみに、初回放送後に専門学校講師をクビになりかけたと後に語っている。尚、唯一まともな料理を作ったのはマンホールの型を使ったワッフル制作だけである。
パラダイス
いわゆる迷・珍スポットの調査シリーズ。本番組においてそのような場所はすべて「パラダイス」と呼称され、定番シリーズの一つとなっている。
通常の依頼は誰が担当するかが決まっているわけではないが、パラダイスについては必ず桂小枝が担当するのが定番となっており、依頼文にも指名されることもある位である。そして彼により人が近寄らない場所が「パラダイス」になるのである。
淡路島の立川水仙郷、富田林市の城山オレンヂ園などこの放送後一気に人気になった施設もあるなど、侮れない影響力があった。
電車vs人間 飯田線の闘い
飯田線にある1区間において、あるアニメで見たJR飯田線の下山村駅と伊那上郷駅の間がオメガ状のカーブになっているので、その間を電車と人間で追いかけっこして電車に勝っているシーンがあるが、それが本当に実現できるのか試してほしいという依頼。探偵は清水圭で、依頼も成功させている。電車と人間が勝負するという、今の動画サイトにおける「やってみた系」の奔りとなるようなこの企画は凄まじい反響を呼び、後に映像化もされた。
なお、あるアニメとは『究極超人あ~る』のOVA版のことであり、作者のゆうきまさみを初め、制作スタッフにはかなりの鉄オタがいた。また、鉄オタの間では下山駅のカーブの存在は広く知られており、有名になる以前に実践した人もいた。地元の高校生などにも度胸試しとして知られていたという。この無謀な企画はアニメによって広く認知され、『旅と鉄道』の記事にもなったりするなど、メディアの枠を超えている。そして、後に下山ダッシュという名称がついたらしい。
放送エリア
なお、「ナイトスクープは関西ローカルだから自分の地域では観られない」と思っている人も少なくないだろう。しかし、実は日本全国で視聴可能。CS放送のスカイ・Aでも観られる。ただし、放送時間は各地域で完全にバラバラなので、Wikipediaを参照。地域によっては後述のエンド5秒がなかったり、また多少の遅れ放送となっている。
2020年7月現在で地上波未放送なのは千葉県、群馬県、茨城県、徳島県、佐賀県の5県のみであり、うち徳島県と佐賀県は大半の地域で隣県の放送が越境で映るため実質3県を除き44都道府県で視聴可能である。
関東地方においては県域独立局のチバテレビと群馬テレビの2局から放送が始まり、2局での打ち切り後1992年に関東広域のテレビ朝日で放送が始まった。結局テレビ朝日での放送は2005年に打ち切られてしまったが10年以上は放送していた事になる。なおテレ朝での打ち切りにより茨城県がエリアから離脱した。
テレ朝打ち切りの2005以降は都県域の独立局が新規および復活の形で放送を引き継いでいる。tvkが新規で2005年、チバテレビが復活で2005年、テレ玉が新規で2007年、TOKYO MXが新規で2007年、とちぎテレビが新規で2008年から放送している。これにより神奈川県、千葉県、埼玉県、東京都、栃木県は放送エリアに復帰した。チバテレビ、テレ玉、とちぎテレビはプライムタイム、tvkは土曜日昼、TOKYO MXは日曜夕方の放送となる。
ただしチバテレビの放送が2008年に再度打ち切りとなったため、同局では2度目かつ同県では3度目(チバテレ2回、テレ朝1回)となる打ち切りとなり、千葉県が放送エリアから離脱した。
それ以来「ほぼ」全国で視聴可能という微妙に惜しい状態が長く続いていたが、2016年秋よりTVerとGYAO!での無料配信が始まったため、現在ではネット回線とスマホやPCなどの端末さえあれば、日本全国どこでも、時間を問わず、最新週の放送分をエンド5秒付きで無料視聴できるようになっている。
放送局一覧
放送対象地域 | 放送局 | 系列 | 放送期間 | 備考 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
近畿広域圏 | 朝日放送 | テレビ朝日系列 | 1988年~ | 制作局 | |||||
北海道 | 北海道テレビ放送 | ||||||||
青森県 | 青森朝日放送 | 1991年~ | |||||||
岩手県 | 岩手朝日テレビ | 1996年~ | |||||||
宮城県 | 東日本放送 | ||||||||
秋田県 | 秋田朝日放送 | 1992年~ | |||||||
山形県 | 山形テレビ | ||||||||
福島県 | 福島放送 | ||||||||
関東広域圏 | テレビ朝日 | 1992年~2005年 | 関東広域初放送 | ||||||
栃木県 | とちぎテレビ | 独立局 | 2008年~ | 同局では初放送 | |||||
群馬県 | 群馬テレビ | 1989年~1992年 2005年 |
関東広域テレ朝 放送開始に伴い 県域放送打ち切 り→テレ朝打ち 切りにより復活 |
||||||
千葉県 | チバテレビ | 1989年~1992年/ 2005年~2008年 |
|||||||
埼玉県 | テレビ埼玉 | 2007年~ | 同局では初放送 | ||||||
神奈川県 | tvk | 2005年~ | 同局では初放送 | ||||||
東京都 | TOKYO MX | 2007年~ | 同局では初放送 | ||||||
山梨県 | テレビ山梨 | TBSテレビ系列 | |||||||
長野県 | 長野朝日放送 | テレビ朝日系列 | 1991年~ | ||||||
新潟県 | 新潟テレビ21 | ||||||||
富山県 | チューリップテレビ | TBSテレビ系列 | |||||||
石川県 | 北陸朝日放送 | テレビ朝日系列 | 1991年~ | ||||||
福井県 | 福井放送 | テレビ朝日系列 日本テレビ系列 |
|||||||
静岡県 | 静岡朝日テレビ | テレビ朝日系列 | |||||||
中京広域圏 | 名古屋テレビ放送 | ||||||||
山陰地方 (鳥取県・島根県) |
山陰中央テレビ | フジテレビ系列 | |||||||
広島県 | 広島ホームテレビ | テレビ朝日系列 | |||||||
山口県 | 山口朝日放送 | 1993年~ | |||||||
香川県・岡山県 | 瀬戸内海放送 | ||||||||
愛媛県 | 愛媛朝日テレビ | 1995年~ | |||||||
高知県 | テレビ高知 | TBSテレビ系列 | |||||||
福岡県 | 九州朝日放送 | テレビ朝日系列 | |||||||
長崎県 | 長崎文化放送 | 1990年~ | |||||||
熊本県 | 熊本朝日放送 | ||||||||
大分県 | 大分朝日放送 | 1993年~ | |||||||
宮崎県 | 宮崎放送 | TBSテレビ系列 | テレビ朝日系列は テレビ宮崎(フジ系/ 日テレ系3重複) |
||||||
鹿児島県 | 鹿児島放送 | テレビ朝日系列 | 2004年~ | ||||||
沖縄県 | 琉球朝日放送 | 1995年~ | |||||||
CS全国放送(有料) | スカイA | ||||||||
ネット配信 | TVer | 2016年~ | 本放送直後から 1週間無料配信 |
||||||
GYAO! | 2016年~ |
関連動画
様々な『ナイトスクープ』の本編動画がアップロードされているが、現在、大量削除傾向にある。
関連商品
DVD
書籍
関連コミュニティ
関連項目
- テレビ番組の一覧
- 朝日放送
- 円広志(テーマ曲「ハートスランプ二人ぼっち」やCM前ジングルを作曲)
- 桂小枝
- 嘉門達夫
- 槍魔栗三助(現・生瀬勝久)
- 田村裕
- キダ・タロー
- 林繁和
- シオアル/モウイマニ
- ガオーさん
- ファッキンホット(くそ熱い)
- 23
- 0pt