『魔王と勇者の戦いの裏で』とは、涼樹悠樹によるライトノベル作品である。
概要
サブタイトルを含めた正式タイトルは、『魔王と勇者の戦いの裏で〜ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です』である。
小説家になろうにおいて連載、オーバーラップ社の文庫レーベル『オーバーラップ文庫』において2022年3月から書籍版も発売されている。イラストは山椒魚。2023年12月現在既刊4巻。
なお、小説家になろうで連載されているWeb版と書籍版では第1巻から大幅に加筆改稿されて新たな登場人物が増え、ヴェルナーの内面も変更され別展開に近いものとなっている。ただ、勇者や魔王軍からの攻略の進展に影響はないものとなっている。
漫画版はオーバーラップ社の漫画連載サイト『コミックガルド』において2022年5月から連載中。漫画版の作者は葦尾乱平。2023年12月現在既刊3巻。
漫画版は書籍版のデザインからリアル造形に等身が引き上げられており変更が顕著となっている。また書籍版の展開を元にしているが、展開を一部再構成したり、オリジナル描写もある。
次にくるライトノベル大賞2023において、文庫部門第2位を獲得した。
あらすじ
魔王軍が人類へ侵略し、勇者が住む国の王都も蹂躙する中、勇者が対抗し魔王を倒すRPGゲームの中に転生したことを事故に遭った際に思い出した伯爵家嫡男のヴェルナー。ヴェルナーは自身が名前も出ないモブ貴族で魔王軍の王都襲撃で死ぬことも思い出した。
自分が死ぬことを防ぐために勉学の努力はもちろん、ゲーム知識と状況に合わせ自身が付け加えた前世の知恵を駆使して生き残りを図る。
勇者であるマゼルとは付き合う気は無かったが、他国からの干渉を防いだことを切っ掛けに懐かれ親友となる。
そしてゲームの開始イベントである王都への『魔物襲撃(スタンピード)』が迫り、ヴェルナーは事前準備に奔走し、マゼルにもアドバイスした。
ヴェルナーの事前準備と行動により、ゲームのシナリオとは桁違いの軽微な被害で魔物襲撃を乗り切ることに成功。王太子や王太孫も生存させることに成功するが……。
登場人物
- ヴェルナー・ファン・ツェアフェルト
- ツェアフェルト伯爵家嫡子。文官系伯爵家で父親は爵位や式典を担当する典礼大臣。実は次男で幼少期長男の兄がいたが馬車の事故に巻き込まれ兄が目の前で死んでしまう。その際に前世の記憶を取り戻しこの世界がゲームの世界であり、自身は魔族の王都襲撃で死亡するモブ貴族であることを知る。自身が死ぬことを避けるため必死で勉強し、優等生になったりスキルである槍術も鍛えた。勇者とは最低限の関わりにするつもりだったが、紆余曲折を経て親友となり、貴族としての知識・立場を用いてサポートするようになる。
- 自身が死ぬことを避けるため、魔物襲撃が起こると知った際には物資集めや戦術変更、兵集めなど事前準備を入念に施した。
- マゼル・ハルティング
- 勇者であり原作ゲームの主人公。宿屋の息子だったが能力が分かり王都の学園に入ることになる。ヴェルナーに他国からの工作から救ってもらったことで懐き、親友になる。実家には父母の他、妹がいる。
- ノルベルト
- ツェアフェルト伯爵家執事。老年の男性で魔物襲撃の際にヴェルナーに指揮官を命じられたことを伝える。
- ヘルミーナ・ティモ・フュルスト
- ヴェルナーたちの隣の領主である武官系のフュルスト伯爵家次女で女騎士。家族には嫁いだ長女。跡継ぎの長兄、伯爵である父がいる。後に自分の姉がツェアフェルト家にやらかしたことを知り憤慨している。魔物襲撃戦の後は父の命令という名目で任務に同行する事が多い。書籍版からの登場人物。
- バスティアン・ティモ・フュルスト
- ヴェルナーたちツェアフェルト領の隣の領主。ツェアフェルト家とは経済的には協力しあっているため仲は悪くはないが、文官系であることから無意識に下に見ている。それでもヴェルナーの評判を知って高く評価しているなど、長男のタイロンよりは常識的である。
- タイロン
- フュルスト伯爵家の嫡男。文官系貴族を下に見ておりプライドが高く、魔物襲撃戦前はツェアフェルト家のメンツを潰すような発言をしたため家族2人から諌められたり呆れられたりしていた。ヴェルナーの献策が成功し救出された後も従来の騎士道流に拘ったり、ヴェルナーに対して嫉妬する。
- マックス・ライマン
- 壮年のツェアフェルト伯爵家の騎士団長。戦場ではヴェルナーの伴に付く。
- オーゲン
- ツェアフェルト騎士団の第一小隊長。
- バルケイ
- ツェアフェルト騎士団の第二小隊長。ヴェルナーの指示でフェルスト伯爵家隊救出に向かう。
- ヒュベルトゥス・ナーレス・ヴァイス・ヴァインツィアール
- 王太子。ゲームでは当初の魔物襲撃において息子の王太孫とともに死亡していた。魔物襲撃では指揮官として辣腕を奮うも、ヴェルナーの進言を受け入れ追撃を中止する。内政においても辣腕を発揮するやり手であり、ヴェルナーの行動によって救われた1人ではあるが、あくまで王族としての判断を行う。
- ノポルト侯爵
- スタンピードにおける左翼隊指揮官であり、ツェアフェルト伯爵家騎士団の直属の上司。ヴェルナーが献策せず命令系統を無視して王太子に直接意見具申したことに梯子を外される。思うことはあれど戦場では冷静に対応しヴェルナーの功績も王太子に伝えている。ヴェルナーが祝勝会で増長しているようであれば何が言うつもりだったが、ヴェルナーが謝罪したため穏便に済ませている。
- ルーウェン
- 十歳くらいの王太孫。戦況が良好に見えたことから出陣を進言する。ヴェルナーの進言を受け入れた王太子より配置を変えられ保護される。
- オリヴァー・ゲッケ
- 傭兵団団長。魔物襲撃の際にヴェルナーの進言を受け入れた王太子にヴェルナーの下に付けられる。その後の任務においてもヴェルナーの依頼した任務に携わることが多い。
- ドレクスナー
- ヴェルナーとマゼルの同級生の学友で子爵家子息。書籍版から登場。ヴェルナーの頼みを聞く変わりに犯罪捜査に協力し手柄を貰ったりしている。
- リリー・ハルティング
- マゼルの妹。マゼルの故郷の実家の宿屋で働いていたが、村からは冷遇されており魔族に襲撃された際にヴェルナーに家族含めて救出される。その後はツェアフェルト家で保護されることになり、仕事がしたいということからパーラーメイドとして職に着く。
勇者パーティ
- ラウラ・ルイーゼ・ヴァインツィアール
- 王国第2王女。兄の王太子とは母親が違うが慕っている。魔物襲撃の際に活躍したヴェルナーとマゼルとの非公式茶会で出会う。原作ゲームでマゼルと結ばれるヒロインでもある。
- ルゲンツ・ラーザー
- 戦士の男。平民だが、マゼルとは魔物襲撃で学生支援隊で魔族と戦った際に出会い評価している。その後ヴェルナーに金で雇われマゼルに同行する。ゲッケとは知己がある
- フェリ
- 本名はフェリクス・アーネート。孤児院出身の冒険者で斥候が得意な少年。原作と違いヴェルナーに依頼の前金の足代を多く渡されたことから恩義を感じ、ヴェルナーを慕う。
- エリッヒ・クルーガー
- 原作キャラ。修行がてら旅をしており行先で治療を行うこともある温厚な修行僧(モンク)。武器を使わず戦闘も行うことができるが回復魔法も使える。スタンピード後王都で怪我人を治療している際にヴェルナーと出会う。ヴェルナーから魔族の話を聞き協力を申し出る。その後マゼルと同行することになる。
関連静画
店舗特典SSまたは発売記念公開SS(ショートストーリー)
巻数 | 店舗別 | サブタイトル | 備考 |
---|---|---|---|
1巻 | アニメイト | 詩文、それは学生たちの難問である。 | |
メロンブックス | 無名勇者のアルバイト | ||
とらのあな | 学生料理は慣れが大事 | ||
特約店 | 世界初のドッジボール | ||
オーバーラップ通販 | 幸運 | ||
公式サイト1巻発売記念SS | (サブタイトル無し) | →リンク | |
2巻 | メロンブックス | 試験のコツ | |
特約店 | 遠征食器事情 | ||
オーバーラップ通販 | 伯爵家邸の噂話 | ||
公式サイト2巻発売記念SS | 狩猟準備 | →リンク | |
- | 漫画1巻特典SS | 天才とマナー | |
3巻 | メロンブックス | side:勇者マゼル ヴァレリッツ襲撃、その時 | |
特約店 | 工事現場、安全確保 | ||
オーバーラップ通販 | 異世界漁業事情 獲物の情報(パスケース付き有償特典) |
||
- | 漫画2巻特典SS | 王都学園の小騒動 | |
4巻 | メロンブックス | 早朝の忘れ物 | |
特約店 | 学園の成績と努力の天才 | ||
TSUTAYA | 異世界の祭日 | ||
BOOK☆WALKER | side:勇者マゼル 旅先の食事 | ||
書泉・芳文堂 | ハーブとサソリの関係 | ||
オーバーラップ通販 | 砂糖茸と離脱罪 異世界筆記用具あれこれ(ボールペン付き有償特典) |
||
- | 漫画3巻特典SS | 王女と侍女の語らい | |
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関連リンク
関連項目
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- 0pt