ある朝、私は気づいた
全身を満たす力に
昨日までとは違う自分にそれが今日、確かなものとなった
モーリスとは、2011年生まれの日本の競走馬である。鹿毛の牡馬。
通算成績18戦11勝[11-2-1-4]
主な勝ち鞍
2015年:安田記念(GI)、マイルチャンピオンシップ(GI)、香港マイル(GI)、ダービー卿CT(GIII)
2016年:チャンピオンズマイル(GI)、天皇賞(秋)(GI)、香港カップ(GI)
父スクリーンヒーロー、母メジロフランシス、母父カーネギー。父は低人気を覆してジャパンカップを制したグラスワンダー産駒でこの世代が初年度産駒。母は8戦未勝利だがその母は重賞4勝のメジロモントレーで、6代母メジロクインから続く由緒正しい「メジロ」の牝系。母父は凱旋門賞馬で、その母も凱旋門賞馬という超良血だったが日本ではかなり大失敗(重賞馬が障害含め2頭)だった。一応オーストラリアではGI馬を出したので、日本に合わなかったというのが正解だろう。
モーリスが生まれたのは日高の戸川牧場。年間5、6頭しか生産しない小さな牧場で、そんな中生まれたモーリスは当然期待される馬ではなかった。実際、場長の戸川洋二氏も「馬体は平均以上だったが特に目立つところはなかった」と出生当時を振り返っている。しかし、トレーニングセールで一番時計を叩き出すと天下のノーザンファームに購入され、吉田和美(吉田勝己・ノーザンF場長の妻)名義で走ることとなる。
デビューは2歳10月。ここをレベルの違う脚で完勝。これが2歳コースレコードだったこともあり続く京王杯2歳Sは断然人気に推されるが、出遅れて後方からとなると前残りの府中では厳しく6着。自己条件に戻った万両賞を勝って2歳を終える。3歳は重賞で5,4,7着と結果を残せず、ダービーの裏開催のOP白百合Sを3着としたところで長期休養。出遅れ癖に苦しみ、厳しい結果に終わる。まあ、父スクリーンヒーロー、祖母メジロモントレーをはじめ近親には古馬になってから活躍した馬が多く、成長力を見込まれた部分は多分にあったのだが。
休養中に美浦の堀宣行厩舎に転厩し、復帰したのは明けて4歳1月の若潮賞。実はこのレース前の調教あたりから一部で「モノが違う」という評価が上がっていたのだが、その通りに躍進。若潮賞を楽勝すると、続くスピカSは最後方から強烈な末脚で勝利。さらにダービー卿チャレンジトロフィー(GIII)も冗談かと思うほどの末脚で2着クラリティシチーを3馬身半後方に置き去りにする圧勝。一気にマイル戦線の主役に躍り出る。
堂々1番人気で乗り込んだ安田記念。まだ出遅れは不安視されていたが、その強烈な末脚は信頼に足るものと思われた。本番、珍しくゲートを五分に出ることに成功したモーリス。ここで鞍上の川田将雅はなんと末脚自慢のモーリスを先行集団まで持っていく。そのまま3番手まで押し上げてレースを運び、そのまま直線に向くとグイグイと伸びて前を捉える。先行した分残した脚に差があり、最後は良血ヴァンセンヌに詰め寄られるが半馬身振り切って優勝。父スクリーンヒーローには初の産駒GI制覇、生まれ故郷の戸川牧場には開業55年目にして初の生産馬GI制覇を届けた。
夏を休養にあてたもののその後調子が上がらず、予定していた毎日王冠を回避。結局マイルCSは休み明けぶっつけの出走になってしまう。このローテが嫌われたか、4番人気と春のマイル王とは思えない評価になる。重賞未勝利のサトノアラジンより人気しないってのはどうなのよ…。
イギリスの名手ライアン・ムーアを迎えた本番は外枠から好スタート。中団できっちり折り合うと持ったまま直線に突入。ここでムーアが追い出すと押せば押す分だけ加速するという笑うしかない脚を見せ、追いすがるフィエロ、決死の追い込みを見せるイスラボニータをあざ笑うかのような完勝。史上7頭目の春秋マイルGI連覇を果たし、マイル王の座を確固たるものとした。
次走は招待されていた香港マイルに遠征。ほぼ中2週で決して楽なローテではなかったはずだが、モーリスはリラックスして本番を迎えられたという。外枠からスタートし楽に中団につけるところまでは前走同様。しかし直線で追われても手応えが鈍く、外から香港最強馬エイブルフレンドに一度はかわされてしまう。しかし残り300mでようやくエンジンに火が付くと、勢いに乗って前を飲み込んでいく。最後まで脚色は衰えぬまま、3/4馬身差で勝利。日本馬としてはハットトリック以来10年ぶりの香港マイル制覇となった。
5歳になり、初戦は香港のチャンピオンズマイル。鞍上に香港のリーディング騎手であるJ・モレイラを迎え必勝体制(1番人気)。レースはスタートからいい手ごたえをキープしながら直線へ。直線は気合を入れると他馬がとは違う脚で突き放し圧勝。香港マイルGI連勝を果たし、2016年最高の形で始動した。
安田記念ではT.ベリー(よく日本に来るF.ベリーとは別人)を鞍上に据え、1.7倍の断然人気に推される。ところがスローペースに巻き込まれて折り合いを欠き、最後の直線でもフィエロ以下後続の追撃はなんとか退けたが逃げたロゴタイプに触れることすらできず2着。ここまで続いてきた乗り替わりが裏目に出てしまい、連勝は7で止まる。
それでも陣営は種牡馬入りを見据えて中距離戦線への転向を決定。手始めに札幌記念に挑む。鞍上はWASJのため来日していたJ・モレイラで、強力といえるライバルもおらず1.6倍の一本被り。道中は距離を考慮し控えるが、折悪く札幌競馬場も馬場が重くなっており厳しいレースになってしまう。それでも4角で外から脚を伸ばすが、舞台は小回りの洋芝で直線の短い札幌。しかも緩い馬場と合ってはさすがに追い込みきれず、ネオリアリズムの2着。またも逃げ馬を捉えられず連敗を喫する。
とはいえ距離にメドは立ったので、陣営は天皇賞(秋)参戦を決定。鞍上に1年ぶりのR・ムーアを迎え、当日はフランス遠征でイスパーン賞を制した快速馬エイシンヒカリと人気を分け合う形で1番人気に推される。レースはエイシンヒカリが引っ張る予想通りの展開。モーリスは中団外目でじっと構える。4角を回るとそのまま外から豪脚を繰り出して先頭に躍り出、リアルスティールやステファノスの追撃も楽々と退けて優勝。距離の壁をあっさりと乗り越え、国内ラストランを飾った。
そして現役ラストランとなる香港カップではスタート出負けして後方待機もムーアは「心配はなかった」と鞍上の期待に120%の出来で応える圧巻の走りで2着に3馬身差を付ける完勝を見せ1着と有終の美を飾った。香港カップと香港マイルの2競争制覇は当競走がGIレースとなってから史上初の快挙になるおまけ付きとなった。2020年より産駒デビュー。アジア最強の豪脚の血はきっと仔にも受け継がれるであろう。
種牡馬としては日本とオーストラリアのシャトルで供用。
2020年のファーストシーズンサイアーでは2位(1位はドゥラメンテ)、総合2歳サイアーランキングでも3位(1位ディープインパクト、2位ドゥラメンテ)と早くに結果を出し、初年度産駒から重賞馬を輩出。2021年はピクシーナイトがスプリンターズステークスを制しGI馬に。シゲルピンクルビーもフィリーズレビューを勝ち、珍名馬筆頭のシゲル軍団に待望の平地重賞制覇をもたらした。海の向こうのオーストラリアではHitotsuがヴィクトリアダービーを勝利。海外G1馬も輩出している。2022年もダート重賞・オーストラリアクラシックと多彩な活躍を見せている。特にエリザベス女王杯を制したジェラルディーナはモーリスのGI6勝と母ジェンティルドンナのGI7勝、併せてGI13勝という超良血であり、その潜在能力は未だ未知数。今後に期待したい。
スクリーンヒーロー 2004 栗毛 |
*グラスワンダー 1995 栗毛 |
Silver Hawk | Roberto |
Gris Vitesse | |||
Ameriflora | Danzig | ||
Graceful Touch | |||
ランニングヒロイン 1993 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo | |
Wishing Well | |||
ダイナアクトレス | *ノーザンテースト | ||
モデルスポート | |||
メジロフランシス 2001 鹿毛 FNo.10-d |
*カーネギー 1991 鹿毛 |
Sadler's Wells | Northern Dancer |
Fairy Bridge | |||
Detroit | Riverman | ||
Derna | |||
メジロモントレー 1986 黒鹿毛 |
*モガミ | Lyphard | |
*ノーラック | |||
メジロクインシー | *フィディオン | ||
メジロボサツ |
クロス:Northern Dancer 4×5×5×5(15.63%)、Hail to Reason 5×5(6.25%)
GI4連勝の軌跡
二階級制覇
リアルダービースタリオン | |
シュシュブリーズの2018 - オーバーザリミッツ - ファニーフラッシュ - クールフォルテ - モーメントキャッチ - レライタム - シュシュブリーズの2022 - シュシュブリーズの2023 |
|
繁殖牝馬 | シュシュブリーズ |
---|---|
種牡馬 | ホッコータルマエ - クロフネ - モーリス - サンダースノー - パイロ |
定点放送 タイムシフト |
今日のシュシュブリーズ - 今日のオーバーザリミッツ - 今日のファニーフラッシュ - 今日のクールフォルテ - 今日のモーメントキャッチ - 今日のシュシュブリーズの息子(次男) - 今日のシュシュブリーズの息子(三男) |
関連項目 | ダービースタリオン - フジキセキ - リアルダビスタ用語集 |
関連リンク | 公式X(旧Twitter) - ニコニコチャンネル |
競馬テンプレート |
JRA賞特別賞 | |
優駿賞時代 | 1973 ハイセイコー(大衆賞) | 1978 テンポイント(マスコミ賞) | 1982 モンテプリンス(ドリーム賞) | 1983 アンバーシャダイ |
---|---|
JRA賞時代 | 1989 オグリキャップ | 1993 トウカイテイオー | 1995 ライスシャワー | 1998 サイレンススズカ | 1999 グラスワンダー、スペシャルウィーク | 2001 ステイゴールド | 2004 コスモバルク(特別敢闘賞) | 2007 ウオッカ、メイショウサムソン | 2009 カンパニー | 2016 モーリス | 2020 クロノジェネシス |
競馬テンプレート |
掲示板
286 ななしのよっしん
2024/08/20(火) 21:20:32 ID: 8yVg/FB5xI
モーリス初年度で話題になった馬の現在
≪炎帝≫ルペルカーリア(母シーザリオ) 11戦2勝、現役
≪龍神≫レガトゥス(母アドマイヤセプター) 17戦3勝、現役、去勢済み
≪破壊王≫セブンサミット(母シンハライト) 16戦2勝、現役
≪支配者≫ブエナベントゥーラ(母ブエナビスタ) 9戦1勝、抹消
≪天馬将≫ゾディアックサイン(母レネットグルーヴ) 9戦1勝、抹消、去勢済み
≪炎馬将≫ジェラルディーナ(母ジェンティルドンナ) 23戦6勝(エリザベス女王杯、オールカマー)、繁殖牝馬
≪雷馬将≫ディヴィーナ(母ヴィルシーナ) 20戦5勝(府中牝馬S、関屋記念・中京記念2着)、繁殖牝馬
≪風馬将≫クルーク(母クロノロジスト) 2戦0勝、抹消
≪水馬将≫カランドゥーラ(母ラストグルーヴ) 24戦3勝、現役
≪土馬将≫ブルメンダール(母ブルーメンブラット) 19戦3勝(障害オープン勝ち)、現役
(省略しています。全て読むにはこのリンクをクリック!)
287 ななしのよっしん
2024/10/05(土) 19:43:20 ID: 9diHOO44oY
288 ななしのよっしん
2024/10/05(土) 22:15:54 ID: ARGuKXNopW
初動の2歳の頃や少し合間が空いた3歳秋~古馬は調子いいんだけど、肝心の3歳春になってなんか妙なことになりがちなのよねぇ
今のところクラシックでの最高が桜花賞3着(ペリファーニア)なのはちょっと物足りなさを感じてしまう…可能ならこの勢いを維持してほしいところなんだけども
あと意外と気になってるのが、今のところ初年度産駒(18年生まれ)以外からG1馬が出てない事かしら
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最終更新:2024/11/08(金) 21:00
最終更新:2024/11/08(金) 21:00
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