ZUNTATAとは、株式会社タイトーに所属するサウンドチームである。 チーム名「ずんたた」は、3拍子を口ずさむ「ずんたった」に由来するとのこと。
ゲーマー的にはタイトーが開発・販売するゲームソフトのサウンドクリエイター集団として著名である一方、自社カラオケ機器向けの音楽アレンジなども彼らが担っていた。
概要
1980年代後半から90年代初頭にかけて、ゲーム・ミュージックは一種のブームを迎えていた。 各メーカーのサウンドチームがバンド化しライブ活動も盛んになり、サイトロン・アンド・アート(当時)の バックアップもあってチームごとに個性を発揮し活動していた。タイトーサウンドチームもこの流れを受けて、 「ZUNTATA」の名前とシンボルマークをデザインしバンド化。現在受け継がれるシンボルマークの 弁財天のモチーフはこの時立ち上げられたもの。 ZUNTATAは当時のゲーム音楽の中でも際立った「メッセージ性」を発揮し、独自の地位を確立したチームである。 ゲームの展開に楽曲をもって物語性を与える方法を開拓し、後のゲーム音楽製作に大きな影響を与えた。 否、現在も与え続けている。
2000年代に入った頃からタイトーのゲーム製作にかかわる状況の変化などに伴って、スタッフの脱退や新加入、事業内容の変化などが相次いだものの、現在も活動は活発。同世代において名前や活動が立ち消え同然なバンドもある中、ゲーム音楽ブーム時代の世代としてはもっともタフなチームと言いうるかもしれない。
昭和62年(1987年)、『タイトーゲームミュージックVol2 ダライアス』のレコーディング中にアルファレコードからユニット名のようなものを作らないかという提案があり、小倉久佳が同僚に相談した所、"ZUNTATTA","OTAMA","BENZAI-TEN"など幾つかの案が出され、最終的に"ZUNTATTA"から"T"を一文字抜いた"ZUNTATA"に決まった。ちなみにイギリス人プロデューサー(ミュージシャン)のトレヴァー・ホーンが立ち上げたZTTレーベルと略称が共通している点は全くの偶然である(トレヴァー・ホーンという音楽プロデューサーに興味はあったがサウンドチームの名称決定には影響していない)。
現在のメンバー
敬称略
- 石川勝久
- 通り名ばびー(BABI)。ZUNTATA現リーダー(5代目)。サウンドエフェクト(SE)担当であり、メタルブラックやダライアス外伝、ダライアスバーストなど数多くの作品のSEを手掛けてきた。「ZUNTATA-J.A.M.」のボーカルとして『電車でGO!』の主題歌である「電車で電車でGO!GO!GO!」の歌唱、さらに広報役としての仕事もこなしている。現在、ZUNTATAにおける最古参メンバー(1990年入社)。
- 土屋昇平
- 代表作はメタルウルフカオス、ダライアスバースト。他、携帯ゲームやアーケード専用ゲームなどの楽曲も担当。
フロムソフトウェアから移籍し現在に至る。ZUNTATAブランド久々のSTGタイトル「ダライアスバースト」のメイン作曲を担当し、ZUNTATAの健在ぶりを見せ付けた。ダライアスバーストのリミックスアルバムなどでも見せたように企画力にも定評がある。
- 森正樹
- 通り名MASAKI。元からタイトーの社員としてサウンドに携わってきたが、COSIO亡き後脱退後に正式にZUNTATAメンバー入りした。COSIOの弟子後任としてCOSIOが担当してきたグルーヴコースターのサウンドデザインなどを担当している。
- 下田祐
- 「YS」の名義で知られる作曲家。2000年代初めごろから活動を開始し、インティ・クリエイツ、ガストと移籍をしつつも作曲活動を継続。ガスト退社後、フリーとして数年活動した後、2017年にZUNTATAのメンバーとして加わった。
過去のメンバー・関係者
敬称略
- 小倉久佳
- 通り名OGR。代表作はダライアス・シリーズ(初代からGまで。バーストにはスポット参戦)、ニンジャウォーリアーズ(1987)。ZUNTATAライブではキーボード担当。言わずと知れた、ミスター・ZUNTATA。タイトーサウンドチームがZUNTATAを名乗る以前から、ゲーム音楽の作曲をしていた(影の伝説や奇々怪界など)。詳しくは独立項目を参照されたい。
現在はフリー。
- 高木正彦
- 通り名Mar.。代表作はラスタンサーガ・シリーズ、ナイトストライカー(1989)。3代目リーダー。ZUNTATAライブではギター担当。
最古参メンバーの一人。ヒロイックだが何かしら捻りを利かせた作曲が特徴。珍しいところでは、GAMERA2000(1997)のメイン作曲も担当。ZUNTATAブランドを背負って他社作品の作曲を引き受けた、稀有な例である。
現在は後述のSayokoこと上田砂代子氏と結婚し、ZUNTATAを離れている。
- 渡部恭久
- 通り名Yack。代表作はサイバリオン(1988)、メタルブラック(1991)、など。ZUNTATAライブではキーボード担当。
元々は作曲に興味がなかったらしい・・・が、名作多数。詳しくは独立項目を参照されたい。余談だが、対戦格闘ゲーム「カイザーナックル」や「ファイターズインパクト」の作曲も担当、通常2~3ラウンドでは聞ききれないほど、1ループが長い曲を書いている。
(株)スーパースィープへの移籍を経て、現在はフリー。旋光の輪舞など、グレフでの活動が著名。
- 河本圭代
- 通り名TAMAYO。代表作はレイシリーズ。ZUNTATAライブではキーボード担当。
レイシリーズでアーケーダー達にその名を知らしめたテクノの申し子。この記事にある「ZUNTATA的楽曲作成」を、もっとも典型的に実行している一人である。サントラのライナーノーツの情報量などに、それは伺える。
現在はフリー。ボーカリストCyuaとのユニット「BETTA FLASH」を運営。TVアニメ「ナイトウィザード」では、劇中・EDの作曲を担当した。
- 古川典裕
- 通り名中山上等兵、もしくはなかやまらいでん。代表作は電車でGO!、グリッドシーカー。ZUNTATAライブではショルダーキーボード担当。DADDY MULKの三味線部分を片手で弾きこなすなどスキルは非常に高い。
「当時の上司曰く、自分は最後の叩き上げ」とのこと。詳しくは独立項目を参照されたい。ニコニコ動画に動画をうpしていたりする。
現在はフリー。
- 海野和子
- 通り名Karu.。代表作はパズルボブル、プリルラ、カプリチオ(クレーンゲーム)。ZUNTATAライブではキーボード担当。
ZUNTATAきってのポップ屋さん。ゲーセンのフロア中に優しく響き渡るパズルボブルのBGMが、耳に残っているゲーマーも多いことだろう。現在はリトミック講師として活動している。
- 中澤秀一郎
- 通り名SHU、もしくは秀。シュウ・ナカザワの名でも知られる。代表作はOutburst4D、クレオパトラフォーチュン、ガメラ2000など。現在はフリーのコンポーザー。ZUNTATAライブではパーカッション担当。煌めくような高音で奏でられるリリックで叙情的な楽曲を得意とする。
- 相澤静夫
- 通り名Splatter.A。代表作はダライアスツイン、レインボーアイランド、オペレーションサンダーボルトなど。ZUNTATA初期から外注としてタイトーのサウンド制作に協力。現在は音楽制作会社サウンドウェイブ代表取締役。
- 高萩英樹
- 通り名Dr.Haggy、もしくはHAGGY。キューティーHAGI(C・HAGGY)と名乗っていたことも。現在はフリー。代表作はサイキックフォース・シリーズ、バトルギア2、武刃街、ゾイドインフィニティなど。ヒット作サイキックフォースの作曲を担当し、それまでのZUNTATAとは一味違ったセンスを表した気鋭。後に電車でGO!のヒット後には、バンド内バンド「Janky As Machine」(ZUNTATA-J.A.M.)のフロントマンも担当した。
- 櫻井浩司
- 通り名CHERRY。代表作は逆鱗弾、SuperFootballChumpなど。現在はフリーのコンポーザー。タイトーから独立後もエナジーエアフォースシリーズ、スペースインベーダーエクストリーム2、QIX++など同社のタイトルのサウンド開発に携わっている。他社の作品ではアークザラッド精霊の黄昏、アークザラッドジェネレーション、REZなどを担当。
- 瓜田幸治
- 通り名URI。代表作はバトルギア、電車でGO!3通勤編、パズルボブル3など。ほかにもGダライアスや電車でGO!シリーズなどの効果音も担当していた。現在はフリー。TV番組/映画等の音楽制作に加え公共施設や電子楽器のサウンドデザインに関わっている。また、ZUNTATA移籍以前はマイクロキャビンに在籍し、幻影都市やXak III、MSX版プリンセスメーカーを手がけた知る人ぞ知るFM音源の名手。
- 上田砂代子
- 通り名Sayoko。代表作はガラクタ名作劇場 ラクガキ王国、ゾイドインフィニティなど。
- 現在はMar.こと高木正彦氏と結婚し、テルミンの演奏者として活動の幅を広げているほか、NPO法人ピコリの代表としてリトミック教育にも携わっている模様。
- 三澤宏行
- 通り名SAWAMMY。代表作はJETでGO!、サイドバイサイドなど。現在の動向は不明。
- 中西宗博
- 通り名Mu-Nakanishi。代表作はガメラ2000など。ZUNTATAライブではドラム担当。1999年のイベント「ZUNTATA NIGHT」では各曲のリミックスを担当した。後に後述の国京砂織氏と結婚。現在の動向は不明。
- 君島正
- 通り名KIMI。代表作はアルカノイド、バブルボブルなど。現在の動向は不明。
- 八木下直人
- 通り名YAG。代表作はワイバーンF-0、ファイナルバブルボブルなど。現在の動向は不明。
- 山田靖子
- 通り名Yasko。代表作はバブルシンフォニー、バブルメモリーズなど。現在は有限会社リーブ代表取締役として独立して作曲活動をしている。
- 堀内理美子
- 通り名Rim.、もしくはRimmy。代表作はパズルボブル4など。クレオパトラフォーチュンのボイスなども担当しているとのこと。現在は作曲活動から離れている模様。
- 国京砂織
- 通り名Sally。MediaBox用のゲームのサウンドなどを担当。ZUNTATA-J.A.M.のアルバム「スペース遣隋使」において自身の歌声を披露している。現在は前述の中西氏と結婚し、karu.と同じ所でリトミック講師をしている。
- 池田宜史
- 通り名ike、もしくは池田(弟)。作曲担当ではなく、着メロやカラオケなどの音楽を担当していた。現在、ニコニコ生放送でピアノ演奏者「ikeさん(池田宜史)」として活動中。 また、クイズ番組「アタック25」における1997年の年間チャンピオンとしての顔も持つ。
- 大縫一行
- 通り名POCHI。ナイトストライカーなどの名作のSEを手掛け、後年はレコーディングエンジニアとして活動。ZUNTATAマニアの皆さんにはお馴染みの「タイトーDJステーションのZUNTATAヲタ」や、1998年ライブの「ディック山本」はこの人がやっている。中々に芸達者である。
現在はゲーム業界から離れている模様。
- 鎌田良和
- 通り名KAMATY。主にサウンドエフェクト担当だがZUNTATA内でのレコーディングエンジニアなどとしても活動。Dr.Haggyやばびーらと共にバンド内バンド「ZUNTATA-J.A.M.」を結成していた。
- 小塩広和
- 通り名COSIO。代表作はスペースインベーダーエクストリーム・シリーズ、スペースインベーダーインフィニティジーン、GROOVE COASTERなど。3画面筐体の初代ダライアスを知らない、新世代のクリエイターとのこと。GROOVE COASTERでは作曲の他ゲームデザイン自体にも参加している。現在はフリーランスの作曲家として活動している。
- 内田哉
- 通り名hyu。ZUNTATA4代目リーダー。チーフプロデューサーを務める。プログラマーとしてゲーム開発の他、サウンドドライバ、音送信システム/サーバの開発などに携わる。プロデューサーとして企画、CD配信プロデュースなども手がける。現在は独立し、株式会社ファラッドの代表を務めている。
- 高橋誠仁
- コモエスタ高橋の名で活動するギタリスト。過去幾度のZUNTATAライブにおいてもサポートメンバーとして参加し、観客を熱狂させた。 現在もギタリストとして活動しており、「Japan Game Music Festival 2013」にてZUNTATAと久々の共演を果たした。
- 殿村裕誠
- 通り名TONO。代表作は天地を喰らう、クイズHQ、レイシリーズ(サウンドディレクション)など。2代目リーダー。
河本圭代と同じくカプコンからの移籍組で、初代リーダーである今村善雄の後任[2]。現在は実業家に転身。
- 今村善雄
- 通り名IMA。代表作はエレベーターアクション、ちゃっくんぽっぷ、ワイルドウエスタン、チェイスHQなど。初代リーダー。最も古くからタイトーに在籍し、初期のタイトーサウンドを牽引した[3]。現在はアーケードゲーム機製造会社ジョイテック取締役。
他にも直接サウンドには関わらないスタッフのクロちゃん、MIZUKI、Kuma-Pなど中々表舞台に上がらないスタッフも多数所属している。しかし、これら全てのスタッフが長きに渡ってZUNTATAの存在そのものを支えてきたという事実に注目されたい。
その特異性
「その日の夜、僕は「音画」を目指しているのだとはっきり解った。 数年考え続けていた事への解答だった。だから何をしても許されるし、現実に何をしても良いのだと思う。
自分の中で制約をつけてしまいがちなゲーム音楽の世界からフッと自由になった 気がした。ゲーム音楽を「VGM」と呼ぶ事自体、単なる記号化でしかないのだ。音楽はもっと自由であるべきだし、理論<マニュアル>や発音数<ハード>を 気にするよりも、作品自体に何らかの意志が投影されていれば、その世界を充分に 楽しむ事ができるはずだ。「ゲームに合っていれば良い」時代は終わりである。 だから僕は「音画」を創りたい」
─── 小倉久佳
アルバム「nouvelle vague」ライナーノーツより。
この言葉が示す通り、ZUNTATAの製作するゲーム・ミュージックはそれが収録されているゲームの内容から逸脱さえして、独自の内容を有している事がしばしばある。具体的には、ゲーム内では語られる事のない独自のサイド・ストーリーやコンセプトを構築し、それに基づいた作曲を行う、などである。この点において同時期に人気を博したサウンドチームとは明らかに差別化されている。 重厚な背景設定に基づく音づくり、またステージ毎の曲展開はストーリーとのシンクロ率が極めて高く、ゲーム外でもゲームを楽しむプレイヤー達から熱狂的支持を受けた。TAITO製作のアーケードゲーム、特にSTGにおいては深い世界観がしばしば評価されるが、彼らZUNTATAの活動がそれに寄与していたことは疑いがない。
反面、やや難解であると評する者も多く、好みが分かれる側面も持つ。特にOGR氏が手がけた ダライアス・シリーズ後期はそれが顕著になる。
関連動画
ZUNTATAタグで見つかる動画は、大半がサウンドトラックの転載、もしくはプレイ動画である。いわゆるMAD動画の素材に用いられることは少ない。楽曲がひとつのストーリーやコンセプトに則っているため、他の素材とかみ合わせ発展させるのが困難なためだとも思われる。 ただし、ZUNTATAに影響を受けたコンポーザーが現在も各方面で活躍中のため、似たような曲調を聞くことがあるかもしれない。
ZUNTATA曲とコラボさせたアイマスMADを製作し続ける、コアいアイマスPもいる。
ZUN氏の楽曲を、ZUNTATAのメンバーCOSIO氏がアレンジしたもの。
「エナジーエアフォース」シリーズの楽曲も手掛けている。
現在
タイトーゲーム部門の縮小や方向転換、さらには身売り・・・という出来事が重なり、事業内容の変化や拡大期のスタッフの外部流出などが相次いだことで「ZUNTATAらしい音楽づくり」をする機会が大幅に減ったことから、古参のファンからは「ZUNTATAは終わった」という見方をされることがしばしある。しかし実際には、前述の通り活動は健在。そして2009年には久々のSTGタイトル「ダライアスバースト」も発売されるなど、その命脈は太くつながっている。さらには外部に散ったコンポーザー、またZUNTATAの今までの活動に影響を受けたコンポーザーが各方面で「ZUNTATA的音づくり」を受け継ぎ、現在も活動している。
「ZUNTATA」の名前はタイトーサウンドチームの名であるとともに、それらコンポーザーが活動の原風景としている「世界」と「方法」の代名詞としての意味合いを含んでいるのである。
最後に
Mar.先生、文集の発売はまだですか。もう20年待ってるんですがorz
→※Mの文集「プロローグ」
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関連項目
関連リンク
脚注