「GOGO!ぷりん帝国」とは、1996年から2000年までエニックスの「月刊少年ガンガン」で連載された少年漫画である。作者はくぼたまこと。
ヤングガンガンで連載していた「天体戦士サンレッド」と並ぶくぼたまことの代表作であり、出世作である。
単行本は全6巻(絶版)。現在は新装版が全4巻で発売中。略称は「GOぷり」。
あらすじ(理想)
地球から3億光年離れた宇宙に存在する、惑星ババロア。この星の寿命は残り僅か1年に迫っており、爆発の危機に瀕していた。
ババロアを支配する悪の帝国「ぷりん帝国」は、やがて消滅するババロアから移住先を求め、遙かな遠い星・地球に狙いを定め、侵略を開始しようとしていた。
今、地球に邪悪な魔の手が及ぼうとしている……。
あらすじ(現実)
とかいう深刻なあらすじとは対照的に、
毎回毎回ぷりん帝国が地球侵略のために怪人を派遣する(あるいはしようとする)も、
様々な理由により、決まって侵略に失敗してしまう……というお話が、
第1話から最終話まで絶え間なく延々と繰り広げられる物語である。
理由は様々で、
- 侵略するはずの怪人が盲腸になってしまう。
- 侵略するはずの怪人が家庭の事情で辞退してしまう。
- 侵略するはずの怪人が方向音痴で地球までたどり着けない。
- 侵略するはずの怪人がものすごく引っ込み思案で行きたがらない。
- 侵略するはずの怪人が健康生活に目覚めて任務を放棄してしまう。
- 侵略するはずの怪人が出発日を間違えてしまい帝国に止められる。
など、強面の怪人や悪の組織というイメージとは正反対の情けない理由が多く、 そのギャップを笑うのがこの漫画の一つの楽しみ方である。
しかしそれ以上に、
- 地球の人間の生態や特定の商品を帝国幹部達が深読み調査しすぎて恐怖するネタ
- 日常生活の役に立ちそうでそこまで役立たないどうでもいい知恵
- 貧乏暮らしにちょっぴり役立つせこいアイデア
- 身近に溢れるあるあるネタ
など、地球侵略とはまるで関係の無い極めてどうでもいい生活臭ネタが多くの読者の心を掴み、 連載終了から10年近く経った今ではこちらの方が印象に残っているという読者が多い程である。とりわけ、ぷりん帝国一の戦士でありながらド貧乏で女に貢ぐ生活をしているベルムスの人気が高く、彼が作中で披露した、「スーパーでのレジ袋の正しい詰め方」や「月見そばの正しい食べ方」に「満員電車の快適な乗り方」、そしてベルムス巻きなどの強烈なインパクトを持った数々のネタは、今なお語り草となっている。
作品評価
くぼたまことの連載デビュー作「仮面レンジャー田中」と平行して連載が始まった本作だが、 この作品で初めて「生活臭溢れるあるあるネタ」「庶民くさい怪人」「小動物キャラ」が登場した。「田中」から「GOぷり」を経て「サンレッド」に至るまで似たような作風が続いているが、 「GOぷり」における生活の知恵シリーズは「サンレッド」でヴァンプ様の家事の知恵ネタとして昇華されるなど、 これらの作品を経る中で新機軸を生み出した末、「サンレッド」という完成型が出来上がったと言っても過言ではない。
が、作者が頻繁に漫画に登場したり、ネタの当たりハズレの差が大きい、描線がやや雑など、今現在見返してみるとまだ素人っぽさが残り、あか抜けない印象だったことも否めない。ただし、少年誌であったことを考えると、故意にそのような作風にしている可能性もある。また、洗練され完成された作品にはない「勢い」がまた違った面白さを産むこともあるので、一概に悪いとは言えない。
この「GOぷり」を描いている最中、作者は川崎市高津区に住んでいた(現在は故郷の静岡に戻っている)ので、 この時代の様々な経験が今の「サンレッド」に繋がっているのかも知れない。
主な登場人物
- ていおう(帝王)
- ぷりん帝国の最高権力者。正確な年齢は不明だが、行動からして子供だと思われる。
先代帝王が急死し準備もままならないまま王位を継いだため、最高権力者らしい仕事はしていない。
日々の職務はせいぜい重要な書類への押印ぐらいである。
コミックス初期ではしゃべる事もあったが、話が進むにつれて無口になってゆき、終盤ではほとんどしゃべらなくなった。代わりに胸のプレートで感情表現、意思疎通をする。
2人がかりでも持ち上がらない程の重量の鎧を何故か簡単に着こなしている。
その鎧は非常に頑丈で、フロシャイムの怪人を秒殺するレッドが帝王の鎧を殴った際には痛がっていた程である。
鎧の下に素顔があるようだが、その姿は不明。
権力者としての威厳は皆無であるが、部下や国民からは非常に親しまれている様子。
好きなものはジャージと羊羹などの甘いもの。
和菓子屋のアドバイザーを務め、そのおかげで売り上げが伸びた事も。
時折挟まれる帝王が主役の話では彼の精神的成長を見ることができる。
普段はジャバに好物である芋羊羹の食べ過ぎを止められているのだが、彼が不在(奥さんの墓参りに行っている)なのをいいことに食べまくってしまい虫歯になり、歯医者にかかることに。普段色々と生活について注意してくるジャバだがその裏にある心遣いに気づき、ジャバを追いかけ一緒に奥さんの墓に手を合わせた。
書類への押印という普段の職務に退屈して本格的に働きたいという意欲がわき、ジャバたちに内緒ではんぺん工場で働く。汗を流して働くことに充実を覚える帝王だったが、自分が書類の押印をしないために数々の手続きが滞ってしまっている事実を知る。自分にしかできない仕事があると悟った帝王はすぐに執務室に戻り、押印の職務を再開した。 - ジャバ
- アニメ「サンレッド」出演時の声優は高木俊。
ぷりん帝国の長老的存在であり、帝王の教育係。
準備なく王位を継いだ帝王に代わって帝国の職務を取り仕切っているため、実質的な帝国の最高指導者。
厳格な性格ではあるが心配性の面があり、帝王の行動にいつも頭を悩ませている。
怪人が地球侵略に向かう際にはジャバが怪人を呼び出す儀式が慣行となっている。
しかしほぼ全てにおいて何らかの理由(怪人の体調不良、家庭の事情等)で失敗している。
妻に先立たれており、時折墓参りに行っている。 - ベルムス
- アニメ「サンレッド」出演時の声優は村瀬克輝。
ぷりん帝国軍団の隊長。
高い戦闘能力を持ち、戦闘が起きた時などは先陣を切って行くなど頼りになる存在だが、プライベートではホステス(たえ子ちゃん)に貢いでいるため、大変な貧乏生活を送っている。
築19年の風呂無しアパートに住み、お金が無くなると野草を採ってきて食す程である。彼の生活の知恵について語られる回は今となっては語り草になっている。
ベルムスの生活=くぼたまことの日常 という噂があるが、真相は定かでない。
※以上の3人は、「天体戦士サンレッド」にも登場した。
- ゲブロス
- ぷりん帝国の怪人。
地球侵略を命じられるが、自身の「過度な心配性」により失敗(というよりジャバによって中止された)。
以後は何故かレギュラーキャラとなり、セミ怪人とつるんでバカな事ばかりしている。
また、帝王、バルゲン、セミ怪人と共に「スーパーエリートジャージ隊(SEJ)」を結成し、帝国の平和を守る活動をしている。している…? - セミ怪人
- ぷりん帝国の怪人。セミの姿をしている。
地球侵略を命じられ、特に問題なく地球に向かうが、自身の「極度の方向音痴」により失敗。
地球とはまったく違うわけのわからない星に到着してしまった。
以後はゲブロスと同じくレギュラーとなり、ゲブロスとつるんでバカな事ばかりしている。
上述の通り「SEJ」に所属している。
一度仮死状態となり脱皮をするが、何ひとつ変わらなかった。 - バルゲン
- ぷりん帝国の長老で元軍師。すでに現役を引退している。
現役時代は非常に有能な軍師として活躍し、数千の部隊で数万の敵軍を全滅させた「惑星ミロッコの攻防」は帝国内では今も語り草となっており、多くの尊敬を集めている。
現役引退後は隠居生活を送っているが、嫁のかよ子(レッドの彼女とは別人)と仲が悪く、いつも誰か(主にジャバが相手)に愚痴っている。
上述の通り「SEJ」に(ry
最終話では帝国最高顧問に就任していた。 - マーベル
- ぷりん帝国の怪人。
かつてベルムスと軍団隊長の座を争ったほどの実力者であり(結果はベルムスの判定勝ち)、帝国でもトップクラスの戦闘能力を誇る。
軍団隊長決定戦に敗れた後は自暴自棄気味になり、荒れた生活を送っていたが、ある詩集(子供の童謡集)に感銘を受け、詩を作る旅に出た後、帝国に戻る。 - ゼニス
- ぷりん帝国の怪人。
ベルムス、マーベルも認める程の実力者で、実質的に帝国軍No.3の強者(ゼルドを除く)。
…なのであるが、極度の「天然」であり、2年前から行方不明になっていた。
普段の行動がまるでコントのようであり、最終話を除き実力者らしい活躍は見られない。
後頭部に何故か「スイッチ」があり、押すと「おかーさーん」と鳴る。
部屋が汚い。 - ゲビル
- ぷりん帝国の怪人。
「冷酷非道のアイスマスター」と呼ばれ、冷静な観察眼、冷徹な心を持ち、あらゆる物事を正確に分析し、自身の気に入らない相手には容赦ない仕打ちをする。
例として自分の最中を食べてしまったゲブロスを氷漬けにした。
地球侵略を命じられ、高い戦闘能力を見せつけるが、自身の「多額の借金」のため断念した。
甘いものが好物。 - ゼルド
- ぷりん帝国の怪人。
惑星を一撃で破壊する必殺技「ゼルドファイナルブラスター」を持ち、作中で明確に「ぷりん帝国最強」と語られている。
地球侵略を命じられるが、自身の「家庭の事情」により断念(それも2回)。
妻子持ちで、最終話では息子が私立中学に合格している。
Pちゃんと対決したらどっちが強いんだろう? - カニバリズマー
- 伝説の魔剣。その圧倒的な切れ味は液体をも切り裂くと言う。
圧倒的な妖気ゆえ何時からか意思を持つようになった。
意思を持つがゆえに一戸建ての家に住み、お手伝いさんを一人雇っている。
かつては生きた者の血を好んだようだが、現在は年を取ったため舌が変わり、塩ジャケのお茶漬けが好みのよう。
再登場した際には投資(淡水ロブスターの養殖)に失敗し、家を失くしお手伝いさんにも暇を出していた。
起死回生を賭けてラーメン屋を始めたが美味くないらしく、いまいち流行っていない。
その後は弁当屋に転職し、店長を務めるにまでなったようだ。
声が小林稔侍に似ているらしい。 - シャケ怪人
- ぷりん帝国の怪人。
その尾の力はブルドーザー5000台の馬力に相当する。
地球侵略を命じられたが、帝国の料理長に本物のサケと間違われて半身をムニエルにされてしまい、断念した。
そのムニエルは油が乗っていて美味らしく、帝王はおかわりした。
しかし自分にも落ち度があると認めており、料理長を擁護した。
再登場した際には野良猫のブッチにもう半身も食べられてしまい、頭以外全部骨になっていた。
にもかかわらず本人は至って元気であり、食事も普通にしている。 - クモ怪人
- ぷりん帝国の怪人。
最初に地球侵略を命じられたが、自身の「盲腸」のため断念。
最終話で再び地球侵略を命じられたが、家の屋根を直している際に転落し、両腕を骨折したため断念。
親が公務員である。 - デロイ
- ぷりん帝国の怪人、というか怪物。巨大なイモ虫のような外見。
帝王を食べる(飲み込むわけではなくモグモグする)のが好きで、帝王はデロイと出会う度にモグモグされている。
一度「何故帝王をモグモグするのか」を調査されたが、コンピューターの診断結果は「偶然」であった。
しかし本物の帝王を見るとすぐ食いつくため、やはり偶然ではないらしい。
特殊な能力は無いようだが非常に強固な装甲を持ち、ベルムス曰く「どんな攻撃も受け付けない」らしい。
知能は高くないようだが、言葉をしゃべり、帝王にお中元を贈ったりする事はある。 - メルバ
- 帝国の怪人で、宇宙忍者。
14歳という若さにして「帝国一の忍術使い」と認められた実力者。
…であるが、内面はごく普通の「中学生」であり、思春期独特の恥ずかしがりな面が多く見られる。
忍者であるが長距離走が苦手で、マラソン大会の考案者を暗殺したいと思っている。
「サンレッド」に登場した闇忍者マンジとそっくりなのは(ry - キケロン
- ゼラチ山のマグマの中に住む怪物、というか怪獣。
マグマから無限のエネルギーを得る不死の怪物であり、満月の夜にのみ目覚める。
非常に巨大な身体を持ち、伸縮も可能。
冷蔵庫の中や焼き肉の焼き方に文句を言うのが仕事(?)であり、逆らう者にはマグマを吐いて服従させる。
口うるさいが言う通りにしていれば「根はいい人」であり、帝王はキケロンの帰り際に寂しがった程である。
最終話では帝国に属さない者(その上満月の日ではなかった)であるにもかかわらず、帝王を守るために戦った。 - にこにこ組
- 闇の暗殺組織。
地球の動物に似ている怪人(?)の組織で、組長はラッコ。組員は犬、猫、鳥など。
組長は非常に気が短く、筋が通っていない事が大嫌いな性格で、筋が通らない事をする者には誰彼構わず制裁を加える。電話で伺いを立てなかったジャバの首を絞めた事もある。
反面、非常に義理堅く人情に厚い所があり、待ち合わせに1分遅れただけで切腹しようとしたり、追い出すふりをして組員を田舎へ帰したり(その際にはお年玉まであげた)した。
組員も組長の性格を理解しており、怯えながらも慕っているようである。
最終話では帝国に属していないにもかかわらず、帝王を守るために戦った。
アニメ化
「天体戦士サンレッド」のアニメ第28話にて、「ぷりん帝国」のジャバとベルムスが声つきで出演した。
そして第29話より、ミニコーナー形式によるアニメが始まった。
10年近く待った甲斐があったよ!!!
関連動画
関連コミュニティ
まだ無いよ。
関連項目
- 6
- 0pt