ファンタシースターⅡ 還らざる時の終わりに(Phantasy Star II: At the End of the Restoration)とは、1989年にセガから発売されたRPGである。
ファンタシースターシリーズの第2作目で、前作から1000年後のアルゴル太陽系が舞台。
概要
前作同様、セガマークⅢ/マスターシステムでリリース予定だったが、その後メガドライブに変更して発売された。
これによりグラフィックレベルが大きく向上し、豊富なアニメーションを見せる敵キャラクター、味方の攻撃グラフィックの追加など、当時としては画期的な内容だった。
科学・機械文明の発達した世界が舞台であり、サイバーパンクな雰囲気を随所に漂わせている。
たとえば戦闘不能になると町で回復できるが、クローンラボでクローンとして蘇生するという、どこぞのコンピュータ様が支配する完璧で幸福な社会を彷彿とさせる仕様。そしてあながち間違いではない。
ストーリーは暗い展開が多く、特に中盤では頭を抱える事必至の悲劇が発生。
更に終盤では物語の真相が明かされ、黒幕の正体が判明。そこから起こる衝撃のラストは、今でもファンの語り草となっている。
ダンジョンが広い事、敵とのエンカウント率が高い事も手伝い、戦闘の難易度はシリーズ中でも高い。
しかしそれらの問題点を置いても当時出色の出来であり、後のファンタシースターシリーズの方向性を定めた名作として語り継がれている。
その後1998年にセガサターンから「ファンタシースターコレクション」、2008年にPlayStation2から「ファンタシースター コンプリートコレクション」に1・3・4と共に収録、リリースされている。コレクションにはオリジナル版の他、システム・グラフィックなどを一新したリメイク版「ファンタシースター generation:2」が収録されている。
その他、Wiiのバーチャルコンソールで2008年から配信。PS2版も2014年からゲームアーカイブスで配信されている。
また、外伝「ファンタシースターII テキストアドベンチャー」がメガモデム(メガドライブを利用した通信モデム)のソフト「ゲーム図書館」でリリース。登場人物達の物語が語られており、こちらも上記のコレクションに収録されている。
あらすじ
前作から1000年後の世界。
恒星アルゴルを中心としたアルゴル太陽系は巨大コンピューター「マザーブレイン」により管理され、環境は大きく一変。アルゴルの人々はマザーブレインによる統治の下、かつてない繁栄を極め、争いのない豊かな暮らしを送っていた。
第二惑星モタビアの首都・パセオで働く政府エージェント・ユーシスは、たびたびおぞましい魔物と少女が戦う夢に悩まされていた。
そんなある日、ユーシスは政府総督に呼び出され、近年発生しているバイオモンスターの調査任務につく事となる。バイオハザードによる人的被害が発生しているにも関わらず、何故かマザーブレインは解決策を提示する事もなく沈黙を守っていた。
ユーシスに命を救われ、妹となったネイ。バイオモンスターと人間の細胞を掛け合わせて生まれた彼女はユーシスの事を慕っており、ついていくと言って聞かない。
やむを得ず彼女を連れ、バイオシステムに赴くユーシス。しかしこの小さな事件が、後にアルゴル太陽系全体を大きく揺るがす事になろうとは、この時誰も思わなかった。
登場人物
パーティーメンバー
- ユーシス
- モタビア州政府で働くエージェント。幼い頃に事故で両親を亡くし、天涯孤独の身。
人々に迫害されているネイを救い出し、現在は妹として育てている。
物語開始前から、頻繁に悪夢に悩まされていたが……
原理不明のテクニック「グランツ」「メギド」が使用できる謎の体質。剣を手に戦う。
前作「ファンタシースター」の主人公、アリサの子孫である事が後に判明する。 - ネイ・セカンド
- ユーシスの義妹。エルフ耳にレオタード姿の美少女。
「ネイ」とは「人間にして人間にあらず」という、強い否定の意味を持つ言葉。
バイオモンスターと人間の遺伝子を掛け合わせて生まれた存在。短い時間で急成長しており、実年齢は何と1歳。人々に迫害されて殺されかけた所をユーシスに助けられており、彼の事を強く慕っている。性格は大変けなげで心優しい。
クロー(鉤爪)と回復系のテクニックを使って戦う。
物語の中盤、自分のオリジナル「ネイ・ファースト」を止める為に戦う。しかし返り討ちに会い、クローンラボでも再生できない程のダメージを負って死亡してしまう。この悲劇は回避不可能だが、バグを使うと生存させる事が可能。またリメイク版では2周目以降、生存ルートが追加されている。 - ルドガー・シュタイナー
- バイオモンスターの退治で生計を立てるハンター。かつては軍人だったが、3年前にバイオモンスターに妻と子を殺害され、ハンターに転職した。バイオモンスターの事件を追うユーシスに協力を申し出て、仲間に加わる。
こわもてのオジサンだが、気は優しい。銃器のプロで、戦闘でも銃を操って戦う。
モデルは俳優のルトガー・ハウアー。 - アンヌ・サガ
- 新人の医者で、回復系のテクニックでメンバーをサポートする。メスを武器に戦うが、肉弾戦はあまり得意ではない。バイオモンスターによる被害拡大を見かね、これを止めるために仲間に加わる。
献身的な性格で、人を助けるのに自分が犠牲になる事も厭わない。
「清楚な癒し系の女性」を目指したキャラクターで、モデルは『母を訪ねて三千里』のフィオリーナ・ペッピーノ。 - ヒューイ・リーン
- 生態系の研究者の青年。元はモタビア大学出身で知的好奇心が強く、幼い頃から動物や植物に親しんでいた。バイオモンスターによって生態系が破壊され、動物や植物が殺害される事を憂いている。
バイオモンスターに特効のテクニックを使用。何気に彼女持ちのリア充だったりする。 - アーミア・アミルスキー
- ハンターの中でも悪質な者を狩る「カウンタハンター」。刃つきブーメランのスライサーを武器とする。各地で有名になっていくユーシスの噂を聞きつけ、仲間に加わる。
幼い頃から孤独な生を送っており、見かけは怖いお姉さん。しかし本来は心優しい性格。
「年上のしっかりした女性」を目指したキャラクターで、モデルは女優のナスターシャ・キンスキー。 - カインズ・ジ・アン
- ジャンク屋の青年。機械いじりが好きでエンジニアを目指すが、何故か触る機械をことごとく破壊してしまう。その為ひねくれて不良になったが、もともと正義感が強く、バイオハザードを止める為にユーシスの仲間になる。実はネイに片思いをしていた。
その才能(?)を生かし、機械に特効のテクニックを使用可能。 - シルカ・レビニア
- 「風のシルカ」を名乗る泥棒。「何者にもとらわれない」と標榜するクールな性格。正義や平和といった物事には興味がなく、刺激を求めて仲間に加わる。
実はモタビア首都・パセオの大富豪、レビニア家の令嬢。
Lv10以上でパーティーに加えた状態で店に入ると、ふとした時にいなくなり、その後帰ってきた彼女の持ち物が増えている。また、ある便利アイテムは彼女がいないと入手できない。
その他
- ダラム
- 生まれたばかりのネイを迫害し、殺そうとしていたおっさん。とある事情から悪事を繰り返している。
娘と共に序盤のトラウマイベントを担う。 - ティム
- ダラムの娘。悪党に誘拐され、囚われていたところのをユーシスに救出された。人々の目を避ける為にフードで顔を隠し、ダラムの元に連れてこられるが……
父が悪党に脅迫され、自分の身代金を作る為に強盗殺人を行っていた事を知り、凶行を止める為に自ら命を差し出した。娘を殺してしまったダラムは嘆き、ユーシス一行の目の前で自害してしまう。 - タイラー
- 宇宙海賊。マザーブレインに何から何まで管理されている現状に嫌気がさし、現在の稼業についた。
海賊船「ランディール号」を操り、ユーシス達に手を貸す事となる。
前作「ファンタシースター」の登場人物、タイロンの子孫。その後、彼の名前と宇宙船は「千年紀の終りに」に再登場する。 - ルツ
- 前作「ファンタシースター」に登場したキャラクター。1・2・4を通じて登場する、物語のキーマン。
エスパーしか使えなかった「マジック」を体系化し、一般人でも扱える科学技術「テクニック」を完成、広く普及させた。その後は第三惑星デゾリスにおいて、永き眠りについている。
物語の後半、ある理由から追われる身となったユーシス達の前で覚醒。元凶を倒す手助けをする。
敵
- ネイ・ファースト
- ネイのオリジナル。
かつて動物と人間をかけ合わせる実験で誕生したものの、失敗作として処分されそうになった。そのため命を弄ぶ人間を激しく憎み、バイオモンスターを量産し、人々を襲わせていた。
バイオハザードを引き起こした張本人として、またネイを殺害した仇としてユーシス達に倒されたが、実はネイ・ファーストが死ねばそこから分化した「善性」であるネイも死ぬさだめにあった。 - ダークファルス
- 前作「ファンタシースター」のラスボス。
シリーズ恒例の巨悪。1000年前にアリサ達に倒されて封印されていたが、人々の悪しき心につけ込み、千年周期で復活を繰り返す。
今作では「パンドラの箱」に封印されており、「宝箱開けたらラスボスだった」というネタ扱いされることしばしば。次作「時の継承者」でも同じ事になっているが、こちらは純粋にフツーの宝箱である為、輪をかけてネタにされる。 - マザーブレイン
- アルゴル太陽系を統括管理する巨大コンピューター。
天候・気象の操作を行い、モタビアとデゾリスの環境を変えて人が住める惑星に変え、かつてない繁栄をもたらした。
しかしその一方、アルゴル太陽系の人々はマザーブレインに一切を管理される事に頼り切り、自堕落な生活を選んで飼い慣らされるようになっていった。厳しい統制が行われる現状を憂う者も少なくないが、下手に逆らえば政府から目をつけられ、反逆者として追われる身となる。
物語中盤以降、ユーシス一行を反逆者として指名手配したが、最終的に破壊される。これに加えて人工衛星が墜落したのをきっかけに、第一惑星パルマが爆発、アルゴル太陽系の全人口の90%が失われるという結果に終わった。その後の顛末は「千年紀の終りに」で語られる。 - ?????
- 全ての元凶。
最終版でユーシス一行の前に姿を現す。
この項目は、ネタバレ成分を多く含んでいます。 ここから下は自己責任で突っ走ってください。 |
かつては高度な文明を誇っていたが、「心の中の悪魔」ダークファルスを抑えきれなかった結果、憎悪の連鎖によって増長。遂には自らの手で地球を滅ぼすという愚挙を犯した。
地球人の大半は滅亡したものの、僅かな生き残り達が宇宙の旅を続ける中、アルゴル太陽系を発見。しかし災いを知らぬアルゴルの人々を妬み、友好ではなく侵略の道を選ぶ。その為にマザーブレインを作り、1000年をかけてアルゴル太陽系を支配、乗っ取ろうとした。
高度な文明を誇る自分達に勝てる訳もないと豪語するが、そこにルツの力によって仲間たちが転送されてくる。一同はそれぞれの怒りを露わにしつつ、臆する事なく地球人たちに斬りかかっていく。
ルドガー
「愛するものを失う事の悲しみをお前たちにも味あわせてやる!」アンヌ
「あなたたちの瞳にとまどいと憐れみが浮かんでいるのが見える。私はあなたたちの行いを決して許さない!」カインズ
「ちきしょーっ!!俺たちの…俺たちのアルゴルをめちゃくちゃにしやがってー!!」シルカ
「私は運命の奴隷にはならないわ!未来は自分の手で切り開いて見せる!!」
還らざる時の終わりに
彼らは一体
何を見るのだろうか……
その他
本作はメガドライブ初期の目玉ソフトとして発売されている。
この為発売日は絶対死守と決められ、前作からわずか半年という超ハードスケジュールで制作されたそうな。そりゃこんな陰惨な話にもならぁな。
ヒロインであるネイの人気は非常に高く、その後のシリーズにおいても彼女の系譜は続いた。
「時の継承者」では、異形の存在として迫害されたアンドロイド・ミューTYPE-S2が登場。
最強の武器の封印を解く「武器にして武器にあらず」を意味する聖なる言葉が「ネイ」である。
「千年紀の終りに」では、ネイの実験データから創造されたニューマン・ファルが登場。後のPSOシリーズにおいて種族「ニューマン」が確立されるきっかけとなっている。
また、萩原一至の漫画『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』に登場する「雷帝」アーシェス・ネイのモデルにもなっている。現在でもその人気は根強く、PSO以降でも「Nei」という名のニューマン♀を作ったプレイヤーは少なくない。
エンディング後の主人公たちの運命についてはプレイヤーの想像に任されていたが、近年「主人公たちの勝利で幕を閉じた」事が公式で発表された。よかったね。
また、全員がある形で「千年紀の終りに」に登場している。
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