今年の漢字とは、財団法人日本漢字能力検定委員会が主催している、今年話題になったものや事件などから漢字1文字を表す行事である。
概要
1995年から毎年「漢字の日」である12月12日(1212→いい字一字)前後に発表している。「今年の漢字」への投票は個人・団体問わず参加することができ、11月からの1か月くらいの投票期間を経たのち、最終的に一番得票数の多かった漢字が「今年の漢字」として、清水寺で書かれる。
日本漢字能力検定委員会が行っていることもあり、2009年に委員会が「漢検協会事件」(漢検の料金を不正に高くして、多額の利益を生じた事件)を起こし、当時の会長らが逮捕された影響で、漢検理事だった清水寺の貫主が「今年の漢字」の協力を拒否するまでの事態が起こったが、最終的に新体制の下、従来通り清水寺で行われた。
今年1年間を象徴する漢字には、様々な意味合いも含んでいる。後述の表を参考にするといいだろう。
今年の漢字一覧
年数 | 漢字 | 主な読み | 選考理由 |
---|---|---|---|
1995年 | 震 | シン ふる-える |
兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)発生。 地下鉄サリン事件などで日本が「震撼」。 |
1996年 | 食 | ショク たべ-る く-う |
O157による食中毒集団感染発生。学校給食に大きな影響。 BSE(狂牛病)の発生。 汚職事件の多発。 |
1997年 | 倒 | トウ たお-れる |
大手企業の倒産や破綻などが相次いだ。 サッカーW杯で強豪を倒して日本代表がフランス大会に出場決定。 |
1998年 | 毒 | ドク | 和歌山毒物カレー事件(ヒ素カレー)発生。 |
1999年 | 末 | マツ すえ |
1000年代、1900年代、1990年代の最後。 東海村で臨界事故発生。翌年への「末広がり」を期待 |
2000年 | 金 | キン コン かね |
シドニーオリンピックで田村亮子、高橋尚子らが金メダル。 成田きんさんが死去。 金大中と金正日による南北首脳会談が行われる。 |
2001年 | 戦 | セン いくさ たたか-う |
9.11世界同時多発テロ発生。 アメリカのアフガニスタン侵攻。 |
2002年 | 帰 | キ かえ-る かえ-す |
北朝鮮に拉致された拉致被害者が日本に帰国。 日本の経済がバブル期以前に「帰った」。 |
2003年 | 虎 | コ とら |
イラク戦争勃発。「虎の足を踏む」ような自衛隊派遣が行われる。 阪神タイガースが18年ぶりの優勝で、星野仙一監督が胴上げ。 |
2004年 | 災 | サイ わざわ-い |
新潟県中越地震発生。 新潟・福島豪雨、福井豪雨などの豪雨の発生。 台風23号などの台風連続上陸で日本列島各地に被害。 |
2005年 | 愛 | アイ め-でる いと-しい |
愛知県で愛知万博が開催される。 紀宮清子内親王のご成婚。 福原愛が中国で卓球に挑戦。 |
2006年 | 命 | メイ ミョウ いのち |
小学生・中学生の相次ぐいじめによる自殺の発生。 北朝鮮の核実験が行われる。 秋篠宮家に悠仁親王誕生。 |
2007年 | 偽 | ギ いつわ-る にせ |
不二家、「白い恋人」、「赤福」による食品偽装事件の多発。 年金記録問題が発覚。「消えた年金問題」。 TV番組『発掘!あるある大事典』の納豆事件。 |
2008年 | 変 | ヘン か-わる か-える |
日本の総理大臣とアメリカの大統領が「変わる」。 円高ドル安、株価暴落などによる経済の「変化」。 地球温暖化の「異変」など「変」に関する出来事。 |
2009年 | 新 | シン あら-た あたら-しい |
自民公明連立政権から民主党主導への政権交代。 新型インフルエンザの大流行。 裁判員制度や高速料金割引制度などの新制度導入など。 |
2010年 | 暑 | ショ あつ-い |
35度以上の猛暑日が相次ぐ。 ワールドカップでの「暑い(熱い)」ほどの熱狂。 |
2011年 | 絆 | ハン きずな |
東日本大震災などで、家族や仲間など、 身近でかけがえのない人との絆を改めて知ったなど。 |
2012年 | 金 | キン コン かね |
日本で広範囲に金環日食があった。これは932年ぶりの出来事。観測自体は25年ぶり。 ロンドン五輪での日本人選手の活躍や、東京スカイツリーの開業、山中伸弥教授のノーベル賞受賞などで、「多くの金字塔が打ち立てられた」。 ※初めて過去と同じ漢字が選ばれた(2000年)。 |
2013年 | 輪 | リン わ |
東京五「輪」招致成功の一報。 東日本大震災から二年半以上。復興の「輪」を今も伝えていくことが大事という観点から。 |
2014年 | 税 | ゼイ | 1997年以来17年ぶりとなる消費税の増税が行われた(5%→8%)。その影響もあってか経済、特に家計は冷え込み、GDP成長率は年率換算で-1.9%となった。こうしたこともあって2015年10月からの再増税は延期された。 |
2015年 | 安 | アン やす-い |
「安」全保障関連法案の審議で、与野党が対立。世界で頻発するテロ事件や異常気象など、人々を不「安」にさせた年。建築偽装問題やメーカーの不正が発覚し、暮らしの「安」全が揺らいだ。 |
2016年 | 金 | キン コン かね |
4年ぶり3回目の選出。リオデジャネイロ五輪の日本人選手の活躍による「金」メダルラッシュに湧いた一方で、国会では政治と「金(カネ)」の問題に揺れることとなった。 |
2017年 | 北 | ホク きた |
度重なる「北」朝鮮からのミサイル発射や核実験、さらに九州「北」部豪雨や「北」海道産じゃがいもの不作にも見舞われ、何かと不安なことが多かった一年。そんな中でも、「北」海道日本ハムファイターズ関連の話題や「キタ」サンブラック、葛飾「北」斎の展覧会といった明るい話題もあった。 |
2018年 | 災 | サイ わざわ-い |
14年ぶり2回目の選出。西日本豪雨、大阪府北部地震、北海道胆振東部地震、台風21号・24号といった自然災害の脅威や「災害級の暑さ」という表現が用いられるほどの酷暑、免震装置のデータ改竄やスーパーボランティアの活躍など、災害に関する出来事が多く、防災意識が高まった。また、仮想通貨の流出、スポーツ界におけるパワハラ問題、財務省の公文書改竄問題、大学不正入試など人災も顕著だった。 |
2019年 | 令 | レイ リョウ いいつけ おさ よ-い |
新元号のうちの一文字で、新元号によって新たな時代の幕開けを告げた1年だったこと、また日本の古典が初めて出典として用いられた元号で、日本の伝統文化を再認識する機会になったとしている。それと共に法令改正による消費税増税、芸能界の不祥事など法令順守に対する意識の高まり、この年も多発した災害による警報の発令なども理由として挙げられている。 |
2020年 | 密 | ミツ ビツ ひそ-かに こま-かい |
新型コロナウイルスの感染拡大で「3密」という言葉が使われ、人々が「密」を意識し避けるようになったとともに、大切な人とも離れていてもオンラインで「密」接な関係が持つようになった。また政界や芸能界では内「密」・秘「密」・「密」室の政治判断・「密」会報道といった事柄も多かった。 第2位は「禍」、第3位は「病」と、上位はコロナ禍関係が多い結果に。 |
2021年 | 金 | キン コン かね |
5年ぶり4回目の選出。コロナ禍で開催された東京オリンピック・パラリンピックで日本人選手が多数の「金」メダルを獲得。日本人選手がオリンピックで史上最多の27個、パラリンピックで13個の「金」。柔道では阿部兄妹、新種目のスケートボードでも男女ともに「金」メダルを獲得するなど、史上初の偉業にも注目され、コロナ禍にあって明るい話題をもたらした。 そのほか、大谷翔平選手が大リーグMVPを満票で受賞するなど「リアル二刀流」でシーズンを通して活躍。さらに松山英樹選手の日本人初のマスターズ制覇、藤井聡太棋士の最年少四冠達成など、国内外でこれまで成し得なかった多くの「金」字塔が打ち立てられた。 飲食店への休業支援「金」 ・ 給付「金」、 子育て世帯を対象とした 臨時特別給付「金」の議論 、新紙幣印刷開始や新500円硬貨流通など、お「金」にまつわる話も数多く話題に上がった。 |
2022年 | 戦 | セン いくさ たたか-う おのの-く そよ-ぐ |
2001年以来21年ぶり2回目の選出。ロシアによるウクライナ侵攻や北朝鮮の相次ぐミサイル発射などにより「戦」争の恐ろしさを目の当たりにし意識した1年だった。 また円安・物価高・電力不足・新型コロナウイルス対策などによる生活上での「戦」い、スポーツでは北京冬季オリンピックやFIFAワールドカップカタール大会などでの熱「戦」、佐々木朗希の最年少完全試合、村上宗隆の日本人最多本塁打、大谷翔平の2桁勝利・2桁本塁打など記録への挑「戦」も注目された。 |
2023年 | 税 | ゼイ セイ みつぎ |
2014年以来2回目の選出。1年を通して増税の議論が行われたこと、所得税などの定額減税が話題になったこと、インボイス制度の導入やふるさと納税のルールの厳格化、酒税の改正や新NISAなど、税にまつわる様々な改正や検討が行われるなど、年間を通して税に関する話題が続いた。 |
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関連項目
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