「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 追憶編」とは、和月伸宏の漫画「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」作中の物語「人誅編」で剣心が語った幕末の回想をOVA化したものである。
人誅編は後のOVA「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 星霜編」に少し収録されている。
概要
1999年2月~9月にかけて全四幕が発売。この四幕をまとめさらに新たなシーンを追加した「特別版」がVHSとDVDでリリース。また2011年8月24日にはBlu-rayでも発売された。
ただし、「特別版」だけはBlu-ray化されていない。
原作のような剣心の回想形式ではなく、剣心が幼い頃野盗に襲われるシーンから抜刀斎としての暗躍、そして巴の死までをたどった物語である(このため本作の時代は初めから終わりまで幕末)
また、原作やTVアニメとはキャラクターデザインがかなり違い、ギャグシーンも一切なし。一貫してリアリティ、シリアス傾向で、剣心が技名を言う事もない本格的な時代劇アニメである。TVアニメではほとんど表現されなかった「刀で人を貫く、大量の出血、首や身体が切断されて飛び散る」といった残酷・残虐なシーンが非常に多いため注意。
原作やTVアニメでは描かれなかった剣心対沖田総司の対決も描かれている。
海外での評価
- 『Samurai X』というタイトルで海外リリースされ「Billboard」全米ビデオセールス総合チャート最高7位を記録。
- 世界の人気アニメをレビュー評価順でランキング形式に紹介している情報サイトAnimeNfoの「Top 200 Anime」部門で第1位
- 北米最大規模のアニメ紹介サイトAnime news networkの「Anime Top 50」で第5位
- AnimeInsider海外アニメ評論家が選んだ歴代アニメTOP50で第30位
製作過程でモデルとされた作品
(幕末に土佐藩に実在した「人斬り以蔵」こと岡田以蔵を主人公にした映画)
製作上で課せたルール
- 全ての台詞を厳選し、安易な会話は絶対にさせない。
- 各キャラクターの「心理描写」は完璧にやって当たり前、かつ細心の注意を払う。
- 「日本の四季折々」を徹底的に描く。ただし「フジヤマゲイシャ」的な描写に落とすことなく、幕末の日本を忠実に再現する事で、自然にこの国の四季を描く。
- 歴史的事実や当時の社会背景は物語のバックホーンとして濃厚に持たせるが、それを敢えて前面には出さず、そこは「歴史オタさえわかればよし」程度に留める(これは物語のうねりや盛り上がりを損ねないためである)
- TV放送用の作品ではないので「人が刀で斬られればおびただしい出血があるのは当然」であり、その描写については逃げずに真っ向から表現する。その結果凄惨な映像になったとしても、それは「人斬りの歴史的事実」を描く事に他ならないから、批判は恐れない。
登場人物
主人公とその妻と師匠
緋村剣心(緋村抜刀斎)(CV:涼風真世/心太:鈴木真仁)
本作の主人公。幼名は心太。野盗に殺されそうなところを比古清十郎に助けられ、剣客に相応しい名として「剣心」の名を受け弟子となる。その後、時代を変えるため師匠の元から出て行き、動乱の京に身を置く。こうして抜刀斎と呼ばれる人斬りとなるものの、人々を救うために京に来たはずが人々を殺すだけの自分にギャップを感じていた。そんな時に「雪代巴」と出会い人生を変えられる。
雪代巴(緋村巴)(CV:岩男潤子)
本作のヒロイン。婚約者を抜刀斎に殺された事を知り、彼を殺す策略に手を貸すが、次第に剣心を愛してしまい、最後は辰巳から剣心を守るため二人の間に割って入り、結果として剣心の刀によって命を落とす。原作ではそのときに持っていた彼女の短刀が剣心の顔をかすめた結果消えない十字傷となっているが、本作では絶命寸前の巴自身の意思で剣心の顔に傷をつけている。
比古清十郎(CV:池田秀一)
飛天御剣流十三代目継承者。幼かった心太(剣心)を野盗から救い、その後剣客に相応しいよう「剣心」の名を授け弟子にした。剣心が袂を分かつとき、原作やTVアニメのような喧嘩別れとはやや異なる別れ方をしている。
長州藩士とその身近な人物
桂小五郎(CV:関智一)
長州藩士で、高杉の騎兵隊にいた剣心の実力を見て「京にほしい」と高杉にいい、その後剣心を人斬りに仕立てた。劇場版でもセリフはないが、坂本や西郷と共に登場している。
幾松(CV:薛宏美)
桂の恋人。原作では名前のみしか出てこない。
高杉晋作(CV:高木渉)
長州藩士。騎兵隊を結成し、その中に剣心もいた。うのという愛人がいる。桂は「晋作は例えるなら抜き身の刀」といい、その言葉に幾松は「高杉さんが抜き身なら、うのさんは鞘」と答えている。
飯塚(CV:中尾隆聖)
長州藩士で検分役。池田屋事件後も身を隠した剣心のもとへ足を運んでいるが、実は別の顔を持っている。
片貝(CV:星野充昭)
長州藩士で桂の側近。内通者を突き止めた直後、闇乃武に惨殺される。
小萩屋の女将(CV:尾小平志津香)
名称不明。原作とはかなり違い、密かに剣心と巴の身を案じている。
志々雄真実
原作と違い、名前もセリフも出てこない。最後の方で内通者を暗殺している。
新選組
近藤勇(CV:高橋広司)
新選組局長。沖田たちと池田屋に乗り込む。
土方歳三(CV:小山力也)
新選組副長。古高を拷問していると思われるシーンがある。
沖田総司(CV:小粥よう子 現:日比野朱里)
新選組一番隊組長。原作やTVアニメでは活躍したシーンがあまりなかったが、本作では池田屋での戦闘や剣心との戦いが描かれている。
斎藤一(CV:鈴置洋孝)
新選組三番隊組長。本作の最後で剣心と剣を交える。沖田より強いとも謳われていた。史実では沖田のほうが年上であるが本作では斎藤が年上のように描かれている。流儀名が原作の設定では溝口派一刀流だが、本作では無外流になっている(史実でも両方の説がある)。
藤堂平助
新選八番隊組長。素顔は出てこないが、池田屋に乗り込む前に、土方から名前を呼ばれている。
闇乃武
辰巳(CV:内田稔)
闇乃武の頭目。粗暴な原作とは違いかなり落ち着いた性格で、巴に人の情を語っている。
村上
本作ではセリフが無い。組織で一番最初に剣心に斬り殺された男(本作ではこの時に剣心と巴が出会う)。
中条
同じく原作と違いセリフがない。最期は自爆し結界となり剣心の聴覚を奪う。
角田
彼もセリフ無し。最期は自爆して結界となり剣心の視力を奪う。
八ツ目無名異
やはりセリフがない。また、闇乃武で唯一生き残り、原作では縁と手を組んで抜刀斎に人誅を加えようとしているが、この後に出たOVA「星霜編」では登場していない。
雪代縁(CV:佐々木望)
巴の弟。姉の力になりたくて自らの意志で辰巳たちに協力する。だが、目の前で抜刀斎に姉を殺され、OVA「星霜編」で抜刀斎に人誅を下そうとする。
その他の幕府の者
清里明良(CV:岩永哲哉)
巴の許婚。彼女を幸せにしようと見廻組に入り、重倉や石地と共に抜刀斎に殺される。だが、生きる執念は強く、抜刀斎の顔に一筋の傷をつけた。
重倉十兵衛(CV:鶴岡聡)
京都所司代。本作では祝言を控えている清里を庇おうとするが、抜刀斎に殺された。
石地(CV:森訓久)
清里と共に重倉の護衛をしていたが、抜刀斎に殺された。
その他の人
茜(CV:並木のり子)
人買いに買われた女の一人。原作では名前だけだが、TVアニメや本作では野盗から必死で心太を守るシーンが描かれ、賊に殺される。
霞(CV:仲尾あづさ)
人買いに買われた女の一人で、茜と桜より年長の人物。同じく、原作では名前だけだが、TVアニメや本作では野盗から必死で心太を守るシーンが描かれ、賊に殺される。本作では、彼女が白梅香をつけていたことが、剣心が白梅香の香りを知っていた理由とされている。
桜(CV:湯浅香織)
人買いに買われた女の一人。彼女も同じく、原作では名前だけだが、TVアニメや本作では野盗から必死で心太を守るシーンが描かれ、賊に殺される。
スタッフ
- 原作:和月伸宏
- 監督:古橋一浩
- 脚本:十川誠志
- キャラクターデザイン:柳沢まさひで
- 絵コンテ:松本淳・古橋一浩
- 演出:清水明・古橋一浩
- 作画監督:松島晃・小林利充・柳沢まさひで・中嶋敦子
- アフレコ演出:三ツ矢雄二
- 音楽:岩崎琢
- アニメーション制作:スタジオディーン
関連動画
関連項目
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- 阿武隈四入道
- 石動雷十太
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- 夷腕坊
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- 鵜堂刃衛
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- 斎藤一(るろうに剣心)
- 相楽左之助
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- るろうに剣心(実写映画)
- るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚・北海道編-
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