ライチ☆光クラブとは舞台、もしくはそれを原作として古屋兎丸氏が描いた漫画、これを元として結成された音楽ユニットの名称である。
概要
ライチ☆光クラブとは1984年に「東京グランギニョル」により公演された舞台、またそれを原作として古屋兎丸氏が描いた漫画である。略称はライチ。
多くの場合は古屋氏の漫画の事を指すが原作はあくまで舞台であるのでお間違いなく。(因みにグランギニョル版には☆は入らない)
ショッキングなシーンが多く、エロティックな表現やグロテスクな表現、同性愛表現が多く含まれている。
「ぼくらのひかりクラブ」というメンバーたちの小学校時代と本編以前の中学校時代を描いた前日譚もあるが、こちらは氏が演劇版ライチ光クラブの演出家である飴屋法水氏に許可を得て描いた古屋版のみの話である。
また、音楽ユニットは現在隔月で漫画版をモチーフにした楽曲を発表している。
2012年度、古屋版のライチ☆光クラブがアニメ、舞台化を果たした。
2013年春、まさかの実写映画化が決まった。
2013年冬、大好評だった舞台が再演。
2015年冬、初のミュージカル化の上演が決定。
2016年晩冬、実写映画の公開。
あらすじ
螢光町の片隅にある少年達の秘密基地「光クラブ」。
そこには帝王として君臨するゼラを筆頭とする9人の少年が集い、ある崇高な目的のために「機械」を作っていた。
やがて完成した「機械」は「ライチ」と名付けられ、「美しいもの」を連れて来るよう命令されるが、ライチは「美しいもの」が何なのか理解できず、違うものばかりを集めてくる。
そんなある日、特殊な設定を施されたライチはようやく「美しいもの」が何なのか理解できるようになり、1人の美しい少女「カノン」と数人の少女を光クラブに連れて来た。光クラブの面々はカノンを玉座に据えて女神として崇め、次の目的へ進もうとする。
しかしある時、メンバーのタミヤとダフがカノン以外の少女達を密かに逃がそうとしていたことが発覚し、タミヤは粛清として自分の手でダフを処刑することになってしまう。
その後、光クラブは残酷劇への道を辿ることになる…。
登場人物(キャストはグランギニョル版/新舞台版/歌劇版/映画版)
光クラブメンバーの共通の設定として「全員が貧しい労働者の子である」ことと「全員が童貞である」ことが挙げられる。(古屋氏のインタビューより引用)
また、全員が同じ小学校からのもちあがりである。
以下記載するものは漫画版ライチとそのメディアミックス作品の設定。
ゼラ(常川寛之) 演:常川博之/木村了/中村倫也/古川雄輝
称号は帝王でありコミックス表紙での紹介は「廃墟の帝王」
光クラブの現リーダーで、ライチを用いての世界征服を目論む変態。
小学生の頃、ある占い師に「ヒトラーにも無かった黒い星が付いている」また「30歳で世界を手に入れる、或いは14歳で死ぬ。その鍵は一人の少女が握っている」と予言されており、本人もその実現を信じ切っている。
世界征服への計画の一環として美しい少女を求め、カノンを捕獲する。
天才的な頭脳を持ち小学五年生にしてデンタクと共同で音声を認識し行動するロボットを作り上げた。
本編では冷徹な部分が描かれているが古屋氏によって描かれた番外編では厨二病っぽい部分や弟に激怒する感情的な部分など、本編には見られなかったやや年相応な面も見られる。
身長は170cmあり、これはクラブ内では大柄の部類に入る。
名前はグランギニョルでゼラを演じた常川氏のフルネームをほぼそのまま引用している。
タミヤ(田宮博) 演:武井龍之介/中尾明慶/玉置玲央/野村周平
称号は六番(ゼックス)で表紙での紹介は「真実の弾丸」
ゼラに乗っ取られてしまった光クラブの元リーダーであり光クラブの名付け親である(光クラブの「ひかり」はタミヤ、ダフ、カネダの三人の名前の頭文字からとった)
最初はパチンコで的あてをしたりおしゃべりをしたりするだけの普通の秘密基地だった光クラブを陰惨な場所へと変貌させたゼラと対立する。
番外編では忌み嫌われる螢光中の生徒でありながら他校の女子にかっこいいと騒がれる(本人はそれを疎ましく思っている)描写がありかなりモテる様子。
タマコという妹がいる。
身長が185cmあり、これはライチを除けば作中最大。
ジャイボ(雨谷典端) 演:飴屋法水/玉城裕規/吉川純広/間宮祥太郎
称号は八番(アハト)で表紙の紹介は「漆黒の薔薇」
中性的な美貌を持った少年だが蛙の解剖などを好み、変人と評されている。
ゼラを非常に愛しており淫らな行為に及ぶこともままある。
家は町医者であり光クラブで用いられた薬品はジャイボが持ち出している。
「キャハ」と笑うのが癖でゼラの渾名を最初に言いだしたのは彼(曰くゼラチンペーパーのようだから)である。
この作品随一のヤンデレキャラ。
身長は165cmと、中学三年生の平均身長である。
本名はグランギニョルでジャイボを演じた飴屋氏の名前を漢字を漢字のみ変更して用いている。
ニコ(石川成敏) 演:石川成俊/平沼紀久/尾上寛之/池田純矢
称号は一番(アインツ)で表紙の紹介は「忠誠の騎士」
右目の傷はゼラの命での眼球を摘出によるものである。
ゼラを盲目的に信仰しており彼の行く手を阻む者は例え光クラブのメンバーであっても躊躇なく始末しようとする。
因みに彼のゼラへの想いはあくまで尊敬や忠誠でありジャイボのように恋愛の情は持っていない。
以前はタミヤと仲が良かったがある時期を境に敵視するようになる。
全員が貧しい労働者の子供という設定のライチの中でも特に貧しい家に育った。
ゼラと同じく身長は170cmで同年代としては高身長の部類に入る。
彼の名前もまた、グランギニョルで演じた石川氏の名前から来ている。
雷蔵(市橋雷蔵) 演:矢車剣之助/佐藤永典/池岡亮介/松田凌
称号は二番(ツヴァイ)で表紙での紹介は「暗闇の乙女」
所作や口調がフェミニンで一見して間違えそうではあるがれっきとした少年。
顔は可愛らしく、自身も至るところで顔立ちを絶賛しひかりクラブ下巻でゼラが少女の捕獲を宣言した際にも「誰がきても負ける気がしない」と発言している。
「世界一の美女」発言や普段の立ち振る舞いから考えると性同一性障害の可能性がある。なお下着は褌を愛用。
番外編で浴槽から出る時に胸や股間をタオルで隠していたり、父に桃子や聖子などの名前がよかったと文句を言っている。
公式でのブログは雷蔵が主に管理している(という体になっている)。
身長はジャイボと同じく165cm。
余談だが雷蔵のフェミニンな言動は矢車氏がモデルになっている。
カネダ(金田りく) 演:奥村浩/廣瀬大介/赤澤燈/藤原季節
称号は三番(ドライ)で表紙の紹介は「鬱屈の瞳」
タミヤ、ダフと同じく光クラブの初期メンバーであり現在でもタミヤをリーダーだと思っている。
雷蔵曰く「美しいとは言えない顔立ち」で、右側のみを伸ばした特徴的な髪型をしている。
目つきが悪く幼少時の写真は旧友二人が思い出し笑いするほど凶悪な表情をしていた。
まるまっちい字を書く。
身長は160cmとやや小柄。
デンタク(須田卓三) 演:佐野領域/富岡晃一郎/BOW/戸塚純貴
称号は四番(フィーア)であり表紙の紹介は「科学少年」
渾名の通り電卓を用いプログラミングをしているゼラと同じく天才少年。
ライチのプログラミングは彼によるものである。
彼がライチに植え付けた「自分は人間である」という概念によりライチは自らの意志でカノンを選び、攫ってきた。
身長は155cmで、公表されているひかりクラブ面子の中では一番小さい。
ダフ(田伏克也) 演:大橋二郎/加藤真央/味方良介/柾木玲弥
称号は五番(フュンフ)で表紙の紹介は「夢見る眼帯」
タミヤ、カネダと同じ光クラブの初期メンバーである。
意外と睫毛の長い目をしているが何故か右目にいつも眼帯をしている。
性に関して多感という意味では最も中学生らしく、番外編でも自慰に勤しんだり鉄棒に股間を擦りつけると気持ちがいいということで逆上がりを何度もしている。
友情に厚く、彼もまたカネダと同じく光クラブのリーダーはタミヤだと思っている。
コミックス初版では何故か彼の本名の苗字は「今井」となっていた。
ヤコブ(山田こぶ平) 演:上野仁/宮下雄也/加藤諒/岡山天音
称号は七番(ジーベン)であり表紙での紹介は「地下室の道化師」
雷蔵によるとカネダ同様美少年とは言い難い容姿らしい。
「へへへ」とよく笑っており、クラスに一人はいるお笑い系の男子らしくよくおどける。
雷蔵やデンタクとよくつるんでおり、特に雷蔵とは長く付き合っている。
ジャイボは女だったら彼女にするが雷蔵は気持ちが悪いらしく、鼻水を擦ったり着替え中の雷蔵の胸を揉んだりといじわるをしている。うらやまけしからん。
ライチ 演:嶋田久作/オレノグラフティ/皇希/杉田智和(声の出演)
表紙での紹介は「甘美なる機械」
光クラブのメンバーが何年もの月日をかけて作り上げたロボット。
少しグロテスクな顔の皮は雷蔵が縫った。
燃料はライチの実のみで、近所にはライチに摂取させるためのライチ畑がある。
デンタクのプログラムにより人の心を得た彼は、自らの意思でカノンを攫ってきた。
身長は220cmとかなり大きい。
カノン 演:越美晴/ほのかりん/佐津川愛子&七木奏音/中条あやみ
表紙での紹介は「囚われの白百合」
ライチと雷蔵の作った睡眠薬の染み込んだネコちゃんマスクによって攫われてきた少女。
星華女子中学校の生徒でかなりの美少女、その美貌は雷蔵が見とれてしまうほどである。
心が芽生え始めたライチに様々な事を教える。
身長は150cmと小柄で愛らしい。
古屋版漫画「ライチ☆光クラブ」
最も認知度が高く、おそらく現在「ライチ」といえばこの漫画を指していると思われる。
古屋氏が学生時代観劇し、感銘を受けた東京グランギニョルの演目「ライチ☆光クラブ」を原作として描かれた。
エロティックさとグロテスクさを孕み、どこかアングラな雰囲気をも漂わせる漫画となっている。ジャイボがゼラに口淫を施すシーンもあるが氏曰く「舞台版のジャイボはもっとブッ飛んでいた」とのこと。(ジャイボはグランギニョル版では鉄製の張子で女教師を貫いたが古屋版では醜いと称し性的なことはせず処刑に及んでいる)
2011年には、ライチイヤーと銘打った企画の一環としてライチ☆の前日譚「ぼくらの☆ひかりクラブ」が連載を開始した。
上下に分けて発行され上巻では小学生時代を、下巻では中学生に進級してからダフの処刑に至るまでがタミヤの視点を中心として描かれている。ニコの眼球を摘出するまでの経緯やメンバーが集っていく過程、それぞれの家庭環境や関係性の変化などまさに読者の知りたかった箇所が多数あり、痒いところに手が届く作品となっている。
因みにそれぞれに与えられた数字はジャイボを除き本名でのあいうえお順となっている。
2012年~2013年にかけ「ライチイヤー」と銘打ちコラボカフェや原画展示販売等様々な催しが行われた。
東京グランギニョル版「ライチ光クラブ」
1985年に初演が上演された。
「ライチ」「ファシズム」「少年組織の内部抗争」というキーワードを主軸に練られて出来たストーリーである。数ある果物の中でライチが選ばれた理由は当時今よりも更にマイナーで神秘的な雰囲気を持っていたからだという。
キャラクターの立ち位置や性格は古屋版とは殆ど違い、古屋版は大まかな設定とタイトルを冠した別物であることがわかる。(例えばジャイボがドイツの学校へ通っていたり雷蔵の一人称が「僕」であったりニコは特にゼラを崇拝していない等)
また、容姿も随分と違い、雷蔵が坊主であったりジャイボが金髪であったりヤコブが二枚目的な容姿であったりする。(ただしヤコブについては二枚目であっても別に物語には関係してこない)
投棄されていたテレビや消毒されていない医療器具を拾ってそのまま使用していたり、豚の内臓を使っていたりと今では想像も及ばない舞台で、医療器具の触れたところが謎の化膿を起こしたり謎の廃液を浴びた観客の肌がかぶれたりと今では問題になりそうなことも普通に起こっていた。
最近当時の音声と映像が発見されたが使用していたBGMの版権の問題でDVD等にするのは事実上不可能。
ただし音源の公開は常川氏本人により不定期に行われている。
音楽ユニット「ライチ☆光クラブ」
漫画兄弟の一人HAKUEI氏のソロユニット。
2011年から隔月で一曲ずつライチをモチーフとした楽曲を発表していた。(PVの一部はニコニコ動画内でも見ることができる)
キャラクターモチーフで作られたものや作品の雰囲気に即したものまで幅広いため、興味のある人は試聴をおすすめする。
ちなみにHAKUEI氏は「ロマンス」で有名なPENICILLINのボーカル。
アニメ「ライチDE光クラブ」
アニメ「ライチDE光クラブ」は毎週月曜日の夜27:30よりTOKYO MXで放映された。
ただし番組名は「学園魂」と表記されていて、別アニメと同じ枠での放送となっていた。
時間はOPED含め3分弱で声優は新舞台版のキャストが担当している。
デフォルメされた絵柄ということもあり原作と比べるとエログロ要素ははるかに少ない、というよかは皆無であり全体的にほのぼのとした出来になっている。
カノンが光クラブのメンバーと話したり、侵入者への罰の提案が「下着を全て白ブリーフに」や「おやつのポッキーのチョコ部分を全て舐めてしまう」等かなりゆるく、本編の陰惨な要素は微塵もない。どうしてこうならなかった。
ゲストキャラも登場しHAKUEIや光浦靖子が本人役で出演していた事も特徴である。
サブタイトルは「改造DE光クラブ」のような「~DE光クラブ」という形式。
因みにEDとBGMは音楽ユニット「ライチ☆光クラブ」による。
以前ポシャったという漫画に忠実なアニメ(等身やストーリーも漫画版そのまま)の絵コンテが作者の手により一部公開された。
脚本なども用意してあったそうなのでいつかこちらも映像化するかもしれない。というかしてほしい。
古屋版舞台について
2012月12月14日~12月25日にかけて紀伊國屋ホールにて公演された。
原作となった舞台版の再演ではなくあくまで古屋兎丸氏の漫画を原作とした舞台なのでこちらもお間違えなく。
主催と制作はネルケプランニングが、演出を江本純子が担当している。
主要なキャストは上記の通りである。
キャパシティの問題もあったが、10月14日のチケット本売り日にはなんと2分で完売してしまった。
翌年2013年、ほとんど同じ日程でAiia Theater Tokyoにて再演された。
舞台はチープさを感じながらも大振りで目を奪う演出となっており、シリアスよりもギャグ成分が多めである。
古屋版ライチの耽美でシリアスな世界観を期待して観ると納得がいかないかと思うがアニメを想像して観ればしっくりくる。
グランギニョル版でも古屋版でも無い、江本版という新しいライチ☆光クラブが生を受けたものと思うといいかもしれない。
なお、クオリティが低いわけではなく大道具小道具共に非常に凝っており役者一人ひとりの意識も高く、キャラ作りも洗練された非常に完成度の高い舞台である。
が、かなり好き嫌いは分かれるため未観劇でDVDの購入を検討している人は前情報をしっかり収集するか観劇者や購入者に感想を訊いておくのをおすすめする。
日々改良進化を続けたため初演と千秋楽ではかなり変化したところも多いだろう。
特に血糊の量はキャストが「窒息した」「溺れかけた」と報告するほどの量が投入され客席や舞台、光クラブを文字通り血に染めた。まさに血の用心。
また当舞台は2013年12月16日~24日にかけAiiA theaterにて再演された。
再演ではカノンとライチのふれあいが丁寧に描かれより漫画版の雰囲気に近付いたと言える。
ギャグシーンも以前より多少減ったり演出が変わったりと、以前との相違点も多々ある。
こちらはDVD化はされていない
劇場版「ライチ☆光クラブ」
2016年2月13日より全国での配給が開始された。(順次追加のため13日になると共に放映した劇場は少ない)
古屋版ライチ☆を原作にしており、新気鋭の若手役者たちが多数出演している。
関連動画
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