20世紀も終わりに近く、国連科学委員会は月に探検基地を開設し
ここ硫黄島の基地からは連日月に向かってロケットを発信していた――
『怪獣総進撃』とは、1968年8月1日に公開された映画。ゴジラシリーズ第9作目。
監督は昭和シリーズおなじみの本多猪四郎、脚本は東宝フランケンシュタインシリーズを担当した馬淵薫と本多の共同執筆。特技監督には前作から引き続いて有川貞昌が就任し、円谷英二は特技監修という形でクレジットされている。音楽は伊福部昭で、冒頭に流れる総進撃マーチは今でも人気曲の一つ。
『怪獣大戦争』以来、2作品ぶりに本格的な都市破壊が復活した作品だった。この作品ではイグアナの映画アメリカ版『GODZILLA』に先駆けること30年も前に、ゴジラがニューヨークの町を放射熱線でぶっ壊している。この映画のゴジラは昭和ゴジラとしては珍しく熱線を多用して破壊活動を行っている。また、東京にゴジラ、ラドン、モスラ、マンダが一挙に集結して破壊活動を行う場面は大勢の怪獣が登場する本作ならではの要素といえる。なお、防衛隊の兵器で「ミサイル」が初登場した。
このほか、ゴジラシリーズでは『怪獣大戦争』以降取り入れられるようになった宇宙的なSFチックな設定はこの作品でも大きくクローズアップされ、X星人以来の登場となる宇宙人「キラアク星人」の狡猾な作戦には作中の人物たちは大苦戦を強いられる。また、数ある東宝メカ中でもこの作品のみに登場する地球の誇るロケット「ムーンライトSY3」は今でもファンが多い。
キャスト面でも土屋嘉男、佐原健二、田崎潤といった昭和シリーズの常連が顔を並べるほか、ウルトラマン(ハヤタ)で有名な黒部進もちょっとだけ登場している。
本作を以て、一度は莫大な予算がかかる怪獣映画路線を完結させ、一旦ゴジラシリーズを完結させる予定だったが、観客動員数258万人と前作を若干上回る好成績を残したことでその話は撤回され、その後7年間シリーズは継続、1975年『メカゴジラの逆襲』(奇しくもこの作品は本作と同じ本多猪四郎監督作で、氏の遺作でもある)で21年に亘るゴジラシリーズは1984年まで長い眠りに就くこととなる。
このため、ストーリー的には昭和シリーズで最も未来の出来事に時系列分類されることがあり、実際本作は公開時点より少し近未来を描いた描写が多い。実際に、冒頭のナレーションではこの作品を20世紀末の~と言っている。テレビ電話や携帯テレビなどは実はシリーズではこの作品が初登場。
撮影に使われた電車などの模型は今も一部が現存していて時折展示会などで飾ってくれることがある。(撮影時の状態のままなのでモスラにぶっ壊されたときのまま結構ボロボロだけど) 。
ちなみに、同じ年にはアメリカで『2001年宇宙の旅』が公開され、日本でも本国から5日遅れで入ってきたことでそのあまりにリアルな描写が国内の映像技術者を驚かせたという。これは観客も同様らしく、漫画家のみうらじゅんなどはこの落差で「あぁ、日本は戦争に負けたんだなぁ」と実感したそうな。
20世紀末、かつて恐怖の存在であった怪獣達は小笠原諸島に建設された研究施設「怪獣ランド」で平和に暮らしていた。しかし、ある時研究施設に謎のガスが散布され職員と連絡が取れなくなり、施設にいた怪獣達は脱走し世界各国で再び暴れ始めた。
国連の依頼で調査に訪れた山辺達は怪獣ランドの職員が怪獣達を操っており、さらに職員達も「キラアク星人」に操られていることを突き止める。
スタッフ |
キャスト |
昭和ゴジラでは最多となる11体(うち2体はたいした活躍が無いけど)で、スクリーン狭しと過去の東宝特撮映画に登場したスター怪獣たちが暴れまわる。特にアンギラスはゴジラ最初の対戦怪獣でありながら、13年ぶりのシリーズ復帰で、以後の作品にもよく登場する相棒的怪獣という役割が板に付いた。 とりあえずゴロザウルスに出番を取られたバラゴンとラストにチョイ役でしか登場しないバランはもっと怒っていい(一応両方とも主演怪獣だったんだし。バラゴンなんか名前は何回も出てるのに…)。
また、シリーズ完結編とあって、過去2度戦った宿敵キングギドラとは本作で一応の決着が付く。 が、途中の善戦も虚しく、後半戦は最早イジメレベルで、円谷存命時には珍しく怪獣の血が描かれているほか、決着シーンは結構エグイ。ゴジラよ、そんなにキングギドラが憎かったのか? (あとゴロザウルス、アンギラスも) まあ、キングギドラも金星を滅亡させたりしてる悪い怪獣だったから仕方ないね。 ちなみに、このギドラ戦、対ガイガンで流用され同作で整合性が取れない部分が多数でる遠因にもなった。
この作品でキングギドラが倒されたため、後続作の『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』に登場するギドラは鳴き声も若干違うので「2代目キングギドラ」とする書籍もある。この2代目ギドラは頭の生首3本だけが現存しており、大ゴジラ特撮展のシークレット展示として展示された。角の一部が欠損しており、ラテックス塗料の影響か、かなり劣化があったものの、往年の姿を少しでも感じることが出来るように大切に保管されていたのは喜ばしい次第である。
小笠原諸島に建設された怪獣の研究施設。各怪獣用に調整されて区画分けされており、地下では科学者達や所員らが怪獣達の研究や飼育に従事している。飼料として動物達が養殖されており、怪獣達はいつでも食事をすることができる。怪獣の脱走予防には怪獣の嫌うガスの散布や磁気障壁などが設置されている。
前作で描写された怪獣の暮らす「怪獣島」をより発展させたような施設。怪獣と人類が平和に共存する本施設は理想的な未来を描いた一種のユートピアといえるだろう。また、後年の『ジュラシック・パーク』のようなテーマパークものの先駆けであると指摘されることもある。
火星と木星の中間帯にあるアステロイドベルトに住んでいた高度な科学力を持つ宇宙人。銀色に輝く尼僧のようなケープを着た女性のような姿をしているが、実際には鉱物生命体であり、弱点の低温下(人間が活動できる常温)では人間の姿を維持できず本来の姿である岩の塊になってしまう。ただし、鉱物化しても行動不能になるだけで不死である。
地球の火山脈を狙い侵略に来ており、月面や富士山の地下に基地を建設。手始めに怪獣ランドを襲撃し、怪獣達や職員らを拉致しコントロールマシンで手駒とする。怪獣達を操り、世界各国で破壊活動を行っていたが、人類の活躍でコントロールを阻止され、富士の基地まで包囲されるとキングギドラを解き放った。しかし、地球怪獣達の活躍でギドラは敗北。最後の手段として炎の円盤ファイヤードラゴンで迎え撃つが、ムーンSY-3号によって墜落、基地もゴジラに破壊され、外気に晒されて鉱物化し敗北した。
名前の由来は本作の企画時のタイトルである『怪獣忠臣蔵』にちなみ、「吉良上野介(キラ)」+「悪(アク)」で「キラアク」である。
| 昭和ゴジラシリーズ |
| ゴジラ(1954年)─ゴジラの逆襲─キングコング対ゴジラ─モスラ対ゴジラ─地球最大の決戦─怪獣大戦争─南海の大決闘―ゴジラの息子―怪獣総進撃―オール怪獣大進撃―ゴジラ対ヘドラ―ゴジラ対ガイガン―ゴジラ対メガロ―ゴジラ対メカゴジラ―メカゴジラの逆襲 |
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掲示板
12 ななしのよっしん
2018/09/16(日) 23:59:02 ID: 4w68CwG1L2
13 ななしのよっしん
2021/08/03(火) 20:10:56 ID: ggVNNLcUOX
これ見てて思うのが、
囲んで棒で叩くって意外と難しいんだな
ってとこ
何体かの怪獣が自分が何していいかわからずわちゃわちゃしてるのを見るに
14 ななしのよっしん
2023/11/19(日) 17:59:39 ID: PSzWf/2MSu
一番好きなゴジラ映画なんだが、子供の頃の思い出が美化されてる感はある
冷静に見ると突っ込みどころが多いし、たくさんの怪獣を持て余してる感がある
たくさん怪獣出てきて、都市破壊もヒーロー路線に近い怪獣プロレスも両方みられるお得な作品ってことは間違いないか
とりあえず「キングギドラは宇宙の怪獣です。地球の怪獣では歯が立ちません」とか言ってたキラアク星人はもうちょっと下調べしような
そいつ前にゴジラモスララドンの3体相手に負けて、更にゴジラとラドンの2体相手にも二連敗してるんすよ…
そのゴジラとラドンを含む10体相手に勝てると思うのは見通し甘すぎんか
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/22(月) 22:00
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