キセキとは、競走馬の名である。
日本には全部で4頭おり、特に言及がなければ2014年産のものを指す。
多様なる結晶
我が貴石を見よ
代々受け継いだもの
自らの手で磨いたもの
結晶たちに宿る光が
熱源となり推力と化す
キセキとは、2014年生まれの日本の競走馬・種牡馬である。黒鹿毛の牡馬。
栗東・角居勝彦厩舎所属、日高町・下河辺牧場生産、馬主は石川達絵
父ルーラーシップ、母ブリッツフィナーレ、母父ディープインパクトという血統。父は大王キングカメハメハと女帝エアグルーヴを両親に持つ超良血。キセキは初年度産駒である。母は不出走のまま繁殖入りしたが、その母は桜花賞2着でオークス馬ダイワエルシエーロなどを産んで自身も桜花賞2着の名牝ロンドンブリッジという良血。母父の説明は割愛。
2歳12月にデビューし新馬戦を快勝。しかし続く条件戦で5着に敗れると、クラシックを目指して臨んだOPすみれS、毎日杯で共に3着と敗れ賞金加算に失敗。春クラシックをあきらめ、夏競馬に向かう。
一休みして臨んだ夏競馬。中京で500万下を軽く勝利。鞍上の福永祐一に通算2000勝という節目の記録をもたらす。続いて新潟に転戦し、糸魚川特別(1000万下)に出走。ここも危なげない競馬で圧勝。このレースから手綱を取ったミルコ・デムーロも絶賛する走りで、上がり馬として秋競馬に挑む。
初戦は神戸新聞杯。実績馬がそれほど多くなく、ダービー馬レイデオロに次ぐ2番人気に支持される。レースは比較的前にいた人気馬が残る中、中団から上がり最速で突っ込み2着。賞金を加算し、菊花賞の優先出走権を手にする。
距離の問題など若干の不安は囁かれたが菊花賞に出走。レイデオロが天皇賞(秋)に向かい、皐月賞馬アルアインは早くから距離の壁に当たっていたこともあり1番人気に支持される。
秋雨前線に加え台風21号の接近でとんでもない不良馬場となった本番。キセキはいつも通り後方14番手を選択する。1000mは64秒1。馬場と距離を考えればむしろ速いペースで流れる。
3コーナーで各馬が田んぼ状態の内を避け、後方にいたキセキは大外を回って進出を開始。そのまま馬群ごと外に膨らむように直線に突入する。先行した各馬が力尽きる中、キセキは外から力強く進出。2着クリンチャーに2馬身差をつけ菊花賞馬の座を手にした。ルーラーシップ産駒の初GⅠ、というか意外にもこれが産駒初重賞であった。勝ち時計の3分18秒9は1975年以来42年ぶりの3分10秒台。菊花賞でこれより遅いタイムは1946年以前に4回あるのみという恐ろしいレースになってしまった。
次走は有馬記念ではなく香港ヴァーズを選択したが、流石に前走の反動もあったか、直線で止まり9着に終わる。
冬を休養にあて日経賞で復帰。菊花賞馬だし順当に1番人気に支持されるが、スローペースで折り合いを欠き、掛かり気味に道中で先頭を奪う強引な競馬に。案の定直線で失速し9着に敗れる。天皇賞(春)は回避し宝塚記念に向かうが、今度は大外枠に祟られ8着。いいところなく春競馬を終えてしまう。
秋初戦は毎日王冠を選択。春の不調のうえ久々の距離短縮でもあり、6番人気と評価を落とす。
騎乗停止のミルコに代わり川田将雅が騎乗したこの一戦。キセキは最内枠を活かし2番手につける積極策に出る。直線、逃げたアエロリットには突き放され後続からステルヴィオにも捕まったが、道中並んでいたステファノスとの叩き合いは制して3着と復調の兆しを見せる。
続く天皇賞(秋)も単勝は6番人気。前走はけっこう前が残ったので展開が利しただけという向きはあったが、それでも3番人気以下は混戦模様で、上位2頭以外は伯仲という予想が多かった。
12頭(1頭競走除外)という少頭数の中、外枠ながら果敢にハナを奪うと絶妙なペースで逃げていく。後半もやや加速しながら後続を寄せ付けず先頭で直線に入る。中団待機策を取ったレイデオロとサングレーザーに残り100m余りで差されたが後続は封じ3着。時計も勝ち馬からコンマ2秒差の1分57秒フラットにまとめ、復活を印象付けた。
勢いに乗りジャパンカップに出走。ここまで2走の好走と展開の利を期待され4番人気に支持される。
期待通り先手を打ったキセキ。淡々とペースを刻み、1000m59秒9とまずまずのペースで逃げる。隊列もほとんど動かないまま、キセキは快調にペースを上げていく。保ったのではない。上げたのである。前半はほとんどが1ハロン11秒台後半~12秒台だったのだが、後半になって11秒台前半のラップを連発。それでも全く脚は衰えないまま直線に突入する。
しかしその背後に悠然と構えていたのが三冠牝馬アーモンドアイ。普段は後方待機を身の上とするこの3歳牝馬が、このレースは2番手でキセキを徹底マークしていたのである。キセキも必死に抵抗したがなすすべなくかわされ、1馬身3/4差の2着。それでも3着のスワーヴリチャードには3馬身半差をつけ意地を示した。
勝ちタイムは2分20秒6という圧巻のワールドレコード。アーモンドアイの実力は日本のみならず世界にも衝撃をもたらしたが、逃げたキセキも2分20秒9と、ワールドレコードより1秒速いタイムを記録していた(ちなみに6着のサトノダイヤモンドまでワールドレコードの圏内だった)。殊勲の川田が「普通なら押し切れるレース。素晴らしい馬がいたということです」とコメントしたように、結果以外は完璧な逃走劇となった。
続いて有馬記念に出走。秋競馬の好走が評価されて2番人気に支持されるが、先行馬には特に不利な外枠14番を引いてしまう。レース自体もゲートでやや立ち遅れ、押してハナを奪う強引な競馬になり、直線もよく粘るが最後に力尽きて5着。結局4歳シーズンは未勝利に終わった。
年が明けて5歳となり、この年は大阪杯から始動。前年有馬記念勝ち馬ブラストワンピースに次ぐ2番人気に推され、レースでは逃げるエポカドーロの2番手を追走し、直線に入って馬場の真ん中から抜け出しを図るも、内から上がってきたアルアインにクビ差屈し2着に敗れる。
続く宝塚記念はGⅠ馬6頭が出走する中、同期のダービー馬レイデオロと僅差の1番人気に推される。ここではスタートから押してハナを切り、直線でも逃げ込みを図ったが先行策を取っていたリスグラシューに直線交わされ、3着以下を2馬身抑え込んだものの1着リスグラシューに3馬身差の2着に敗れた。
その後フォワ賞を使って凱旋門賞へ挑戦。鞍上にC. スミヨンを迎えフォワ賞に挑むが、4頭立ての中ハナを主張し逃げ込みを図るも直線伸びを欠いて3着。
続く凱旋門賞は重馬場の中行われ、更に出遅れて中団から追走する形となる。最後の直線でも距離を詰められず7着に敗れた。
フランスから帰国後に有馬記念へ出走。鞍上にはR. ムーアを迎えた。有馬記念ファン投票ではアーモンドアイ、リスグラシューに次ぐ3位の票数を集めた。7番人気で迎えたレースはスタートで後手を踏み出遅れ。ここで腹を括って中団後方を追走。折からの重馬場と流れたペースから後方優位となり直線追い込んで2年連続の5着となった。最終的に、5歳シーズンも未勝利に終わった。
有馬記念鞍上のR. ムーアがもっと長い距離の方が良い、と進言した事もあって6歳シーズンは阪神大賞典からスタート。鞍上は川田将雅に戻った。ここでは単勝1.6倍の1番人気に支持されたが...
レーススタート後、超出遅れ。パトロールビデオを見る限り、「ゲートが開いても出る気が無く、ワンテンポおいて川田が押して外にヨレながら出る」とフェラーリやらかした親父よりも深刻な出遅れ。その後も折り合いがつかず1週目スタンド前から加速し一気に先頭集団へ。直線で一度先頭に立ったものの流石に粘りきれず、最終的に0.6秒差の7着に敗れた。当然、レース後ゲート再審査を喰らってしまった。
ゲート再審査はすんなり突破し、武豊を鞍上に迎えて天皇賞(春)へ出走。前年王者フィエールマンと前走勝ち馬ユーキャンスマイルに次ぐ3番人気に推された。レースでは今度は好発を決めたがやはり最初のホームストレッチで引っかかってしまい、その後先頭に立ち続けたものの最後の直線で失速し6着となった。
そして次走に宝塚記念を選択。例年少頭数傾向のある宝塚記念には珍しく18頭フルゲートとなり、GⅠ馬8頭が集まる中6番人気に支持された。レースでは発馬こそ今一で中団後方から進めたものの、4コーナー前からまくり上げてロングスパートを仕掛ける。同じく動いてきたクロノジェネシスには離されたものの脚を伸ばして2着に入線。2年連続の宝塚記念2着となった。
秋シーズンは京都大賞典から始動。ここ2戦で鞍上を務めた武豊が、新型コロナウイルスの影響により、フランスから帰国後の隔離を受けた影響で騎乗できず、浜中俊との初コンビを結成した。1番人気に推されたレースでは、スタートで後手を踏み、道中は最後方を追走したが、3コーナーから徐々に進出を開始。直線でも追い込んだが、グローリーヴェイズに3/4馬身差及ばず2着に惜敗した。
次走の天皇賞(秋)では武豊に鞍上が戻り、レースは好スタートから道中の折り合いもついたが、結果はG1八勝を達成したアーモンドアイの5着に敗れた。
そして史上初の三冠馬三つ巴(アーモンドアイ、デアリングタクト、コントレイル)戦と化したジャパンカップに出走。
鞍上を浜中に戻し、レースは逃げ宣言していたヨシオを尻目に一昨年のジャパンカップを思い起こす大逃げ。1000mを57秒9で通過し、直線まで残り直線400mでは前走(秋天)の勝ち馬を上回るタイム(1分57秒5)で4~5馬身でリードを続けたが、残り200mを過ぎた所から一昨年同様アーモンドアイに抜かれたのを皮切りに後退。三冠馬上位3頭独占の中で8着に破れた。
年内最後の有馬記念は、またも出遅れをかまして特に見どころなく12着に惨敗。
この年は金鯱賞から始動。5着になる。その後香港のクイーンエリザベス2世カップへ遠征し、そこを4着とすると、次は宝塚記念で5着。京都大賞典では自分の1つ上の日本ダービー馬、マカヒキが優勝する後ろで3着になる。
次走はジャパンカップ。このレースで引退とかいう誤報が出ていた時期があったが、まだラストランではない。長期間未勝利からの脱出で先を越された先輩のダービー馬マカヒキをはじめワグネリアン、こちらは正真正銘のラストランであるコントレイル、2021年のダービー馬シャフリヤールと同レースを制した4頭がひしめく戦場に赴く。
レース当日、1番人気にコントレイル、2番人気シャフリヤール、3番人気にアルゼンチン共和国杯を連覇して挑戦してきたオーソリティが続く中、7番人気となる。逃げ馬がキセキくらいしかおらず、本番でもハナを切っていくだろうと予想された。マカヒキとワグネリアン?触れてやるな
いざスタートするも親父の血が騒いだのか出遅れ。最後方からのスタートになってしまう。ハナを切ったのはまさかのアリストテレスというのもあり、実況も驚いていた。そのままスローで進んでいく中、向こう正面でまくっていく。それも馬群から大きく離れた位置を走ってである。ノリポツンじゃあるまいし
そのまま先頭に出て4コーナーまで一人旅も直線でつかまり10着。生産牧場の下河辺牧場もスタートが全てだったとツイートしている。
2021年11月30日、ブリーダーズスタリオンでの種牡馬入りが発表された。誤報ではなく正真正銘の引退である。
ラストランは年末の大一番有馬記念。鞍上は最初で最後の初タッグ、松山弘平。史上初のグランプリ4連覇で有終の美を飾らんとするクロノジェネシスをはじめ、フォワ賞を逃げ切ったディープボンド、鞍上幸英明初の年末中山で激荒れ2021年エリ女の主役アカイイト、3歳世代からエフフォーリア、タイトルホルダーといった実力馬たちも集まった。
レース当日は7番人気での出走。戦前より一歩目をちゃんと踏み出せるかが陣営の心配事ではあったが問題なくゲートを出ることに成功。道中はパンサラッサが大逃げする中追走集団の前目で機会をにらみながら進むも4コーナーからの上り勝負についていけず10着。
通算成績33戦4勝。極悪馬場となった菊花賞以降は好走こそしたもののついに勝利には届くことはなかった。
しかし18年ジャパンカップで魅せた大逃げに始まる数々の名勝負の舞台にはほぼ顔を出しており、特に4歳以降のグランプリファン投票で8期連続の1桁順位に居続けたことから彼の人気ぶりがわかる。
引退後は日高町のブリーダーズスタリオンステーションにて種牡馬入り。初年度の種付料は80万(受胎条件)と手頃であり、ルーラーシップの後継種牡馬として産駒のデビューが待たれる。
2021年に京都競馬場主催でアイドルホースオーディションが行われた。上位5頭はぬいぐるみ化されるという特典があり、名だたる過去の名馬や現役の人気馬がいる中でキセキは3位に輝いた。票数はなんと14661票。他にはヨシオやメロディーレーン、ライスシャワーにカレンブーケドールが選出されており、非常に濃いファンがつく馬たちの中、キセキもめでたくぬいぐるみ化を果たした。
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https://twitter.com/KyotoKeibaJo/status/1428627913159503874
ルーラーシップ 2007 鹿毛 |
キングカメハメハ 2001 鹿毛 |
Kingmambo | Mr. Prospector |
Miesque | |||
*マンファス | *ラストタイクーン | ||
Pilot Bird | |||
エアグルーヴ 1993 鹿毛 |
*トニービン | *カンパラ | |
Severn Bridge | |||
ダイナカール | *ノーザンテースト | ||
シャダイフェザー | |||
ブリッツフィナーレ 2008 鹿毛 FNo.22-b |
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | |||
*ウインドインハーヘア | Alzao | ||
Burgclere | |||
ロンドンブリッジ 1995 栗毛 |
*ドクターデヴィアス | Ahonoora | |
Rose of Jericho | |||
*オールフォーロンドン | Danzig | ||
Full Card | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Northern Dancer 5×5(6.25%)
全妹に2023年のマーメイドS(GIII)を制したビッグリボンがいる
掲示板
277 ななしのよっしん
2024/11/17(日) 16:21:06 ID: WGhTqLLJpm
ソウルラッシュがマイルCS制覇したよ
キセキと同じ父、同じ勝負服という理由で応援していたけどついに報われて嬉しい
278 ななしのよっしん
2024/11/17(日) 19:07:39 ID: fIEkTscUCb
帽色、大外から突き抜けるという勝ち方まで同じなんだよな
279 ななしのよっしん
2024/11/17(日) 19:29:07 ID: BD9QzOY/Io
ソウルラッシュ君の弟(2024年生まれ)の親父さんが貴方なんですよね…
めっちゃ楽しみ
急上昇ワード改
最終更新:2024/12/31(火) 02:00
最終更新:2024/12/31(火) 02:00
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