第3回電王戦とは、2014年3~4月に5人のプロ棋士と5組のコンピュータ将棋プログラムによって行われた将棋棋戦である。
関連イベントについても当記事に述べる。
概要
第2回電王戦・第4局後の記者会見で、ドワンゴ川上量生会長より「日本将棋連盟から回答は頂いてないが、第3回電王戦についても開催したい」との発言があり、それを受けて田中寅彦専務理事から「谷川会長と相談しながら前に進める形が取れれば」と発言があった。
そして2013年8月21日、ニコファーレにて行われた記者会見で第3回電王戦の開催が正式発表された。第2回に引き続いて、5対5の団体戦形式で行う。合わせて棋士側の出場者のひとりに屋敷伸之九段の参戦がアナウンスされ、コンピュータ側はコンピュータ将棋選手権のベスト5…からではなく、ドワンゴが主催する「将棋電王トーナメント」のベスト5が参戦する事となった。
続いて2013年10月7日、同じくニコファーレにて残り4人の参戦棋士が発表された。前回出場の船江五段と同じく井上慶太門下からのホープ、菅井竜也五段。森下システムで名を馳せたベテラン・森下卓九段。光ってる方のサトシン(でも竜王戦2組)、ニコ厨のアイドル・佐藤紳哉六段。若干23歳にしてB1在籍、若手最強の一角と目される豊島将之七段、すでに発表のあった屋敷九段と合わせて5人のメンバーが正式にアナウンスされた。
同時に、電王戦出場を懸けて2013年11月に行われる電王トーナメント戦出場・23プログラムも発表された。
そして2013年12月10日、ニコファーレにて第3回電王戦の対戦カード・日程・会場などの発表、および振り駒による先手番の決定が行われた。対戦カードのみならず発表された対局会場(後述)に視聴者が衝撃でざわつく中、先手番を決める振り駒をカワンゴ…ではなく、将棋文化振興議員連盟の代表として安倍晋三首相が行う特大のサプライズで視聴者の度肝を抜く。首相は振り駒で5枚全てを「歩」と出す豪運まで披露し、第2回に引き続いて第1局・第3局・第5局が人間側の先手番と決定した。
さらに「予算はどうなってるの…?」との視聴者の疑問に応えるかのように、SCEや日産、ローソン(おやつ)がスポンサーとして大会をバックアップする旨がアナウンスされる。そして〆に発表された年末イベントは「電王戦リベンジマッチ」。対局者は第2回・第3局で激闘を繰り広げた船江恒平五段と、妖精さん一丸貴則氏謹製のツツカナ(第2回電王戦ver)。年明けをもって移転閉鎖が決定した原宿ニコニコ本社のラストイベントとして、大晦日に開催されることとなった。(移転の発表は電王戦発表の数日後であった。)
あの素晴らしい戦いをもう一度…と言うことで、リベンジマッチと銘打たれてはいるものの、再びの好勝負にも期待が集まる。
合わせて第2回将棋電王トーナメントが2014年11月に開催される旨も発表され、電王戦を取り巻く状況が目まぐるしく変化・進化する様相が伺える記者会見となった。
より大掛かりに、華々しく舞台も整い、2014年3月15日に第3回電王戦は幕を開ける。
レギュレーションなどの変更
前回の「5対5の団体戦」形式を引き継ぐが、出場するソフトの決定方法や、電王戦に使用するプログラムの状態、ソフトの貸出の可否、当日使用するマシンスペックなどにレギュレーションが制定された。
- 出場ソフトの決定方法
ドワンゴ社主催の「将棋電王トーナメント」を11月2日~4日に行い、上位5ソフトが出場。
(前回はコンピュータ将棋選手権のベスト5が出場) - 出場ソフトのプログラム状態
電王戦への出場権を獲得したプログラムは、上記「将棋電王トーナメント」出場時のプログラム状態にて出場する。ただし棋譜を利用した自動学習は可とし(カワンゴ談)、バグ修正は不可。使用するOSのプラットフォームは制限なし。
(前回は直前まで開発者側がアップデート・バグ修正を自由に加えられた) - 出場ソフトの貸出の可否
上記「将棋電王トーナメント」出場時のプログラムを出場棋士に貸し出すものとする。
(前回は貸し出しの可否は開発者側に委ねられていた) - 出場ソフトが使用するハードの統一
出場ソフトは全て、ドワンゴ社が提供するPC(ドスパラ提供、CPU:Intel Core i7-4960X、メモリ:64GB、GPU:Geforce GTX660)を使用するものとし、電王戦出場棋士にも同一環境を貸与する。
(前回は使用するマシンスペックは開発者側の自由に委ねられ、クラスタ化も制限がなかった) - 持ち時間・休憩時間の変更
対局は10時に開始され、持ち時間は双方5時間のチェスクロック方式。休憩は12時から13時までの昼食休憩に加え、17時から17時半までの夕食休憩を挟むものとする。
(前回は持ち時間双方4時間、夕食休憩は取られなかった。チェスクロック方式への変更は前回、プログラム側が持ち時間を相当残した状況で「1分将棋モード」にロジック変更した事を鑑みたものと思われる) - 「代指し」の担当変更
電王戦は棋士vsコンピュータ将棋ソフトが、ソフト上ではなくリアルの将棋盤にて指す戦い。なので第1回は中村太地五段(段位は当時)、第2回は三浦孝介奨励会初段(左に同じ)がいわゆる「代指し」を担当し、プログラムの代わりに対戦する棋士と盤を挟んで向き合った。しかし今回は「電王戦」のコンセプトをより押し出すため、代指しをなんとデンソーが開発したロボットアームが担当することに(その名も「電王手くん」)。デンソー開発陣の中にも電王戦ファンが結構いたのでノリノリだったとか何とか。棋士の安全にも配慮がなされ、たとえサトシンが前のめりで長考に耽っても安心。特に他意はないです。
どのような映像が映し出されるか、前代未聞の試みとしても注目が集まる。
と、全般に渡って大きなレギュレーションなどの変更がなされている。
出場棋士&プログラム
参戦棋士は前述の通り、参戦プログラムは電王トーナメントの結果を受けて以下の通りに決定。(棋士の段位は暫定)
2013年12月10日の対戦カード発表会を受け、対局日程などは以下の通りとなった。特筆すべきは「対局会場」。全局が将棋会館で行われた第2回から、今回は東京・大阪・神奈川と回るツアーに変更。タイトル戦でもそうはない(美術館やチャペルや海外でやったことはありますが)各地の対局会場を巡ることもあり、さらなる盛り上がりが期待される。
局(日時) | 出場棋士 | 出場プログラム/開発者 | 対局会場 |
第1局 (2014年3月15日) |
(先)菅井竜也五段 | 電王トーナメント5位: 習甦/竹内章 |
東京・ 有明コロシアム |
第2局 (2014年3月22日) |
佐藤紳哉六段 | 同4位: (先)やねうら王/磯崎元洋、岩本慎 |
東京・ 両国国技館 |
第3局 (2014年3月29日) |
(先)豊島将之七段 | 同3位: YSS/山下宏 |
大阪・ あべのハルカス |
第4局 (2014年4月5日) |
森下卓九段 | 同2位: (先)ツツカナ/一丸貴則 |
神奈川・ 小田原城 |
第5局 (2014年4月12日) |
(先)屋敷伸之九段 | 同優勝: ponanza(電王)/山本一成、下山晃 |
東京・ 将棋会館 |
第一局 菅井竜也 vs 習甦
電王戦 棋譜[第3回電王戦] 第1局 菅井竜也五段 vs 習甦
観客なき有明コロシアムの中央に設営された畳敷きの決戦場、盤を挟んで向き合うは菅井竜也五段と習甦のオペレーションを担当する竹内章さん…だけではなく、前述の通り本日デビューの「電王手くん」。この日までに凝らされた数多の仕掛けもあってか、多くの耳目を集めながら第3回電王戦・第一局は幕を開けた。
意外とちっさい電王手くんが開始と同時にぺこりとお辞儀をする謎の可愛さに、菅井五段からも笑みがこぼれる。緊張感とシュールさの入り交じった不思議な雰囲気の中、先手・菅井五段は公約通り振り飛車を選択。後手・習甦は居飛車を選択し、対抗形と言われる形に。お昼休憩後の再開時に菅井五段は習甦の無理攻めを誘うかのように▲68角と引くが、これが僅かな疑問手。互角からじりじりと習甦有利に傾き始め、飛車の働きを弱める△46歩の垂らし、自陣を固めながら反撃にも使える△42飛など、習甦にいぶし銀の好手が出る。
菅井五段も紛れを求めて▲44銀を放って勝負に出るが、分厚い壁を築いてじりじりと前進する習甦に跳ね返され、美濃囲いを崩されて万事休す。98手にて習甦が勝利を収め、第2回のリベンジ成功となった。
第二局 佐藤紳哉 vs やねうら王
電王戦 棋譜[第3回電王戦] 第2局 佐藤紳哉 六段 vs やねうら王
物議を醸した「やねうら王改変騒動(『第二局対局前の出来事』項目を参照)」の後、予定通り両国国技館にて行われた第二局。大相撲の聖地にふさわしく、和装で現れた佐藤紳哉六段の表情は険しい。やねうら王の開発者、磯崎元洋さんも顔を顰めながらモニターに視線を注ぎ、普段以上にピリピリした空気を漂わせながら戦いは驚きの初手から始まった。
初手、▲16歩。定跡にあるものの、事前の騒動を思えば挑発的とすら感じられる(プログラムにそのような意思はないと分かっていても)初手に、視聴者もざわつく。やねうら王は5手目で▲15歩まで突き、この手が終盤を左右することとなったが…その後は穏やかな駒組みが続き、先手ノーマル四間飛車、後手居飛車穴熊と、第一局に続いての対抗形となった。戦いは右桂を跳ねて後手陣を乱そうとしたやねうら王を佐藤六段が咎め、そのまま後手ペースかと思われたが、佐藤六段が局後に「ウッカリしていた」と悔いた、51手目▲64歩からの流れに疑問手で応じてしまい一気に形勢逆転。やねうら王が後手の金銀を悠々と手にし、佐藤六段を土俵際まで追い込む。
しかし佐藤六段も70手目△63香で飛車角を田楽刺しにする反撃を決めて角をゲット、土俵中央まで盛り返す。が、「長考派」として惜しみなく時間を使ったツケが出てしまい、1分将棋のなか斬り合いに出るも、正確な終盤力を生かしたやねうら王が後手陣に殺到してゲームセット。最後は5手目▲15歩が生きる展開で、95手にてやねうら王が勝利。コンピューター側に2勝目をもたらした。
第三局 豊島将之 vs YSS
電王戦 棋譜[第3回電王戦] 第3局 豊島将之 七段 vs YSS
コンピュータ側の2勝で迎えた第3局は、舞台を大阪・あべのハルカス55階に移して行われた。人間側の反攻を託された中堅は豊島将之七段、勝ち越しを一気に決めたいコンピュータ側はYSSが出場。開発者の山下宏さんは豊島七段が生まれた頃からコンピュータ将棋選手権に出場している古豪であり、同選手権上位入賞の常連でもある。
若手の第一人者と歴戦の古強者の激突は横歩取りと言う、落とし穴が無数に待ち構える派手な戦型に誘導した豊島七段がYSSの22手目・△62玉を咎める形で一気にリードを奪う。後はミスを犯すことなくYSSの反撃を捌ききり、最終的には飛車角全てを手にして83手にて快勝。人間側に待望の一勝をもたらした。
なお電王手くんは駒台にちょこんとヘッドを載せて投了した。デンソー開発陣もこれにはニッコリ(たぶん)。
豊島?強いよね。序盤・中盤・終盤、スキがなかったよ。毎日10時間は研究してたそうです。
第四局 森下卓 vs ツツカナ
電王戦 棋譜[第3回電王戦] 第4局 森下卓 九段 vs ツツカナ
続いての第4局は桜舞う小田原城・銅門にて行われた。勝ってタイに持ち込みたい人間側は森下卓九段、再びの勝ち越しを決めたいコンピュータ側はツツカナが登場。開発者は電王戦ファンお馴染みの妖精さん一丸貴則さん。ちなみに、小田原城・銅門にて将棋イベントが開催されたのは初めてとのこと。
戦いは森下九段・ツツカナ共に矢倉を選び、矢倉の名手がツツカナとがっぷり四つに組む展開に。熾烈かつ互角の攻防が長く続き、「将棋の純文学」とも称される矢倉に相応しい濃厚な一局となった。夕食休憩も近くなった頃、先手陣を崩すべく森下九段が放った78手目△58歩成からの手順で角・金交換とするも、事態はそれほど動かず。逆にツツカナが手にした金を▲44金と打ち付け(87手目)、その対応を誤った森下九段が一気に厳しい局面へ追い込まれる。反撃を繰り出しつつ踏ん張り続けた後手だったが、最後はツツカナが後手玉を即詰みに討ち取り135手にて勝利。昨年の第2回に続き、コンピュータ側が団体としての勝ち越しを決めた。
第五局 屋敷伸之 vs ponanza
電王戦 棋譜[第3回電王戦] 第5局 屋敷伸之 九段 vs ponanza
最終局は東京・将棋会館、棋士の聖地たる特別対局室に場を移して行われた。人間側の総大将は屋敷伸之九段、コンピュータ側の総大将は前回も出場したponanza。開発は将棋ウォーズでもお馴染み山本一成さんと、強豪ソフト「blunder」の開発者・下山晃さんがタッグを組む形で行われ、山本さん曰く「去年出場した、10台クラスタリングバージョンより今回のマシン構成(1台)で動作するponanzaの方が強い」とのこと。
戦いは相掛かりか横歩取りか?と見ている側を惑わせるような出だしを経て、横歩取りからのねじり合いとなった。屋敷九段は53手目▲65桂と跳ねてponanzaに手持ちの金を打たせ、次いでponanzaに先手角を狙わせる展開に持ち込んでいく。ponanzaは角をふたつ手にし、先手角を狙った香車を成らせて先手玉にじりじりと迫るが、先手玉に中段まで逃げ出されて形勢不明に。手持ちの駒が乏しくなった後手に対し、先手がついに反撃開始か…と思われたが、指した瞬間屋敷九段が顔色を失ったほどの失着・103手目▲81成香が勝負を分けた。ponanzaは見逃すことなくこの手を咎め、先手陣で暴れ損ねた駒たちを躍動させて屋敷九段を追い込んでいく。最終的に130手を以ってponanzaが勝利し、第2回電王戦に続いて白星を手にした。
以上、コンピュータ側から見て4勝1敗。第2回に続き、コンピュータ側が団体戦勝利を収めた。
局後、今大会のMVPを選出する視聴者アンケートが行われ、コンピュータ側は習甦、棋士側は豊島七段がMVP候補にまず選出。二者の決選投票の末、MVPは習甦に決定した。開発者の竹内さんには日産からエルグランドが贈呈され、竹内さんも「びっくりしています」と喜びと驚きの声を寄せた。
ノートラブルで指しきった電王手くんと突貫工事のデンソー開発陣も評価されるべきだと思います(小声)
観戦記・外部記事
- ニコニコニュース
- マイナビ
- 週アスPLUS
- 情熱大陸 プロ棋士チーム(テレビ東京)
- サキどり↗ 来たっ!人工知能が切り開くアカルイ未来(NHK)
- サイエンスZERO プロ棋士大苦戦! 進化する将棋コンピューター(NHK)
- 将棋電王戦で大人気だった電王手くん・ここだけの開発秘話(週アスPLUS)
- ETV特集 棋士VS将棋ソフト 激闘5番勝負(NHK)
第二局対局前の出来事
第二局に出場する「やねうら王」に動作安定のためとしてルール上禁止されていたプログラムの修正が行われ、第1局後にその経緯説明を含めた内容のPVが公開された。(現在は非公開になっている)
しかし、ルールを曲げてプログラム修正を許可してしまったこと、修正後ソフトの棋力が大幅に変わってしまったこと、悪乗りした煽りPVの内容と発表の仕方のまずさに対してネットを中心に非難の声が上がる。
最終的に、主催者のドワンゴ川上会長、将棋連盟片上理事、やねうら王作者磯崎氏から経緯の説明と謝罪があり、第二局は当初のバージョンで対局することが発表された。
詳しい経緯は関連記事を参照のこと。
関連記事
- 第3回将棋電王戦 第2局の対局方法の説明
(主催者公式発表)
- 将棋電王戦、「やねうら王」修正前バージョンで対局 ドワンゴ「運営の判断ミス」と全面謝罪
(ITmedia)
- 電王戦第2局「やねうら王」は旧バージョンで ドワンゴ川上会長「誤った判断だった」と特例撤回
(ねとらぼ)
- 将棋電王戦第二局のソフト改変は取りやめに!旧バージョンで行なうことを決定
(週アスPLUS)
関連イベント
電王戦タッグマッチ
第3回電王戦を様々な形で盛り上げるべく、ドワンゴも色々仕掛けていく…との事で、第一弾として前述の通り第2回電王戦出場棋士と、対決したプログラムがタッグを組んでトーナメントで戦う「電王戦タッグマッチ」が8月31日に開催された。
会場はニコファーレ、現地解説に森内俊之名人と谷川浩司将棋連盟会長、聞き手に矢内理絵子女流四段、読み上げ・棋譜担当を藤田綾女流初段、安食総子女流初段、貞升南女流初段が担当と、タイトル戦もかくやの豪華キャストが勢揃い。アシスタントと化した森内名人手持ちの抽選箱から参加棋士5人がトーナメント抽選くじを引き、組み合わせは以下の通りとなった。
第一戦 先手:佐藤慎一四段&ponanzaタッグ vs 後手:阿部光瑠四段&習甦タッグ
第二戦 先手:船江恒平五段&ツツカナタッグ vs 後手:三浦弘行九段&GPS将棋タッグ
第三戦 先手:第一戦の勝者 vs 後手:塚田泰明九段&Puella αタッグ
決勝戦 先手:第三戦の勝者 vs 後手:第二戦の勝者
第一戦から第三戦までは持ち時間60分・切れ負けルール採用、決勝戦は持ち時間60分・時間切れ後は30秒の秒読みルールが採用された。
第一戦は切れ負けルールと言うプロでは珍しい時間制限に両棋士の駆け引きが交錯。藤田女流初段が指し手を必死で読み上げる中、阿部&習甦タッグの猛攻を見切った佐藤&ponanzaタッグが勝利した。綾ちゃん乙でした。
第二戦は優勝候補と目される両ペアが登場。難解な横歩取りに進み、その難解さに「横歩取りはよくわからない」と称する阿部四段が「わからない」解説を連発。塚田九段の解説ヘルプを仰ぎつつ、やっぱり「よくわからない」難解な戦いを三浦&GPSタッグが制した。
第三戦はモビルスーツ乗り塚田&Puellaタッグに佐藤&ponanzaタッグが挑み、第二戦に続く横歩取りに。谷川会長も森内名人も「わからない」を連発する難解な中盤戦を経て、佐藤&ponanzaペアが勝利を収めた。永世名人にも横歩取りは「わからない」。コール君は正しかったッ!
決勝戦は佐藤&ponanzaタッグと三浦&GPSタッグが激突。角換わりから後手:三浦&GPSタッグが優勢を築き、佐藤&ponanzaタッグが堪え忍ぶ展開に。森内名人が「また勉強になっちゃったな~」とウキウキしながらGPSの読み筋を解説するなど後手勝利は間近かと思われたが、佐藤&ponanzaタッグは粘り強い指し手を見せ、秒読みに入ってからは佐藤四段がponanzaやGPSの読みを超える勝負手を放つなどして大熱戦に。エキシビジョンマッチとは思えないガチな戦いに、「今年の名局賞モノでは」との声も上がる。最終的に153手を以て佐藤&ponanzaタッグが大逆転勝利を収め、初代タッグマッチ王者に輝いた。第2回もあるよね?
大熱戦後のインタビューではちょっとグロッキーな佐藤四段が「ポナンザの指し手と違う読み筋もあったが自分を信じて指した」と語り、ponanza開発者の山本一成氏も「ponanzaの指し手を無視されて2回くらい揉めたりしたけど、「俺を信じろ」と佐藤四段が言うのでお任せした」と笑顔で語るなど、ライバルのような協力関係を築けていたことが見て取れた。「共存共栄」を探る実験的イベントではあったが、人間のいいところ、コンピュータの良いところ、両方が高次元で融合した名局の誕生もあり、今後の展開にも期待したい。
「GPSがこれ指せって言うからさ~(´・ε・`)」ってむくれながら解説してたみうみうかわいいよみうみう。
棋譜
- 第一局 阿部・習甦タッグ vs 佐藤・ponanzaタッグ / KIFファイル
- 第二局 三浦・GPS将棋タッグ vs 船江・ツツカナタッグ / KIFファイル
- 第三局 塚田・puella αタッグ vs 佐藤・ponanzaタッグ / KIFファイル
- 第四局 三浦・GPS将棋タッグ vs 佐藤・ponanzaタッグ / KIFファイル
関連記事
- 自戦記
- 観戦記
将棋電王トーナメント
2013年11月2日~4日に掛けて開催され、栄えある初代チャンピオンを前回電王戦にも出場したponanzaが予選からの全勝優勝にて勝ち取った。概要・結果などは『将棋電王トーナメント』を参照。
電王戦リベンジマッチ
12月31日の大晦日、第2回将棋電王戦 第3局でツツカナに惜しくも敗れた船江恒平五段がリベンジマッチを行った。
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(ニコニコニュース)
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ニコニコ超会議3
超囲碁・将棋ブースにて、『豊島将之七段&YSS vs Ponanza×ツツカナ×習甦』が行われた。
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その他のイベント
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2014/03/01 - 【将棋】電王ponanza(ノートPC)に勝てたら100万円!挑戦者求む!(1日目)
2014/03/02 - 【将棋】電王ponanza(ノートPC)に勝てたら100万円!挑戦者求む!(2日目)
2014/03/05 - <将棋棋士のテレビ実況生放送>サッカー日本代表 VS ニュージーランド
2014/03/08 - 【将棋】電王ponanza(ノートPC)に勝てたら100万円!挑戦者求む!(3日目)
2014/03/09 - 【将棋】電王ponanza(ノートPC)に勝てたら100万円!挑戦者求む!(4日目)
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2014/03/23 - 仮面ライダー電王 #26-#49 一挙放送【後半】/第3回将棋電王戦記念
2014/03/24 - 手数を当てたら100万円!最強将棋芸人VS電王ponanza
関連商品
関連項目
外部リンク
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