神威(艦これ)

「イランカラプテ」

神威（かむいかもい）とは、大日本帝国海軍所属の給油艦「神威」をモチーフとした、ブラウザゲーム『艦隊これくしょん～艦これ～』に登場する艦娘（かんむす）である。
CV：瀬戸麻沙美、イラストレーター：アキラ。

提督、神威をお呼びですね。ここに。

2017年5月に行われたイベント『出撃！北東方面 第五艦隊』の3面目および5面目のボスドロップとして実装された。

読み方は「かもい」。耳慣れない読み方かもしれないが、アイヌ語で神様を意味する言葉は日本語では一般的には「カムイ」と表記されるが、実際の発音は「かもい」に近いので間違いではない。余談だが、アイヌ語は漢字表記する際に割と当て字をされている。艦娘では同時に実装された海防艦達（国後、択捉、占守）もそうだが、ほぼ同時期に改二が実装された「鈴谷」も実はアイヌ語の当て字だったりする（詳細はそちらのページで）。

服装は、名前から連想されるようにアイヌ風なのだが、史実では結構南方で活動していたせいなのか、割とあちこちが開口した薄着である。体つきもむちむち（このイベントで新規実装された6人の中で唯一の巨乳枠とも）なので、なんというかその目のやりどころに困る。ちなみに、ファンアートなどでは結構スカートの左右にスリットが入っているように描かれるが、実際にスリットが入っているのは左側のみである（詳細はpixiv大百科に書かれているのでそちらも参照→「神威の服」）。
先に実装されているもう一人の補給艦の「速吸」がいかにもスポーツドリンクとかタオルを運んできそうな見た目だったのに対し、神威はジャガイモやニンジンなどの物資が詰まっていそうな荷物を運んでいる。
改になると荷物ではなく甲板のような艤装を持ち、改母になってもそのまま。

←水上機母艦の衣装は、多少制服っぽい意匠となる。

台詞にアイヌ語が混じったりするのも特徴。ちなみに「イランカラプテ」は「こんにちわ」、「イアイライケレ」は「ありがとう」である。

余談だが、2013年12月以降実に3年半放置されていた図鑑No.162にこの神威が掲載された。図鑑の位置的にはあきつ丸とまるゆに挟まれる位置で、陸軍所属艦が設置されると思われていただけに波紋を呼ぶことになった。改はNo.299、改母が記念すべきNo.300である。

イラストレーター担当のアキラ氏は、深海棲艦を主に担当しているが、「瑞穂」「コマンダン・テスト」の通称"差分シスターズ"のデザインでも知られている。「神威」も、イベント終了から間も無い2017年6月には早速梅雨modeが実装され、早速"差分シスターズ"の仲間入りを果たしている。

2017年9月12日のアップデートで、神威が大型艦建造に追加された。
また、神威を秘書艦において大型艦建造することで、サラトガの建造ができたという報告がある。これは、後述する史実にあるように、神威とサラトガが同じ造船所（ニューヨーク造船所）で建造され、推進システムも同じものを採用していたというところから来ていると思われる。
神威としては、実装された次のイベントの終了直後の建造実装という、近年のイベント新規艦娘の傾向から見ても非常に早い本実装となったが、これは前述の通りサラトガの建造トリガーとなるためといわれている（もう一人のトリガーであるアイオワはイベント突破報酬のため入手不可である）。

また、同日には神威の新規限定グラフィックとして浴衣modeも実装された。グラフィックそのものは、7月に行われたローソンコラボのグッズで公開されていたものであるが、とうもろこしをおいしそうに頬張る神威が可愛いとなかなかの評判である。

性能

「速吸」に次いで2番目の給油艦、だがLv35で「改」にすると水上機母艦になり、Lv60で改二に相当する「改母」にすると再度給油艦になる。改造時に艦種が変わる艦はこれまでにもあったが、再度改造して元の艦種に戻るという点で初めての存在である。

初期状態では非常に弱い。
水上機は装備できるが搭載数が0なので意味が無い。雷装も0、艦載機を放つ事もできないので、洋上補給以外は無いも同然の威力の砲撃をする事しかできない。
そのくせデフォルトの射程が「中」なので行動順は早め。重巡などの攻撃を差し置いて先に行動してしまい、結果先に相手に攻撃を食らうといった結果になる可能性があるので、未改のまま出撃させるメリットは殆どない。最大のメリットは中破グラで豊かなお胸に挟むニンジンとか酷い言われようをしている（改以降はニンジンはなくなってしまううえ、艤装が増える分露出度が下がってしまう）。

改になると艦種が「水上機母艦」になり、艦載機搭載数も11/8/3に大きく増える。
ただしこの状態でもはっきりいって弱いと言わざるを得ず、ステータスとしては秋津洲改の2/3程度しかない。甲標的は装備できるが元の雷装が0なので殆ど役に立たない。
唯一の長所としては燃料・弾薬の消費が非常に少なく、秋津洲やちとちよの半分程度しか消費しないため、水母を必要とする遠征にはうってつけである。

改からさらに改造すると改二に相当する「改母」になり、ここで艦種が補給艦に戻る。
補給艦に戻ったため甲標的が装備できなくなり、洋上補給が再びできるようになる。
スロット毎の艦載機搭載数は1になったが速吸と違って艦攻を装備できる訳では無いので、パンチ力は無い。ただし水上戦闘機を積んでいくらかの制空補助はできる。

最近のイベントの高難度海域では一定の需要がある補給艦だが、速吸と比べて自身の戦闘力がほぼゼロであると言うのは明確なデメリットと言える。むしろ、上記の射程の問題から重巡クラスの行動を遅らせてしまう関係上、道中では戦闘力マイナスと言っても過言ではない。

しかし、速吸にないメリットも多い。
まず燃費の軽さ。イベントで最も消費が激しい燃料(と修理用の鋼材)を戦艦並に消費する速吸改と違って、神威改母の燃料消費は軽巡並。実に速吸の1/4である。特に高難易度で周回数が増えるにつけてこの差が地味に効いてくるようになる。
対地能力についても、WG42等の対地ロケットランチャーを装備できる事により、対地三点セットが可能なため速吸よりも優れている。特に速吸は第一艦隊に置くと攻撃機がほぼ確実に枯れるため、複数回対地攻撃を行いたい場合はどうしても中途半端な立ち位置になってしまう。

また、速吸改よりも装甲、回避、運が高く、中型バルジを装備することが可能であり、未ケッコン時については速吸改の耐久が4n(これについてはケッコンカッコカリで逆転。また、海防艦や、神威に関してはダブった神威、瑞穂による近代化改修で調整可能)という事もあり、生存能力については速吸より若干高い。

他にも、速吸は装備できない探照灯や照明弾も装備可能なため、補給兼夜戦補助要員と考えると速吸改よりも運用しやすい局面もある。

もう一つの「改母」の特徴として、二式大艇やカタリナといった大型飛行艇を搭載可能になる点が挙げられるが、これについても現時点ではほとんど意味がないと言える（こちらは、今後の大型飛行艇の実装次第だが、現時点では大型飛行艇の最大の使い道が基地航空隊の到達距離延長なので）。なお、これは史実で神威が飛行艇母艦に改造されたところからの設定と思われる。

総じて、直接的な戦力として数えるには難がある、と言わざるを得ない存在である。まぁ艦これでは後のアップデートで化けた存在はいくらでもいるわけだし、それに性能はおいといてもそのキャラクターで人気を博した飛行艇母艦もいるので問題は無い。「何か失礼なことを言われたような気がするかも！」

というか、その飛行艇母艦も今ではルート固定と緊急泊地修理によって引っ張りだこである。「やっぱり私は凄いかも！」

本当に化けた。

二期になり、オリョールクルージングが事実上不可能になり、燃料稼ぎに途方に暮れていた提督達に光明が差した。

• 1-3に補給艦を出すと燃料マスに寄る
• 各スロット1機とはいえ水上爆撃機を積める
• 火力がないとはいえ、序盤海域の駆逐艦程度なら充分落とせる上に中射程
• 旗艦にしない場合は大発も搭載できる
• 何よりも燃費がとても軽い

こうして神威は、ベテラン提督にとってなくてはならない存在になったのだった。…休みが貰えなくなったとも言う。

詳しくは三重クルにて

給油艦、神威と申します。はい、北海道神威岬の名前を頂いてます。

八八艦隊案（大正9年度案：大正9年(1920年)～大正16年(1928年)までの8年間の建造計画）にて、給油艦6隻分の建造予算が認められた^[1]。当時は艦の燃料が石炭から重油への過渡期であり、給油艦が必要になっていた時期でもあった。ちなみに海軍では「運送艦」と分類されている。艦名の「神威」は北海道の積丹半島にある神威岬から取られた（慣例的に当時の燃料補給艦は岬の名前が付けられていた。後に空母になる「高崎」や「剣埼」も岬の名前である）。
その一方で、最新技術である「電気推進」^[2]の研究も兼ねて、当時はまだ友好的だった米国のニューヨーク･シップビルディング社に発注された。日本海軍の艦として、海外発注された最後の艦船でもある。ちなみに同社で建造された同じく電気推進システムを搭載している軍艦には〈サラトガ〉がいたりする。
1922年9月22日に竣工、その後回航されて日本に到着したのは12月であった。

その後、同じく給油艦だった〈能登呂〉が水上機母艦に改装されて上海事変で活躍したことから、〈神威〉も改装することになり、1932年の年末から翌年2月にかけ、浦賀船渠にて水上機母艦に改装された。この時ドイツから航行しながら着水した水上機を回収出来る装備として「ハイン式マット」を購入して装備したが、色々と問題が発生したため、結局これは1938年までに取り外して〈瑞穂〉に付け直された（いらないものを後輩に渡したともいう）。

この間にあたる1937年7月には、世界一周に挑戦したまま南太平洋で行方不明となったアメリカの女性飛行士アメリア・イアハートの捜索に、米軍と共に加わっている（これは遭難したと思われる海域が日本の信託統治海域の隣だったため）。なお、この時の米軍側捜索隊にはレディ・レックスこと〈レキシントン〉も参加していた。余談だが、当時は対立感情が高まりつつある時期だったため、このイアハート遭難事件自体が日本軍による陰謀だったという説も米国内では囁かれていた模様。

1939年には飛行艇母艦に改修された。……のだが、最新の大型飛行艇である二式大艇の母艦とするには能力不足で、結局そのために新型の〈秋津洲〉が建造されることになったのかも！　

この飛行艇母艦の状態で〈神威〉は太平洋戦争に突入。開戦時には千歳基地所属の第二四航空戦隊に所属しているが、これは書類上の所属と思われ、実際には南方での輸送任務に従事していた。1944年1月には米潜水艦〈ボーフィン〉の雷撃を受けて損傷し、その修理の時に飛行艇母艦の装備を取り外して事実上の輸送艦になった。

誰かがこれをやらねばならぬ　ヒ87船団

1944年12月31日、〈神威〉はヒ87船団の旗艦として門司からシンガポールに向かう。これはシンガポールで石油を積んで内地に戻る、という輸送任務（この任務を「ヒ船団」と呼んでいた。奇数がシンガポール行きで偶数が日本行きというナンバリングである）で、行きは空荷の1万トン級大型タンカー6隻（最終的には9隻）を率いる大規模なものである。言うまでも無く石油は生命線であり、日本海軍はこの時点でできる限りの護衛を付けていた。……それが旧式の駆逐艦1隻（神風型5番艦〈旗風〉）と海防艦4隻なのはもう泣くしかないところだが。
このヒ87船団には、さらに特攻兵器「桜花」をフィリピンに輸送する軽空母〈龍鳳〉と、その護衛の駆逐艦3隻〈時雨〉〈磯風〉〈浜風〉が付いていた。

船団は途中で米潜水艦の襲撃を受けながらも、南へ向かう（途中で〈浜風〉はタンカーと衝突して小破したため分離）。しかしフィリピン方面は既に米軍の勢力圏で、南シナ海は潜水艦どころか機動艦隊が出没していた。船団は高雄に入港するが、そこで第38任務部隊による空襲を受ける。
この第38任務部隊は空母〈エンタープライズ〉〈インディペンデンス〉をはじめ10隻以上、航空機800機以上という高速機動部隊で、本来の任務は米軍のフィリピン上陸作戦の妨げになる日本の残存部隊（航空戦艦〈伊勢〉〈日向〉）を排除することだったが、肝心の相手が見つからないため、通商破壊に目的を切り替えて行動していた。
最小限の損害で空襲を乗り切った船団は、フィリピン行きを諦め「桜花」を台湾で降ろして帰国することになった〈龍鳳〉とそこで別れ、今度は香港に向かった（3隻いた駆逐艦のうち〈時雨〉のみが船団に同行し、〈磯風〉は〈龍鳳〉と共に戻ることになった。そして命令で高雄に残った〈旗風〉は1月15日に米軍の空襲を受けて轟沈する）。
なんとか香港にたどり着いたヒ87船団のもとに、1月12日に他の輸送船団（ヒ86船団）が第38任務部隊に襲われて全滅した、という報が入った（有名どころでは、同船団を護衛していた香取姉妹の末妹である練巡〈香椎〉もこのときに沈められている）。それでも日本で待つ人達のために石油を持ち帰ろうと悲壮な覚悟で、せめてどちらかが辿り着ければと船団をヒ87Aとヒ87Bの二つに分けることにする。

しかし、出航する直前の1945年1月15日と16日に、第38任務部隊は香港に空爆を掛けてきた。2日に渡る空襲で船団は大打撃を受け、旗艦の〈神威〉も4発の直撃弾を受けて大破、行動不能になってしまった。6隻いたタンカーも次々と破壊され、この時点で動けるのは1隻のみとなってしまった。

残存の船団は、それでもシンガポールに向かった。ヒ87A船団は、途中1月24日に幸運艦で知られた〈時雨〉を米潜水艦〈ブラックフィン〉の雷撃で失いつつも、タンカーを守り抜いてシンガポールに到着したが、ヒ87B船団は肝心のタンカーの損傷が香港では出来ないほど深刻だったため、香港から出発することはなかった。
そして多大な犠牲をはらいつつ、ようやくシンガポールにたどり着いたタンカー〈さわらく丸〉も、石油を積んでの帰途となるヒ88J船団で機雷に触れて沈没し、ついに日本には戻れなかった。

香港に置き去りにされた〈神威〉は、何とか復帰しようと修理するが、その途中同年4月5日に再度爆撃を受けて大破し、同月13日大破着底。そのまま終戦まで放置されることになる。

1947年5月3日、除籍。その後、香港を租借地としたイギリスによって浮揚・解体された。アメリカで生まれ、日本で戦い抜いたあげく、最後はイギリスによって解体されるという、数奇な艦生だった。

素敵な動画ですね。お預かりします

提督、どうされましたか？静画が心配ですか？神威がしっかり運びます。ご安心くださいませ。え？違う？

※なお、神威で検索すると結構肌色率が多いので、鑑賞の際は背後にご注意下さい。

関連コミュニティの完成です、提督。

いい関連項目ですね。イアイライケレ。

• 艦隊これくしょん～艦これ～
• 非戦闘用艦娘　※一部に非戦闘用かどうかは微妙なのもいるが気にするな
  • 神威(艦これ)　- 給油艦
  • 速吸(艦これ) - 給油艦
  • 大鯨(艦これ) - 潜水母艦
  • 明石(艦これ) - 工作艦
  • 間宮(艦これ) - 給糧艦
  • 伊良湖（艦これ） - 給糧艦
  • まるゆ(艦これ) - 潜航輸送艇（陸軍所属）
• ヒ87船団 - 神威(艦これ)　龍鳳(艦これ)　旗風(艦これ)　時雨(艦これ)　磯風(艦これ)　浜風(艦これ)
• アキラ艦隊 - 瑞穂(艦これ)　コマンダン・テスト(艦これ)　リシュリュー(艦これ)　
• 瀬戸麻沙美 - ガングート(艦これ)
• 出撃！北東方面第五艦隊　※下表
• サラトガ(艦これ)　※2017年9月12日以降大型艦建造組として共に解禁。神威を旗艦にする事で建造可能の報告アリ
• 三重クルージング

2017年春イベント 『出撃！北東方面 第五艦隊』 新規実装艦娘

占守型海防艦　占守　国後 特務艦/水上機母艦　神威 蘇・ガングート級戦艦　ガングート 択捉型海防艦　択捉 特設航空母艦/大鷹型航空母艦　春日丸/大鷹

脚注

1. *ただし、この後のワシントン軍縮条約(1920年締結)によって、この八八艦隊案は、川内型三姉妹や神風型の〈松風〉〈旗風〉を除いてほとんどが建造中止に追い込まれ、6隻の予定だった給油艦も1隻が砕氷艦〈大泊〉、1隻が給糧艦〈間宮〉に変更、3隻が建造中止になっており、計画通りに給油艦になったのは〈神威〉だけである。
2. *ターボ･エレクトリック：要は艦タービンで直接スクリューを回すのではなく、一旦発電を行い、その電気でモータースクリューを回す方式。回転数の細かい制御が出来る利点があるが、まだ当時はエネルギーロスがしゃれにならないほど大きく実用的ではなかった。