ここだけは
涙に暮れた一年
その悔しさを
晴らすために
ここだけは
負けられなかった喜びを忘れた一年
あの煌めきを
取り戻すために
ここだけは
負けたくなかった
ヴィルシーナとは、2009年生まれの日本の競走馬である。おもな勝ち鞍は2013年、2014年ヴィクトリアマイル。それ以外に牝馬三冠レースを含んだ重賞5戦連続2着という競馬史上稀に見る珍記録を持っている。馬主は元プロ野球選手の佐々木主浩。
主な勝ち鞍
2012年:クイーンカップ(GIII)
2013年:ヴィクトリアマイル(GI)
2014年:ヴィクトリアマイル(GI)
この記事では実在の競走馬について記述しています。 この馬を元にした『ウマ娘 プリティーダービー』に登場するキャラクターについては 「ヴィルシーナ(ウマ娘)」を参照してください。 |
概要
概要
父 ディープインパクト
母 ハルーワスウィート
母父 Machiavellian
生産 ノーザンファーム
調教師 友道康夫
馬主 佐々木主浩
名付け親は佐々木主浩の妻である榎本加奈子
父は後述の三冠牝馬ジェンティルドンナを輩出し、当時種牡馬としても競馬界を席巻していた三冠馬ディープインパクト。母は尻尾の無い馬として馬主の佐々木がベタ惚れしていたハルーワスウィートで、母父にドバイWC馬Street Cryなどを輩出し母父系で成功を収めているMachiavellian。佐々木の所有馬には大抵”ヴ”を馬名に使っており、同馬もその慣例に倣っている。下記についても参照。
2歳~桜花賞まで
8月28日の札幌の芝1800mの新馬戦で福永祐一鞍上でデビューし、1番人気に支持され2着に1馬身1/4差でデビュー戦を飾った。2戦目は京都の500万下の黄菊賞。1番人気に推されるも3着惜敗。3戦目の阪神競馬場での500万下のエリカ賞は逃げるタガノレイヨネをマークする形になりゴール前クビ差制して2勝目を飾った。翌2012年2月のクイーンカップは直線抜け出して、重賞初制覇を果たす。ここまでは桜花賞の有力候補のうちの1頭に過ぎなかった。
栄光の2getの歴史(三歳春)
ここまでは順調に勝ち進みGI制覇の期待も大きかったのだがここでジェンティルドンナという大きな壁(もとい馬)にぶつかるのだ。 桜花賞では1/2馬身届かず2着となる。
続くオークスではジェンティルドンナの主戦騎手であった岩田康誠が、NHKマイルカップでの斜行により騎乗停止になり川田将雅に乗り替わりとなる等、ジェンティルドンナに勝つチャンスが来たかと思われたがまたしても2着。しかもジェンティルドンナには5馬身もぶっちぎられる始末であった。
栄光の2getの歴史(三歳秋)
休養明け秋初戦のローズステークスはヴィルシーナは450(+18)、宿敵ジェンティルドンナは472(+12)とどちらも大幅な体重増で挑んだ。そろそろ奴を倒して3度目の正直といきたいところだが1馬身半差及ばず3戦連続重賞2着となった。
そして秋華賞は最後の直線でジェンティルドンナとの叩き合いになるも、ハナ差(その差約7cm)で4戦連続2着となった。日本の三冠競走で1着、2着が全て同じ馬となったのは史上初であり、父親も同じ(ディープインパクト)というのも史上初のことである。そしてなにより、日本の競馬史上初めて牝馬三冠競走で全て2着獲得した準三冠牝馬の誕生となったのだ!これは牡馬三冠競走を含めても1958年のカツラシユウホウ以来の記録である。
その後エリザベス女王杯に出走。ジェンティルドンナ不在ということもあり、レインボーダリアに首差で2着に敗れ、重賞5戦連続2着、三歳だけでGI2着を4回も達成してしまう。同一年度内でのGI2着4回はメイショウドトウ以来、地方競馬の統一GIも含めればシーキングザダイヤ以来の大記録!三歳馬では史上初の大記録である!
ちなみに、管理調教師の友道康夫は同年の菊花賞でも管理馬のスカイイグニティが2着になっており、また友道調教師出走馬のGI参戦は前述のヴィルシーナでの参戦とスカイイグニティの菊花賞のみであるため、5戦連続でGI二着になり、管理調教師のGIにおける2get記録にも花を添えることとなった。
なんとも記録づくめの偉大なる2getである。
すごいぞヴィルシーナ!
競馬界の2getの重鎮横山典弘も驚いてるであろう難しい記録を作ってしまうのであった。
2013年 GIへの栄光と不満足の秋
古馬としての初戦では牝馬限定競争ではなく、オルフェーヴルを初めとする牡馬のGI馬が複数出走する大阪杯を選択。ジェンティルドンナ相手の善戦が評価されたのか、4番人気に支持されるが6着に敗れ、連続2get記録は途絶えることに。
次走は春の大目標ヴィクトリアマイル。エリザベス女王杯同様ジェンティルドンナ不在のため、1番人気に支持される。 レースでは最後の直線内で粘るマイネイザベルを交わした直後、惨敗続きで人気を落としていた昨年の勝ち馬ホエールキャプチャに強襲されるが、ハナ差でこれを凌ぎ悲願のGI勝利を挙げた。その後、安田記念に出走するが、こちらでは見せ場を作ることなく8着に敗れた。
秋は京都大賞典から始動。ここでは逃げを選択するが、前残りを嫌ったゴールドシップが作り出した7ハロンものロングスパートに巻き込まれてまたしても8着に敗れた。次戦は秋の大目標であるエリザベス女王杯。この年の二冠牝馬メイショウマンボを抑えて1番人気に支持されるが、レースでは何故か中団といういつもとは違う位置取りを取るが同じ位置にいたメイショウマンボに4コーナーで内に封じ込まれた結果、直線で前が詰まり10着と大敗を喫してしまう。この結果に不満だったのか、中1週でジャパンカップに出走。秋華賞以来となるジェンティルドンナとの対戦が実現したが、鞍上が天皇賞(秋)の敗北によりジェンティルドンナを下ろされた岩田康誠であったため、人馬によるリベンジなるかと囁かれた。しかし、持ち味を生かすことができないスローペースから勝負となったため、7着に終わり不完全燃焼感が漂う形で2013年の秋を終えた。
2014年 復活、引退
2014年は東京新聞杯から始動。東京のマイルという前年の栄光の舞台だが、勝ち馬ホエールキャプチャから1.2秒離される11着と完敗。「終わった馬」扱いされても仕方ない状況だったが、9ヶ月ぶりにヴィルシーナに騎乗した内田博幸ら陣営の考えは違っていた。近走の凡走は良かった頃の勝負根性を無くしている結果だと考え、勝負根性さえ取り戻せば能力は他の馬に引けを取らないと確信していた。そして次走の阪神牝馬ステークス、陣営は勝敗を度外視し、1400mというヴィルシーナにとって初体験の厳しい流れのレースで中団待機の馬込みに入れる競馬を選択。11着と着順は完敗だったが、陣営は確かな手ごたえを感じていた。
そして本番、ヴィクトリアマイル。人気は11番人気まで落としていた。しかしヴィルシーナは陣営の努力の甲斐あって、いい時の気合が戻ってきていた。パドックや返し馬では尻っぱねをして、邪魔だどけとばかりに内田騎手を振り落とそうとする。前走までのおとなしさとは打って変わった姿を見て、友道調教師も「これはいける」と思ったらしい。
レースでもヴィルシーナは抑えられない気合を見せる。7枠14番と外枠ながら好スタートからどんどん加速し、積極果敢にハナを奪う。内田騎手もヴィルシーナの気持ちに合わせるように、無理に抑えることなく前半を46秒2のタイムで通過。そして直線。この時つけていた後続との差はわずかに1馬身ほど。追い込んで来るのはGI3勝馬メイショウマンボ、翌年の覇者ストレイトガール、2012年の覇者ホエールキャプチャ。しかしそれら全てをど根性でねじ伏せ、結局最後まで先頭を譲ることはなかった。終わってみれば1/2馬身差をつけての逃げ切りで、ヴィクトリアマイル史上初の連覇達成。陣営の努力が実を結んだ結果となった。
次走は宝塚記念を選択。有力馬が顔を揃えたため12頭立ての8番人気と低評価だったが、ここでも積極的な逃げを見せゴールドシップ、カレンミロティックに次ぐ3着と好走。ついでにジェンティルドンナ(9着)にも初めて先着。ヴィクトリアマイルの復活劇はフロックではないと印象付ける走りであった。
その後は休養に入り、休み明けのエリザベス女王杯では11着。引退レースとなった有馬記念では超スローペースの逃げで、先行策をとった目の上のたんこぶ宿命のライバルジェンティルドンナに最後に花を持たせた。21戦5勝2着5回。GIでは2-4-1-5と、時代を代表する名牝と言っても過言ではないだろう。
引退後は初年度にキングカメハメハと交配し、ブラヴァスと名付けられた子は2020年の新潟記念を制している。モーリスと交配した3番仔のディヴィーナは4歳春にオープン入りした後、地道に力を着け、5歳秋に府中牝馬ステークスを制し、晴れて2頭目の産駒重賞ウイナーとなった。
主戦騎手との関連
主戦騎手の内田博幸は、2012年にヴィルシーナ以外でもグランプリボスでGIで2回2着をになっており、この年はGI戦線で2ゲッターとして活躍した。
その一方、同年はゴールドシップでGIを3勝しており、同一年内GI9連帯という、GI2着の巨匠横山典弘でも達成したことのないすばらしい記録を出したのである。
管理調教師との関連
管理調教師の友道康夫は2012年にヴィルシーナ以外にもスカイディグニティでセントライト記念と菊花賞、レオプライムで京王杯スプリングカップ、ムスカテールでアルゼンチン共和国杯の2着を獲得しており、2012年だけでも通算8個の重賞2着を獲得しており、これまたヴィルシーナに負けず劣らずの2ゲッターとして活躍している。
馬主との関連
2ゲッターの称号を得た彼女だが、馬主の佐々木主浩もまた「2」という数字に縁がある。佐々木が帝王切開で生まれたのが2月22日2時22分」、そして佐々木の長女は「2時22分生まれ」。野球の記録に関しても、背番号は「22」。連続試合セーブ数が22。12月22日に入団会見が行なわれた。ベイスターズの球団事務所は横浜市中区本町「2丁目22」である。このように2に関するエピソードが多い彼の魂が、愛馬であるヴィルシーナの方にも2着という形で移ったとの声が実しやかに囁かれている。佐々木自身エリザベス女王杯終了後のインタビューでは「ここまで2着ばかりだと、 僕の生まれ(2月22日)が悪いのかなぁ。」と少なからず意識している模様である。しかしヴィルシーナは2013年5月12日のヴィクトリアマイルでGIを勝利しようやく彼女に栄光が訪れた。そして翌年にはこのレースで2連覇も達成した。やっぱり2じゃないか。更に産駒のディヴィーナは2月24日生まれであり、3歳時の5月22日3歳未勝利戦でデビューし初出走初勝利。その後なかなか出世できなかったが2年後の5歳時にようやく本格化。ヴィクトリアマイル4着の後、重賞で2戦連続で2番人気で2着の後、GII府中牝馬ステークスで重賞初勝利(ヴィルシーナ産駒としては2頭目の重賞勝利)を挙げるなど、娘も「2」に縁があるようである。
別の話になるが、彼女の母ハルーワスウィートは生まれつき尻尾が生えておらず、そうした特徴から現役ファンの時代ファンの多い馬であった。佐々木もその1人であり、馬主になったらその仔を買おうと決めていた。2022年現在ハルーワスウィートの仔は彼女を含めて8頭が生まれ7頭がデビューしているが、皆佐々木が落札している。
主な実績
通算21戦5勝
ヴィクトリアマイル優勝(連覇)
クイーンカップ優勝
準三冠馬(牝馬三冠での達成はJRA史上唯一)
重賞5戦連続2着(日本競馬史上唯一牝馬)
血統表
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
*ウインドインハーヘア 1991 鹿毛 |
Alzao | Lyphard | |
Lady Rebecca | |||
Burghclere | Busted | ||
Highclere | |||
ハルーワスウィート 2001 栗毛 FNo.12-c |
Machiavellian 1987 黒鹿毛 |
Mr. Prospector | Raise a Native |
Gold Digger | |||
Coup de Folie | Halo | ||
Raise the Standard | |||
*ハルーワソング 1996 栗毛 |
Nureyev | Northern Dancer | |
Special | |||
Morn of Song | Blushing Groom | ||
Glorious Song | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Halo 3×4×5(21.88%)、Northern Dancer 4×5(9.38%)、Matalma 5×5(6.25%)
主な産駒
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
- 競走馬の一覧
- 2012年クラシック世代
- ジェンティルドンナ
- 2get
- 内田博幸
- 岩田康誠
- ディープインパクト
- 三冠馬
- 準三冠馬
- 佐々木主浩
- 榎本加奈子
- 横山典弘
- ディヴィーナ(ヴィルシーナの三番仔)
- アリダー(アメリカクラシック準三冠馬)
- カツラシユウホウ(準三冠馬)
- コンサートボーイ(南関東準三冠馬)
- アドマイヤタイシ(時期を前後して重賞5戦連続2着を達成した競走馬)
- ディアデラノビア(重賞5戦連続3着を達成した牝馬)
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- アポロマーベリック
- サナシオン
- サンビスタ
- シゲルスダチ
- ジェンティルドンナ
- ジャスタウェイ
- ノヴェリスト
- ノーブルミッション
- ハクサンムーン
- ハタノヴァンクール
- ハナズゴール
- パールシークレット
- フェノーメノ
- ホッコータルマエ
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