Half-Life2とは、Valve Softwareによって開発されたFPSゲームである。「Half-Life」の続編にあたる。
概要
2004年に発売されたFPSゲーム。グラフィックエンジンが前作1のQuakeエンジンから、本作のためにVALVEが5年かけて開発した「Source Engine」に切り替えられた。
同エンジンは美しいグラフィックや、リアルな物理現象の再現を「これでもか!」と言うほど魅せてくれ、前作Half-lifeの名に恥じない性能を秘めている。
物理エンジンを使ったパズル要素は現実世界にもヒントがあるものも多く、「へぇ」という一言を引き出すのに十分な魅力を持っている。
前作と同じく各マップは特定の箇所にプレイヤーが差し掛かると次のものがロードされるという方式を採用しており、ステージといった明確な区切りが存在しないシームレスなストーリー展開になっている(上のチャプターの区分も、あるところに差し掛かるとチャプター名が画面上に数秒間表示されるだけである)。
同様にイベントシーンはムービーを使わずリアルタイムにレンダリングされ、それもすべてプレイヤーの操る主人公ゴードンの視点で目撃される仕組みになっている。ただしテクスチャやモデルのデータの膨大化によってマップのロードが頻繁に入るようになり、そのロード時間も前作で数秒だったものが数十秒に増加しているため、テンポが悪くなったという批判の声も多い。
イベントは特定の見えないトリガが視界に入ると起こるようになっているので、ヘタをすると用意されているドラマをすっ飛ばして次に行ってしまう可能性もあり、2周目3周目に前回までは見ることの出来ていなかったドラマを発見したりして 驚くこともある。それもまたこのゲームの楽しみの一つである。
ゲーム中の武器には、前作でも登場したバール(crowbar)やハンドガン、サブマシンガンなど現実に存在するものから、パルスライフル、グラビティガンなど現在の科学では到底ありえないような武器まで登場する。
グラビティガンの存在は「物を積み上げて行けない所に行けるようになる」、「弾が無くても物を投げて敵を倒せる」などこのゲームの自由度を極限まで高める事となり、Half-Life2を他のゲームと一線を画す要素の一つとなった。
続編として「Half-life:Episode one(HL2:EP1)」「Half-life:Episode two(HL2:EP2)」が存在する。2020年にはEP2の5年前を描く続編、Half-Life:Alyxが発売された。
ストーリー(ネタバレ注意)
舞台は前作から約15年後の世界。主人公ゴードン自身はG-Manによって別次元に幽閉されていたために老化はしていない。
Xenの生態系が地球に根付き、ブラック・メサ時代の上司ブリーン博士が支配する管理された東欧の都市「City 17」を中心としてストーリーは進行する。G-Manによって半ば無理やり送り込まれた主人公はレジスタンスとともに支配者であるコンバインと呼ばれる兵士とブリーン博士率いるXen軍との戦いに身を投じることとなる。
登場人物
- ゴードン・フリーマン
MIT卒にしてブラック・メサ研究所に所属する物理学者、推定年齢28歳(推定実年齢43歳)。1のラストの影響により老化が止まっており、本作では1の15年後を舞台に活躍する。名前の「フリーマン(自由男)」やSourceEngineのおかしな物理法則からよくいじられる。 - クライナー博士
前作から登場する、ブラック・メサの元研究員にしてレジスタンスのボス。くちばし(?)を切除したヘッドクラブ「ラマー」をペットにし愛でているが、あまり懐かれているようには見えない。今作では設定的には重要な立場にいるものの、フリーマンにHEVスーツを渡すほかは大きな出番がない。 - イーライ博士
元ブラック・メサの研究員にしてレジスタンスの事実上のボス。Xenの技術を利用して零点エネルギーポッド(通称重力銃)を作り上げる。 - アリックス
イーライ博士の娘。作中では珍しい黒人。作中に何度か登場しフリーマン博士を手助けするヒロイン風キャラ。前作では赤ん坊だったとされているため、今作での年齢は15~17歳と推測されるが、到底そうとは思えないほど老けgゲフンゲフン。 - バーニィ
前作ではブラックメサの警備員を務めており、フリーマンとは旧知の仲。今作では下述コンバイン兵に扮し、レジスタンスを助けつつCity17からの脱走民を外部に逃がしていた。フリーマンにバールを授けるという栄誉ある役を担う。 - グレゴリー神父
レーベンホルムに暮らしていた神父。撃ち込まれたヘッドクラブミサイルによってレーベンホルムの住人がゾンビと化したことで動揺し、ゾンビとなった人々を撃ち殺すことで呪われた生から「救済」していると信じている。レーベンホルム終盤でフリーマンを先行させるためレーベンホルムに残ってゾンビを撃ちまくり、生死不明となった。 - レジスタンスの人々
Xenの植民地にされている現状を憂い反乱している集団。地球人側の標準服となっている青い服を着ている者から、兵士のような服を着た者までおり、サブマシンガンやロケットランチャーなどで武装している。フリーマンの手持ちの弾が少なくなると弾を分けてくれたり、衛生兵は傷ついてるフリーマンを 見るとヘルスを回復してくれたりする。話が進んでいくとフリーマンが彼らを引き連れることが出来るようになる(最大4人まで)。兵士には色々な人材がいる ようで、男勝りに喋る女性兵士やらオカマ口調で喋る男性兵士もいるが、どちらもプレイヤーには好評である。 - G-MAN
前作から登場している謎の人物。違和感のある英語を話す。異次元を操る力がありフリーマンをCity17に放り込んだ張本人。本編中にも幾度か登場して主人公を導くが、さりげなすぎて気付かれなかったりする。主人公と同一人物説が囁かれているが確証はない。インパクトの強いキャラである反面、MODでは色々な仕掛けの実験台や銃弾の的(まと)として使われることが多く、結構可哀想である。 - ボーティガンツ
前作ではXenの奴隷階級として登場したが、今作では人類に味方する存在となっている。大きな眼球と腹部の第三の手が特徴。
Ep2では彼らがレジスタンス顔負けの活躍をする。
敵
- Xen
作中における異世界、またはそこに暮らすエイリアンのこと。それなりに高度な文明を有し、1では王者Nihilanthを頂点とした社会を形成していたが、本作ではブリーン博士や「Advisor」と呼ばれるエイリアンを中心とした社会を形成している。
本作では前作よりも地球のXen化が進行し、Xen土着生物である「ヘッドクラブ」「バーナクル」「アントライオン」等が地上に闊歩し、続編のEp1以降ではより地球のXen化が進行している。 - ブリーン博士
元ブラック・メサ研究所の所長。2ではXenと手を組み、下述改造兵士と生物兵器でもって地表の統治に当たっていた。2終了時に行方不明となり、以降コンバインらは本星のAdvisorを招聘して地球征服に邁進することになる。 - コンバイン
地球外生命体の侵略軍及び彼らに与する地球人の離反者の組織。コンバインフォースと呼ばれる軍事力を有しており、Xenやブリーン博士の支配下に置かれている元人間の兵士達の通称でもある。数種類存在し、改造手術を受けておらずcity17駅の警備や検問を行っているメトロコップ、改造手術を受けた奴隷兵士、手榴弾以外無敵の芋スナイパー、白スーツに赤モノアイのエリート兵等が存在する。 - ゾンビ
上述の土着生物「ヘッドクラブ」に頭部を奪われた人間。腕は裂け腸は露出し痛みを感じず…といったゾンビそのものだが、頭部に寄生しているヘッドクラブを撲殺or銃撃すればあっさり死ぬ。またヘッドクラブが頭部にいるためか火や水があっても躊躇なく突っ込んで自滅することもある。2では神経毒を分泌する品種やより狡猾なゾンビにする品種、コンバイン(人間タイプ)の装甲をも貫く品種などが存在する。 - ドロップシップ、ガンシップ
Xenの技術を利用した半生体航空兵器。特にガンシップは下部の大型パルスライフルでフリーマンらを銃撃する中ボス的な存在になっており、たいていその辺りにRPGを無限補給できる弾薬箱があるので、それで迎撃することになる。
関連用語
- バール
- 序盤でバーニィから投げ渡される工具にして、初代HLでおなじみの近接格闘武器。本ゲーム中では近距離に於いては最強クラスの攻撃力を誇る。一部のプレイヤーからは「エクスカリバール」とも呼ばれ、俗称として「バールのようなもの」がある。
- ガッポイ
- コンバイン兵のこと。「Outbreak」というフレーズが無線独特のスレたボイスで再生された結果、「ガッポイガッポイ」と連呼しているように聞こえた為、コンバイン兵の通称として広まった。また、レジスタンスがコンバイン兵を見つけたときの「コンバイン!」という叫びも「ガッポイ!」と聞こえなくもない。
- 子猫パワー
- ダッシュ時などにゲーム画面左下に現れる「予備パワー」と言う文字を視聴者が間違ってそう読んだことから生まれた誤字。一部MODの中には日本語版HL2予備パワーをわざわざ子猫パワーに変換するものもある。
- 子猫
- ヘッドクラブの事。一部では「顔面騎乗」と呼ぶ者もいる。
- 太田さん
- ゾンビが発する空耳セリフ。彼らが発する叫び声(Oh God,Help me!の逆再生)が「太田さーん!コワイ!コワイコワイコワイ!!」「ヤーヴァイ!コレヤーヴァイ!!」と言っているように聞こえるため、そう呼ばれるようになった。
- 忍耐
- VALVE社長Gaveが度重なる発売延期に対してプレイヤーに求めた物。2発売時は未完成品(HL2:Anon)がリークされたために延期、続編のEp1も延期、Ep2も延期した上にBlackBoxと呼ばれるパッケージも販売中止になり、さながら修羅の国の会社のような延期を繰り返したことから求められるようになった。
- (ただし、作中のコメンタリーを読むと開発者がいかに考えてHL2を作っているかがよくわかるだろう)
- バニーホップ
- 通称バニホ。SourceEngineのバグ「ジャンプする際、頂点からの降下時に重力加速度が適応される」「移動速度に重力加速度を加味する」を利用して、ジャンプしながら移動することで毎回重力加速度分の速度上昇を得ること。最終的に某指揮官機もビックリの超加速度が得られ、Speedrun系動画では多用されている。余談だがHL2のSourceEngineには他にも「物を下に敷いた際に自身の体重が加味されない」等の明らかにバグのような現象が実装されており、同エンジンが物理演算方面にも利用されていることからフリーマンの経歴とともにネタにされている。)
- 入
- ゲーム内のいたるところに散見されるマーク。レジスタンスの象徴として掲げられている。元々は前作の舞台である「ブラックメサ研究所」のロゴマークであり、フリーマンが着ている防護服「H.E.V.スーツ」にも付いている。正確には入ではなくλ(ラムダ)。
MOD
Modification File、いわゆる拡張プログラムのこと。PC版Half-Life2はSourceエンジンの特性により一般ユーザーにも容易に拡張できるようにデザインされており、新しいマップを追加したり、まったく別のゲームに作り変えることが可能である。
MODは原則として無料で公開され、無数のMODが今も開発・公開中である。Half-Life2の人気が高い理由のひとつがここにある。
特に、内容を自在にいじることができる「Garry's Mod」が有名。
関連動画
プレイ動画(ノーマルプレイ)
実況動画
プレイ動画(縛り・バグ・チート)
関連商品
関連項目
- Half-Life
- Half-Life:Alyx
- Garry's Mod
- TeamFortress2(Sourceエンジンを利用して作られたスポーツ系FPSゲーム)
- Portal(とある大学生の自主製作ゲームを元にSourceエンジンで実装させたパズル風ゲーム)
- ガッポイ
- コンバイン(Half-Life2)
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