「ねつが でて くるしい」
星をみるひととは、1987年10月27日(同年11月18日説もある)にHOT-B(ホット・ビィ)から発売されたファミリーコンピュータ用ソフトである。
同じくHOT-Bの発売した「サイキックシティ」の続編にあたるゲームだが、世界観は別となっており、ストーリー上でのつながりは無い(ロングジャンプの登録ほか、システム面における続編といった扱い)。
なお、HOT-Bはこれを出した6年後「バズー!魔法世界」というソフトの発売翌日に倒産した。
概要
退廃的な近未来を舞台にしたSF物のRPG。
勧善懲悪から外れたストーリーや選択肢によって変わるエンディング、当時としては非常に画期的なシステムや、評価の高いBGMなどを備えていたが、それら好評価を覆すほどのゲームバランスの悪さと操作性の悪さ、「かりう」に代表される独特のひらがなセンスにより伝説のクソゲーとして語られている。
ファミコンソフトの中でも異彩を放っていたソフトだったためカルト的人気があり、後に有志によって本作をリスペクトした「STAR GAZER」という同人ゲームが頒布されている。
また2015年には「STAR GAZER」に影響を受けて作成された「ロマンシングステラバイザー」が頒布され、「フリゲ2015 あなたが選ぶ今年のベストフリーゲーム」で13位に入る健闘を見せた。
2013年2月にはシティコネクションが「Rom Cassette Disc In HOT-B」としてサウンドトラックをリリース。「バズー!魔法世界」などのHOT-Bの他作品のBGMも同時収録されている。2015年にはAmazonなどでDL販売も開始。
2016年春に本作の版権がスターフィッシュ・エスディ(HOT-Bのスタッフが倒産後に設立したとされる会社)からシティコネクションに売却された。
発売から33年経った2020年5月1日、シティコネクションよりNintendo Switch向けの配信が発表された。配信は同年夏(2020年 7月30日〔木〕。壁紙用のイラスト応募や、参加型企画も予定されている。
Nintendo Switch版では、
・ZRボタンを押している間、移動速度が2倍になる「さいこうぉーく(サイコウォーク)」、
・ZLボタンでゲームの進行を巻き戻す「さいこりばーす(サイコリバース)」、
・どこでもセーブ・ロードができる「さいこめもりー(サイコメモリー)」、
・レベルや所持ゴールドがアップした状態でゲームを始められる「にゅうがめぷらす(NewGAME+ / ニューゲーム+)」と、ゲームの進行を助ける新機能が追加されている。
※さいこめもりーに関しては3つまでセーブデータが作れる。つまりパスワードが不要となる!
ストーリー
※ 以下の内容はゲーム開始までに一切説明されません。
説明書にしか書かれていないので、説明書なしの中古品だとネット等で調べないと知る方法がありません。
巨大都市「アークシティ」では、「クルーIII」という巨大コンピュータが全てを管理していた。
そのコンピュータの管理は人々の心の中にまで及んでおり、ほんの僅かでも都市の管理にとって不都合な思考が芽生えた場合、即座にマインドコントロールによってその思考は消され、害の無い思考に書き換えられていた。
このマインドコントロールによって、人々はクルーIIIに管理されているということすら記憶から消し去られ、何も知らずに暮らしていた。
しかし人々の中にはこのマインドコントロールを受け付けない者達が居た。
クルーIIIはこれらの人間を「サイキック」と名付け、あらゆる手段を用いてサイキック狩りを始めた。
これによって多くの人々が捕らえられアークシティに連れ去られてしまっていた。
主人公の少年「みなみ」は、気がつくとそこにいた。自分が何者なのか、ここはどこなのかも分からなかったが、ロボットや異形の生物、軍隊が列を成して自分の命を狙う。それは、みなみがサイキックに属するからであった。
注:本ゲームには「ESP能力(超能力)」「サイキック」という言葉が登場するが、「サイキック」は通説の「超能力者」というより上記の通りマインドコントロールを受け付けない人間全般を指し、両者は明確に区別されている。
登場人物
- みなみ
- 本作の主人公。「ぶれいく」のESPを最も得意とする。
得意ESPの関係で攻撃用ESPを多く覚えるため、終盤では戦闘の中心となるキャラクター。
特に最上位クラスの攻撃ESPは彼専用であり、与えるダメージの大半を担うことになる。 - しば
- 2番目に仲間になるキャラクター。「じゃんぷ」のESPを得意とする。自分や敵や熱や空気など色んなものをテレポートさせまくる。また、フィールド上で予め登録した場所にワープする「じゃんぷ」のESPコマンドは彼専用。また状態異常を治療できる唯一のESP「にゅうえあー」も彼専用のESP。
なお、「みさ」と違って知らない人が多いが、しばも仲間にしなくてもクリア可能。しばが居ないと通過出来ない(飛び越せない)地形はあるが、その地形はぶれいくで破壊する事も可能なので必須ではない。 - あいね
- (殆どの場合)3番目に仲間になる女性キャラクター。3番目でも隊列は4番目に入る。
「てれぱし」のESPを得意とし、最強ESP「でふまいんど」「ばどてれぱし」は彼女が覚える。特に後者は彼女専用。
また、終盤において必須の会話にてれぱしレベル5以上が必要であり、てれぱしレベル5は彼女しか習得しないため、仲間にしないとクリアできない必須キャラ。 - みさ
- 最後に仲間になるキャラクター。だが、殆どの人は仲間にせずに終わることがほとんど。
「しーるど」のESPを得意とする。仲間にする手順が非常に複雑な上に、しーるどのESPが必要になる場面が特に無いために仲間にしなくても大して問題が無いキャラクター。必要になる場面は無い訳ではないが、ダメージ床のダメージを軽減するだけであり、レベルが低いだけで他のキャラでも出来る事である。
というかダメージ床を避けて歩く事も出来る。
「じゅくれんど」(物理攻撃力に相当)が一番伸びるという特徴があるが、終盤では最強武器を持ってもろくにダメージが通らないため、ESPを連発するみなみに比べれば微々たる攻撃力にしかならない。
「でふまいんど」を習得するため、いないよりは戦力になるのは間違いないが…。
ちなみにフィールドでのESPコマンド3種のうち、みさも「ぶれいく」を使う事が出来る。 - まむすの村のしーるどの人
- 町の南端の建物にいる人。傷を治してくれる宿屋代わりの人。「しーるど」の能力者とは本人の談。
なお、こちらのメンバーで実際にHP回復ESPを覚えるのは「しーるど」のみさではなく「てれぱし」のあいねである。 - でうすの村のじいさん
- ねつが でて くるしい。だがなぜか屋外を歩きまわる。
- かつまたいさ
- かつま大佐。「かつまた」ではないので注意。ゴールドIDカードを無限にくれる。
良点悪点
ダメな所
- システムがとても分かりづらいが、ゲーム内にチュートリアルのようなものは一切ない(後述のように仕様通りであるという説もある)。
- オープニングが無く、タイトル画面からいきなりフィールドに放り出されるので何をしていいか分からない。
- 最初の街のグラフィックが周りの森と見分けがつかないため、存在そのものに気付きにくい。バグではなくちゃんとストーリー上の設定(敵に見つからないようにしている)に則っているが、極めて不親切なのは変わらない。
- 町中での移動速度が異様に遅くイライラする。そのくせ町の人は普通にすいすい移動する。
→ Switch版では、ZRボタンを押している間「さいこうぉーく」で、移動速度が2倍になる。 - 序盤から最凶クラスの雑魚が出てくる。「ふっかつしゃ」が出たら全滅フラグ。最強クラスの魔法で容赦なく殺される。
「さらまんど」が出ても運が悪いと謎の物体「かりう」を投げつけられてなぶり殺しにされる(後述)。 - そのくせ「逃げる」コマンドが無いという男らしい仕様。レベルが上がって覚える「てれぽーと」を使えば戦闘を離脱出来るが、覚えるまでは逃げる事が不可能。よって序盤から上記の強敵に出会うと全滅するしかない。
- 戦闘コマンドのキャンセルが出来ないという男らしい仕様。
「さいこ力」(MPみたいなもの)が残っていない時にESPのコマンドを選んでしまうと、キャンセルも出来ず1ターン無駄にしてしまう。しかもESPはコマンドの一番上に並んでいる。 - 初期の主人公が非力すぎる上に、敵が回復魔法を扱うという鉄壁さ。
- バトル時のHP表記がどういう訳か1桁目が省略されており、理解に時間が掛かる。(例:156→15 339→33)
- 首尾良くレベルを上げても攻撃力が上がらず、後述のように敵のステータスが「弱」「中」「強」の3段階に分かれており、それぞれで難易度が激変するため、うかうかしていると後述の武器の仕様で「中」ザコにろくにダメージが通らず詰む。
- 「すばやさ」のステータスが何の意味も持っていない。このゲームにおいて行動順は必ず味方から始まり、味方の中でもターンの最初に順番を指定するためステータスやランダム性によって順番が一切前後しない。
敵の攻撃を回避という概念も存在しないので、回避率を表している訳でもない。 - 街の音楽がカオス(フィールドの音楽と逆ではないかという説がある)。
- ゲーム中の会話が殆ど全てひらがな表記なので読みにくい。パスワードに使われているなど、フォント自体はカタカナもしっかり存在するのにゲーム内ではちっともカタカナを使わない。
- 街を出たりすると、入ったときと違う場所から出る。(後述)
- 中盤以降の扉を開ける「IDカード」が異様に高額で消耗品。簡単に金欠に陥る。
- フィールド上にはダメージを受ける場所があるが、それを示す演出がない(死んでから初めて気付く)。
- 重要アイテム入手法が「特定地点を通る」だけであり、落ちている場所が目視で分からない。
そのため、しらみつぶしに歩かなければ見つけられない。 - 装備品は新しい物を買うまで外せないうえに、前の装備は勝手に下取りされる。
しかも前の物を売ったというメッセージが出ないので、捨てていると勘違いされやすい。 - レベルが低いうちに安い武器を買うとゲームが詰んでしまう事がある。(後述)
- パスワードで引き継がれる情報が不完全、というか引き継がれる情報の方が少ない。
- レベルが上がると壁をジャンプして乗り越えられるのでゲーム性崩壊。と言ってもあまり距離があると飛び越えられないし、そもそも飛び越え不可能な壁もあるので、完全にストーリーぶっ壊しというほどではないが、ダンジョンの迷路的な物は大半意味が無いと思って間違いない。
良い所
パスワード入力画面(星をみるひと) | ![]() |
---|
タイトル画面(星をみるひと) | ![]() |
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雑誌での扱い
- アメゲーと見紛うばかりの超絶難易度のため、各種媒体でネタにされた。
- ファミ通の「やりこみゲーマーズ」に単純にクリアしただけで採用された。
正しくはロマサガ3のやりこみコーナーに投稿したら採用された。
星をみるひとは単純にクリアするだけで掲載に値する偉業と判定されたことは事実の模様。 - ファミマガには「SFチックなストーリーになっているのはいいが、ゲームシステムにかなりの問題があり、ゲームを進めて行くのが非常に辛いゲームだ」と書かれた。
- マルカツファミコンには「みんなが待っていた本格SFロールプレイングが、ついに登場! シナリオのユニークさと独創性でゲームを楽しんでみたい、なーんて人にはゼッータイおすすめだぞ!」と普通の提灯記事が書かれた。
星をみるひとの「謎」
出入り口の謎
先述の通り、このゲームでは町やダンジョンから出ると入ったときとは全く違う場所に放り出される事が多々ある。
原則として、MAPの外周から外に出たときに、それまで居た場所のエリアに応じて一律に特定の場所に飛ばされる。
MAPの外周から外に出るしか別のMAPに行く手段がないMAPの場合、どうあがいても特定のポイントに飛ばされるしかないという事になる。MAP内の階段や建物入り口などの、別エリアに行くためのポイントを通ってMAPを移動する場合はきちんと対応した行き先に飛ぶ(例外あり)。
- はじめの世界のMAP(まむすの村、でうすの村、どうくつ)
→まむすの村の横(スタート地点) - あーくCITYのMAP(きょじゅうく、ぎょうせいく)
→ブレイン室への道 - うちゅうたわーのMAP(うちゅうたわー、コックピットへの道1~4、ラボラトリへの道1~4)
→コックピットへの道その3
MAPの外周から外に出る事が出来ないMAPは割愛。
なお、この「飛ばされる先」は「てれぽーと」で失敗して飛ばされてしまうポイントでもある。
MAP外周に出るパターン以外で繋がりがおかしい例外として、はじめの世界の「発電所」は北側入り口と南側入り口が存在するが、北から入ってすぐにそこから出ると南に出る。
逆もまた然り。当然、北から入って発電所の中を通り抜けてもう片方の出入り口から出ると北に戻される。
「かりう」の謎
戦闘で一部の敵が「かりう」という物を投げてくることがある。
これを浴びせられると病気になって一切行動できなくなり(ドラクエでいう麻痺)、自然回復もしない上に「全員病気で全滅」といった措置もないため、全員が病気になってしまうと主人公たちが殺されるまで延々リンチされる様を見せつけられるという、割と深刻な状態異常である。序盤のザコさえもかりうを投げつけてくるため、序盤や一人旅のときはこれ一発であっさりやられることが多く、終盤はこちらのHPが膨大なので全滅までに凄まじく時間がかかる。「かりう」で負けが確定したら、さっさとリセットしよう。
触れると「体中に寒気が襲う」とのことだが、「かりう」自体が聞き慣れない言葉なのでどんな物体なのか謎である。
さらまんどが投げるので「火竜」という説や「ナトリウム-カリウム合金」という説もあるが、火竜では寒気がするという文の筋が通らず、ナトリウム-カリウム合金は腐食性がある上大気に触れると大爆発して炎上するため、どちらも「病気で死ぬまで麻痺してしまう」説明がつかない。つまり訳がわからない。
ちなみに薬剤師に作ってもらえるが、自分で使うとどうやらこれも薬扱いらしく自分で飲んで病気になる。
「シャドウゲイト」に通じる自爆ぶり。「顆粒(かりゅう)」だろうか?
武器の謎
最初の町には30ゴールドで買えるお手ごろな「れいがん」から、300ゴールドする「らぐらんじゃ」まで売っているが、「まずはお手ごろ価格の武器を買ってレベル上げをしよう」などと考えるとゲームが詰んでしまう場合がある。
このゲームは素手の時と武器を持っている時のダメージ計算が異なる。
素手の時は関わらず与えるダメージは常に0~3の間でランダム。こちらのレベルが上がっても増えない代わりに、相手の防御力にも影響されない。一方武器を持つとこちらのレベルや武器の攻撃力に応じてダメージが増えるが、相手の防御力によってダメージが減らされる。
つまり武器を持っていると相手によっては何回攻撃しても全くダメージを与えられないという状況が発生し得るが、レベルが低いうちに弱い武器を装備してしまうと、序盤の雑魚相手でも1ダメージも与えられなくなる。
ドラクエのメタルスライムのように1ダメージ当たる事もある、と言った親切な事はなく、攻撃力が足りなければ永遠にミス。先述の通り武器は新しい武器を買う事によってしか装備変更出来ないが、この状態に陥ると外で戦ってお金を稼ぐ事も出来なくなる。つまりゲーム終了。
なおこのゲームの敵の強さは順番に強くなっていくのではなく、ゲーム全体で3段階しかない。
つまり特定の場所から急激に敵が強くなるので、十分なレベルがあっても武器を装備していると敵の強さが1段階上がるといきなり敵にダメージが通らなくなる。
例えば、順当にゲームを進めていくと2段階目の敵が出る場所に最初に行くのはレベル10弱だが、武器を持っていると、その時点で手に入る最強の武器「らぐらんじゃ」を以ってしても、レベル14~15くらいないと2段階目の強さの敵には全くダメージが通らない。
弱い敵と戦って稼ぐ事は出来るので詰みではないが、物凄い時間をかけて延々レベリングをしないと先に進めなくなるため、順当にゲームを進めたいならば最終段階の敵を倒せるようになるまで武器は何も装備してはいけないという事になる(順当に、と言ってもHPの高さに物を言わせて0~3ダメージでちくちくと攻撃し続ける戦闘とレベリングとどちらが楽かという問題があるが)。
語呂合わせの謎
上記の、バグ・理不尽・設定ミスと紙一重な謎と違い、これだけは本当に「星をみるひと」の核心に迫る謎。
あいねを除く主人公たちの名前は、「語呂合わせ」になっている。みなみ(373)、しば(48)、みさ(33)というように。
また彼らはレベルアップにつれ、グラフィックが変化=物理的かつ急速に肉体が成長していくように見える。
そして何より、「記憶喪失」ではなく「記憶が無い」とされる主人公みなみ。彼のことを知るのは、彼を連れ出した「でうすの村」の人物のみ。その彼もみなみを連れ出したことを語るだけで、みなみの過去を知る者は誰もいない。
そこから語られるようになった説に、彼らは何者かの手によって作り出された存在ではないか、というものがある。
では誰によって作られたのか? そのヒントはおそらくだが、彼らが全滅したときにかけられる声にある。
道半ばで倒れた彼らの力不足を嘲るのではなく、再起を促すような声。彼らに自分たちのところまで辿り着いてほしかった存在、つまり本作「星をみるひと」のラスボスたちだったのではないか? という物だ。
そしてラスボスたちが本当に求めていたのは、自分たちとの対話を可能とするほどのテレパス能力者。
それを考えると、名前が普通の語呂合わせでなかった「あいね」。そして最強のデスサイキック(ザコ敵)であり、あいねと同じくテレパシー能力で主人公を苦しめてくる「どな」にも意味があるように思えてくる。
「あいね」とはEine=ドイツ語の「1」、つまり「THE ONE=望まれた一人」の意味ではないのか? ラスボスたちの求める「自分たちと対話可能なレベルのテレパス能力者」としての「成功例」が、彼女だったのではないのか。
「どな」とはDNA=遺伝子、すなわち「遺伝子改造によるテレパス能力付与の実験体」ではないのか? 必要レベルのテレパス能力を持って生まれることができず、何度も繰り返された実験で数多く生み出された失敗作たちが、後にデスサイキックとして廃物利用され、主人公たちの前に立ち塞がるザコ敵としての「どな」たちではないのか。
そして「どな計画」の失敗により、直接テレパス能力者を作り出すことを諦めたラスボスたちは、次に「サイキック計画」としてクルースリをハッキングし、人類そのものを突然変異=進化するよう画策、その中から望んだ性能を持つ=自分らと対話可能なテレパス能力者が生まれてくる、という可能性に賭けたのではないだろうか?
「超能力者」と「サイキック」の定義の違い、クルースリが行っているという遺伝子操作とそれによって生み出されたものたち、マインドコントロールが効かないこととテレパシー素養の関係性、そしてサイキック狩りと集められたサイキックたちの行き先……ここから先は本作をプレイするか実況動画を見るか。
どこまでが設定されていたもので、どこからが妄想かはわからない。だが、これらの意味深に散りばめられた設定と世界観は、当時としては非常に尖った異質なものであり、また今でも興味を掻き立てられるのは確かなのだ。
数々の理不尽な仕様の理由
これまで述べてきたように、「星をみるひと」が伝説のクソゲー扱いされる大半の理由はその理不尽な仕様にある訳だが、これらは開発陣の能力が足りずバランス調整が出来なかっただけなどではなく、理由があって意図的になされたものではないかという説が一部にある。
当時のファミコンゲームには中古販売によるメーカーの利益損失に対する対策として、「マニュアルプロテクト」という概念が割と広く取り入れられていた。
最近のゲームはゲーム内でもしつこいほどにチュートリアルによってゲームのプレイ方法を学べるのが普通となっているが、昔はそのようなものを付け加えるだけのカセット容量も無く、説明書を読まないとゲームのプレイ方法が分からないゲームは珍しくなかった。
それを逆手に取り、意図的にゲーム開始に際して不可欠な情報を説明書にしか記載しないことで、当時多かった「箱も説明書も捨ててしまいソフト本体だけで中古に売る」と言った流れをやりづらくするというのがマニュアルプロテクトである。
実際、「星をみるひと」の説明書にはプロローグのストーリーだけでなく、最初の町(まむすのむら)がスタート地点のすぐ左にあって不可視である事、パスワードで再開すると一定以上のお金や経験値が無くなることもきちんと書かれている。
余談だが、最後のエンディングの分岐においてある項を選ぶと、ラスボスとの戦闘になるかと思わせておいて強制バッドエンドになる。これについては、DQ1の「世界の半分をやろう」的なトラップを狙ったものというよりは、単に容量や開発期間の不足などで最終ボスとの戦闘が省かれてしまっただけである可能性がある。
なぜかと言うと、この強制バッドエンドではラスボスと戦いはしたが負けてしまったという事が語られているが、そう選択した上でなお戦って勝ったという4つ目のエンディングが未使用データとしてROM内に残っているからである。
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余談
……とまあ非常に難の多い本作ではあるが、その尖った部分に魅力を感じる人間も少なくない(冒頭でも言及されているが、挑戦的な世界観やストーリー、マルチエンディング、画期的なシステム、評価の高いBGMなど)。
しかし、それらをまとめて台無しにする、ゲームバランスと操作性の悪さ。ではどうするか?
ならばその悪い部分を、すでに高い評価を得ている別のRPGのものに変更すれば、良い部分を残しつつ悪い部分だけを改善することが出来るのではないか……と作者の方々が考えたのかどうかは定かではないが。
しかし、そのやり方で「星をみるひと」を同人ゲームとしてリメイクしたものがある。しかも2つ。
2004年には「Sa・Ga2 秘宝伝説」の操作システムを用いた「STAR GAZER」が、2015年には「サガフロンティア」「アンリミテッド:サガ」などの操作システムを参考にした「ロマンシングステラバイザー」が、それぞれフリーソフトの同人ゲームとして公開されている。
それぞれのゲームの詳細については、対象の大百科記事の方を参照して欲しい。
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