概要
小説投稿サイト『小説家になろう』にて2015年より掲載されており、2016年1月よりMFブックスより書籍化された。
同作者の書籍化作品としては2作目で、現役の薬学師が死亡し、中世ヨーロッパに似た魔法のある世界へと転生し活躍するという、いわゆる異世界転生のジャンルに分類される作品である。
作品の特徴として、様々な現代医学の知識と「神術」と呼ばれる魔法の力を使い治療を行うということがあげられるが、医学知識に関しては作者ががんの研究に取り組む現役研究者である事と、同サイトにて執筆稼働を行っていたり一般読者として利用している現役の医師・薬剤師等が監修・考証として参加しているため、非常に濃い内容となっている。
書籍版とWeb版の違いとしては書籍版では一部加筆されて物語の掘り下げが行われている、Web版では一般の人にも理解しやすいように化学式を挿絵として入れたりしている。
あらすじ
20XX年、世界でも有数の薬学研究者として日本の国立大学で薬学研究を行っていた薬谷完治(やくたにかんじ)は研究に没頭するなか仮眠をとるが、次に目を覚ますと一人の少女が働き回る見知らぬ部屋であった。少女の説明により薬谷は少女が仕える少年、ファルマ・ド・メディシスが落雷で気を失う、もしくは死亡したことにより転生したとの考えにいたり、同時に自身は過労死したと推測する。
召使いの少女、シャルロット・ソレルと話を続けていくとこの世界には神術と呼ばれる魔法があり、ド・メディシス家はサン・フルーヴ帝国の宮廷薬師であることが分かる。
しかし、その技術は現代医学からすれば怪しげな医療行為に等しかった。
そして現代医学の知識を持つファルマは自身の知識をどうすべきか考え始め、のちに皇帝の命を救ったことから見習い薬師から宮廷薬師へと昇格、更に薬局『異世界薬局』の運営をしていくことになる。
登場人物
異世界薬局
本作の主人公。ド・メディシス家の家系のため水の神術を使っていたが薬谷が転生した際に薬神の聖紋と呼ばれる『リヒテンベルク図形』に似た模様が両腕に発現し、疾患透視能力や物質の創造・消去と言った人外スキルも習得することとなった(作者曰く創薬チート)
性格や記憶のほとんどは薬谷の物であるが、書物などを見返すと薬谷が転生する前のファルマの知識が思い返される。そのため、薬谷は実質体を乗っ取ているファルマ自身に対して申し訳ないと感じることもある。
異世界薬局の薬師を務める。
ファルマの転生前の人物、享年31歳。世界的にも有名な薬学研究者であるが、その行動の根本には有効な薬が無く、幼くして脳腫瘍で亡くなった妹の存在があった。そのため、自身の体調よりも患者のための研究を優先させることが多くなり結果的に過労死へとつながってしまった。
なお、転生後は同じ轍を踏むまいと頑張り過ぎないことを考えてはいるもののハードワークの癖は治っていない模様。
ファルマ御付の少女で愛称はロッテ。
母親と共にメディシス家に仕えており、年も近いことからファルマ御付となる。
平民のため神術は使えないが仕事の腕は非常によく、学校にはいっていないもののメディシス家内での学習により、読み書き計算も問題なくできるが、育ち盛りという事もあってか食べ物には目がなく彼女と料理長の間ではご馳走をめぐっての駆け引きもある模様。
自ら望んで異世界薬局で働くことを希望し、事務と庶務を担当している。
エレオノール・ボヌフォワ
ファルマの家庭教師で、ファルマの父であるブリュノの一番弟子で一級薬師でもある。愛称はエレン。
水の神術を扱うことが出来、その際に転生後のファルマの異変に最初に気付いた人物であるが、その際に驚いた勢いでメガネが壊れたのだが、以降は彼女が驚くとメガネが壊れるというお約束が出来てしまう。
異世界薬局では薬師を担当、ファルマの補佐をすることになる。
メディシス家の使用人。男爵の爵位を持ち土の神術を使うことが出来る。メディシス家の財務を担当するなどかな信頼が厚い使用人であったが、両膝を痛めていたことから異世界薬局の開業直前にブリュノから暇を渡されるのだが、その際ファルマに誘われ異世界薬局の財務・法務・事務を担当することになる。
ド・メディシス家
ファルマの父で現当主。サン・フルーヴ帝国に三人しかいない宮廷薬師の一人。
非常に厳格な人物で食事の際には抜き打ちで薬学の質問をするなど子供たちにも厳しく接する。
当初はファルマに『この世界で最高クラスの薬師でもこの程度か』と思われていたが実際は核心を突く診断を行っていたり、自身の限界を感じての処方を考えていたことからファルマからの認識も大きく変わり、この世界の方式あった治療を考えるきっかけになった。厳格で厳しいのも子供たちのことを思ってであり、時折ではあるが甘い一面を見せることもある(異世界薬局への資金援助やセドリックの解雇のタイミング等)
ファルマの母。ド・メディシス家とは別の名門貴族の出身で風の神術を扱うことが出来る。
他の家族に比べると出番は少ないものの妻として、母として、家族のことを気にかけている。
パッレ・ド・メディシス
ファルマの兄で次期当主。現在は最先端の医学大学で異国のノバルート大学に留学している。
エレンとは犬猿の仲のためその関係を知っている人達はそれぞれの名前を出さないようにしている。
ファルマの妹。まだ幼いが頑張り屋の兄であるファルマの事を気にかけている。
一方で、ファルマ自身もかつて亡くなった妹と重ねて見えることもあり、やさしく接している。
サン・フルーヴ帝国
ファルマ達が暮らす国の女性皇帝。火の神術を得意としており、その力は大陸最強とも言われている。しかし、その身はこの世界で『白死病』と呼ばれる肺結核に侵されており、誰も対処の仕様がなく安楽死の話が進んでいた(なお、ブリュノは白死病に気付いていたが、薬がなかったため安楽死に同意していた)
のちにファルマにより快復すると、その功績をたたえ4人目の宮廷薬師への任命と異世界薬局の開設を許可するなど非常に好意的に接するようになる。
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関連リンク
- 異世界薬局 - 小説家になろう
- 異世界薬局 - MFブックス
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- 異世界薬局 - ComicWalker (コミカライズ連載)
- 高野聖 (@highlander_tk) - Twitter
関連項目
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- 0pt
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