無限の住人(むげんのじゅうにん)とは、月刊アフタヌーンに連載されていた漫画である。
作者は沙村広明。全30巻。
概要
江戸時代を舞台に、奇抜な出で立ちの登場人物が派手に戦う物語。
写実的で精緻な絵柄も相まって「ネオ時代劇」ともしばしば評される。その外連味の強さからアニメ・マンガ・ゲームなど、様々な媒体でオマージュ・インスパイアされている部分が見受けられる。
『月刊アフタヌーン』にて1993年6月から2012年12月まで掲載。2013年2月、最終巻が発売された。
1997年に第1回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞し、英語版(Blade of the Immortal)が2000年にアイズナー賞最優秀国際作品部門を受賞している。
2008年7月にテレビアニメ化され、AT-Xで放映。製作はBeeTrain。
当時連載中だった為、物語そのものは途中で終わっている。
※dアニメストアにおいて2017年4月より配信。ニコニコチャンネルにおいても、2017年より配信され、第1話のみが無料で配信されている。
2016年2月11日から17日、劇団ヘロヘロQカムパニーによる舞台が上演。全労済ホール/スペースゼロにて公演。
2017年、監督・三池崇史にて実写化。4月29日より公開。
主演が木村拓哉という事で色眼鏡で見られがちだが、海外での評価は高く、第70回カンヌ国際映画祭のアウト オブ コンペティション部門として公式選出されている。
撮影は、京都太秦を中心に行われ、クライマックスの300人斬りのシーン撮影中に木村が脚を骨折している。
2019年5月23日、『無限の住人-IMMORTAL-』と題し、ライデンフィルムの制作により完全アニメ化される事が発表。監督は『STEINS;GATE 』を手がけた浜崎博嗣。シリーズ構成は『PSYCHO-PASS』などで知られる深見真が務める。2019年8月8日、アニメ公式サイトにて10月よりAmazon Prime Videoにて独占配信されることが発表された。
ニコニコチャンネルにおいても、有料ながら2019年10月より配信。
2020年4月7日よりTOKYO MX、MBSにて放送。
また公式続編の『無限の住人~幕末ノ章~』(原作:滝川廉治、作画:陶延リュウ)が5月25日発売の『月刊アフタヌーン』7月号から連載。沙村氏は協力という形で参加している。単行本は2023年11月現在既刊9巻。
あらすじ
剣術道場の一人娘・浅野凜は謎の剣客集団「逸刀流」に両親を殺され、逸刀流統主・天津影久を討つことを誓う。そのために百人斬りの異名を持つ万次を用心棒に頼むことになった。万次は、八尾比丘尼によって不死身の体を与えられた人物だった。
主な登場人物
風変わりな名前が多いが、一部の人物の名前は葛飾北斎の種々の名前から取られている。
- 万次(まんじ、卍) - 声:関智一 (2008年版)、津田健次郎(2019年版)/ 演:関智一(舞台)、木村拓哉(映画)
- 主人公。八百比丘尼により血仙蟲を埋め込まれ、不死身となっている。それまでの罪を償うために悪党を千人殺す誓いを立てている。
元は山で野猿のような生活をしていたが、旗本・堀井重信に拾われ腰物同心になった。しかし、堀井の悪行を知って殺害し逃亡、お尋ね者となる。その際追っ手100人を斬り殺したため「百人斬り」の異名を持つ。この時はまだ血仙蟲は埋め込まれていなかった。
着物の下に多数の武器を隠し持ち、たびたび倒した敵や死んだ剣客から気に入った武器を頂戴する。
- 浅野凜(あさの りん) - 声:佐藤利奈(2008年版)、佐倉綾音(2019年版) / 演:福圓美里(舞台)、杉咲花(映画)
- ヒロイン。無天一流統主・浅野虎厳の娘。祖父の代からの因縁により両親を逸刀流に殺され、敵を討つべく用心棒として万次を雇う。
道場主の娘なので、一般人よりは刀の心得はある。自身の力不足から開発した(自称)必殺技「殺陣黄金蟲」という投擲術を使い、両腕に数本の匕首を忍ばせている。また序盤において逸刀流に持ち去られた宝刀「クトネシリカ」が手元に戻ってくる。
- 町(まち) - 声:坂本真綾(2008年版) / 演:杉咲花(映画)
- 万次の妹。同心・斉藤辰政の妻。辰政がお尋ね者となった万次と斬り合い、万次がそれと知らず彼を斬り殺したところを目撃したため、正気を失い童女の如くなる。
後に万次を狙う剣客達によって誘拐され、おびき寄せられた万次の目の前で殺害された。
- 天津影久(あのつ かげひさ) - 声:野島裕史(2008年版)、佐々木望(2019年版) / 演:浪川大輔(舞台)、福士蒼汰(映画)
- 逸刀流の統主で若き天才。無天一流の後継問題によって狂死した祖父の無念を晴らすため、また形骸化した武士階級や剣術を変革すべく、一対一の勝利が絶対条件の「逸刀流」を立ち上げる。
冷静で開明的。勝てるのであれば素性や人間性、生まれや武器さえ問わない能力至上主義的な考えを持っている。
主な武器は、原始的な形状の一対の斧と直刀「頭椎(かぶつち)」。斧の方は相当な重量だが扱い方にコツがあり、防いだ相手の刀ごと頭蓋を叩き割ることが出来る。
某格闘ゲームのキャラクターのモデルになった。
- 凶戴斗(まがつ たいと) - 声:中井和哉(2008年版)、鈴木達央(2019年版) / 演:沖野晃司(舞台)、満島真之介(映画)
- 逸刀流。ツンツンヘアーが特徴の若い兄ちゃん。戦闘時はマスクで口元を覆う。
山育ちで地の利を生かした闘いを好む。かつて侍によって理不尽に妹を殺されたため、武士階級を憎んでおり、その変革を目指して逸刀流に参加した。
武器は西洋風の肉厚両刃直刀「グラントルコ」。細身の片刃直刀が内蔵している仕込み刀でもある。
某忍者漫画のキャラクターのモデルになったとかならないとか。
- 黒衣鯖人(くろい さばと) - 声:江原正士(2008年版)、花輪英司(2019年版) / 演:田中精(舞台)、北村一輝(映画)
- 逸刀流。天津影久を幼少の頃から知る。凛の父を殺した張本人で、鎧兜に身を包んだ巨漢。言動は紳士的で歌を詠む風流人だが、「女性への究極の愛情表現は死」という倒錯した性癖を持つ。またそれを実現すべく、自らの身体におぞましい手術を施している。
武器は二枚一組で大型の手裏剣のような武器「烏(からす)」。
- 閑馬永空(しずま えいくう) - 声:小西克幸(2008年版)、咲野俊介(2019年版) / 演:市川海老蔵(映画)
- 逸刀流。万次と同じく体内に血仙蟲を埋め込まれ、200年以上生きている。戦国時代はとある武将に仕えており、今までに殺した人数は千人以上。
かつてチベットを徘徊していた時に見つけた血仙蟲を殺す秘薬「血仙殺」を持っており、秘薬を刃になじませる為峰に毛を移植した「井上真改蟲殺(いのうえしんかいこさつ)」と共に用いる。本来は毒をなじませて使うらしい。
- 乙橘槇絵(おとのたちばな まきえ) - 声:能登麻美子(2008年版)、桑島法子(2019年版) / 演:長沢美樹(舞台)、戸田恵梨香(映画)
- 剣の天才だが遊女となった美女。天津のはとこにあたり、彼にとっての「揺籃の師」。剣の腕は天津をして「越えられない壁」と言わしめるほどの実力で、遠くからの立ち振る舞いだけで吐鉤群を恐れさせた。
恐らく作中最強の女。武器は三節棍の両端に刃物が付いた「春翁(はるのおきな)」。普段は三味線の中に畳んでしまってある。
- 川上新夜(かわかみ あらや) - 声:浪川大輔(2008年版)、小原雅人(2019年版)
- 逸刀流。凛の母を凌辱した一人。普段は素性を隠し、息子の練造と共に面屋を営んでいる。自分の正体に気づき単身乗り込んできた凛の口封じをしようとする。無手でも状況を利用して万次の武器を奪い応戦するなど、実力は高い。
逸刀流変態衆の一人。女性にペインティングすることで興奮する変態。
- 阿葉山宗介(あばやま そうすけ) - 声:ふくまつ進紗(2019年版) / 演:石橋蓮司(映画)
- 逸刀流副将で隻腕の老人。天津不在時は統主代行を務める。歳のせいか引退を考えているようだが、知力、剣力ともに未だ衰えぬ実力者。
武器は片手でも扱えるよう作ったナイフのような形状の短刀「断身九印(だんしんくいん)」。穴やら鈎状の枝やらの柄に両端が刃になってる異様な得物。命名はキャラ名の元ネタ「ABBA」の代表曲「ダンシング・クイーン」からではないかと思われる。
- 尸良(しら) - 声:三木眞一郎(2008年版)、奈良徹(2019年版) / 演:島田朋尚(舞台)、市原隼人(映画)
- 逸刀流を狙う暗殺戦闘集団・無骸流の一人でドSの中のドS。狙った敵をいたぶりながら殺すことに愉悦を覚える残虐な性格の持ち主。特に女性に対しては、犯しながら急所に刃を突き立てて殺すことを最上の快楽とするという、変態的性癖を持っている。
武器は峰が鋸状になっている直刃刀「ホトソギ」。鋸状の刃は嬲り殺すためにわざと切れ味を落としている。漢字を当てると「女陰削ぎ」。完全にアウト。
作者のドス黒い変態部分を凝縮して出来たキャラクターらしい。
- 百琳(ひゃくりん) - 声:豊口めぐみ(2008年版)、林真里花(2019年版) / 演:那珂村たかこ(舞台)、栗山千明(映画)
- 無骸流。高下駄で金髪のアラサー女性。姉御肌で面倒見もよく、凛にちょくちょくアドバイスしている。なお金髪は地毛ではなく、南蛮の薬を使って色を落としている。
真っ向勝負するほどの実力はないので、地の利を生かしたり、真理路と組んで搦め手を使って逸刀流狩りを行っている。髪色のせいで目立つのを避けているのか、変装もよく行う。
武器は手首に装着するタイプの折りたたみ式小型弓矢「群踏(ぶらふま)」。筈が尖っていて、相手を刺すこともできる。毒矢なので致命傷にならずとも数分で死に至る。
- 真理路(しんりじ) - 声:内田夕夜(2008年版)、小林親弘(2019年版) / 演:大谷秀一郎(舞台)
- 無骸流。元は呉服問屋の丁稚だったが、店の金に手を付けて死罪になりそうなところを拾われる。
冴えない男で大概は百琳と行動を共にしている。百琳に想いを寄せているが相手にされていない。
- 偽一(ぎいち) - 声:森川智之(2008年版)、白熊寛嗣(2019年版) / 演:大高雄一郎(舞台)、北代高士(映画)
- 無骸流。スキンヘッドに丸サングラスという、時代を先取りした見た目の男。冷静で寡黙で生真面目で敵には容赦無いが、情婦を庇って情報を洩らした逸刀流の剣士を見逃すなど、人情を解する。また、たびたび百琳を気遣う場面が多い。
武器は柄の付いた手錠のような武器「錦連・三途ノ守(かねつら・みとのかみ)」。手錠部分の内側が刃になっており、柄の先に鎖がついている。鎖鎌のように投げつけて相手の首を拘束し尋問(そのまま首を刎ねる事も可能)、武器を絡め取るなどの使い方ができる。
- 吐鉤群(はばき かぎむら) - 声:菅生隆之(2008年版)、中田譲治(2019年版) / 演:中尾隆聖(舞台)、田中泯(映画)
- 幕府の新番頭。剛健な気風を持つ武人らしい性格をしているが、幕府に対する忠義は半ば妄信的で、非人道的な行為だろうと幕府のためなら行う冷徹さも持つ。
作中最強格の一人で、比較的真っ当な剣術を使う。居合術は、万次が痛みで気付くまで攻撃されたことがわからなかったほど。
武器は白鞘の太刀「鴉鷺(あろ)」。柄には竜の紋様が入っている。
- 宗理(そうり) - 声:関俊彦(2008年版)、関智一(2019年版)
- 町の絵師だが、実は公儀隠密で剣の達人。凛の父の親友。絵の腕を磨くため剣の腕を磨き、色々なものを手に入れやすい公儀隠密になった。
人生を芸術に捧げており、熱中すると他の事が目に入らなくなる。娘の辰と二人暮らしで家事全般を娘に任せっきり。絵師としては富豪から人気なようでお金持ちらしく、ちょくちょく万次&凛コンビに路銀などを融通している。
作中最強格の一人。一方的に凶をボコボコに出来るほどの実力を持つ。
- 八百比丘尼(やおびくに) - 声:京田尚子(2008年版)、間山亜子(2019年版) / 演:大場達也(舞台)、山本陽子(映画)
- 万次と閑馬に血仙蟲を埋め込んだ謎の尼僧。自身にも血仙蟲を埋め込んでおり800年以上生きている。両親の墓前で仇討ちを誓う凛に万次の事を教え、用心棒にするよう促した。
人魚の肉を食べて不老不死となった伝説の人物、八百比丘尼が元ネタ。
主な楽曲
テレビアニメ
2008年7月13日よりAT-Xにおいて放送。
スタッフ
各話リスト
webアニメ(無限の住人-IMMORTAL-)
2019年10月10日よりAmazon Prime Videoにおいて配信。
2020年4月7日よりTOKYO MXにて25時35分~、MBSにて27時30分~放送開始。
スタッフ
各話リスト
話数 |
サブタイトル |
動画 |
第一幕
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遭逢─そうほう─ |
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第二幕 |
開闢─かいびゃく─ |
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第三幕 |
夢弾─ゆめびき─ |
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第四幕 |
斜凜─しゃりん─ |
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第五幕 |
蟲の唄─むしのうた─ |
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第六幕 |
羽根─はね─ |
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第七幕 |
凶影─きょうえい─ |
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第八幕 |
無骸流─むがいりゅう─ |
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第九幕 |
群─むら─ |
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第十幕 |
獣─けもの─ |
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第十一幕 |
秋霜─しゅうそう─ |
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第十二幕 |
終血─しゅうけつ─ |
|
第十三幕 |
誰そ彼─たそかれ─ |
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第十四幕 |
改起─かいき─ |
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第十五幕 |
臓承─ぞうしょう─ |
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第十六幕 |
肢転─してん─ |
|
第十七幕 |
儀結─ぎけつ─ |
|
第十八幕 |
鬼哭─きこく─ |
|
第十九幕 |
鏖─みなごろし─ |
|
第二十幕 |
霏々─ひひ─ |
|
第二十一幕 |
陥穽─かんせい─ |
|
第二十二幕 |
十掉尾─じゅっとうび─ |
|
第二十三幕 |
焉舞百景─えんぶひゃっけい─ |
|
終幕 |
無限の住人 |
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関連動画
関連チャンネル
関連項目
外部リンク