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【 東方昭和伝第七部 日中突編 】  [ 昭和12年6月 ~ 昭和14(1939)1月 ]

の如く 支那側が帝国を軽侮し 不法暴虐至らざるなく 全支にが居留民の生命財産に陥るに及んでは 帝国としては最其の限度に達し 支那軍の暴戻を膺懲し以て南政府の反省を促す為 今や断乎たる措置をとるのむなきに至れり ( 昭和12年8月15日 午前1時10分発表「政府明」 )

なできごと ≫ 事件 通州事件 大山中尉事件 第2次上海事変 北一輝らの処刑 石原莞爾作戦部長更迭 トラウトマン和工作 南陥落(南京事件) 国家総動員法制定

出演

≪ 役名・肩書き・演者 肩書きは原則として作中の現職。元職は特記のみ ≫

宮中

政治家

陸軍

海軍

要人

民間活動家

そのほかモブ役として、魂魄妖忌(偉そうな軍人)射命丸文マスコミレイセン(中・下級軍人)毛玉中国兵)高木社長(随時)

用語解説

明治34年1901年)の条約

 1901年、いわゆる『義和団の乱(北清事変)』の鎮圧について、日本アメリカ欧州・独・露・・墺・西・)と、当時の清国との間で調印された北京議定書』(北清事変に関する最終議定書)のこと。この議定書によって列強各は、清国中国内の要所への軍隊駐留権や、ほとんど各の領土に等しい程の治外法権を持つ租界・居留地の設置権を獲得。清王朝滅亡後も、結局第2次世界大戦終結までそれは有効であった。
 さらに清は国家予算の5倍とも10倍ともいわれる賠償金を課され、賠償負担は中華民国政府に引き継がれ、最終的に1938年まで支払いが続けられた。

大陸命・大海(だいりくめい・だいかいれい)

 大本営設置により設立された「大本営陸軍部」と「大本営海軍部」より発せられる命のこと。正式呼称は「大本営陸軍部命」と「大本営海軍部命」であり、陸軍は「命」、海軍は「を用いる。

支那事変における「軍」の区分け

 支那事変以前、日本本土以外に駐屯する陸軍部隊には朝鮮軍・台湾軍関東軍・支那駐屯軍があったが、支那事変以後様々な「軍」や「方面軍」「派遣軍」が設立された。ここで、支那事変に関する要なものについて整理する。

  1. 支那駐屯軍・・・上記「北京議定書」により、天津に駐屯していた部隊。設立当初の呼称は「清国駐屯軍」、中華民国成立後は「支那駐屯軍」。また「天津軍」とも通称される。規模は2000名程度。昭和11年に増強され、昭和12年7月事件時には5600名。同事件に遭遇したのは、この軍のうち北京西南郊の豊台にいた分遣隊である。事変勃発後、内地から派遣された3個師団や朝鮮からの第20師団などを揮下に入れたのち「第1軍」として改編。同時に組織された「第2軍」とともに下記「北支那方面軍」の下に入り、支那駐屯軍は止された。
  2. 支那方面軍・・・昭和12年8月31日に組織された、日本陸軍最初の「方面軍」。支那駐屯軍から発展組織された「第1軍」と、新編成の「第2軍」その他を揮下におき、北京部として北支那華北として河北省・山西省・山東省)を担当した。初代の官は寺内寿一大将昭和14年に上位組織として「支那派遣軍」が設置され、また隷下部隊を変えつつ、大東亜戦争終戦まで存続。
  3. 上海派遣・・・第2次上海事変の勃発を受けて、上海海軍戦隊への援軍として昭和12年8月15日に編成された部隊。規模は4個師団他。下記「中支那方面軍」を経て、「中支那派遣軍」編成により止。
  4. 支那方面軍・・・上記「上海派遣軍」(松井石根大将)と、援軍の「第10軍」(柳川中将)をもって昭和12年11月7日に編成された方面軍。方面軍官は松井大将が就き、上海戦線と南攻略戦を戦った。下記「中支那派遣軍」へ発展解消。
  5. 支那派遣・・・上記「中支那方面軍」を発展解消する形で昭和13年2月14日に組織された方面軍。初代官は俊六大将。徐州作戦武漢三鎮攻略重慶に対する初期の攻撃を行った。下記「支那派遣軍」の編成により、上記「北支那方面軍」は存続したが、この「中支那派遣軍」は止(昭和14年9月23日)された。
  6. 支那派遣・・・「北支那方面軍」と「中支那派遣軍」への上位統括軍(「総軍」)として、昭和14年9月12日に組織されたもの。初代総司令官西尾寿造大将終戦時の総兵力は105万を数え、泥沼の大陸戦線を戦い続けた。最後の総司令官岡村寧次大将が、中国軍に対する降文書調印を行うことになる。
  7. 支那方面軍・・・昭和15年2月9日に「支那派遣軍」隷下として組織された方面軍。同7月23日大本営直轄の部隊となり、9月5日よりフランスインドシナ北部への進駐(北部印進駐)を行った。昭和16年6月28日に「第23軍」へ再編され、同8月12日支那派遣軍揮下へ復帰。

人物評伝

キャスティングされていなくて、作中登場の多い人物につき

杉山 元 (すぎやま げん 1880~1945)

 昭和期の陸軍軍人。最終階級は大将、加えて元帥府に列する。福岡県出身、陸軍大学校22期。同期生に小磯昭・俊六など、昭和陸軍史をる高級将官が多数いる。大正期より垣一成の閥であり、垣陸相(浜口)と南次郎陸相(第2次若槻)の下で陸軍次官。小磯・二宮治重(陸大22期)・建美次(陸大21期)らとともに「四天王」と称されるも、満州事変陸軍の台頭によって一時中央の要職を追われる。しかし二・二六事件で皇が壊滅すると、権力闘争外にいたことが幸いして教育総監に就任。続いて十郎内閣・第1次近衛内閣陸軍大臣となり、支那事変開戦期の戦争導に関わることとなる。
 昭和15年には閑院宮元帥のあとを継いで参謀総長に就任し、太平洋戦争の開戦と作指導の中枢に位置。東条内閣末期の政軍一元化問題で東条と対立して参謀総長を追われるが、直後の小磯内閣では陸軍大臣に返り咲いた。
 大正期の上原勇作元帥に続いて、陸軍三長官(大臣・総長・総監)を全て経験した史上2目の将官とい華やかな経歴を誇るが、その能は周囲から全く評価されておらず、ボケ元」「グズ元」「便所ドア(当時のトイレドアは押しも引きもできるようになっており、他人の言動に簡単に左右される様を揶揄)等々、悪評のアダ名豊富。また太平洋戦争開戦直前、昭和天皇に対戦の見通しを問われて楽観的に答えたところ、支那事変の際にも同様の楽観論を唱えながら未だに終わらないことを詰問され、苦し紛れに「支那は広すぎるので」と回答。天皇に「太平洋はもっと広いではないか」と切り返された逸話が有名である。
 終戦直後の9月12日、夫人とともに自決。参謀総長時代に御前会議等の様子を記録した『杉山メモ』があり、開戦・戦中についての一級資料となっている。

第七部の参考資料

・「昭和 二万日の全記録 第4巻日中戦争への」(講談社
青柳恵介「の男次郎」(新潮文庫
太郎昭和歴史6 昭和政党」(小学館
阿部博行「石原莞爾 生涯とその時代(上)」(法政大学出版局)
阿部牧郎「英雄 小説石原莞爾」(祥伝社
磯部浅一「中日記」
井上寿一「昭和史の逆説」(新潮新書
猪木「評伝吉田茂3」(ちくま学芸文庫
臼井勝美「新版 日中戦争」(中新書
・生出寿「悪魔的参謀辻政信」(徳間文庫
・生出寿「米内光政」(徳間文庫
大杉一雄「日中戦争への華北問題と衝突への分岐点」(講談社学術文庫
大塚健洋「大川周明と近代日本」(木鐸社)
岡崎「重・東郷とその時代」(PHP文庫
義武「近衛文麿」(岩波新書
秀昭「昭和精神史」(文春文庫
風間太郎尾崎秀実伝」(教養選書)
風見章「近衛内閣」(中公文庫)
勝田夫「重臣たちの昭和史(下)」(文芸春秋
加藤陽子「満州事変から日中戦争へ」(岩波新書
亀井東條英機(上)」(人社NF文庫
北岡伸一「日本近代5 政党から軍部へ」(中央公論新社
・北博昭「二・二六事件検証」(朝日新聞社)
・北博昭「日中開戦」(中新書
・北康利「次郎 占領を背負った男(上)」(講談社文庫
児島襄「日中戦争Vol.3」(文芸春秋
児島襄「天皇 二・二六事件」(文春文庫
小室直樹渡部昇一「封印の昭和史」(徳間書店
ゴードン・W・プランゲ「ゾル東京を狙え(上)」(原書房
酒井三郎昭和研究会 ある知識人集団の軌跡」(講談社文庫
産経新聞連載「歴史に消えた参謀 吉田茂辰巳栄一
・幣原喜重郎「外交五十年」(読売新聞社)
ジョン・ダワー「吉田茂とその時代(上)」(中公文庫)
夕日将軍 小説石原莞爾」(河出文庫
「参謀・辻政信」(河出文庫
近衛文麿」(河出書房新社
多田井善生「決断した男 木戸幸一の昭和」(文藝春秋
田原総一朗「なぜ日本は「大東亜戦争」を戦ったのか アジア義者のと挫折」(PHP研究所
一「昭和天皇側近たちの戦争」(吉川文館)
筒井清忠「近衛文麿 教養義的ポピュリストの悲劇」(岩波現代文庫)
筒井清忠「解明・昭和東京裁判までの」(朝日新聞出版
豊田流の弧舟 提督米内光政の生涯」(講談社)
西川秀和『フランクリンローズヴェル大統領の「隔離」演説
日本国政治学会太平洋戦争への 日中戦争<上>」(朝日新聞社)
野村浩一「現代アジアの肖像2 蒋介石毛沢東」(岩波書店
昭和史のを追う(上)」(文春文庫
服部二「広田毅 『悲劇の宰相』の実像」(中新書
早坂松井石根と南京事件真実」 (文春新書)
・半一利「昭和史」(平凡社
・半一利ほか「あの戦争になぜ負けたのか」(文春新書
福田和也「地ひらく 石原莞爾昭和」(文芸春秋
藤原昭和歴史5 日中全面戦争」(小学館
・保阪正康「検証昭和史の焦点」(文春文庫
・保阪正康「昭和陸軍研究(上)」(朝日文庫
・保阪正康「東條英機天皇の時代」(ちくま文庫
・保阪正康「蒋介石」(文春新書
松本健一「評伝 北一輝 Ⅴ」(岩波書店
松本健一大川周明」(岩波現代文庫)
松本清張昭和史発掘 13」(文藝春秋)
矢吹一夫「昭和動乱私史(上)」(経済往来社)
・山室信一「キメラ――満州国の肖像」(中新書

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