月刊少年ギャグ王とは、かつてエニックス(現スクウェア・エニックス)が発行していた少年向け漫画雑誌。
前身は1993年に発行された「月刊少年ガンガン増刊4コママンガ劇場」。当時エニックスでは『ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場』がヒットしており、読者投稿から多くの作家がデビューしていた。それらの作家のオリジナル作品を中心としたギャグ・4コマ漫画雑誌として創刊される。そのため初期には、4コマ漫画や1Pコミックとして連載を開始し、後にストーリー漫画に転換した作品が見られる(『ちぱパニック!』『RUNRUNブラザーズ』『御意見無用っ!!』など)。またマイナーな月刊誌の常ではあるが、連載が短期で終了したため単行本化されないままの作品も多い。
メインターゲットとして小学生を想定した、「月刊少年ガンガン」よりも「コロコロコミック」や「コミックボンボン」路線の雑誌のはずだったが、全盛期の読者層は「ガンガン」の読者層に非常に近かったと言われており、連載作品の雰囲気もそれに近いものがあった。
1996年末から1997年春にかけて、『うめぼしの謎』『勇者カタストロフ!!』『トルネコ一家の冒険記』『レニフィルの冒険』といった創刊からの看板作品や、『ちぱパニック!』『RUNRUNブラザーズ』ら初期からの人気作が立て続けに連載を終了。入れ替わりにゲームコミックが大量に投入され、「ガンガン」路線から「コロコロコミック」路線へ、本来のターゲットだった小学生向けへの大幅なリニューアルが図られた。が、このリニューアルは新規読者層の開拓よりも、むしろ既存の読者層を手放す形になったと見られ、発行部数は減少が続いた。
1999年、誌名を『月刊少年Gag-Oh!』に変更し心機一転を図ったものの、リニューアルから僅か3号で休刊となった。休刊の原因は、誌名変更により読者が書店で雑誌を見つけられないという事態が生じ、致命傷な販売数減を招いたとする説がある。少なくとも休刊の決定がかなり急なものだったことは、最終号における各連載作品の様子からも明らかであった。
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奇才・三笠山出月の唯一の連載作品。当時作者は現役の高校生、連載中に大学に進学。シュールなネタの数々と、4コマの欄外に好き勝手に記される落書きがギャグ王連載作品の中でも際だって異色な雰囲気を醸し出していた怪作。「4コマより落書きの方が面白い」とまで言われ、単行本は落書きを完全収録するために本来の新書版ではなく一回り大きいA5版で発行された。担当編集者の飯田義弘(のちの月刊少年ガンガン編集長)がたびたび出演し、異様にキャラ立ちしていたことでも知られる。連載の終了は単行本2巻の発売直後であり、そのため4話分が単行本未収録状態になっていた。そのインパクトから休刊後もギャグ王を語る際には真っ先に名前の挙がるタイトルであり、熱心なファンが復刊活動を展開。2003年、大都社から未収録分も含めた完全版が発刊された。
当時『ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場』の看板作家だった牧野博幸初のオリジナル連載。お調子者の魚屋ズックが、ひょんなことから勇者に仕立てあげられ、魔王退治に駆り出される破天荒なギャグ・ファンタジー。王国に突然現れた巨大デパートと商売合戦を繰り広げたりしつつ、やがて物語は行方不明の父親を捜すという目的の旅へ向かう。基本的には『魔法陣グルグル』のようなRPGパロディのギャグ作品だが、根底には「商売」と「環境破壊」というテーマが流れており、破天荒なギャグを残しつつシリアスなストーリーを展開していった。
「ギャグ王」の創刊から休刊まで、休みなく連載を続けた唯一の作品。半人前の忍者4人組が繰り広げるドタバタギャグ漫画であるが、作者がドラクエ4コマでもお色気ネタを頻繁に使い、担当に怒られていたという新山たかしだけあって、全編に渡ってちょっとエッチなネタの比重が非常に高い作品であった。特に連載が後半になればなるほど、(建前上は)小学生向けの雑誌とは思えないきわどいネタが増えていった。休刊時は他誌に移籍することもなく、そのまま雑誌とともに連載を終了。最終巻となった9巻にはページの不足分が描き下ろされている。
心優しき少年・十六夜、軽薄な聖騎士・カイ、記憶喪失のダークエルフ・ジェンドの3人組の旅を描いたほのぼのファンタジー。のちに「月刊少年ガンガン」で連載される『刻の大地』は本作の前日譚(もしくはパラレルワールド)にあたり、「月刊Gファンタジー」で同時期に連載された『レヴァリアース』は同じ世界のさらに過去の話である。基本シリアスなこの2作品とは異なり、こちらはギャグ中心。当時、夜麻みゆき作品は女性人気が非常に高く、「ギャグ王」でも看板作品のひとつとして連載終了後もたびたび復活していた。ちなみに『刻の大地』はその後連載が中断、未完のまま打ち切りが決定している。
【創刊号~1995年2月号(中断)、1996年10月号~1997年5月号、全1巻】
かつてみのり書房の「ゲームプレイヤーコミックス」に4話だけ連載された同名作品(後に『魔法陣グルグルランド』に収録)の1000年後の世界を描いたギャグ・ファンタジー。デジタルとメルヘンが混在する世界で、1000年に一度生まれる「光の子」たちが、放課後だけRPG風の冒険に出かける。『魔法陣グルグル』よりも衛藤ヒロユキの趣味的な要素がより強く出ている作品であり、ストーリーなどあって無きがごとしである。
トルネコ一家の冒険記(村上ゆみ子、脚本:小松崎康弘)
『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』のEDから『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』までの間を繋ぐ物語(ただし、「DQIV」の他のキャラクターは登場しないなど、パラレルワールド的な扱いである)。物凄い宝物が眠るという「不思議のダンジョン」を求めて、トルネコが家族を引き連れて旅に出る。作画担当の村上ゆみ子はドラクエ4コマ時代から鳥山明に極端によく似た画風で知られ、本作でもそれが存分に活かされている。
ドラクエ4コマ黎明期の看板作家のひとり、石田和明の初オリジナル作品。掟を破り里を追い出されたエルフの少女レニフィルと、彼女に拾われた近衛兵志願の剣士の少年カイルの冒険譚である。『半熟忍法帳』ほどではないが微妙にお色気シーンがあったりして、当時の小学生男子をドギマギさせた作品のひとつ。ちなみに作者本人のブログでは、比較的最近描かれたレニフィルのイラストが見られたりする。
ドラクエ4コマでもそのシュールな画風とネタでコアな人気を誇った梶原あやのオリジナル4コマ。非常に気弱で可愛いもの好きの殺し屋であるジョージが主人公……のはずなのだが、途中から登場した忍者ウサギにいつの間にか主人公の座を乗っ取られていた。シュールすぎるネタと展開、そして画風は健在であり、話の途中で忍者ウサギやジョージたちとは一切絡まない胴長パンダたちのネタが脈絡もなく挟まれるのが一層カオスな空気を醸し出していた。決して看板作品では無かったが、「うめぼしの謎」や「少年探偵彼方」、「すすめ!!ダイナマン」などにジョージのパロディキャラが登場したり、忍者ウサギがちぱや彼方と競演したりするなど、何かと愛されていた作品であった。2011年、「けんけん猫間軒」などのエニックス時代の作品集(上下巻)の中に入る形で復刻が決まった。
ある日突然藤沢家に現れた、ダチョウに似た謎の生物「もけけ」(途中でサイズの小さい「みけけ」「うけけ」「めけけ」が増えて4匹になる)を中心にした摩訶不思議系4コマ。もけけの飼い主で明るい元気少女・由良、男勝りな玲(あきら)、冷静沈着な冴子の中学生3人娘をメインキャラに据えた構図は、後の「まんがタイムきらら」系の萌え4コマに微妙に近いような気もしないでもない。看板では無く、インパクトの強い作風でもなかったが、名脇役的なポジションで愛された作品。番外編としてパラレルなファンタジー世界を舞台にした「ノーザンファンタジー」編がある。最終回はストーリー漫画で割と泣ける展開に。単行本では加筆され無事ハッピーエンドになった。
「月刊少年ガンガン」で「電撃ドクターモアイくん」を連載していた岩村俊哉の作品。ある日うっかりで凶悪怪獣を解き放ってしまった責任で地球にやってきた…はいいものの、赴任先でいきなり少年を瀕死にさせてしまい、治療がてら彼の体で活動する羽目になる何をやらせてもうっかりな失敗をしてしまう駄目なヒーロー・ウッカリマンが、凶悪怪獣などと戦う話。初期はギャグ色が強かったが、後半はウッカリマンの出生にまつわる謎が明かされるなど、シリアス展開になっていく。
妖怪の国・妖精界の王女にして悪事を働く妖怪をお縄にする『妖怪パトロール』のベルと、修行のために妖精界に送られたナムール王国の王子、ナムが繰り広げるドタバタギャグコメディ。同時期に本誌で連載していた『ZMAN』がシリアスであるのに対し、こちらはほぼ全編がギャグで構成されている。読んでいると雷おこしが食べたくなる漫画である、多分。なお、当時は6話まで連載されていたが、収録単行本である『ZENO-西川秀明短編集-』には2話までしか収録されていないのに注意。今でこそハードエロス+バイオレンスな漫画中心である西川秀明の、貴重なギャグコメディであることを追記しておく。
ボムボム星から(頼みもしないのに)やってきた落ちこぼれヒーロー・ダイナマンが、地球の悪や邪魔星(よこしませい)からの刺客達を爆弾で爆破する4コマギャグ漫画。ボンバーマン?科学戦隊?いや関係ありませんよ?悪ガキ光&直樹との騒動や、見栄っ張りが服着て歩いているような見栄春春雄(みえはる はるお)や、勘違い女・忌野怪子(いまわの かいこ)らへの制裁、無敵のブスストーカー・白百合香(しらゆり かおり)との攻防、ボムボム星でダイナマンの所業に悩まされる王様とけらい君、ダイナマンの始末屋として送られてきたが同じく落ちこぼれヒーローですっかり地球に居ついたガンダマンとターバン、邪魔星皇帝からの刺客との緊張感のないバトル等のネタで構成されている。刑事になった「ダイナマン刑事長編」やOLとなって働いている「OLダイ子編」等のパラレルストーリーも。日常のムカつく事を読者が葉書で送り、ダイナマンが爆破する「ダイナマン世界平和向上委員会」なるコーナーもあった。なんと「ギャグ王」のテレビCMはダイナマンがアニメーションで動き、家々にギャグ王型爆弾を投げ込んでいる。衝撃ボンバー!作者サイトにて続編『すすめ!!ダイナマン21』が連載中。
謎の卵から生まれた小さな悪魔・ちぱと、小泉笹・間滝るるななどの小学生たちが織りなすコメディ。お気楽なギャグを基調としつつも、物語の要所要所で心温まるシーンを入れてくるハートフルな作風は幸宮チノという漫画家の原点を感じさせる。小学生のくせにラブコメ要素も大いにあるところがあなどれない。物語の時間経過が現実と同じであり、笹たちが小学校4年の時から始まって連載2年余り、小学校卒業と同時に完結した。
【1995年5月号、8月号~1996年1月号、『平成バンパイアの逆襲』収録】
平成生まれのハーフバンパイアの少年・アキ。彼を溺愛するバンパイアの父親には振り回され、彼がバンパイアであることをバラされないように日々奮闘するアキだったが、破天荒かつバンパイアであることに無頓着な性格である父に苦労し続けるというコメディー漫画。浅野作品には珍しい4コマ漫画であったが、途中からショートに移行。後に「ガンガンWING」2000年1月号に収録された読み切り続編『平成バンパイアの逆襲』では、ややシリアス色が濃くなったが、最終的には前作と同じくギャグ漫画である。
【1995年9月号~1997年3月号(楽園)、同年4月号~1998年8月号(学園)、未単行本化】
御意見無用っ!!(よしむらなつき)
【1995年12月号~1999年4月号(休刊号)、ガンガンWINGに移籍、全8巻】
ナイトウォーカー!(東まゆみ)
【1996年3月号~1996年8月号、『ナイトウォーカー!』収録】
『EREMENTAR GERAD』、『スターオーシャン セカンドストーリー』や『ヴァンパイアセイヴァー』のコミカライズでその名を知られた、東まゆみのデビュー作。小学生の梶木晃太の前に現れた夢魔のリージュが、あの手この手で彼の魂を奪おうと奮闘するも失敗、更には夢魔のシェール、獏といった面々も乱入するややお色気ありのギャグコメディ。一話一話のことわざ・四字熟語タイトルが特徴的な漫画でもあり、一応お色気マンガを目指したつもりだったらしいが、当時の作者(20)が花も恥じらう乙女だったため、リージュがアホの子になるなど、必然的にギャグ漫画寄りとなってしまった。余談ではあるが、同じく東まゆみの読み切りである『ストレート!』(単行本『GET!』収録)には、高校生になり、ボクシング部の副主将となった晃太も登場している。
続少年探偵彼方 ぼくらの推理ノート(祥寺はるか、原作:夏緑)
【1996年3月号~8月号(無印)、1997年3月号~10月号(第2章)、全1巻】
怪傑!オピウム君(山藤ひろみ)
【1997年3月号~1999年4月号(休刊号)、ガンガンWINGに移籍、全8巻】
【1997年3月号~1999年4月号(休刊号)、ステンシルに移籍、全6巻】
任天堂&インテリジェントシステムズのゲーム「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」のコミカライズ作品。FEのストーリー漫画が基本的にシリアスだったのに対し、本作はギャグ色が強かったが、中盤辺りからシリアス要素が強くなっていく。ちなみに前半と後半では別人と思えるほど絵柄が変わっている。
【1997年9月号~1999年4月号(休刊号)、ステンシルに移籍、全11巻】
「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」の、青年時代前半と後半の間の空白期間にスポットを当てて描いた漫画作品。幸宮チノの代表作。「DQV」の王子テンと王女ソラ(主人公の息子と娘)が、両親を探すために旅に出る話。「ギャグ王」休刊後は「月刊ステンシル」→「月刊Gファンタジー」と雑誌を転々とし、数年かけて完結を迎えた。最終巻には描き下ろしでその後の話が掲載されている。
創刊号は5月号。創刊時のラインナップは『ドラゴンクエストショートマンガ劇場』(9月号から『1Pコミック劇場』へ)を筆頭に、衛藤ヒロユキ『Pico☆Pico』、夜麻みゆき『幻想大陸』、新山たかし『半熟忍法帳』、牧野博幸『勇者カタストロフ!!』、三笠山出月『うめぼしの謎』、石田和明『レニフィルの冒険』、村上ゆみ子(脚本:小松崎康弘)『トルネコ一家の冒険記』、梶原あや『殺し屋ジョージ』、桜井蓮哉『もけけ日記』、タイジャンホクト『アクロバットバカ野郎』、栗本和博『最強不運少年バット君』、すずや那智『まさかの魔サーガ』など。
ちなみに、『勇者カタストロフ!!』『半熟忍法帳』『幻想大陸』の3作品は、「月刊少年ガンガン」1993年3月号にて行われた4コマカップトロフィー争奪バトルからの連載化である(が、4コマとして始まったのは『幻想大陸』のみであった)。
6月号から岩村俊哉『大ボケ超人ウッカリマン』、7月号から西川秀明『妖怪パトロール ナム』、8月号から池田匠『すすめ!!ダイナマン』、10月号から井上いろは(原作:夏緑)『少年探偵彼方 ぼくらの推理ノート』が連載開始するなど、ドラクエ4コマ出身作家を中心に充実の誌面を誇った。
1月号から幸宮チノ『ちぱパニック!』が連載開始。5月号にて連載権争奪戦である第1回 4コマカーニバルが開催され、8月号から川本祐太郎『RUNRUNブラザーズ』、浅野りん『HEI-SEIバンパイア』、野国由紀『トラブル×3』の3作品が連載開始。9月号より坂本太郎『最後の楽園』連載開始。また2度の読み切り掲載で好評を博したよしむらなつき『御意見無用っ!!』が12月号から開始。12月号では第2回4コマカーニバルも開催された。ラインナップ的にはおそらくこの頃が「ギャグ王」の全盛期であろう。
一方、2月号を限りに『Pico☆Pico』が長期休載に。4月号にてきりえれいこ『ミョンミョン博物記』、松沢夏樹『宇宙海賊だばだば一家』など3作品が終了。11月号では『まさかの魔サーガ』が連載終了する。
1月号から6月号にかけて、連載作品の整理が続く。1月号で『アクロバットバカ野郎』『HEI-SEIバンパイア』、2月号で『トラブル×3』、3月号で『最強不運少年バット君』『少年探偵彼方』、4月号で『大ボケ超人ウッカリマン』、5月号で『幻想大陸』が連載終了。第1回4コマセレクションの生き残りは『RUNRUNブラザーズ』だけとなった。『少年探偵彼方』は作画担当が祥寺はるかに交替し『続少年探偵彼方 ぼくらの推理ノート』として5月号より連載を再開する。
2月号から曾我あきお(現:五十嵐あぐり)『金科玉条!?お花守』連載開始。3月号では第2回4コマセレクションから藤真つかさ『めしつかいおむすびっ』、東まゆみ『ナイトウォーカー』、白井寛『とんでも勇者』が開始するが、いずれも8月号で連載を終了、短命に終わった。5月号から一本木蛮『勇者コジロー2』、7月号から山藤ひろみ『怪傑!オピウム君』が連載開始。また10月号から『Pico☆Pico』が連載を再開。『幻想大陸』は番外編的な『げんそーたいりく』として同じく10月号より再開した。
そして12月号、リニューアルの口火を切るように『うめぼしの謎』『勇者カタストロフ!!』が連載終了する。
前年12月号を皮切りに、看板・人気作品が立て続けに連載を終了する。1月号で『レニフィルの冒険』『RUNRUNブラザーズ』『金科玉条!?お花守』『勇者コジロー2』、2月号で『もけけ日記』、4月号で『ちぱパニック!』『殺し屋ジョージ』、5月号で『Pico☆Pico』『トルネコ一家の冒険記』が終了。初期からの連載作品で生き延びたのは、再開直後の『続・少年探偵彼方』を除けば『半熟忍法帳』と『すすめ!ダイナマン』、『御意見無用っ!!』、そして『最後の楽園』(4月号から『最後の学園』に)のみであった。『げんそーたいりく』は8月号、『怪傑!オピウム君』も9月号で連載を終了する。
これらオリジナル作品に代わって、主にゲームコミックが大量に投入される。成田美穂『ポケットモンスター』、タイジャンホクト『星のカービィ』、兼本あつこ『GOGO!!マリオワールド』、川本祐太郎『YAT安心!宇宙旅行』、杉本敏彦『打て!マツイくん』など、明らかに低年齢向けを意識した作品の開始によって誌面のカラーは大幅に刷新されることになった。その一方で、藤森ナッツ『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』のような、どちらかといえば後の「エニックス漫画」と呼ばれたジャンルに近い作品もあった。他に藤凪かおる『アークザラッドII』、御茶まちこ『ドラゴンクエスト ヴァーチャルバトラー仁』など。また、当時「ガンガン」の看板作品であったいがらしみきお『忍ペンまん丸』の4コマ版である『忍ペンまん丸絵日記』が開始するなど、なりふり構わないテコ入れも目立つようになる。
もちろんゲームコミックばかりではなく、オリジナル作品もいくつか開始する。前年の読み切り掲載から約半年を経て開始された霧香&聖娜(1998年5月号よりたかなし霧香)『ハイパーレストラン』、梶原あや『ちゅうちゅうパトロール』。また『とんでも勇者』が『とんでも勇者 第2章』として復活を遂げた。
そして9月号から、「ギャグ王」最後の切り札とも言うべき幸宮チノ『ドラゴンクエスト 天空物語』が開始する。
低年齢向けゲームコミックを大量投入したものの、結局雑誌を引っ張ったのは『天空物語』や『聖戦の系譜』、そして『御意見無用っ!!』『すすめ!ダイナマン』のような初期からの人気作であった。『ポケットモンスター』『打て!マツイくん』『ヴァーチャルバトラー仁』『忍ペンまん丸絵日記』などが夏までに連載を終了する。一方新連載は少なく、読み切りの掲載が目立つようになり始める。1月号から村上ゆみ子『KIBA!』、2月号から牧野博幸『超弩級ほかほか戦士チャブダイン』、3月号から極山裕『マルポチャール』が開始。また久々に開催された第3回4コマカーニバルから前島聖美『盗賊スタット』が開始するが、短命に終わった。
8月号で『1Pコミック劇場』が終了し、『4コママンガ劇場ギャグ王編』にシフト。9月号で『続少年探偵彼方』が終了、10月号から『聖クラリス探偵団』にシフトする。また、初期から「ギャグ王」の柱的な存在であった『すすめ!ダイナマン』が12月号で連載を終了、いよいよ初期「ギャグ王」の色がほぼ残らない状態になっていった。
なお、読者層の低年齢化に失敗したという事実を端的に表した事実として、8月号で開催された第4回4コマカーニバルで明らかに萌え4コマである霧賀ユキ『がんばれスイートシュガーちゃん』が優勝した点が挙げられる。もちろん当時はまだ萌え4コマというジャンルなど存在するべくもなかったのだが。なお霧賀ユキはその後、「電撃G'sマガジン」で「シスター・プリンセス」の企画ページに漫画を描いていたりした人物であることを付言しておく。
「ギャグ王」終焉の年。1月号を最後に「ギャグ王」表記が撤廃され「Gag-Oh!」となり、4コマ作品が無くなるなどのリニューアルが図られたが、前述の通りこれが結局致命傷になってしまった。リニューアルとともに連載開始した作品に、南澤ミズキ(現:南澤久佳)『魔法使い養成専門 マジック☆スター学院』、金田一蓮十郎『アストロベリー』などがある。
結局、4月号限りでの休刊が発表される。連載作品のいくつかは他誌に移籍しての継続が告知された。他誌に移籍したのは以下の通り。
のち、『天空物語』は「ステンシル」が増刊から月刊化されるまで1年中断、さらに「ステンシル」の休刊により「Gファンタジー」に移籍、と掲載誌を転々としたものの無事完結。『聖戦の系譜』『御意見無用っ!!』『ハイパーレストラン』はそれぞれ移籍先で完結。『ドラゴンクエストモンスターズ』は実質読み切りとしての掲載のみに終わった。
『マジック☆スター学院』は「Gファンタジー」移籍後、いわゆる「エニックスお家騒動」で一迅社の「コミックゼロサム」へ移籍、2009年3月号まで連載を続け完結。『アストロベリー』は移籍先の「コミックバウンド」がまたしても休刊したため、「ガンガンパワード」を経て「ガンガンYG」へ、そして現時点での直近の掲載は「増刊ヤングガンガン」と、『天空物語』以上に流浪かつ不遇な作品となっている。
それ以外の連載作品は全て打ち切りという形で連載終了となり、創刊からの唯一の生き残りであった『半熟忍法帳』も雑誌と運命を共にした。『半熟』と『聖クラリス探偵団』は単行本に描き下ろしの後日談が収録されている。一方、村上ゆみ子『KIBA!』などは連載が終盤に差し掛かっておりながら、『モンスターズ』が始まったこともあって最終回すら掲載されず未完に終わっている。また、リニューアル後の新連載で雑誌と共に消え去った悲運の作品には、後に「まんがタイムきらら」等で連載を持つことになる岬下部せすなの初オリジナル連載『逆転イッポン!』などもあったりした。
金田一蓮十郎など「ギャグ王」が初連載でない作家や、現在もある程度知名度のある作家は除く。
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最終更新:2024/05/06(月) 10:00
最終更新:2024/05/06(月) 10:00
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