※この記事はネタバレを含んでいます。
2005年5月7日に公開された日本映画。フジテレビ系列局において、テレビドラマ及び劇場映画として制作が行われてきた、踊る大捜査線シリーズから派生して作られた作品。本作以降「踊るレジェンド」と称される派生作品が制作されていく。
主演は、シリーズ開始当初からメインキャストの一人でありながらOPでクレジットがハブられ続けてきたユースケ・サンタマリア。東京の地下鉄を舞台に、正体不明の爆弾魔と、警視庁初の交渉人である真下正義を中心とした警視庁の面々の攻防が描かれる。
時系列としては2003年11月に発生した台場役員連続殺人事件を描いた映画「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!(OD2)」から1年後にあたる。本作公開に前後して、本作の前日譚や同時進行劇を描いたドラマも制作されている。
踊るシリーズの世界の物語として、未出演のキャストや過去の事件について触れられる部分はあるものの、物語は本作のみで完結している。縦割り社会や上層部の圧力といったしがらみの描写も殆どないため、誰にでも楽しめるように作られているのもポイント。
2003年11月24日、台場役員連続殺人事件が解決した直後の湾岸署前において、報道陣に囲まれる男の姿があった。警視庁初の交渉人、真下正義である。
真下「確かに僕は、警視庁初の交渉人なんて騒がれていますが・・」
舞台は、東京に8つの地下鉄路線を持つ、東京トランスポーテーション・レールウェイ(略称:TTR)の総合指令室。クリスマスイブによる乗客の増加により、列車の遅延が目立ち始めていた。そんな中、指令員の一人が、中野と西船橋を結ぶTTR東陽線、中野方面行きの列車運行標示盤の、葛西~西葛西間を移動する不穏な車両の標示を発見する。
時同じ頃、警視庁のホームページに、弾丸ライナーを名乗る不審な人物から、奇妙な犯行声明文がアクセスされてきた。
室井慎次管理官の指名により、警視庁初の交渉人、真下正義は総合指令室へ向かう。東京の地下鉄を舞台とした戦いが始まる。
「雪乃さん、必ず行くから。」
警視庁初の交渉人(別名、ネゴシエーター)。OD2において犯人グループとの交渉に活躍したものの、その後の報道陣を相手にした調子が良すぎる性格が災いし、弾丸ライナーに名指しされてしまう。
「ここ、居心地悪くないっすか?」
OD2において、湾岸署地下の監視ルームで防犯カメラを運用しつつ捜査本部の弁当を食べていた青年。本作では犯人のプロファイリングに活躍。
「だからなんでバックアップ取ってないんだよ!」
交渉役として真下を始めとする交渉課準備室を指名する。自らが推進してきた交渉課を指名したことや、真下自身の性格の問題について、上層部からよく思われていなかった模様。
本作の事件終結後、新宿北署の捜査本部に呼び出され、物語は次作「容疑者 室井慎次」へと続いていく。
本作が初登場の刑事。荒っぽい口調にサングラス、タバコがトレードマーク。地上班のリーダーとして犯人を追う。口調は悪いものの真下曰く「悪い人じゃない」とのこと。「俺の勘は外れたことがない」が持論だが、永田町駅で草壁中隊長を探す際に、うっかり遠い階段を降りてしまう一面も。
「裏の裏の裏って・・裏じゃありませんか?」
木島の部下。常に木島と行動を共にしているため、彼の野生的な性格に苦労している様子。
「出番のないまま退却か・・。」
OD2冒頭の訓練で青島に撃たれるという失態を演じたSATの中隊長。クモ狙撃のために永田町駅へ出動する。
テレビシリーズ第2話の湾岸署爆弾騒動以来の登場。葛西第二公園の爆破現場に出動する。木島とは飲み友だが、木島とは違い「勘は当てにならない」とのこと。
「ねえ、何かあったの?」
OD2で犯人グループに誘拐されるものの、捜査員たちの活躍により無事救出される。真下からのストーカーまがいの恋愛アプローチを受け続けている。
TTRの総合指令長。偉そうな態度についての評判がよろしくない模様。線引き屋の熊沢以外の人物の殆どを名前で呼ばない。指令室を訪れた真下のことも当初は快く思っていなかったものの、徐々に信頼を寄せ始める。
「何言ってるんだお前?自分が言っていることが分かっているのか!?」
地下鉄の列車運行管理担当。上記のセリフは、真下が交渉の過程で犯人に放った言葉に対してのもの。片岡以外の指令長の中で、名前を呼ばれる場面がある唯一の人物。
「乗務員のいないヤツが、なんで勝手に走り出したんだ!」
地下鉄の運行システム担当。ATO及びPTC-S1の不調に関し、新橋マイクロシステムの業者を呼ぶ。
地下鉄の車両管理担当。クモの狙撃計画開始に関し、真下にクモの図面を見せる。
「各線給電緊急チェックだ!そうだよ緊急!」
地下鉄の電力設備担当。
「ハハハハハハハ・・あれ?」
TTRの広報担当。保守姿勢ばかりの指令員たちに変わり、真下たちにTTRの情報やクモの情報を提供する。モットーは「広報は明るく愛想良く」。
「お払い箱からのご帰還だ!」
列車のダイヤを組む専門職。通称「線引き屋」。クモの出現によって乱れたダイヤを修正するべく、指令室に現れる。
「来た!」
「職務中にすみませんでした!」
職務中に私物の携帯電話でクモを撮影していた駅員。彼が撮影したクモの運転台の写真が事件解決の鍵となる。
「ぶつかるぞー!」
「九段下・・封鎖できません。」
九段下駅の改札係員。1023列車とクモが九段下を通過するのに際し駅封鎖の指令を受けるも、多すぎる旅客に改札を突破されてしまう。
スタートレックの赤い服を着用している、踊るシリーズ恒例の脇役。本作では冒頭のおもちゃ屋の場面で買い物をしている。
クリスマスコンサートにおけるシンバル奏者。ボレロの演奏中、背後から現れた何者かにより、自身の演奏(のみ)を妨害される。
フジテレビのアナウンサー。デパートのタワービジョンに映る番組「男おばさん」の中で、ラヴェルのボレロを紹介していた。笠井アナは本作のDVDプレミアムエディション(後述)において、本広監督と共にコメンタリー出演もしている。
「男の人って困りますわね。」
片岡の母親。息子の勤務先のデスクに直通電話をかけてくるあたり、かなりの世話焼きであることが推察される。片岡とコンサートを見る約束をしていたものの、息子が来ないと知り帰宅するが、その際雪乃と会話をしている。
本作序盤に登場する、クモE4-600の紹介映像のナレーター。
本作の被疑者。事件序盤の段階では性別や性格・前歴等は一切不明なものの、プロファイリングの過程で、社会との接触が極めて少ない引きこもり系の人物であることが推察されていく。
本作に登場する架空の鉄道会社。東京メトロ及び前身の営団地下鉄がモデルになっている。劇中で「民営化」という単語が登場することから、株式会社であることが分かる。
営団地下鉄が使用していたSマークの横棒部分を「TTR」としたようなデザイン。ただし上部や下部の線も営団地下鉄のSマークよりも細めになっているため、細部も含めると異なる点は多い。本作公開時に発売された公式ガイド本には、ウルトラセブンに登場するウルトラ警備隊のマークに似ていると記されていた。
| 路線名 | ラインカラー | 区間 | 軌間 | モデルとされている実在の路線 |
|---|---|---|---|---|
| 渋谷線 | オレンジ | 渋谷~浅草 | 1435mm | 東京メトロ銀座線 |
| 八重洲線 | 赤 | 荻窪~池袋 方南町~中野坂上 | 1435mm | 東京メトロ丸ノ内線 |
| 目黒線 | シルバー | 中目黒~北千住 | 1067mm | 東京メトロ日比谷線 |
| 東陽線 | スカイブルー | 中野~西船橋 | 1067mm | 東京メトロ東西線 |
| 代々木線 | 緑 | 代々木上原~綾瀬 綾瀬~北綾瀬 | 1067mm | 東京メトロ千代田線 |
| 桜田門線 | ゴールド | 和光市~新木場 | 1067mm | 東京メトロ有楽町線 |
| 九段下線 | 紫 | 渋谷~押上 | 1067mm | 東京メトロ半蔵門線 |
| 白金線 | エメラルド | 目黒~赤羽岩淵 | 1067mm | 東京メトロ南北線 |
ラインカラーは実在する東京メトロの路線と同じものが使われているが、本編内では撮影されたロケ地の都合上、設定されたラインカラーと対応しない車両が(主に総合指令室に置かれているモニターに)登場していることがある。
| 路線名 | ラインカラー | 区間 | 軌間 | モデルとされている路線 |
|---|---|---|---|---|
| 14号線(仮称) | 不明 | 渋谷~池袋 | 1067mm | 東京メトロ13号線(仮称) |
「東京メトロ13号線」は、本作が公開された当時建設中であった、東京メトロ副都心線に付けられていた仮称である。
劇中では、東陽町、九段下、永田町など、東京メトロの駅として実在する駅名がそのまま登場しているが、企業名や施設名が使われている以下の3駅は駅名が変更されている。
これらの駅名はメイキング映像や、公開当時に展覧会で展示されていた路線図などで確認できたものである。
劇中で真下が言及する「渋谷線から九段下線に乗り換える日本橋駅」は、上記の日本橋室町駅(実際の三越前駅)のことである。
本作に登場する乗務員や駅員は、実際の営団地下鉄の職員が着用していたものより明るめな緑色の制服を着用している。本作に出演した俳優陣の他、撮影のために運転された回送列車を運転した実際の乗務員も着用していた。
「メトロ太郎」と呼ばれる、車両をモチーフにしたマスコットキャラクターが存在する。作中では「名前募集中」ということで、キャンペーンの上りやポケットティッシュなどが登場している。
車輪の幅を変えられるフリーゲージ機構を持ち、標準軌1435mm及び狭軌1067mmの双方の路線を走ることができる。内部には蓄電池が搭載されており、パンタグラフから集電・充電した電気を使った非通電区間の走行も可能になっている。
銀色の無塗装。前面は流線形。南海電鉄50000系(ラピート)や南満州鉄道を走行していたあじあ号をモデルに生成されている。
本広監督曰く、格好よくもあり、怖くもある外観にしたかったとのこと。「地下鉄の車両の原則である前面の貫通扉を無視するのに迷いがあった」というのがデザイナーの談。
本作公式グッズとして、プラレールやチョロQなどが発売されていた。
東京の地下鉄を舞台とした本作であるが、東京メトロ及び都営地下鉄では撮影の許可が降りなかったため、東京以外の地下鉄(及び地下都市トンネルが存在する鉄道事業者)で撮影が行われることになった。そのため本編に登場する鉄道車両は(都内で撮影された場面に偶然映り込んだ車両を除き)全て東京以外の都市を走る車両である。
本作のエンドロールにおいて「ロケーション協力」としてクレジットされている鉄道事業者は以下の通り。(クレジット順)
劇中で東陽線の車両として登場。実際の車両を用いたロケの他、CGによる車両同士の接触、模型を使用したトンネルシーンの撮影などが行われている。
当時横浜市交通局で活躍していた車両がいずれも登場する。路線は1号線及び3号線と呼ばれていた。ブルーラインという路線名がつけられるのは、本作公開後の(グリーンラインが開業した)2008年3月30日である。
クモの暴走が始まる直前の赤坂見附駅の場面において側面のみ登場。(1011という車両番号が視認できる。)
本作のオープニング場面の「NAGOTIATOR」の字幕が登場する場面に登場。
東陽町駅の場面が撮影された。クモに後続の1033列車が衝突しかける場面においては、実際に車両を運転して撮影が行われている。
劇中で西車両基地として登場。
SATが大手町駅ホームから線路内へ突入する場面が撮影された。メイキング映像における神戸市交通局の職員のインタビューもここで行われている。
東車両基地の場面が撮影された。劇中ではクモが発進した場所とされている。
永田町駅の場面が撮影された。「カーブの途中にある島式ホーム」という、実際の東京メトロ有楽町線の永田町駅に似た駅構造であることがロケ地の選定理由とされている。
2005年12月に発売された、本作のDVD。収録内容は以下の通り。
この他、TTRの路線図や美術スタッフが用意したリンクネタ等の見どころを収録したブックレットが同封されている。ブックレットの裏表紙には黒字に白色でTTRのロゴが描かれている。
本作の公開に前後して発刊された書籍。
「公式ガイドブック 交渉人 真下正義 完全FILE」(角川書店)
「交渉人 真下正義 ネゴシエイションズガイドブック」(宝島社)
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最終更新:2025/12/13(土) 13:00
最終更新:2025/12/13(土) 12:00
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