SDガンダムフォースとは2004年に放映されたサンライズ製作のロボットアニメである。略して「SDGF」。
概要
SDガンダムを題材とし、トゥーンレンダリングによるフル3DCGで製作されたTVシリーズ。
TV放映されたガンダムの中でも、Gガンダムに比類するくらい特に異色の、そして知る人ぞ知るドマイナー作品。
モチーフとなったガンダム作品は、アメリカで放映されたシリーズに登場した機体に限られている。
ちなみに全52話はあのVガンダムをも越えて全ガンダムシリーズ最長となっている。
さらに付け加えると、日本放映時には既にアフレコを含めてほぼ全ての作業が終了していたそうな。
布教用のMAD製作、セルDVD発売嘆願活動等非常に熱心なファンが多い作品でもある。
そして念願叶ってDVD-BOX発売&オールナイト上映会が行われた。
ここまできたら次は続編だよな!……と思っていたら三国伝が一年間完走してしまいましたとさ。
しかもスーパーロボット大戦参戦も先を越されてしまいましたとさ!
詳しい内容はWikipediaまで。やたらと詳しい。詳しすぎる。
スタッフと技術について
このアニメはモーションキャプチャーでキャラクターを動かし、SDのアクションに反映させるという作業が必ず行われる。
元々ウルトラマンを始めとした特撮畑の阿部雄一(現・アベユーイチ)が監督になったのもそのためである。
こういった経緯から、この作品には円谷プロからのスタッフ出張もいくつか見られた。
何気に特撮ファンにも美味しい要素の多い作品であったりする。
副監督、という珍しい役職が設けられているのは、アニメに詳しくない阿部監督を補佐するためである。
抜擢されたのは近藤信宏であり、阿部と二人で作品構築を進めていったという。
モーションキャプチャーについてもう一つ、興味深い話がある。
終盤の4クール目に拝むことが出来る、天宮編の合戦シーンは、まず3Dでなくては拝めない代物である。
何故かというと、よく見るとちゃんと一体一体の兵の戦闘が細かく描かれているからである。
本作はモデリングだけでは動かすことは稀で、馬体型である炎天號もモーションキャプチャーで作られていた。
つまり、前述の合戦もまた一人一人モーションキャプチャーで動きを作って取り込んでいるということになる。
こういった技術により、当初の目的である製作におけるコスト削減は達成された模様。
反面、スケジュールに余裕のない状況が続き、お蔵入りになったり方向転換した内容も結構あるようだ。
評価
「3DCGはちょっと……」とか「キャプテンの口がキメェ」などと敬遠される事が多いことで知られる作品。
実際放送当時からこのフェイスオープンがネタにされ、からかわれていたことは事実である。
そういった点が響いたのか、商業的には鳴かず飛ばずで、セルDVDの発売も永らく行われなかった。
特に第1クールはネオトピアへの侵攻から街や市民を守るという受け身体勢の話が多く、テンポも悪いためファンの間でも評価が割合低め。だが、
第2クール目からは魅力ある新キャラの大量投入やシリアスモードへの本格的な舵取りなど展開は一転し、作りこまれた世界観の設定を考察する楽しみが生まれるなど、軒並み高評価となってくる。
当時のCG新技術を組み込んでいたこともあり、1クール目の展開は基本的にテンポが悪く、手探りであることが浮き彫りであった。しかし2クール以降精錬されてくるにつれ、視聴者の評価も安定していく。
この作品で「フル3Dアニメーションを見直した」という人も多い。
また、足を引っ張った1クール目も、グダグダなテンポではあるが、物語として全て見所がないわけではない。
スタッフも主張しているように、前半を見ておくと後半のキャプテンガンダムの成長がよく感じられる。
これはすなわち、キャプテンガンダムとCGスタッフの成長劇なのである!
アニメーションだけでなく、脚本的にも評価は高く、涙腺崩壊アニメとしても評価が高い。天宮編の後半からはほぼ毎週泣いてる視聴者もいたとか……。
基本的にメイン・サブレギュラー級のキャラクターに、展開上無駄なキャラがほとんどいないため、善・悪・空気キャラと、それぞれにファンが付いているくらいである。それだけに涙腺を抉られる視聴者も多いようだ。
極めつけはファンの間で特に評価された51話で、視聴者の涙はここで散々絞り出されてしまった。
だというのに、トドメの最終話・52話で、最後の一滴まで搾り取られてしまうのである。恐るべしSDGF。
設定など
一見すると独自の設定が目立ち、かつてのSD作品を軽視していると言われる部分が多い。
が、実際は旧SDの設定をしっかり理解したうえで作品に盛り込んでいるので、その認識は改めるべきと言えよう。
機械のガンダム、騎士ガンダム、武者ガンダムが共演するという内容は『SDガンダム緊急出撃』がモチーフである。
そのため、旧作ファンでも十分にこの作品の世界観は十二分楽しめる(はず)。
作中登場するヴァトラスの剣やスペリオルドラゴンは違う形で採用されているが、旧作を思わせる設定を加味。
頑駄無結晶は作中で触れられていないがさりげなく大将軍の意匠に採用。
さらにさらに、本作では獅子の牙も見られる!などなど……むしろSDガンダムファンをニヤリとさせる展開が結構盛り込まれているのだ!
あと騎兵か巨人の伏線なども存在し、これらは構想上にあった続編への引きとして残されているようだ。
なんでこない、続編……。
前後に放映された機動戦士ガンダムSEED&SEED DESTINYとは何かと比較対照に上げられることも多かった。
ちなみに後者は短期間ながら同時期放映だった。新作TVシリーズの並行放送はガンダム史上初のことである。
だからなんだとか言うな!
神谷浩史の元祖ガンダムキャリア
今や大人気声優となった神谷浩史が念願のガンダム作品に初出演したのは、忘れられがちだがこの作品である。
放送当時は周囲から「キャプテーン」と呼ばれていたらしい。
ガンダムEXPO2009では、本作に未出演なはずの置鮎龍太郎から「キャプテーン」という呼び声がかかっていた。
神谷本人もこの作品についてはいろいろと思い入れがあるようだ。
ガンダムEXPO2009でも周囲の皆に作品の解説をしたり……。
SDフレクション(本作の玩具)について説明したり(今でも飾ってるとのこと)。
このときは何故か行われたSDGF初の声優出演イベントということで、珍しくSDGFについていろいろ語っていた。
本作のセルDVD化は神谷ににとってもかなり念願だったらしい。
DVD-BOX化の際はメーカーから貰ったのに、嬉しくて自分でも買っちゃったと言われている。
ちなみにキャプテンの口に関しては神谷自身も「ゲッ!」と思ったそうな。(監督「ここまで話題になるとは……」)
監督的に、神谷浩史のガンダムシリーズにおける出世振りは感慨深いものがあったようだ。
(キャプテンに加え、コックザコやザコブッシA役といったイロモノもやっていたため)
その他・裏話
- 初期案でのキャプテンガンダムはベビーシッターで、作品自体SFになる予定じゃなかった。
- トールギスのT様という愛称は、富野御大がいきなり制作現場にやってきて、スタッフ全員が「T様がきた!」と大騒ぎしたことから、同じイニシャルのトールギスのあだ名にT様という名前が設定された。。
- 富野は本作に関心が高く、時間があればコンテ切りたかったと言ったり、「翔べ!ガンダム」の歌詞の一節を使用したいと言ったPUFFYの申し出を快諾したらしい。
- ネオトピア編は『友情』、ラクロア編は『愛』、天宮編は『親子』がテーマとなっている。
- ラクロアと天宮のあるソラディオラーマという異次元空間は、ネオトピアの未来の姿である。
- ラクロアが人間と共存の道を継承した国で、天宮はメカ達が独自の文化等を発展させた結果生まれた国である。続編では、ジェネラルの影響で分断されたこの未来を元の時間軸に戻すため、旅をするという構想だった。
- ハイパーキャプテンガンダム、騎馬王衆はカトキハジメのデザイン。元気丸は横井画伯のデザイン。
- 元気丸の「元」の字の前掛けのなかには、騎馬王丸と同じ色の頑玉(文字は元)がある。(親子関係を隠すため)
- ネオトピアには「人間のような等身のロボットを作ってはいけない」という法律がある。それはかつてネオトピアのある世界で巨大ロボット(MS)同士の戦争があり、それで荒廃したため。
- ネオトピアタワーの下には、戦争の戒めとしてその兵器の残骸が眠っている。50話で打ち捨てられたロボが転がっているシーンはそれを暗示している。
- 脚本家「こっちは一生懸命書いてるのに、ザコザコアワーに勝てねぇ……」
- ラクロアの王様は、何代目かは不明だがちゃんとレビル王という名前である。
- アフレコはド厳しく、かつてのロラン役だった朴璐美すら「代わりはいくらでもいる
」と言われた。
- 池田秀一と言えば実はSDガンダムは苦手だった(ギャグの一部が地元の方言で卑猥な意味合いだったため)というのが有名だが、本作はガチ悪役だったため楽しんだとのこと。池田「シャアじゃないよ(笑)」
- 放映前のインタビュー
神谷「ガンダムに乗るのは夢だったけど、まさかガンダムになるとは……」
伊藤(炎天號とデスサイズの人)「ガンダムに乗るのは夢だったけど、まさかガンダムに乗られるとは……」 - 伏線が放ったらかしにされまくっているが、これは続編をやるために残したもの(悪いセーラちゃんとか考えられていたらしい)。
- DVD-BOXの特典映像「ザコザコアワー-Special Edition-」に登場するΖガンダムサイは、当時モチーフとして用いられなかった作品である機動戦士Ζガンダムからの出展となる唯一のキャラ(メカ?)なお、横には黒いガンダムサイも飛んでおり、これをガンダムサイMk-ⅡとするのであればこのガンダムサイもΖモチーフとなる。
- 2ちゃんねるの新シャア専用板には、本作の要素をモチーフとした、有志が作ったロゴがいくつか掲載されていて、今でも残っている。
商業的な黒歴史
その後の扱いにも大きく影響を与える商業的成績だが、SDガンダムフォースは見ての通り、最悪であった。
これはガンダムシリーズの中でも数少ない惨敗に終わったと言っていい。
テレビ東京というローカルTV局での放送だから、という理由がよくあげられるが、同じ状況下にある三国伝が別に失敗しているわけでないところから見ても、それは間違いだと言える
その原因は、初期段階で視聴者のハートを掴めなかったことが大きい。
また、CGに癖があるということや、旧来のSDガンダムファンにも本作を受け入れない視聴者がいることなど、今までのニーズにあったコンセプトでないことが原因としてあげられる。
メイン玩具のSDフレクションは、初期のものが特に出来が悪く、完全に翼の騎士ゼロは誰だお前状態である。
これらは後に発売した新商品におけるコンパチ仕様によって少しは改善されたが、既に根付いた風評を打破出来るほどのものではなかった。
機動戦士ガンダムSEEDの頃に発売したものを踏襲した簡単組立てプラモも出来が悪く、SDガンダムにとってメインとなるBB戦士も、本編の等身とまるであっていない寸胴になっているなど、商品化の面ではとことん不遇であった。
人気の無さが災いし、放送から数年間セルDVDが発売されない、再放送されてもセレクション形式などなど……とにかくバンダイから嫌われた作品であった。
そもそもこのアニメ、商品を本当に売る気があるのか?という展開が多い。
例をあげると……。
- 強化武装形態であるヘビーウェポンキャプテンガンダムは第2クールのネオトピア編ラストにしか出てこない。しかも戦いの最中に破壊される(武装はハイパーキャプテンに流用されたが…)。
- しかもそのライバルキャラにあたるコマンダーサザビーは一切玩具化されずに終了。
- 第3クール目のオプションV仕様のキャプテンガンダムは商品化されず。ハイパーキャプテンの装備を用いればなんとなく再現可能だが、バックパック構造が違うので完全再現は不可。
- ガンイーグル、ガンダイバーなどの第2クールからの主力商品は本当に第2クール限定キャラ。あとは4クール目の最後にしか出てこない。
- 翼の騎士ゼロ以外のキャラの最強パワーアップ形態が第4クールからと、遅い。キャプテンに至っては最終装備が本当に決戦のみの装備になってしまっている。主人公を売りたくないのかバンダイ。
- 爆心丸に至ってはかなり早くからネタバレ的に商品が出ていたのに出演は第4クール目。
- それに反して1クール目のキャラ商品はこれでもかというくらいバリエーションが広い。ただこの時の商品が酷いのでユーザー離れを招いた。
ただし、こうした商品展開をまるで考えない構造が、作品が良作化した理由とも言えなくはないので、一概に全てが悪いとは言い切れないだろう。
二次作品参戦の可能性
かれこれ製作開始から約10年経過した本作だが、その後クロスオーバーゲーム・作品などには一切登場していない。
当時はGジェネレーションやスーパーロボット大戦くらいしかなかったが、今ではガンダム無双シリーズに、SDガンダムカプセルファイターオンライン、ガンダムブレイカーなど、様々なガンダムコラボゲームが登場している。
しかしそれだけの環境が生まれ後輩の三国伝は稀に重用されても、SDガンダムフォースは無視され続けている。
理由はやはり上記に記した通り、商品価値が薄いと判断されている点だろう。知名度が低いのも痛ましいところ。
加えてSDガンダムであることから、リアル等身のゲームには組み込みづらいこと(組み込むにはリアルにしなくてはいけない) 、SDのままクロスオーバーさせるにもサイズの問題が生じる。
つまり、SDガンダムフォースを登場させるには、ハードルが多すぎるし高すぎるのである。
今、一番有力視されるのはスーパーロボット大戦だが、これにしたって等身大キャラクターの採用は例外的である。
もし参戦させるのだとすれば……
- SDガンダムフォースのキャラクターが参戦しても問題ない世界観に出来る登場作品群に突っ込めること。最も有力なのは、ガンプラを題材にしたガンダムビルドファイターズ。
- 何かしらバンダイ的に商品化価値を生み出したいとした場合。
- 初代機動戦士ガンダムのようにすごい再評価が起こった時。
など、大変局地的な需要に限られてしまうので大変厳しい。
とか思っていたら三国伝がSDガンダムフォースを差し置いて参戦という快挙を成し遂げる。
しかしSDガンダムフォース側からすればもはやダークアクシズの陰謀としか思えない扱いである。
近年ではBB戦士よりLegend BBという新企画が発足。
タイトルのイラストにもキャプテンガンダム(SDGF)が栄えあるSD戦士の中に顔を揃えいる。
購入者の声次第ではもしかするとキャプテンガンダムにスポットが当たることがある、かもしれない。
(DVD-BOXに合わせたBB戦士の再販もあったし、売り切ったし、需要がないわけじゃない………はず)
関連動画
そんな一年間の努力の結晶がEVOLVEの武者頑駄無編で発揮されている。
この技術でSDGF続編作ってよサンライズさん……。
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