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なお、一部政党名は日本語訳が定まっていないため初版編集者が独自に日本語訳したものがある。必ずしも正確なものではないということを留意していただきたい。
この記事ではベルギー政治の背景にある戦後欧州政治の動向と国内政治の展開についても解説した後、政党を一覧として取り上げる。
取り上げる政党は2023年現在、ベルギーの連邦政府、地方政府、共同体政府に議席を持つ政党に限定する。
戦後の欧州政治は自由主義・キリスト教民主主義・社会民主主義という主要3勢力に後発の勢力が成長してきたという構図がおおよその国で成り立っている。しかし、憲法・安全保障問題を対立軸とした自民党優位の左右の対立しか経験していない我々日本人にとってはそれぞれの思想を理解しにくい部分がある。そこで本節では戦後欧州の各勢力の思想を簡単であるが説明することにする。
ナポレオン戦争後、ベルギーはネーデルラント連合王国としてオランダ人に支配された。国王ウィレム1世はオランダ人を優遇した権威主義的な政治を行い、フランス革命に影響を受けたベルギーの自由主義派の反感を買った。また、ベルギーはカトリック教徒が多かったが、ウィレム1世はプロテスタントを信仰していたためカトリック勢力も支配に不満を持っていた。1830年、ベルギー独立革命が起こると自由主義勢力とカトリック勢力が革命を主導し独立を果たした。
独立後いち早く全国政党を組織したのが自由党である。自由党は国家の世俗化を推進し、学校での宗教教育を禁止した。自由主義勢力と協調路線をとっていたカトリック勢力はこれに反発。内紛を克服してカトリック党を結成すると選挙で圧勝した。
19世紀後半には産業革命の成功により労働問題が深刻化。労働環境の改善を訴えるベルギー労働者党が結成された。
この3つの政党は強力な組織を形成し、独自の病院、学校、新聞、銀行などを通して支持者を囲い込んだ。カトリック・自由主義・社会主義の3勢力はベルギーの主要勢力であり、独立から2023年現在に至るまで首相はこの3勢力からしか誕生していない。
主要3政党に遅れて誕生したのがフランデレン地域の地位向上を訴える政党であった。もともと、ベルギーには主にフランス語話者とオランダ語話者がいたが、エリートたちは皆フランス語を使用していた(オランダ語圏出身のエリートもフランス語を使用した)ため、フランス語だけが公用語であった。そのため、教育や行政、司法の場でオランダ語を用いることは禁じられており、オランダ語話者の多いフランデレン地域の住民は民族主義運動を組織するようになった。この民族主義運動を「フランデレン運動」という。
フランデレン運動はオランダ語の公用語化という成果を出したが、第2次世界大戦中にナチスに加担したとして戦後は下火になった。それでも1954年にVU(民族同盟)が設立されると徐々に議席を拡大して言語問題は再びベルギーの主要な政治問題となった。
言語問題は伝統3勢力にも波及した。1968年にカトリック勢力のCVP-PSCが、1972年に自由主義勢力のPVV-PLPが、1978年に社会主義勢力のSP-PSが言語別に分裂した。
VUをはじめとする地域主義政党の台頭を受けてベルギーでは各地域と共同体に自治権を与える国家改革が進められた。1970年から1993年に至るまで4度の憲法改正を経て漸次的に連邦制となっている。
連邦の構造は以下の表の通り。
連邦 | ベルギー | ||||
地域 | フランデレン | ブリュッセル | ワロン | ||
共同体 | フラマン(オランダ)語 | フランス語 | ドイツ語 |
ところで、連邦化の達成によって衰退したのは皮肉にも連邦化を訴えていた地域主義政党であった。目標の達成で活動の意義を失ったためである。フランデレン運動の担い手であったVUは党員の離脱が相次ぎ、2001年に分裂して消滅した。
その一方で強烈な存在感を示したのがVUから離脱したグループで結成された極右政党VBであった。VBは新たに反移民を争点とし、フランデレンで支持を拡大した。しかし、2010年の選挙ではVBの議席は大幅に減少。かわってこの選挙で躍進したのがVUから分裂したN-VAである。N-VAはより穏健な形での自治拡大や移民の厳格化を訴え、2007年選挙では主流政党のCD&Vと選挙協力を行ったことで支持を拡大させていた。これ以降フランデレンではN-VAが第一党となっているが、2019年選挙ではVBも勢力を盛り返すなどしている。
ベルギーの選挙は比例代表制を採用しており、単独過半数を確保することがかなり難しく、小党分立状態になりやすい。また、候補者はいずれかの政党から立候補しなければならない。政党は事前に候補者名簿を作成し、当選の優先順位を決めておくため、誰を当選させるかある程度決められる政党の権力が強くなっている。
また、ベルギーは「投票が義務」であり、行かないと罰金が科される国だと言われるが、厳密には投票所に行くことが義務である。投票所に行けば棄権しても白票を投じても罰金にはならない。ただし、2024年から自治体選挙に限り任意投票となっている。
本記事では2023年現在、ベルギー国会、フランデレン議会、ワロン議会、ブリュッセル議会、フランス語共同体議会、ドイツ語共同体議会に議席を保有する政党のみを以下に取り上げる。
()内は日本語での名称。党名をクリックすると政党の概要に飛ぶ。
定数 | キリスト教民主主義 | 自由主義 | 社会民主主義 | 地域主義 | 極右 | 緑の党 | 急進左派 | 多文化 | 無所属 | ||||||||||||
CD&V | LE | CSP | O-VLD | MR | (PFF) | Viva | Voor | PS | (SP) | N-VA | DéFI | ProDG | VB | Groen | Ecolo | PVDA | PTB | TFA | |||
欧州議会 | 22 | 2 | 2 | - | 1 | 3 | - | - | 2 | 2 | - | 3 | - | - | 3 | 1 | 1 | 2 | - | - | |
連邦上院 | 60 | 5 | 5 | - | 3 | 9 | (1) | - | 4(※3) | 6 | - | 10 | - | - | 8 | 2 | 1 | 6 | - | - | |
連邦下院 | 150 | 11 | 14 | - | 7 | 20 | - | - | 13 | 16 | - | 24 | 1 | - | 20 | 6 | 3 | 15 | - | - | |
フランデレン議会 | 124 | 16 | - | - | 9 | - | - | - | 18 | - | - | 31 | - | - | 31 | 9 | - | 9 | - | 1 | - |
ブリュッセル議会 | 89 | 1 | 8 | - | 2 | 20 | - | - | 2 | 16 | - | 2 | 6 | - | 2 | 4 | 7 | 15 | 1 | 3 | - |
ワロン議会 | 75 | - | 17 | - | - | 26 | (1) | - | - | 23 | - | - | - | - | - | - | 5 | - | 8 | - | - |
フランス語共同体議会 | 94 | - | 19 | - | - | 31 | - | - | - | 24 | - | - | 1 | - | - | - | 7 | - | 12 | - | - |
ドイツ語共同体議会 | 25 | - | - | 5 | - | - | 3 | 4 | - | - | 3 | - | - | 8 | - | - | 2 | - | - | - | - |
※1 ()内の政党は左隣の政党内のグループであることを示す。
※2 ()内の議席数は左隣の政党の議席数に含まれていることを示す。
※3 本来5議席だがVooruitは上院廃止を訴えて同党に割り当てられていた1議席に議員を送っていない。
政府 | 首相(所属) | 構成 | 成立日(選挙からの日数) |
ベルギー政府 | ※暫定政権 アレクサンダー・デ・クロー(OpenVLD) |
CD&V+OpenVLD+sp.a+Groen PS+Ecolo+MR |
2020/10/1(494日) |
フランデレン政府 | マティアス・ディッペンダーレ(N-VA) | N-VA+CD&V+Vooruit | 2024/9/30(113日) |
ワロン政府 | エイドリアン・ドリモント(MR) | MR+LE | 2024/7/15(36日) |
ブリュッセル政府 | ※暫定政権 ルディ・ヴェルヴォート(PS) |
PS+Ecolo+DéFI Groen+OpenVLD+sp.a |
2019/7/17(52日) |
フランス語共同体政府 | エリザベート・デグリーズ(MR) | MR+LE | 2024/7/16(37日) |
ドイツ語共同体政府 | オリバー・パーシュ(ProDG) | ProDG+CSP+PFF | 2024/6/13(4日) |
※sp.aは現在のVooruit
※2024年8月5日現在、一部政府は連立交渉進行中のため前政権が暫定政権として留任中
タップで展開。
ベルギー北部のフランデレン地域ではおよそ680万人が暮らし、オランダ語が使用されている。例外として首都ブリュッセルはフランデレン地域にあるものの、歴史的にフランス語話者が多いため二言語併用地域となっている。20世紀に入ると戦後復興と投資の拡大により急速に経済が発展。ヨーロッパ最大級の貿易港アントウェルペンを中心にグローバル経済を支える重要拠点となっている。
政治的には保守政党が支持されやすく、左派政党は中道化にかじを切っている。また、歴史的に自治の拡大、分離独立を訴える運動も根強い。
オランダ語話者が獲得できる議席は上院35議席、下院88議席、ブリュッセル議会17議席、フランデレン議会124議席。
Christen-Democratischen en Vlaams |
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キリスト教民主フラームス | |
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基本情報 | |
略称 | CD&V |
国・地域 | ベルギー・オランダ語圏 |
本部所在地 | ベルギー・ブリュッセル |
成立年月日 | 1884年(設立) 2001年(現名称) |
イデオロギー | キリスト教民主主義(中道右派) |
国際組織 | 中道民主インターナショナル |
欧州議会会派 | EPP(欧州人民党グループ) |
シンボルカラー | オレンジ |
公式サイト | www.cdenv.be |
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ベルギーの独立以降長らく権力の座についていたカトリック党を祖とし、1968年にCVP-PSC(キリスト教社会党)からCVPとして分裂。
長らくフランデレンの第一党だったが、1999年に野党に転落。党改革の一環として2001年に現在の名称となった。それでも支持は回復しなかったが、2007年にN-VAと選挙協力を行うと与党に復帰した。2014年以降はフランデレン第一党の座をN-VAに明け渡しているが2007年から2023年現在に至るまで連邦政府与党にいる。
イデオロギーは中道右派。「連帯と正義」をスローガンに掲げ、地方創生や年金削減反対などを訴えている。支持者はカトリック教会や地方の農民が多い。最大政党の座はN-VAに明け渡したものの、長らくベルギー連邦政府・フランデレン政府の与党の地位にいる。
Open Vlaamse Liberalen en Democraten |
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開かれたフラームス自由民主 | |
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基本情報 | |
略称 | OpenVLD |
国・地域 | ベルギー・オランダ語圏 |
本部所在地 | ベルギー・ブリュッセル |
成立年月日 | 1846年(設立) 2007年(現名称) |
イデオロギー | 自由主義(中道右派) |
国際組織 | 自由主義インターナショナル |
欧州議会会派 | Renew(欧州刷新) |
シンボルカラー | 青 |
公式サイト | www.openvld.be |
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ベルギーの独立に貢献した自由党を祖とし、1972年にPVV/PLP(自由と進歩の党)からPVVとして分離。1980年代後半から野党の期間が続いた。1992年にVLD(フランデレン自由民主党)を結成し、党名に「フラームス」をいち早く入れたことで民族主義者の一部を取り込むことに成功した。その後、外国人参政権の導入をめぐる議論では内紛が起きて一部のメンバーが離党する事態となった。2007年に党名にOpenを加えて現在の名称となった。
経済的な自由を訴える自由主義政党。フランデレンでは最大の党員数を誇る。同性婚や安楽死、妊娠中絶に前向きな姿勢を見せる一方、国境の解放は支持しておらず、西欧的価値観を身に着けた上での移民統合や不法移民の迅速な追放を訴えている。
Vooruit | |
前進 | |
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基本情報 | |
略称 | Vooruit |
国・地域 | ベルギー・オランダ語圏 |
本部所在地 | ベルギー・ブリュッセル |
成立年月日 | 1885年(設立) 2021年(現名称) |
イデオロギー | 社会民主主義(中道左派) |
国際組織 | 進歩同盟 |
欧州議会会派 | S&D(社会民主進歩同盟) |
シンボルカラー | 赤 |
公式サイト | www.vooruit.org |
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ベルギー初の社会主義政党、BWP(ベルギー労働者党)を祖とし、戦後にBSP(ベルギー社会党)と名称を変更した後、1980年にSP(社会党)として分裂した。
最近までsp.a(社会党・別)という名称であったが、2020年にVooruitに変更された。フランデレンでは第3党~第4党の位置にいる。
ワロンのPSとは姉妹政党の関係であるが、こちらは新自由主義的な政策を訴えたり、PSが所属している社会民主主義政党の国際組織、社会主義インターナショナルから離脱したりするなど中道寄りになりつつある。
Nieuw-Vlaamse Alliantie | |
新フランデレン同盟 | |
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基本情報 | |
略称 | N-VA |
国・地域 | ベルギー・オランダ語圏 |
本部所在地 | ベルギー・ブリュッセル |
成立年月日 | 2001年(設立) |
イデオロギー | 地域主義(右派) |
国際組織 | 欧州自由同盟 |
欧州議会会派 | ECR(欧州保守改革グループ) |
シンボルカラー | 黄・黒 |
公式サイト | www.n-va.be |
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フランデレンの地域主義政党VUが2001年に左右両派によって分裂し、その右派によって結成された政党。
フランデレンの最大政党かつベルギーの最大政党。フランデレンの自治拡大と移民の厳格化を訴える。2009年から急速に勢力を拡大。その主張のためフランス語圏政党から距離を置かれている。特にワロンのPSとは犬猿の仲。フランデレン政府の最大与党であるが、連邦政府では野党の立場にいる。
後述する極右政党VBと主張が似通っているが、こちらは必ずしも即時分離独立を全面に訴えてはいないため穏健派とされる。
Vlaams Belang | |
フラームス・べラング | |
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基本情報 | |
略称 | VB |
国・地域 | ベルギー・オランダ語圏 |
本部所在地 | ベルギー・ブリュッセル |
成立年月日 | 1978年(設立) 2001年(現名称) |
イデオロギー | 地域主義(極右) 右派ポピュリズム |
国際組織 | 欧州自由同盟 |
欧州議会会派 | PvE(欧州の愛国者) |
シンボルカラー | 青・黄 |
公式サイト | www.vlaamsbelang.org |
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1978年にフランデレンの地域主義政党VUから分裂した2党を合同して誕生したフラームス・ブロックを祖とする。2001年に人種差別に対する有罪判決を受けて「フランデレンの利益」を意味するフラームス・べラングに変更された。
フランデレンの分離、移民排斥を訴える極右政党。あまりにも過激な主張のため、他の政党はこの党といかなる協力もしないという協定を結んでいるため万年野党の地位にいる。このような対策が功を奏したのか、2007年以降の連邦選挙ではN-VAや支持が流れて低迷した。しかし、2019年選挙で復活し、2024年選挙でもフランデレン第一党を伺うまでに復調した。
フランデレンの即時分離独立のためにN-VAとの協力関係を模索しているが、相手方の態度は微妙。
Groen | |
フルン | |
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基本情報 | |
略称 | Groen |
国・地域 | ベルギー・オランダ語圏 |
本部所在地 | ベルギー・ブリュッセル |
成立年月日 | 1977年(設立) 2012年(現名称) |
イデオロギー | エコロジー(左派) |
国際組織 | グローバルグリーンズ |
欧州議会会派 | Greens-EFA(欧州緑グループ・欧州自由連盟) |
シンボルカラー | 緑 |
公式サイト | www.green.be |
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フランデレン地方の環境保護運動アハレフ(Agalev)を祖とする環境政党。ワロン地方の緑の党にあたるEcoloと密接な関係にあるが、起源は異なる。
1999年に初の与党入りを果たすが、2003年総選挙では得票率5%に届かない政党には議席を配分しない阻止条項の導入によって全議席を失った。
これを受けて党名をGroen!に変更するなど党内改革を行った結果、2007年には連邦議会に復帰するなど党勢の回復に成功している。2012年に党名の!が省略され現在に至る。
党内民主主義を掲げており、重要事項の決定は党員の意向に沿う形で行われている。
Team Fouad Ahidar | |
チーム・フアード・アヒダル | |
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基本情報 | |
略称 | TFA |
国・地域 | ベルギー・オランダ語圏 |
本部所在地 | ベルギー・ブリュッセル |
成立年月日 | 2024年 |
イデオロギー | イスラム教・多文化主義 |
国際組織 | なし |
欧州議会会派 | 欧州自由パレスチナ党 |
シンボルカラー | 紫 |
公式サイト | fouadahidar.com |
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Vooruitに所属していたブリュッセル議会議員フアード・アヒダルを中心とする政党。同氏は2024年に当時のVooruit党首コナー・ルソーによる人種差別発言に反発し離党して同党を結党した。ブリュッセル西部を地盤とする。
多文化主義を謳い、国内のイスラム教徒の利益を主張している。パレスチナ紛争においてはパレスチナ側を支持している。
2024年選挙ではフランデレン議会とブリュッセル議会オランダ語名簿に立候補し、それぞれ1議席、3議席を獲得。後者ではフルンと並ぶ第一党となっているが、協力する政党の不在により野党になる可能性が高い。
ベルギー南部のワロン地方は人口およそ370万人で主にフランス語が話されているが、一部でドイツ語が使用される地域がある。かつては炭鉱業の後押しで大陸ヨーロッパで初の産業革命を起こした先進地域だったが、20世紀前半には産業の中心はフランデレンに移っていいったことで次第に衰退している。
政治的には左派政党が支持されやすく、保守政党は中道化を試みている。フランデレンの分離主義運動には反対する勢力が多い。
フランス語話者が獲得できる議席は上院24議席[1]、下院62議席、ブリュッセル議会72議席、ワロン議会75議席(フランス語共同体議会は仏語系のブリュッセル議員によって選出された19議席+ワロン議員で構成されるので94議席)。
Les Engagés | |
献身 | |
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基本情報 | |
略称 | Les Engagés |
国・地域 | ベルギー・フランス語圏 |
本部所在地 | ベルギー・ブリュッセル |
成立年月日 | 1884年(設立) 2022年(現名称) |
イデオロギー | キリスト教民主主義(中道) |
国際組織 | 中道民主インターナショナル |
欧州議会会派 | EPP(欧州人民党グループ) |
シンボルカラー | ミントグリーン |
公式サイト | www.lesengages.be |
政党・政治団体テンプレートボックス |
ベルギーの独立以降長らく権力の座についていたカトリック党を祖とし、1968年にCVP-PSC(キリスト教社会党)からPSCとして分裂。
1999年、CVP(現在のCD&V)とともに野党に転落したが、ワロン政府、フランス語圏政府、ブリュッセル政府全てで野党となった。その後の2002年、cdH(人道民主中道)に党名を変更し中道化を推進した。しかし、選挙の度に得票率は減り続けている。2022年にLes Engagésに党名を変更し、さらなる改革を行った。
Mouvement Réformateur | |
改革運動 | |
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基本情報 | |
略称 | MR |
国・地域 | ベルギー・フランス語圏 |
本部所在地 | ベルギー・ブリュッセル |
成立年月日 | 2002年(設立) 2011年(現体制) |
イデオロギー | 自由主義(中道右派) |
国際組織 | 中道民主インターナショナル |
欧州議会会派 | Renew(欧州刷新) |
シンボルカラー | 水色 |
公式サイト | www.mr.be |
政党・政治団体テンプレートボックス |
2002年にフランス語圏のPRL、FDF、MCCの3党とドイツ語圏のPFFが合同する形で結成された自由主義政党。2007年には長らくワロン第一党だったPSを破り第一党となった。2011年、ブリュッセルの地域主義政党FDF(後のDéFI)が離脱して3党合同の体制となった。
自由主義に基づいて個人の権利を尊重する姿勢であるが、同性婚合法化の議決の際には自主投票とし、多くの議員が反対に回った。また、2014年以降のシャルル・ミシェル政権下では与党としてヴェールを被ったムスリム女性が公務員になることを禁じる法案に賛成した。
Parti Socialiste | |
社会党 | |
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基本情報 | |
略称 | PS |
国・地域 | ベルギー・フランス語圏 |
本部所在地 | ベルギー・ブリュッセル |
成立年月日 | 1885年(設立) 1978年(現名称) |
イデオロギー | 社会民主主義(中道左派) |
国際組織 | 社会主義インターナショナル |
欧州議会会派 | S&D(社会民主進歩同盟) |
シンボルカラー | 赤 |
公式サイト | www.ps.be |
政党・政治団体テンプレートボックス |
ワロン地域の最大政党。協力な組織力を持っており、1978年から2014年の間は常に与党の座に就いていた。2014年に下野したものの、2019年には再び与党に返り咲いた。社会党分裂後から2023年現在に至るまで党名を変更していないのは主流政党の中でこの党だけである。
長年権力の座にいたためか、党員による汚職・スキャンダルがしばしば報じられ批判されることも多い。2007年以降、EcoloやPTBなど新興左派勢力の活躍もあって議席は伸び悩んでいる。
Démocrate Fédéraliste Indépendant |
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独立連邦民主主義者 | |
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基本情報 | |
略称 | DéFI |
国・地域 | ベルギー・フランス語圏 |
本部所在地 | ベルギー・ブリュッセル |
成立年月日 | 1964年(設立) 2010年(現名称) |
イデオロギー | 社会自由主義(中道) 地域主義 |
国際組織 | |
欧州議会会派 | 議席なし |
シンボルカラー | 紫 |
公式サイト | www.defi.be |
政党・政治団体テンプレートボックス |
1962年から63年にかけて成立した言語法によってブリュッセルのフランデレン化を危惧した人々によって1964年に結成されたFDF(フランス語民主戦線)が起源。
1980年代に支持が落ち込むと自由主義陣営と接近した。FDF含む自由主義政党の連合は2002年にMRとなったが、2011年連合を離脱した。2015年にフランス語で「挑戦」という意味のDéFIに党名を変更した。
フランデレンにおけるフランス語話者の保護とブリュッセルとワロンの結びつきの強化を訴えるブリュッセルの地域主義政党。また、連邦の分権化やフランデレン分離主義にも反対している。
Ecoologistes Confédérés pour l'Organisation de Luttes Originales | |
本来の闘争を組織するための エコロジスト連合 |
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基本情報 | |
略称 | Ecolo |
国・地域 | ベルギー・フランス語圏 |
本部所在地 | ベルギー・ブリュッセル |
成立年月日 | 1880年(設立) |
イデオロギー | エコロジー(左派) |
国際組織 | 中道民主インターナショナル |
欧州議会会派 | Greens-EFA(欧州緑グループ・欧州自由連盟) |
シンボルカラー | 緑 |
公式サイト | ecolo.be |
政党・政治団体テンプレートボックス |
1999年選挙では環境問題が争点になったことで躍進して政権入りを果たしたが、ブリュッセル空港の夜間飛行に反対を貫いたことで政権から離脱。続く2003年選挙では議席を大幅に減らすこととなった。その後も支持率は低迷したが、2019年選挙で過去最高の13議席を獲得して与党入りを果たした。
ベルギーの政党はほとんど言語別に分化しているが、全国規模の政党も少数ながら存在する。
Partij van de Arbeid(蘭) Parti du Travail de Belgique(仏) |
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ベルギー労働者党 | |
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基本情報 | |
略称 | PVDA/PTB |
国・地域 | ベルギー |
本部所在地 | ベルギー・ブリュッセル |
成立年月日 | 1979年(設立) |
イデオロギー | マルクス主義(極左) |
国際組織 | 共産党・労働者党国際会議 |
欧州議会会派 | GUE/NGL(欧州議会左派グループ) |
シンボルカラー | 朱 |
公式サイト | www.pvda.be www.ptb.be |
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ベルギー唯一の全国政党。1960年代のレーニン主義、毛沢東主義の影響を受けた学生運動を起源に持つ社会主義政党。
1981年から選挙に立候補していたが、30年以上地方レベルの議席も獲得できない泡沫政党に過ぎない存在であった。しかし、2012年の地方議会選挙で初の議席を獲得し、続く2014年の下院選挙でも議席を獲得した。2019年下院選挙では投票数が倍増するという大躍進を果たしている。
他国の共産党同様、反資本主義・反帝国主義を訴えており、党規約には「社会主義2.0」を目指す「現代共産党」であるという記述がある。また、党内は民主集中制に基づいて統治されることになっている。
Agora | |
アゴラ | |
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基本情報 | |
略称 | Agora |
国・地域 | ベルギー・ブリュッセル |
本部所在地 | ベルギー・ブリュッセル |
成立年月日 | 2018年(設立) |
イデオロギー | 参加型民主主義 |
国際組織 | |
欧州議会会派 | 議席なし |
シンボルカラー | エメラルドグリーン |
公式サイト | www.agora.brussels |
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2024年までブリュッセル議会に1議席のみ有していた小政党。くじ引きから無作為に選出された89人からなるブリュッセル市民集会を主催しており、議員はこの集会の決定に則って活動している。
2019年選挙ではオランダ語リストから立候補したが、運動の性格上両言語併用の政党として分類した。
2024年に解散。
ベルギー東部ではドイツ語が使用されており、人口はわずか7万8千人程度しかいないが、連邦化に伴ってドイツ語共同体議会(25議席)が設置されている。
Christlich Soziale Partei | |
キリスト教社会党 | |
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基本情報 | |
略称 | CSP |
国・地域 | ベルギー・ドイツ語圏 |
本部所在地 | ベルギー・オイペン |
成立年月日 | 1945年(設立) 1971年(現名称) |
イデオロギー | キリスト教民主主義(中道右派) |
国際組織 | 中道民主インターナショナル |
欧州議会会派 | EPP(欧州人民党グループ) |
シンボルカラー | オレンジ |
公式サイト | www.csp-dg.be |
政党・政治団体テンプレートボックス |
議席数・党員数ともにドイツ語圏の最大政党。キリスト教民主主義政党CVP-PSCの一部としてドイツ語コミュニティの利益を代弁し、1946年から1999年の間継続的に国会の議席を確保していた。
1971年の分裂後以降ドイツ語圏議会で多数派を形成しているが、1999年に国会での唯一の議席を失うとドイツ語共同体政府でも野党に転落。それ以降得票率も減少の一途であり有力保守政党の座をProDGに奪われつつある。
それでもベルギーのドイツ語圏に割り当てられた欧州議会の1議席は2023年現在もこの党が独占している。
Perspectiven, Freiheit, Fortschritt | |
展望、自由、進歩 | |
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基本情報 | |
略称 | PFF |
国・地域 | ベルギー・ドイツ語圏 |
本部所在地 | ベルギー・オイペン |
成立年月日 | 1961年(設立) 2023年(現名称) |
イデオロギー | 自由主義(中道右派) |
国際組織 | 自由主義インターナショナル |
欧州議会会派 | Renew(欧州刷新) |
シンボルカラー | 紺 |
公式サイト | www.pff.be |
政党・政治団体テンプレートボックス |
1971年、ベルギーの独立に貢献した自由党を祖とするPVV/PLP(自由と進歩の党)からフランデレンのPVV、ワロンのPLPが分裂した後、ドイツ語圏部門として残存した政党。2023年現在はワロンのMRの一部を構成している。
1995年から1999年を除いて常にドイツ語共同体政府の与党となっている。
Vivant | |
ヴィヴァン | |
---|---|
基本情報 | |
略称 | Vivant |
国・地域 | ベルギー・ドイツ語圏 |
本部所在地 | ベルギー・ビュリンゲン |
成立年月日 | 1997年(設立) |
イデオロギー | 社会自由主義(中道) |
国際組織 | |
欧州議会会派 | Renew(欧州刷新) |
シンボルカラー | 紫 |
公式サイト | vivant-ostbelgien.org |
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ベルギーの起業家、ローラン・デュシャトレが設立した政党。政治的スキャンダルに抗議した政党、BANAAN(何もしない無気力として追求される、より良い代替案)の元メンバーが多く参加していた。当初は主にブリュッセルで活動する政党であったが、2007年にOpenVLDに吸収されてドイツ語圏で活動するのみとなっている。
直接民主制やベーシックインカムの導入を訴えており、党の吸収後も得票率が増加するなど一定の存在感を示している。
Sozialistische Partei | |
社会党 | |
---|---|
基本情報 | |
略称 | SP |
国・地域 | ベルギー・ドイツ語圏 |
本部所在地 | ベルギー・オイペン |
成立年月日 | 1885年(設立) 1978年(現名称) |
イデオロギー | 社会民主主義(左派) |
国際組織 | 社会主義インターナショナル |
欧州議会会派 | S&D(社会民主進歩同盟) |
シンボルカラー | 赤 |
公式サイト | www.sp-ostbelgien.be |
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ワロンのPSのドイツ語圏のための支部。支持率はかなり安定しており、1990年から2019年選挙ではドイツ語共同体議会で4~5議席を維持している。ドイツ語共同体政府で野党だったのは1986年から1990年だけ。
Pro Deutschsprachige Gemeinschaft |
|
ドイツ語共同体ごとに | |
---|---|
基本情報 | |
略称 | ProDG |
国・地域 | ベルギー・ドイツ語圏 |
本部所在地 | ベルギー・オイペン |
成立年月日 | 1971年(設立) 2008年(現名称) |
イデオロギー | 地域主義(中道右派) |
国際組織 | 欧州自由同盟 |
欧州議会会派 | 無所属 |
シンボルカラー | 水色・オレンジ |
公式サイト | www.prodg.be |
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1971年にCSPからCWU(キリスト教選挙同盟)として分裂。同年の選挙で成功を収めるとPDB(ベルギー人ドイツ語話者の党)に党名を変更し、ドイツ語圏の自治拡大を訴えるようになった。
1980年代、PDBはネオナチ組織から資金提供を受けていたとして関係が疑われたが、証明ができないとして罪には問われなかった。
連邦化によってドイツ語圏に自治権が与えられると活動の意義を失い、2006年選挙で敗北。今後はドイツ語圏コミュニティの利益を代弁する政党として再出発するとして党名をProDGに改めた。
オランダ語系政党 |
フランス語系政党 |
ドイツ語系政党 |
掲示板
30 ひーだ
2024/08/05(月) 23:26:52 ID: xAhWXQwWyg
選挙後の動き
・ドイツ語圏とフランス語圏では早々と連立交渉がまとまり新政権が成立。
・連邦下院ではオランダ語系自由党のOpenVLDとフランス語系社会党のPSが敗北したのを受けて連立政権入りを断念。ややこしいことにフランス語系自由党とオランダ語系社会党は議席を増やしてるので新政権はかなりアンバランスなことになりそう。
・現在連邦政府の交渉を主導しているのはN-VA党首バルト・デ・ウェーヴェル。一部政党の交渉撤退で実現可能な連立方式がほぼ一択になってしまったため、比較的早期に合意できるのではないかと現地メディアは楽観視。
・地味に難しいブリュッセル政府の交渉。オランダ語名簿のTFA、フランス語名簿のPTBが議席を増やしたが、他党からの目は冷ややか。フランス語名簿ではPSが助け舟を出してなんとかなりそうだが、オランダ語名簿ではどう組もうにも仲悪い政党同士をくっつける必要が出てくる。
個人的な見通し
・政策のすり合わせさえできれば当事者たちが目標とする9月20日までの連邦新政府の成立は可能。逆にそれができないとなると交渉
(省略しています。全て読むにはこのリンクをクリック!)
31 ひーだ
2024/09/06(金) 01:06:46 ID: xAhWXQwWyg
相変わらず交渉やってるいたいですけど、連邦レベルではMRが増税反対とゴネてますね……。
おそらく10月13日に地方選挙やるんでそれまでに妥協してしまうと有権者に裏切り者扱いされて負けることを危惧してるのでしょう。
そんな事情があるんで少なくとも地方選挙前の政権樹立はほぼ無理。
しかも地方選挙の結果次第では党の態度が変わってくる可能性もありますから、当初の予測ほど楽観的ではない状況のように思います。
32 ひーだ
2024/10/14(月) 19:38:00 ID: xAhWXQwWyg
10月13日に地方議会の統一選挙がありました。
戦後ベルギーで初めて義務でない選挙でした。
ひとつ特筆することがあるとすれば、ニノヴェ市議会議員選挙で極右のVB系地域政党「フォルツァ・ニノヴェ」が単独過半数を獲得してVBが初めて与党になる可能性が濃厚になったことでしょうか。
ただ、同市の選挙には不正があったという通報もあり、検察が調査を開始していて混乱が続いてるようです。
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最終更新:2025/01/14(火) 11:00
最終更新:2025/01/14(火) 11:00
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