ジャックドール(Jack d'Or)とは、2018年生まれの日本の競走馬である。栗毛の牡馬。
ジャックドール Jack d'Or |
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生年月日 | 2018年4月8日 |
性・毛色 | 牡・栗毛 |
馬種 | サラブレッド |
生産者 | クラウン日高牧場 (北海道日高町) |
馬主 | 前原敏行 |
調教師 | 藤岡健一 (栗東) |
馬名意味 | 人名+黄金(フランス語) |
主な勝ち鞍 | |
2022年 | 金鯱賞 [GⅡ] 札幌記念 [GⅡ] |
競走馬テンプレート |
父モーリス、母*ラヴァリーノ、母父Unbridled's Songという血統。
父モーリスは国内と香港でGIを計6勝した名馬であり、ジャックドールは初年度産駒。また種牡馬としては産駒がデビューした年の総合2歳リーディングでディープインパクトとドゥラメンテに次ぐ3位の成績を挙げた。サンデーサイレンスが3代前(父母父)に入っているのでサンデーのクロス4×3や4×4の産駒も多い。シャトル種牡馬としてオーストラリアでの産駒の活躍も見られる。
母*ラヴァリーノはイギリスで8戦2勝、曾祖母It's in the Airは競走・繁殖両面で活躍した(後述)。母父アンブライドルズソングは1995年BCジュヴェナイルなどの勝ち馬で、2017年には北米リーディングサイアーにもなっている。日本では母父としてスワーヴリチャードやコントレイルなどを出している。
北海道日高町のクラウン日高牧場で生産され、1歳時に北海道セレクションセールにて藤岡健一調教師が一目惚れし、前原敏行オーナーに購入を進言。3200万円(税抜)で落札され、栗東の藤岡厩舎(主な管理馬にビッグアーサーやサウンズオブアース)に預けられた。
馬名の意味は「人名より+黄金(仏)」。英語の「人形(Doll)」ではなく、フランス語の「黄金(d'Or)」である。人名ジャックの由来は不明だが、父モーリスなのでメジャーリーガーのジャック・モリスからの連想だろうか。
この年の12月6日のメイクデビュー中山(芝2,000m)に齋藤新騎手でデビュー、「走りのバランスが良く、いい雰囲気を持っている。ケイコも動けているし、いい仕上がりで臨めそう」と期待を寄せられていて、1番人気に支持されたが、レースでは3~4番手でレースを進めるも直線で3番人気のアオイショーに外から交わされ2馬身1/2の2着に敗れた。
12月27日の未勝利戦(阪神芝2,000m)では藤岡健一調教師の息子の藤岡佑介騎手で臨んだが、ここも先行策から直線抜け出すも外からかわされる同じパターンで1馬身半差の2着に敗れた。
休養を挟んで4月25日の未勝利戦(阪神芝2,000m)に出走。ここでは1番人気に応えて先行策から4コーナーでもう抜け出すと、2番手以下を9馬身突き放し初勝利を飾った。
続いて5月8日の中1週で日本ダービートライアルのプリンシパルS(L・東京芝2,000m)に挑戦。三浦皇成に乗り替わりとなり4番人気となったがレースでは最後の直線で粘りきれず5着に敗れた。とはいえ垂れずに5着に粘った内容には、三浦騎手も「まだまだ体も緩い中、これだけのパフォーマンスを見せてくれました。もっともっと良くなってくると思います」とコメント。
夏は休養し、秋初戦は9月11日の自己条件戦の1勝クラス(中京芝2,000m)。藤岡佑介に手綱が戻り、体重がプラス16キロとなっていたがこれは成長分だったようで、2着から2馬身差で危なげなく勝利した。
10月3日の浜名湖特別(2勝クラス・中京芝2,000m)では佑介の弟の藤岡康太が手綱を握った。好スタートから逃げ込みを図り、スローペース逃げでそのまま押し切って3馬身差の快勝。鞍上の康太は「道中のペースが楽だったとはいえ上がりの時計もよく、強い内容でした」と讃えた。
その後は中2週で菊花賞に出るとかいう話もあったが回避し、11月28日のウェルカムS(3勝クラス・東京芝2,000m)へ。また佑介に手綱が戻り、ここでも抜群のスタートでハナに立つとスタート1000m通過59秒9のペースで逃げたうえで上がり3F最速の34.3秒を出すという、他の馬に全く何もさせない走りでそのまま3馬身半差の圧勝。3連勝でオープンクラス入りを果たし、佑介は「間違いなく上で通用する」と来年への期待を寄せた。
この年の初戦は1月29日の白富士S(L・東京芝2,000m)。このレースでも逃げを図り、直線では同世代の若葉S優勝馬アドマイヤハダルが追い込んだが、1馬身半差で悠々と逃げ切り4連勝を飾った。佑介も「能力が高い」と褒め称えた。
続いて3月13日、初重賞の金鯱賞(GⅡ)へ。GⅠ馬のレイパパレやアカイイトなどの強豪が揃い、藤岡師が「ここから先、重賞や大きいレースになるほど、このまま逃げ切りで勝つのは難しいと思っています」と脚質転換を示唆したりして「ビッグアーサー前が壁!」の悪夢を思い出した競馬ファンが頭痛を覚えたりする中、ここでも1番人気に支持された。
そしてレースではいつも通りの逃げを図り、道中緩みのないラップを刻んでいく。1000m59秒3のやや速めのペースで後ろを消耗させた上で、自身は上がり3Fを3位の34.6でまとめる強者の逃げを見せ、レイパパレやアカイイトの追撃もものともせず2馬身半差の快勝。タイムは1:57.2のレコードを叩き出し[1]破竹の5連勝で初重賞制覇を飾った。前原オーナーにとっても嬉しい重賞初勝利である。
逃げて連勝街道を突き進み、金鯱賞で強敵相手に圧巻のレコード逃げ切り勝ちというレース内容に1998年のサイレンススズカを想起するファンや、あるいは道中緩みのないラップでの逃げというレースぶりからミホノブルボンやタップダンスシチーを想起するファンも。(ジャックドールはジャックドールであり、他の何者でもないというファンももちろん存在する。)
佑介は「今回はペースは緩めてないし第4コーナーではどうかなと思ったけど、しっかりと粘ってくれた。すごい馬だなと思いながらラスト1ハロンを追った」と語り、「さらに大きい舞台で良い走りを期待しています」を次のレースを見据えた。
続いては優先出走権を獲得した大阪杯(GⅠ)。金鯱賞で見せた衝撃のパフォーマンスから、中2週・初GⅠとはいえ「昨年の年度代表馬エフフォーリアを倒すとすればこの馬だ!」と、単勝1.5倍のエフフォーリアに次ぐ3.7倍の2番人気で、戦前は完全なこの2頭の2強ムードだった。
レースでは堂々とハナを主張したが、外からアフリカンゴールドに競り掛けられ、後ろにもレイパパレら人気の先行馬がつけた結果ハイペースの展開となり、前半1000mは58秒8で流れる展開。4コーナーを過ぎてアフリカンゴールドを振り切るが、途中で右トモを落鉄した上にここまでせっつかれた結果スタミナが切れたのか、残り200mでレイパパレにかわされ、ポタジェの5着に終わった。まあエフフォーリアも9着に撃沈したので着順の上では勝ったのだが……。
デビュー以来2000mしか走っていないこともあり、宝塚記念はパスして休養し、続いては天皇賞(秋)を目標に定め、8月の札幌記念(GⅡ)に参戦。1歳上の個性派逃げ馬パンサラッサに、ヴィクトリアマイルで復活した連覇を目指すソダシなどGⅠ馬5頭が参戦する超豪華メンバーの中、単勝4.6倍の3番人気。パンサラッサが参戦したことで、ジャックドールは番手の競馬ができるかどうかが焦点となった。
レースはユニコーンライオンがハナを主張し、パンサラッサがそれをかわして先頭へ。ジャックドールは4番手に控える。良馬場発表ではあったものの連日の雨で馬場が緩みパンサラッサの逃げが普段ほどのハイペースにならない中で4コーナーからじわりと迫っていき、直線でパンサラッサに並んでかわす。そこからパンサラッサも粘っての追い比べに突入したが、最後まで譲らず押し切ってゴール。父モーリスが獲り逃した札幌の栄冠を豪華メンツの中で掴み取った。
これまでとは異なる好位先行押し切りの競馬で並み居るGⅠ馬をまとめて打ち倒し重賞2勝目。改めてその実力を示し、秋のGⅠ戦線に高らかに名乗りを挙げる勝利となった。
モーリス 2011 鹿毛 |
スクリーンヒーロー 2004 栗毛 |
*グラスワンダー | Silver Hawk |
Ameriflora | |||
ランニングヒロイン | *サンデーサイレンス | ||
ダイナアクトレス | |||
メジロフランシス 2001 鹿毛 |
*カーネギー | Sadler's Wells | |
Detroit | |||
メジロモントレー | *モガミ | ||
メジロクインシー | |||
*ラヴァリーノ 2004 栗毛 FNo.4-k |
Unbridled's Song 1993 芦毛 |
Unbridled | Fappiano |
Gana Facil | |||
Trolley Song | Caro | ||
Lucky Spell | |||
Sous Entendu 1987 栗毛 |
Shadeed | Nijinsky II | |
Continual | |||
It's in the Air | Mr. Prospector | ||
A Wind Is Rising |
クロス:Mr. Prospector 4×5(9.38%)、Northern Dancer 5×5(6.25%)
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最終更新:2024/05/04(土) 15:00
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