薩摩ホグワーツとは、薩摩藩士とホグワーツ魔法魔術学校の要素が混ざったインターネットミームである。
概要
薩摩藩の武士についてのインターネット上のイメージと、小説『ハリー・ポッター』シリーズ等に登場するホグワーツ魔法魔術学校の要素が混ざったTwitter発のインターネットミーム。広まったのは2023年2月である。
シチュエーションに関しては
- ホグワーツ魔法魔術学校に留学生として入学した薩摩藩士
- ホグワーツの薩摩分校
- ホグワーツの5番目の寮である薩摩寮(薩摩藩寮)
- 薩英戦争の際に遭遇した薩摩藩士の姿がマグルとは思えず(または薩英戦争でホグワーツ側が薩摩藩に敗北したことを誤魔化すために)、魔法族扱いした
などの解釈がある。
実際には魔法というより物理的に強靭な要素が多く、呪文も猿叫で行うため「エ゛クズベリア゛ア゛ア゛ーーーーッ!!!!」「ア゛クシ゛ヴ゛ォ゛ァ゛!!!!」等と騒がしい。ただし、死の呪文として知られるアバダケタブラについては「七文字を唱える前にチェストできる」という理由で使われない。使われるのはむしろ切腹時の介錯や自刃のためである。「おいは恥ずかしか!生きておられんごっ!」
多くの薩摩ホグワーツの呪文は相手が斬られたり爆発四散したりと物理的な側面で強力すぎる(むしろ相手を屠るためにしか呪文を使わない)ため、魔法省からは使用を控えるよう幾度も要請されている。しかしなかなか守られず、心労から担当職員の蒸発が相次いでいる。「そもそも薩摩ホグワーツのこれらの破壊能力は呪文によるものなのか?」等と、呪文の定義の変更まで省内で検討されている。
これ以外にもよく攻撃の際に「チェスト」と叫んでいるが、意味はよくわからない。一説には「杖捨て」とも。
常に死と隣り合わせなためセストラルは当然のごとく見えるし精神的にも全く死を恐れないため、闇の魔法使い相手には無双の強さを誇る。首が皮一枚でつながっているゴースト「ほとんど首なしニック」を見ると、「見事な介錯[1]だ」と称賛することもあるようだ([2])。
ちなみに守護霊召喚呪文エクスペクト・パトローナムを使うと現れる守護霊は大勢の薩摩隼人たちである。しかし己の手で敵を打ち倒すことが幸福の彼らにとってこの呪文を使うのは恥であるとされ、使用後は士道不覚悟で切腹するのがセオリーである。そしてパトローナムとして現れる。
また、女々しいことを嫌うため、本名を呼ぶと死喰い人から襲撃を受ける可能性がある「ヴォルデモート」の名前も普通に呼んでしまっている。ただ、訛りにより「ぼるぜもん」と呼ぶため死喰い人側から感知できないようだ。
これ以外にも魔法使いのことを「魔法者」と呼んだり、クィディッチをひえもんとり(二軍に分かれ、馬に乗せた死罪人の肝を奪い取るとされる競技)扱いしたり、禁じられた森に無断で入り魔法生物を狩ってえのころ飯(仔犬のはらわたを抜いて米を詰め炙ったとされる郷土料理)にしたり、密猟者や闇の魔法使いを狩って首級を肴に酒盛りに興じたり、勝手に杖用の竹を植えたりと他のホグワーツ生よりも異質な点が多いが、授業自体は真面目に聞いており、積極的に質問もしている。
だが先述の問題行動の数々から禁じられた森の管理者であるルビウス・ハグリッドからはよく思われていない(当の本人たちは彼のことをこの人に似た風貌から「ハグリッどん」と呼び慕っているが)。
また、先ほどのえのころ飯の持ち込みのほか、「肝練り」と称して中央に回転する銃やアバダケタブラが放たれる杖を設置し、円卓状に囲んで飯を食べる薩摩式ロシアンルーレットを行ったため、食堂を出禁になっている。明らかに危険な行為で出禁も当然なのだが、彼らとしては魔法者としての胆力を鍛えるために行っていたようだ。
なお、他の魔法使いと違う点が多いとは言えども、彼らが振り回しているのはあくまで杖である。魔法省職員からは杖について「木刀」「竹刀」「太刀」「刀剣」等と指摘されているが、彼らは「杖ぞ」と強く主張している。
人気の投稿例
薩摩ホグワーツ呪文リスト
スマートフォンからの場合は横画面表示推奨。
呪文名 | 効果 | 一般的な呪文名 | 一般的な呪文効果 | 魔法省の対応 |
---|---|---|---|---|
エ゛クズベリア゛ア゛ア゛ーーーーッ!!!! | 武器を持つ腕ごとチェストして切り落とす | エクスペリアームス | 攻撃を与えつつ相手の杖を奪う | 禁止 |
ア゛クシ゛ヴ゛ォ゛ァ゛!!!! | 相手の生き肝を掴み引き抜く | アクシオ | 物体を引き寄せる | 使用禁止通告 |
ディ゛フ゛ィイエ゛ア゛ア゛ア゛ーッ!!! | 剣術と合わせ、あらゆるものを撫で斬りにする | ディフィンド | 対象を切ったり裂いたりする | 使用禁止 |
プロテゴ | 女々しいので使わない なお相手が使っていた場合は間合いに入り脳天ごと粉砕する |
プロテゴ | 見えない盾を自分の前に作り、防御する | 不明 |
ア゛ロホ゛モア゛ア゛ア゛ーーーッッッ!!! | 扉や金庫を叩き割る | アロホモラ | 鍵のついたものを開錠する | コメント差し控え |
ク゛ル゛ーシェア゛ア゛ア゛ーーーーッッ!!!! | 互いにこの呪文をかけ合って鍛錬する | クルーシオ | 相手に耐え難い苦痛を与える 使用禁止の「許されざる呪文」の1つ |
病欠と報告される |
イ゛ンセ゛ンディ゛ェア゛ア゛ア゛ーーッ!!! | 相手の腸に刃を刺した後に炎を流し込んで爆発四散させる | インセンディオ | 炎を発生させる | 原則使用禁止 |
テ゛ィ゛センダァ゛ッ!!! | 太刀を振り下ろす瞬間にかけ、相手を地面と一体化させて砕け散らせる | ディセンド | 対象を落下・崩落させる | 使用を控えるよう訴える |
る゛ぅモ゛ォ゛ッッッ!! | 太刀の先端を発光させて相手の視界を奪い、その瞬間にチェストする | ルーモス | 杖の先端が発光する | 太刀が杖か否か議論中 |
ウィンガーディアム・レヴィオーサ | チェストされた相手の首を宙に浮かせて掴む | ウィンガーディアム・レヴィオーサ | 物体を浮遊させる | 不明 |
レ゛ベリェア゛ア゛ア゛ッ!!! | 敵の急所を見破る | レベリオ | 隠れた人の姿を明らかにする | 正しく呪文を使ってほしいとコメント |
レ゛ぱァ゛ッッッ!!! | 呪文の連続使用で破壊された太刀を修復する | レパロ | 物体を修復する | 呪文の使用法自体は正しいためノーコメント |
ぼンハ゛ァ゛ーダァァーーッッ!!! | 薩英戦争で艦艇1隻を大破、2隻を中破させた規模の爆発を生じさせる | ボンバーダ | 対象を爆発で粉砕する | 使用は厳重に禁止 |
ス゛テ゛ューピ、フ゛ァッ!!! | 生け捕りの際、殴打により相手を一撃で気絶させる(稀に永遠に気絶する) | ステューピファイ | 相手を麻痺させ、気絶させる | 呪文の定義を協議中 |
ア゛レ゛スト・も˝エ゛ンタ゛ンッ!!! | この呪文をかけたうえで三千回のチェスト鍛錬を行う | アレスト・モメンタム | 物体の速度が低下する | 担当者が顔を覆った |
テ゛パルそ゛ァ゛ッ!!! | 相手を吹き飛ばし、障害物に当たったら一瞬で破砕する(教室が全損するレベル) 万が一生きていた場合も次にはチェストされる |
デパルソ | 相手を吹き飛ばす | 授業で使用しないでと懇願 |
レ゛ヴィエ゛ァ゛ァ゛ーーッ!! | 相手を浮かせた刹那に一太刀に斬り上げ垂直高速射出する | レヴィオーソ | 対象を浮遊させる | また担当者が交代した |
ク゛レ゛イシ゛ェア゛ア゛ア゛ッ!!! | 相手を身体の芯まで凍らせ、脳天から一太刀を浴びせて全身を破砕・爆散させる | グレイシアス | 対象を凍らせる | 新しい担当者を募集中 |
ア"ア"ア"アアアーーーッッッッ !!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!!! |
やむを得ず手元に(短い木の棒の)杖しかない際に、閃光を放つ杖で脳天を叩き割る | アバダケタブラ | 対象を死に至らしめる 使用禁止の「許されざる呪文」の1つ |
不明 |
エ" ァ" ア" ア" ア" アアアアアアアアアアアアアアア ーーーーーッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!!!!!! !!!!! |
奥義 | エクスペクト・パトローナム | 最も幸せな記憶を思い出すことで、吸魂鬼から防御する | 不明 |
もす | ルーモスの短縮、語尾に合わせて勝手に発光する | ルーモス | 杖の先端が発光する | 不明 |
広まった経緯
2023年2月初頭ごろ、ゲーム『ホグワーツ・レガシー』が流行した。2月10日の発売前から即死魔法のアバダケタブラを撃てる暴力的なプレイが可能なことも一部で話題となっていた。
しかし、このゲーム自体と薩摩は全く関係ない。「薩摩ホグワーツ」の概念は、これらの物騒な情報を見聞きしたと思われる[3]インターネット上のあるアカウントから発生した。
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https://twitter.com/Maguro_Maznaga/status/1623076669723676673
2月9日、Twitterで松永マグロ氏(@Maguro_Maznaga)が、「薩摩クィディッチ」「薩摩魔法学校」などを含む投稿を行った。松永氏は以前にも「薩摩リコリス」などの投稿を行っているほか、「ニンジャ」「カラテ」「薩摩」などと絡めた投稿がもともと多かった。「薩摩クィディッチ」や「薩摩魔法学校」もその1つとして生み出されたものと思われる。
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https://twitter.com/Maguro_Maznaga/status/1623353960320106500
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https://twitter.com/Maguro_Maznaga/status/1623355425340162048
翌日、松永氏によって「薩摩ホグワーツ。」という内容がTwitter上に投稿されたが、この時点では単発の投稿に留まっている。
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https://twitter.com/Maguro_Maznaga/status/1623917027961503746
2月13日から松永マグロ氏の薩摩ホグワーツに関する投稿が増加し、様々なアカウントが反応したり派生投稿が行われたりした結果、薩摩ホグワーツの概念が形成されていった。下記がその起点となったツイートとなる。
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https://twitter.com/Maguro_Maznaga/status/1624974476327944192
初期には主に示現流などの、猿叫などが特徴の薩摩古来の剣術や、漫画『薩摩義士伝』『薩南示現流』『衛府の七忍』などに登場する薩摩藩士の行動・風習などが絡められていた。「誤チェストにごわす・おいは恥ずかしか!(←衛府の七忍)」といった台詞や、「ひえもんとり(←薩摩義士伝)」、「肝練り(←薩南示現流)」などの要素はこの辺りの漫画の影響が強いと思われる。
その後投稿数が増えたことでトレンドに「薩摩ホグワーツ」が掲載され、Twitter中に拡散された。これにより、さらに派生して漫画『ドリフターズ』の島津豊久、『ゴールデンカムイ』の鯉登音之進などと関連付けるものも現れた。また、一部では『ゴールデンカムイ』に登場する姉畑支遁が、禁じられた森や『ファンタスティック・ビースト』等に放たれるなど、薩摩とは関係ない方向にも話が派生してしまった。
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https://twitter.com/Maguro_Maznaga/status/1625891432224681989
ついには『ホグワーツ・レガシー』で組分け帽子の声を演じた佐藤せつじ氏が「君は…グいや薩摩藩!」と読み上げている。
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https://twitter.com/setsujisato/status/1626551898701713408
注意点
このミームでの薩摩藩士の概念の一部には、実態と異なったり、後世の創作が含まれる可能性がある/高いものも含むので、インターネットミームから外れた場面で迂闊に事実として語らないように注意が必要である。例えば「チェスト」という掛け声は、少なくとも現在の示現流や野太刀自顕流(薬丸自顕流)などの薩摩古来の剣術ではあまり使われない(参考)。また、「えのころ飯」「ひえもんとり」「肝練り」といった風習についても、確実に行われていたとまでは言えないものになっている。特に現実の鹿児島県民に対してこうしたイメージで語ると、強い不快感を示す人もいるので注意。
また、他の多くのミームにも言えることだが、ネタの持ち出しは控えるべきである。薩摩と関連付けられていない一般的なハリー・ポッターやホグワーツ・レガシー等の動画等に薩摩ホグワーツのコメントをしないように。
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https://twitter.com/Maguro_Maznaga/status/1629074157731454976
余談
史実では薩英戦争後の1865年、薩摩藩士たちがイギリスに留学しているので、薩摩ホグワーツという設定は時系列的にはありうるのかもしれない。
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https://twitter.com/muay2ndstyle/status/1626079045816582144
また、ハリー・ポッターの世界の日本にも、南硫黄島に「マホウトコロ」と呼ばれる魔法使いの養成機関があり、愛知県豊橋市には「トヨハシ・テング」というクィディッチのチームがあるとされるが、これらと薩摩ホグワーツの関係は不明。
言葉が同じというだけなのだが、イギリスのクリスマスではsatsuma(みかんを指す英単語)が食べられることがあり、ハリー・ポッターの作中でもsatsumaが何度か登場している。
Harry found himself shunted aside by a witch with a satsuma jammed up her left nostril.
ハリーは、左の鼻の穴にみかんが詰まった魔女に押し退けられた。『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
第22章「隔離病棟のクリスマス」
関連動画
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関連リンク
関連項目
脚注
- *首の皮一枚を残した介錯が理想的とされており、江戸時代後期に書かれたとされる『自刃録』にもそのような記述がある
- *ただし、これは切れ味の悪い斧で何度も切られた結果なので、もしその事実を知ったら「無様な介錯のまま霊体として哀れにも恥を晒している」と同情し、首を全て斬り落とそうとするのかもしれない
- *後にホグワーツ・レガシーを購入・プレイしており、禁じられた森で密猟者に対してチェストしていた
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