日本国内のPokémon GOの使用に対する組織の反応の一覧とは、『Pokémon GO』の使用に関する各組織の反応のまとめである。
概要
『Pokémon GO』はNIANTICが開発したIngressで重要地点として扱われる「ポータル」の設置情報を元にポケストップ・ジムの設定が行われている。
ポケストップ・ジムとして設定された場所は公式で提携しているマクドナルドの各店舗や地域のオブジェ・看板・変なものなど観光スポットと言えるような場所が多いのだが、『Pokémon GO』が多数の人に遊ばれ多数の人が押し寄せた結果、これらポケストップ・ジムの設置箇所となった組織側から「ポケストップ・ジムの設定を外す」「ポケモンを出現させないようにする」などの要望が出ている。
※全国紙のネット版に掲載された情報などをもとに作成しています。
※全国紙のネット版掲載記事は一定期間後見られなくなる場合が多いです。
禁止・注意(施設全般)
日本国政府
内閣サイバーセキュリティセンターが配信前の7月20日に「ポケモントレーナーのみんなにおねがい」という文書を作成し、注意を促した。子供向けのようなタイトルだが、肝心の文章にはルビがない困った仕様となっている。とはいえ重要な呼びかけなので大人も子供も目を通すとよい。
また消費者庁は「Pokémon GOに関する注意喚起」を作成。Pokémon GOの特徴・注意を出している。「ポケストップやジムの削除リクエストができます!」と言う項目があり、手順を説明していることから内容的には個人よりも事業者などの団体向けの内容になっている。
裁判所
7月26日最高裁判所は全国の裁判所の敷地にあるポケストップ・ジムの削除を要請。「裁判所は、裁判や、裁判の傍聴などを目的とする方が来庁する場所であるため」とのこと。
鉄道
7月26日、JR・私鉄などの鉄道事業者が鉄道関連施設をゲームの対象にしないように共同で要請した。
高速道路
高速道路事業者は高速道路本線・サービスエリア・パーキングエリアにポケモンの出現をさせないように申し入れを行っている。
発電所
各発電事業者が原子力発電所内でポケモンの出現をさせないよう運営側に要請している。
今のところ原子力発電所が出ているものの火力や水力ならいいという問題でもないため、発電所全般がポケモンが出現しない地域になるのは容易に想像できる。
避難指示区域・帰宅困難区域(福島県)
東京電力福島第1原子力発電所の事故による避難指示区域・帰宅困難区域でポケモンが出現することから、福島県知事の内堀雅雄は7月25日の定例記者会見で「一般の方々がゲームの流れの中で立ち入るのは好ましくない。まずい」と発言し、国との協議を検討している。
禁止・注意(神社仏閣)
出雲大社(島根県出雲市)
7月22日公式サイト上で「神社境内地・周辺社有地及び出雲國造家千家國造館敷地などでのゲームアプリ「ポケモンGO」の使用は禁止とします。」と(おそらく)日本で初めてPokémon GOの使用の制限・禁止にあたる発表を行う。同ページに掲載してあるドローンの飛行禁止は過去に掲載されたものであり、Pokémon GO配信とは関係ない。
J-CASTニュースではこの発表を掲載した記事で「今回の出雲大社の決定で、他の観光地にある神社仏閣でも同様の動きが広まる可能性もある。」と書いているが、事実続々と神社仏閣での使用を禁止・制限する動きが出ている。
金刀比羅宮(香川県琴平町)
7月23日にゲームアプリの使用を禁止する看板を設置。実質的にPokémon GOを意識したものと思われる。
恐山(青森県)
参拝客の安全の観点や神聖な場所であることを理由に使用を禁止を呼び掛け、周知の看板を設置。
後日、恐山の住職代理が書いた日記(ブログ記事)では改めて禁止の告知を行ったのだが、その後の「私個人の批判」としていかにこのゲームを販売する企業が無礼なのかを延々と書き連ねている。まとめると以下の通り。
- 他人の土地を一方的に利用して儲けることは企業モラルに致命的な欠陥があることを示している。
- 恐山の除外のために任天堂に連絡を入れたが(株)ポケモン→ナイアンテックとたらい回しにされ、「ナイアンテックにメールで要望してくれ」と言われる。
- 今日知ったが任天堂・(株)ポケモン・ナイアンテックはトラブル対策で、訴訟を起こす場所を日本ではなくアメリカにする姑息な手段を使っている。
として
私は、三社は最低限次のような対応を直ちになすべきだと考える。
一、当事者が希望するなら、ゲームが作動する地域からの除外を、なるべく簡便にできる方法を提供すること。
一、ゲームを作動させたいなら、当該地域の所有者か管理者に許可を求めること。
一、ゲームが作動できるように無断で設定した地域で、ゲームの利用の結果生じたトラブルに、一定の責任を負うこと。
この三社が自らの無礼さに無自覚なまま今後も商売するということになると、私としては、今や栄華を極めるIT企業全体に、今後そのモラルを根本から疑わざるを得ないゆゆしき問題が続出することを、深く危惧せざるを得ない。
と締めている。
住職代理は真剣なのかもしれないが「何を馬鹿なこと言っているんだ」と言いたくなる内容である。「ゲームが作動する地域からの除外を、なるべく簡便にできる方法を提供」は消費者庁HPに掲載された文書に書いてあるし、「ゲームを作動させたいなら、当該地域の所有者か管理者に許可を求める」という論理が通るならGoogleMapも「当該地域の所有者か管理者に許可を求め」て運用しなければならないのかと言いたくなる。
同記事は7月31日にコメント書き込み停止となったが、8月8日にコメントが500件に達するまでコメント受付をするという条件で書き込み可能となった。
気多大社(石川県羽咋市)
拝殿前がジムに設定されていることについて、7月23日削除を要請。小川や階段などがあって危ないことや参拝客の妨げになることを理由として挙げている。
八坂神社(京都市東山区)
八坂神社や隣接する円山公園にポケモンの巣があることから多くのプレイヤーが集まり、これを問題視した神社はポケスポットの削除申請を行った。神社の担当者は「お願いしてスポットにしてもらったわけではないし、そもそも宗教施設としてそぐわないという考えから、削除要請をする予定です」と話している。
ただ、ポケスポットを解除したところで円山公園にポケモンの巣があるということ自体は変わらないためどの程度効果があるかは不明。
根來寺(和歌山県岩出市)
7月30日公式ツイッターで「ポケモンGOによる境内立ち入りを24時間禁止します」と投稿。「見つけたら警察に通報いたします」と書くなど極めて強硬な主張をしている。根來寺は配信以降タバコの吸い殻が至る所に散乱するようになり、国指定の文化財の火災被害を防ぐためだと主張している。
禁止・注意(公園)
平和公園(広島県広島市)
ポケスポット30か所とジム3つが設定されている広島市の原爆ドーム周辺(平和公園)だが、「配信後ゲーム目的の人が集まり公園の雰囲気が一変した」として市に苦情が寄せられたことから7月26日に公園内のポイントの削除・ポケモンの出現をさせないようにする要望書を送り、平和記念式典の8月6日までに対処するよう要請。一方ゴミや騒音などの迷惑行為に関する苦情はないようである。
ネット上では「『ピカドン』というニックネームのピカチュウが原爆ドームのジムに居座ったことが原因だろ」と指摘されているが、ネット上ではその画像以外の情報がないため『ピカドン』については「コラで作ったデマなのではないか」と指摘されている。
8月6日の深夜に平和公園内のジム・ポケスポットがすべて削除される。広島市は「速やかに対応いただいたことに深く感謝している」と発言する一方、露骨なPokémon GO排除の動きにJ-CASTニュースの記事で取り上げた反応の言葉を借りれば「将棋、囲碁、花見、イベント、祭り、煙草等はOKなのに、ポケモンGOだけダメなのが分からない」という意見も出ている。
- 原爆ドームで「不謹慎ポケモン」行為か 「ただただ悲しい」とネットで非難 : J-CASTニュース
- 広島・平和記念公園でポケモンGOを全削除 「原爆の日の慰霊の場にふさわしくない」 - 産経WEST
- 「原爆の日」式典直前に「ポケモン」削除 「当然」派VS「不満」派がバトル : J-CASTニュース
- 広島平和記念公園の『ポケモンGO』スポット削除で「平和」とは何か考えさせられた(ふじいりょう) - 個人 - Yahoo!ニュース
平和公園(長崎県長崎市)
ポケストップの削除を申請。長崎市の平和推進課は「平和公園は祈りの場」と説明しており、ゲームそのものも控えるようにする方針を示している。
8月5日午後に削除が確認され「犠牲者を悼んだり、平和を祈る場所だということを理解してくれたんだと思う」とコメントしているが、上の広島市の平和公園で挙げられた露骨なPokémon GO排除に対する批判は長崎市の平和公園でもあてはまることだろう。
世田谷公園(東京都世田谷区)
世田谷公園にポケモンの巣(ミニリュウ)があることからトラブルが続発していたこともあり、7月28日に世田谷区は区の公式サイトに文書を掲載。
7月30日ポケモンの巣はミニリュウからイーブイに変更された。イーブイはコラッタ・ポッポのような頻出クラスから1ランク下がるものの、比較的出やすいポケモンである。当初「この騒動を受けての対応」「毎週土曜日にポケモンの巣が変更される仕様」かと思われたが、サーバーに負担をかける外部ツールによって得たポケモン出現情報を潰すための変更のようである。
佐鳴湖公園など(静岡県浜松市)
8月5日浜松市の市公園管理事務所は佐鳴湖公園のポケストップに加え、私立幼稚園(全22園)・保育園(全62園)がポケストップに指定されていたら速やかに削除するよう申請。削除申請した場所の周辺の駐車が増えて「生活の平穏が保たれない」ことを理由にしている。市公園管理事務所は様子を見て市内の他の公園も削除申請を検討している。
禁止・注意(その他)
国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)
施設内に入る事例が相次いでいることから7月25日より施設内外にポスターを掲示し、「この病院にいるポケモンたちは、体調が悪いので入院中です。 ポケモンたちが早く元気になって退院するために、探さないでくださいね。」(漢字・カタカナはすべてルビ付き)と記載し、協力を呼び掛けている。
熊本城(熊本県熊本市)
地震の影響もあり、22日に立ち入り禁止区域をゲーム対象からの除外を申し入れ、その日の夕方に対象から外したと連絡があった。
富岡製糸場(群馬県富岡市)
7月23日富岡製糸場の数か所に「場内の立ち入り禁止施設に入らない」「事故やけがに注意して周囲に配慮する」という注意文を掲示。実質的にPokémon GOを意識した注意文である。
北海道大学
7月29日に大学内のポケストップの削除を申請。トラブルは発生していないが「様々なリスクを考慮して」とのこと。
慰霊の園(群馬県上野村)
日航ジャンボ機墜落事故の追悼施設「慰霊の園」の慰霊塔がポケストップに設定されていることから、7月28日に施設管理者側から「参りする場所なので良い印象は受けない」として設定解除を申請を検討している。
国会議事堂(東京都千代田区)
国会内にポケストップ12か所とジム1か所が設定されており、衆議院の議院運営委員会は7月28日の理事会でこれら施設の削除を要請を検討。参議院の議院運営委員会と協議するとしているが、反対意見はまず出ないと思われるためそのまま削除申請するものと思われる。なお国会見学者の歩きスマホは2014年の時点で禁止している。
市有施設(群馬県高崎市)
日本全国でゲーム中の事故やトラブルが多発していることから、8月4日に市有施設内でのポケモンGO利用禁止を発表した。対象となるのは、市立の小・中・高校計84校と美術館・キャンプ場などの72施設。特に罰則はないものの、トラブルが起きた際には運営会社に抗議しポケストップの設定解除を求めるようだ。
容認
一方、逆にポケストップ・ジムに設定されていても容認・特に排除しないとする組織も出ている。
鳥取砂丘(鳥取県)
鳥取砂丘では自動車・自転車の乗り入れができず、地面も砂なのでケガしない(日中は熱いだろうが)ということからか、「鳥取砂丘スナホ・ゲーム解放区宣言」(誤字ではない)を行い鳥取砂丘内でのPokémon GOを容認。
鳥取砂丘スナホ・ゲーム解放区宣言
雄大な鳥取砂丘は、美しい自然のなかで、多くのポケモンたちが暮らし、皆様を待っているようです。
街中と違って安全に楽しめる鳥取砂丘で、掟(おきて)を守ってゲットしてください。
ここに、「鳥取砂丘スナホ・ゲーム解放区」を宣言します。
平成28年7月25日 鳥取県
掟(おきて)
1 熱中症や事故・ケガがないよう、注意しましょう。
2 砂丘のかわいい生き物や、他の人に、迷惑をかけないようにしましょう。
3 雄大な砂丘の景色や昆虫・砂丘植物などを、楽しみましょう。
知事もAR機能でパラスと並んでいる写真を公開するなどノリノリである。市の広報課は鳥取県ポケモンGOポータルサイト「とっとりGO」を開設し情報を掲載している。
ポケストップがなさそうに見えるが、砂丘内の砂の動きを調べる杭がすべてポケストップになっているためアイテム切れの心配もないサファリパークとなっている。でもプレイヤーの体力には気をつけよう。
余談だが、同じ鳥取県の水木しげるロードでも『ゲゲゲの鬼太郎』のキャラのオブジェ1つ1つがポケストップになっている便利なスポットとなっている。こちらは解放宣言の区域とは違うので使用は気をつけること。
- 鳥取砂丘スナホゲーム解放区宣言(PDFファイル)
- 鳥取砂丘を「ポケモンGO解放区」宣言 鳥取県が大作戦会議 - 産経ニュース
- 「ポケモンGOはぜひ鳥取砂丘で」平井伸治・鳥取県知事がアピール【ポケモン解放区】
- 鳥取砂丘は「ポケモンGO」が捗る! 鳥取県、異例の「スナホ・ゲーム解放区宣言」の理由を聞いてみた - ねとらぼ
海眼寺(京都県福知山市)
海眼寺がジムに設定されていることについて、車の入ってこない境内なら安全確保できることから海眼寺のブログ上で「海眼寺の境内ではご自由にバトルもポケモンゲットもしていただいて結構です。」と掲載。災害非常時に集まる場所となることを考慮して用意された充電施設や境内の水道・屋外トイレの利用も許可している(当初Wi-fi解放も考えていたが取りやめている)。
なおその後の記事で出てくるポケモンについて住職からは「ミニリュウを一回だけ捕まえましたがマグレでしょう。住職はレベル14ですがポッポとコラッタがほとんどです。」と書いている。
西本願寺(京都市下京区)
8か所ポケストップがあったが境内でのPokémon GOを禁止。しかし関係者から「厳しすぎる」という意見を受け、「立ち入り禁止区域に入らないこと」を条件に容認に転じた。看板でポケストップの位置が掲載されているので歩きスマホをしないように。
首相官邸(東京都千代田区)
7月27日の記者会見で「ゲーム開発会社に対して、ゲームのアイテムを入手できる場所などから官邸、公邸を除外するよう特に政府からは要請はしない、という理解でよろしいでしょうか。」という質問に対し、官房長官から「官邸及び公邸については、すでにセキュリティーの確保について適切に進めているところですので、現時点で、これに加えて『ポケモンGO』に対して特別な要請を行うということは考えておりません。」との回答が出ている。もっとも、見学者は手荷物の持ち込みができないので官邸でPokémon GOができるというわけではない。
北海道上ノ国町
北海道南西部の上ノ国町ではPokémon GOと町の観光を「安全かつ効率よく楽しんでもらうため」としてポケストップ・ジムの設置位置を記載した観光パンフレットを作成した。
ぎふメディアコスモス(岐阜県岐阜市)
8月1日岐阜市の定例会見で7月29日に司町にある複合施設「ぎふメディアコスモス」にポケストップの追加申請を行った。市長の細江茂光は「街の活性化のため」として申請したと話している。とはいえ追加申請のフォームなどないため、ダメ元で削除申請フォームに追加に関する文面を書いたようである。
元となったIngressのポータル新規受付がこの時点で停止しているため受理はないと思われるが、市の方針で容認とも受け取れるため情報として掲載しておく。
関連項目
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- 0pt