概要
基本的に遊戯王OCGでは、ひとつのデッキ(山札)には同じ名前のカードは3枚まで入れることができる。しかし、実際には次項で挙げるような様々な理由によりコナミに投入枚数を制限されるカードが存在している。その中でも特に「デッキに入れることができない(=公式デュエルで使用できない)」と決められたものが禁止カードである。
遊戯王OCGでは2004年3月1日から禁止カードが制定されることになった。発売直後のものが即禁止になることは滅多になく、半年でまずは制限になり、その後も活躍していれば禁止になる、といったように猶予期間があることがほとんどだが、環境に強く影響を与えている場合は無制限からいきなり禁止になることもあり、環境の変化で数年越しで禁止になるケースもある。かつてこの禁止カードや制限・準制限カードのリストは毎年3月1日と9月1日に改訂されていた。毎回このリストの改定日前後には全国のデュエリスト達が一喜一憂する姿がみられる。
しかし、2013年9月1日から禁止・制限カードは「リミットレギュレーション」と名を変え、年四回更新されることとなった。
その次の更新は僅か二ヵ月後の2013年11月1日であり、以降は2月1日・4月1日・7月1日に更新されることになった…のだが、2014年7月1日に三ヶ月に1度に変更され、その後は10月1日・1月1日・4月1日・7月1日に更新される。
現在、登場してから最も速く禁止されたカードは、半年も経たない167日で禁止になった《Emヒグルミ》《EMモンキーボード》である。また同率3位は169日の《炎征竜-バーナー》と《風征竜-ライトニング》、同率5位は172日の《リンクロス》、同率6位は174日の《十二獣ドランシア》と《十二獣の会局》、8位は197日の《魔導書の神判》、同率9位は198日の《地征竜-リアクタン》と《水征竜-ストリーム》である。1位のカードはそれぞれ2016年1月1日、同年4月1日に、3位と8~9位の5種類のカードは全て2013年9月1日に禁止となった。
なお、親征竜の禁止により効果自体が全くの無意味となった子征竜4種類は、2015年1月1日に親征竜と入れ替わる形で無制限に緩和された。また、モンキーボード・会局は制限、神判は無制限に緩和されたため、上位10枚のうち7枚については、現在(2024年4月)使用可能。
登場から速攻で禁止になったカードを見てみると、8期後半の「魔導征竜」時代、9期中盤の「EMEm」時代、9期終盤から10期にまでもつれこんだ「十二獣真竜」時代が大半だ。
また、各親征竜に対応する互換カードである子征竜を除けば、9期の同じパックから出たカードが複数禁止にされていることが多い。このことから、如何に当時の対戦環境が崩壊していたかが伺える。
「魔導征竜」時代は環境トップもまだ競い合う形となっていたが、「EMEm」時代と「十二獣真竜」時代は文字通り、他のデッキが対戦環境に入る余地の全くない一強となっていた時代である。
一強環境を二回も生み出してしまった9期は、禁止カード制定の理由となってしまった「カオス」環境に次いで、OCGでも「遊戯王第二の暗黒期」と語り継がれることも多い。
唯一の例外が10期終盤に登場したリンクモンスターだが、こちらもこちらで「何故刷ったし」と言われるカードである。
シングル戦を前提としている関係で制限・禁止カードがOCGとは異なる遊戯王ONLINE・遊戯王マスターデュエルについては、この項目では割愛させていただく。制限カードや準制限カードについても割愛する。とばっちりで使えなくなったメタカードやサポートカードについては後述する。
デュエルリンクスでは独自の制限としてLIMIT1・LIMIT2がある。
LIMIT1は同じLIMIT1からデッキに1枚しか入れられないカードのことである。(LIMIT1から2枚とかはできない。)同じくLIMIT2はLIMIT2の中から合計2枚までしか入れられないカードのことである。LIMIT3もある。
ルールとカードプールが現行のOCGとは全く異なるため現実とはまるで違った規制となっている。しかし後にデュエルリンクスでも禁止カードが制定されることになった。
遊戯王OCGにおける最新の禁止・制限カードリストは公式サイトの該当ページを参照されたし。
ちなみに2013年9月21日から実施された新ルール「ノーリミットデュエル」では、開催店舗が禁止・制限を決定することが出来た為、ここに名を連ねていたカードたちも再び活躍できるチャンスがあった。
が2017年7月にノーリミットデュエルは廃止され、現在は大会では使用できない。
禁止カードに指定される理由
禁止カードに指定されてしまう理由には、主に以下のようなものがある。
- 1ターンキル又はそれに準ずる物(先行全ハンデスなど)を高確率で成功させることが出来る。
- 多くのデッキに投入出来るほど汎用性が高く、デッキ構築の幅を狭める。(ゲームバランス的に制限で済んでいるものもある)
- 勝敗に直結するループコンボを容易に成立させる。(制限で済むものもある)
- 1枚でデュエルが決まるほどの効果があるパワーカードで、使う条件も緩い。
- 後に登場したカードとあまりに相性が良すぎる、環境を席巻するほど活躍する。
- その他、マッチキルに使われる、裁定における判断が難しいカード等。
取り分けコナミは1.の1ターンキルには厳しく、規制の対象になることが非常に多い。
禁止カードにならない理由・解除される理由
まず、2013年9月の改訂までは、先ほど挙げたように発売してからさほど日が経っていないものはすぐには禁止カードにならなかった。現在でも先述の通り、発売してから半年は禁止にならないカードも多い。
また、大会で結果を残せていないもの、成功率が低く安定しない1ターンキルも規制の対象になりにくかったり、なるのが遅くなったりする。
一方で、日本では目立った活躍を見せていないカードでも、海外の大会で猛威を振るっているものなどは禁止カードの仲間入りをすることがある。かつて禁止カードだったものが使用可能カードに復帰することもあるが、これは環境の変化による部分が大きい(例として対抗手段や妨害手段が増化・環境のインフレーションによる相対的な弱体化・デッキの多様化・使われていたデッキの弱体化等々)。
なお、《ダーク・ダイブ・ボンバー》や《混沌の黒魔術師》のようにエラッタされ、復帰するパターンも存在する。
基本的にOCGのパック売上や環境を考えながら規制するカードや復帰させるカードを決めるが、《ダーク・ダイブ・ボンバー》のようにエクストラデッキから出てくるので制限・準制限カードに指定する意味が薄く、かつ大会のデュエルが画一化される場合は、早い時期に無制限からいきなり禁止カードに指定されることもある。
禁止カードリストと理由(基本的には最新のリスト。右の数字は上の項目の番号に対応している。)
モンスターカード
- 《アマゾネスの射手》 1・5
- 《イレカエル》1・3
- 《ヴィクトリー・ドラゴン》6
- 《永遠の淑女 ベアトリーチェ》2・4・5
- 《エクリプス・ワイバーン》1・3・5
- 《琰魔竜王 レッド・デーモン・カラミティ》4
- 《カイザーコロシアム》4・5
- 《外神アザトート》4・5
- 《カタパルト・タートル》1・4・5
- 《儀式魔人リリーサー》4・5
- 《キャノン・ソルジャー》1・5
- 《旧神ノーデン》1・2・3・4・5
- 《クシャトリラ・フェンリル》1・2
- 《水晶機巧-ハリファイバー》2・5
- 《古衛兵アギド》4
- 《古尖兵ケルベク》4
- 《混沌魔龍 カオス・ルーラー》2・4・5
- 《サイバーポッド》4
- 《流離のグリフォンライダー》2・4
- 《The tyrant NEPTUNE》5
- 《SNo.0 ホープ・ゼアル》4・5
- 《十二獣ブルホーン》2・4
- 《守護竜アガーペイン》1・2・3・4
- 《守護竜エルピィ》2
- 《真竜皇V.F.D.》4
- 《スプライト・エルフ》2・5
- 《ゼンマイハンター》1・5
- 《ダンディライオン》1・2・3・4・5
- 《超重武者装留ブレイク・アーマー》1・3・4・5
- 《ティアラメンツ・キトカロス》4
- 《デビル・フランケン》2・4・5
- 《トゥーン・キャノン・ソルジャー》1・5
- 《トポロジック・ガンブラー・ドラゴン》1・5
- 《トロイメア・ゴブリン》1・2・3・4・5
- 《トロイメア・マーメイド》1・3・5
- 《トーチ・ゴーレム》1・3・4・5
- 《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》2・4・5
- 《No.86 H-C ロンゴミアント》1・4・5
- 《No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン》1・3・4・5
- 《ファイバーポッド》4
- 《フィッシュボーグ-ガンナー》4・5
- 《フェニキシアン・クラスター・アマリリス》1・5
- 《BF-朧影のゴウフウ》2・4・5
- 《捕食植物-ヴェルテ・アナコンダ》4・5
- 《マジックテンペスター》1・5
- 《魔導サイエンティスト》1
- 《メガキャノン・ソルジャー》1・5
- 《メンタルマスター》3
- 《餅カエル》5
- 《ユニオン・キャリアー》2
- 《ラヴァルバル・チェイン》2・5
- 《リンクロス》1・2・3
- 《烈風の結界像》4・5
- 《レベル・スティーラー》5
魔法カード
- 《悪夢の蜃気楼》2・4
- 《いたずら好きな双子悪魔》2・4
- 《押収》2・4
- 《苦渋の選択》1・2・4
- 《強引な番兵》2・4
- 《強欲な壺》2
- 《神剣-フェニックスブレード》3・5
- 《次元融合》1
- 《生還の宝札》4・5
- 《ソウル・チャージ》2・3・4
- 《大寒波》1・5
- 《蝶の短剣-エルマ》1・3
- 《天使の施し》2・4
- 《盗人の煙玉》1・3・4・5
- 《早すぎた埋葬》2・3・4
- 《ハリケーン》4・5
- 《魔鍾洞》4
- 《マスドライバー》1・5
- 《突然変異》1
- 《遺言状》1・2
罠カード
- 《異次元からの帰還》1・3・5
- 《虚無空間》4
- 《王宮の弾圧》4・5
- 《王宮の勅命》4
- 《第六感》2・4
- 《ダスト・シュート》5・6
- 《血の代償》1・4・5
- 《マジカル・エクスプロージョン》1・5
- 《ライフチェンジャー》1・5
- 《ラストバトル!》1・6
それぞれのカードの詳細については、大百科の個別記事や遊戯王カードWiki(外部)を参照されたし。
影響を受けたカードリスト
それ自体は禁止カードに指定されていないものの、発動条件や召喚条件に当たるカードが禁止になったことで影響を受けたカードが複数存在する。
これらの中には、セットして反転召喚せずに表側表示にしたり、召喚条件を無視して特殊召喚するカードを用いたりすることによって、場に出すことができるものもある。しかし、効果が発動できない、蘇生制限がかかる、すぐにフィールドを離れるなどのデメリットが発生し、そのカード本来の持ち味を発揮できないことがある。
大会によっては禁止となるカード
Yu-Gi-Oh! World Championship 2015 第3回店舗・ブロック代表決定戦(2015年4月1日~5月24日)以降のWCSシリーズ(所謂選考会)では、一般の部、小学生の部ともに、上記の通常の禁止カードに加え、《レインボー・ライフ》・《自爆スイッチ》・《三位一択》・《神秘の中華なべ》・《非常食》が禁止カードに指定されている。
自爆スイッチ以外のカードはライフを大きく増やし、自爆スイッチは引き分けにするカードとなっているが、これはエキストラターン・エキストラデュエルという大会の独自ルールによるもの。
大会には制限時間があり、時間を過ぎたらサドンデスに入る。また0勝3分け(自爆スイッチを3連打した場合など)や1勝1敗1分けの互角の成績になった場合もサドンデスに入る。
この時規定のターン終了時でライフが多い方が勝ちになる(同じだったら追加ターンでターン終了時に判定する)ため、ライフを大量に回復できる上記のカードは切り札となる。また自爆スイッチで全部引き分けにしてエキストラデュエルに持ち込み、ライフゲインで最後に勝つ戦術も見られ、旗色が悪くなるとまた自爆スイッチで仕切り直すなどして時間がかかり、大会進行に支障が出るとして、これらの5種は代表選考会や世界大会では禁止カードとなっている。
遊戯王TCGでの禁止カードについて
元々は日本で販売しているOCGと同じ制限改訂だったが、2013年9月1日以降日本とは異なるようになった。
現在、アジア圏で販売されているOCGはどの国でも同じレギュレーションが適応されているが、遊戯王TCGとして販売されている地域は異なるレギュレーションになっている。
こちらも同じような理由で禁止カードに指定されているが、OCGとは違い、かなり厳しく指定されていることが特徴。特にドローソースには厳しく、《増殖するG》のような日本では準制限のカードが禁止カードになっていたり、《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》のように日本より早く禁止カードになったり、《聖なる魔術師》のように日本より早く禁止から復帰したカードもあったりする。
関連動画
制限改訂紹介動画
禁止カード活躍デュエル動画
関連項目
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