家系ラーメンとは (イエケイラーメンとは) [単語記事]

家系ラーメンとは、横浜のラーメン屋・吉村家を源流とするラーメン屋、或いはその店で提供されるラーメンの事を指す。多くの店が『～家』という屋号を出した事から、家系と呼ばれるようになった。横浜で広がったことから『横浜家系』とも。

概要

一般的には、こってりとした豚骨醤油のスープに、太いストレート麺が特徴とされる事が多い。家系と称されるラーメン屋の中には、『吉村家の家系』をインスパイアした店や、『～家』という屋号を出さない店などもあり、定義は非常に曖昧になっている。

麺
- 上記のとおり、ストレート太麺が基本で、かん水の量は少なめ。注文の際、茹で加減を調整できる所が多い。
- 酒井製麺が一番、次いで大橋製麺所、丸山製麺所が良く利用されている。他、長多屋製麺、増田製麺等の麺が使用されている。
スープ
- 基本は豚骨、鳥ガラ、昆布からスープが取られる。長時間過熱される為、ゼラチン質が溶け出している。
- 醤油味。注文の際、濃さを選べる。
- 油には鳥脂が使用される。油量の変更が出来る。
- 以上の麺の固さ・味の濃さ・油の量の変更が可能な店舗は多い。この際、『コイカタオオメ（＝味濃いめ・麺固め・油多め）』等と言った呪文が使用される。
具
- チャーシューの他、ホウレンソウと数枚の大判海苔が乗るのが基本。
- 他にはニンニク、味たまご、ネギ等、一般的なラーメンのトッピングが使用される。
サイドメニュー
- 基本的にどの店も少ない。炒飯はおろか、餃子を置いている店も多くはない。
- ライスの注文は基本。スープの味が濃いめの為、ライスサービスや食べ放題の店も多い。ライスに、スープを吸わせた海苔を巻いて食すのが通（らしい）。
- 一部店舗では、『キャベチャー』という、キャベツと唐辛子をごま油で炒めた料理が出される。他、漬物が卓上に置いてあり、無料の食べ放題としている店舗もある。
店
- 食券の店が多い。チェーン店の山岡家では、食券購入の際に、麺の固さや味の濃さ等の情報を入力する。
- 基本は禁煙。店の外に灰皿が置いてある。濃いめのラーメンを食った後は、タバコが吸いたくなるもの。

系譜

太字は吉村家直系の認定店。店主が数店舗で修業したケースもある為、書き様によってはこうなりません。

吉村家系

吉村家 - 横浜市西区。総本山。
- 本牧家 - 横浜市港南区。吉村家姉妹店。元々吉村家店主が経営していたルーツとなった店。
  - 寿々㐂家 - すずきや、寿々喜家。横浜市保土ヶ谷区。
    - 菊池家 - 神奈川県大和市。
    - 甲子家 - 横浜市緑区。細麺が存在、あっさりめのスープが特徴の異端児。
  - 川崎家 - 川崎市を中心に数店舗存在。
    - まこと家 - 青物横丁駅近く。家系だが、ホウレンソウが入っていない。
    - いくた家 - 生田駅近くの店舗。
    - 甲州家 - 東京都八王子市。
  - 千葉家 - 千葉市若葉区。
  - 創家 - 高円寺に存在した店舗。現在は閉店し、店舗は吉祥寺武蔵家となっている。
    - 桂家 - 東京都杉並区の店舗。都内家系店舗の最高峰とも称される。
  - 緑家 - 福生市に存在した。現在は閉店。
  - 末広家 - 千葉市中央区末広に存在。千葉県内最高峰とも称される。移転前の名前は中野家。
  - 天神家 - 東京・亀戸の店舗。本牧家姉妹店。
  - たま家 - 東京都多摩市。わかめのトッピングが珍しい。
- 六角家 - 本牧家のスタッフが独立して作った店。チェーン展開する、家系ブームの火付け役。カップ麺等も販売。しかし本店は経営悪化で2017年10月末に閉店、2020年9月に破産手続きを開始した。他の店舗は別経営であるため営業を継続中。
  - ONO MICHI - 横浜・保土ヶ谷区。元は家系と尾道ラーメンの二枚看板の店。
  - 笑の家 - 東京・麻布の店舗。六角家姉妹店。『しょうのや』と読む。
  - 麺屋市政 - 千葉県市川市。市政家とも。
    - 恵家 - 千葉県四街道市。
  - かまくら家 - 横浜市港区・弘明寺駅傍。千代作の親店舗らしく、油そばを扱う。
    - 千代作 - 東京・高田馬場。かまくら家と同様、家系でも数少ない、油そばを扱う店舗
  - 湘南家 - 藤沢市・湘南台。藤沢周辺の家系の元祖。
    - 匠家 - 茨城県・水戸駅近くの店舗。
    - だし家 - 湘南台に存在した店舗。現在閉店。
    - 浜子家 - ＜詳細不明＞匠家店内の家系図に乗っているらしい。情報求む。
  - 横濱家 - 横浜市北部を中心にチェーン展開。不動産業『ハウゼ』の資本。
  - 近藤家 - 横浜・都筑区。六角家姉妹店。
    - 萬家 - ばんや。神奈川県・堀之内駅近く。
    - 大山家 - 東京都武蔵野市。近藤家姉妹店。
  - 介一家 - 横浜市中区に本店。支店が多い。
  - 金八家 - 横浜・金沢区。六角家姉妹店。
  - 吉田家 - 静岡県内に店舗を構える、六角家・近藤家の姉妹店。家系で初めてキャベツを入れた店。
  - 大桜 - 横浜市緑区。広義の『家系』の代表格。暖簾分けが多い。
  - 梅家 - うめのや。梅乃家とも。本厚木の二代目が有名。
    - 武蔵家（吉祥寺） - 東京・中野の武蔵家（たかさご家系列）とは別店舗。
    - 虎ノ穴 - 千葉市稲毛区。
  - つるちゃん - 大和市に存在した店舗。現在閉店。
- 中島家 - 横浜市西区の店舗。キャベツやレタスのトッピングがある。
  - みやこ - 中島家姉妹店。名前が宮古島に由来し、ソーキそばを元にしたメニューも存在。
  - こうや - 東京・蒲田　今は閉店してしまったが、店主はこの店の創業者の一人である。
- 杉田家 - 横浜市磯子区。家系四天王。家系直系第一号店。
- はじめ家 - 富山県魚津市。家系四天王。北陸唯一の直系店舗。
- 環2家 - 横浜市港南区。環状2号線沿いに店を構える。家系四天王。店主の不祥事が一部で有名。
- 王道家 - 千葉県柏市。家系四天王。かつては吉村家直系だったが2011年に破門扱いとなった。
- まつり家 - 神奈川県藤沢市。ラーメン屋としては珍しい、女性店主が有名。
- 横横家 - 横浜市金沢区六浦（東京へ移転）　仙台店（仙台市若林区新寺）　東京店（文京区湯島）
- 高松家 - 香川県高松市。
- 厚木家 - 厚木市内の店舗。
- 上越家 - 新潟県上越市。2009年開業の、直系では一番新しい店舗。
- 大ちゃん - 神奈川県大和市にかつて存在した店舗。
- おーくら家 - 東神奈川の店舗。東京・中野等にも店舗がある。
- ぎょうてん屋 - 『家』でなく『屋』。他と比べ、スープがアッサリな所為で、家系とは違うジャンルと見られる事も。
- 八正家 - 港南区にかつて存在した店舗。現在は閉店。
- 長谷川家 - 横須賀の店舗。初代店主は既に故人で、現在は二代目。

独立系

壱六家 - 通称「壱系」の総本山。1992年に開店した吉村家インスパイア系のラーメン店。吉村家よりも濃厚でクリーミーなスープが特徴。多くの家系ファンを魅了している。家系の店の多くで推奨されている「美味しいライスの食べ方」（ニンニクと豆板醤をライスに乗せ、ブラックペッパーをふりかけて、スープに浸した海苔で巻いて食べる）はこの店の発案。
- 壱八家 - いっぱちや。チェーン店。クリーミーなスープと特製の太麺が特徴。
- 大黒家 - だいこくや。チェーン店。
- 壱寅家 - 千葉県新松戸。
- 松壱家 - 神奈川県内で展開するチェーン店。
- 半蔵 - 東戸塚、大和市内に店舗。
- つき家 - 閉店。
- 酒々井家
- 林家
- 魂心家 - こんしんや　チェーン店。東京・横浜が中心だが、大阪・静岡・愛知・福岡にも店舗がある。
吉本家（磯子）
- 北本家
- 一平家
- 力じから
- 大丸家
吉本家（中山）
たかさご家 - 92年開業の、独立系では老舗。横浜市南区の高砂町に店を構える。
- 町田家 - 町田に本店を構えるチェーン店。
- よこはま家 -川口市と鎌ヶ谷市に店舗。
  - 田中家 - 千葉県松戸市。
  - 大黒家 - 千葉県船橋市。
- 武蔵家 - 六角家系列とは別店舗。新中野に店を構える。
  - 武道家 - 東京・早稲田。ライスの食べ放題が早大生に人気。
増田家 - 元は旭川ラーメンの店。店主は定休日に家系の店で修業し、後に家系に鞍替えした。
- 一岡家 - 四街道市吉岡に存在。元吉岡家。家系らしからぬ、つけ麺、中華そば等のメニューがある。
山岡家 - 吉村家と同じくラーメンショップに源流を持つチェーン店で、家系ラーメンではない。家系と異なり、スープには鶏ガラや野菜は含まず純粋な豚骨スープであり、アブラは鶏油では無く、ラードを使用。麺は家系のものより太い。北海道進出から札幌風に味噌味、塩味、醤油味の三味がレギュラーメニューになった。
- 山下家 - 茨城県取手市。
家家家（ヤーヤーヤ）- チェーン店。北海道に進出した札幌では貴重な家系ラーメン店。味噌味、塩味、醤油味を揃える。ライス無料、おかわり自由。トッピングにもやしがある。お新香はサービス。
麺GO家 - 北海道札幌市に本拠を置くチェーン店。柔らかく煮た豚バラの巻チャーシューを提供。ライス無料、おかわり自由。細麺が選べ、替え玉もやっている。
三元 - 北海道札幌市に本拠を置くチェーン店。北海道では珍しい横浜家系ラーメンを提供している。店主は吉村家で修行したらしい。塩味、醤油味、味噌味、カレーラーメン、海老ラーメンなどメニュー豊富である。ライス無料、おかわり自由。
銀家 - 札幌市中央区宮の森に本店がある店だが、横浜市にあるオリジナル系の銀家の系列店である。味噌味、塩味、醤油味を揃える。トッピングにもやしや、角煮、コーン、バターなどが用意されている。

北海道の横浜家系は味噌味、塩味、醤油味を揃えて札幌ラーメンや同地で強力な山岡家に対抗している。ラーメンの聖地札幌では六角家が撤退に追い込まれたことがあり、一時家系は全滅していた。北海道で成功するためにはスープの熱さと、三味を揃える必要があるようだ。

資本系

2010年代からは大型外食チェーンが本来の家系とは無関係に展開する家系インスパイア的なラーメンチェーン（「横浜家系ラーメン町田商店」など）が増えており、本来の家系と区別するため俗に「資本系」と呼ばれている。前述の通りスープは本来炊き続けて作るところを、セントラルキッチンで作ることにより、味は画一的かつ時間経過による変化が見られないのが特徴とされる。

本来味の均一な資本系は家系ファンに避けられることも多いが、2020年代のコロナ禍で個人店が淘汰されていく中で壱角家、町田商店をはじめとした店舗が飛躍。ライト層をはじめとした幅広い年齢層を引き込み、家系の巨大勢力を作り上げている。

壱角家 - 企業再生M&Aを手掛ける株式会社ガーデンが運営。東京近郊から店舗を増やし、現在はアジアにも店を構える資本系の代表格。麺類の別事業ではだるまのめ、壱角堂といった家系以外のラーメンを提供する店舗を有している。
町田商店 - ギフトホールディングスが運営。壱六屋の系譜を継ぎ、スタッフの明るさや清潔感のある店舗で勢いを伸ばしている。別事業で次郎インスパイアのラーメン豚山などを展開。