サイコフレーム(Psycho Frame)とは、ガンダムシリーズの宇宙世紀に登場する構成素材である。
媒体によっては「サイコ・フレーム」とも表記される。
初登場は劇場版アニメ「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」だが、その後の時代を描いた作品でも物語の鍵を握る存在となっている。
概要
宇宙世紀0093年からアナハイム・エレクトロニクス社で製造されているサイコミュ機能を持ったLSIクラスのコンピューターチップを金属粒子レベルで組み込んだモビルスーツ用の特殊構造材である。第二次ネオ・ジオン抗争において導入されると、従来のニュータイプ専用機の概念を覆す画期的な技術となり、その予測不能な未知な力によって世界のパワーバランスを崩しかねない存在となる。
本来はモビルスーツ(MS)に搭載するサイコミュシステムの一種で、従来のサイコミュシステムは装置自体が大型で、機動兵器へ搭載するにはモビルアーマー(MA)クラスのサイズが要求されたが、このフレームの開発によりMS内に占めるサイコミュ装置のスペースが大幅に縮小された。なお、開発当初のU.C.0090年代にはサイコフレームを施した試作機が一定数製造されていたが、以降は数十年に数機見られる程度に激減している。
製造と管理はジオンと関係の深いアナハイム・エレクトロニクス社のグラナダ工場が一括で行っており、元々はシャア・アズナブルの指揮する新生ネオ・ジオン軍でナナイ・ミゲルらのチームが開発し実用化にこぎつけた技術ではあったが、アムロ・レイと互角の状況で戦いたいというシャアの意思により、意図的にアナハイム・エレクトロニクス(AE)社のフォン・ブラウン工場へと流出させた。
バイオセンサー同様にパイロットの脳波を増幅してサイコミュ操作や操縦補助を行うデバイスであるが、その能力は開発者の想定を超えるものとなっており、既に重力に引かれているはずの小惑星の破片を動かし、直径数十キロにも及ぶコロニーレーザーを無力化する等の超常現象を起こしている。特に、第二次ネオ・ジオン抗争終盤でアムロ・レイのνガンダムが引き起こした「アクシズショック」と呼ばれる現象により、サイコフレームの存在を恐れた地球連邦軍によって封印されることとなった。
しかし、サイコフレームの研究は秘密裏に続けられ、さらなる進化を遂げていく。AE社のグラナダ工場ではムーバブルフレームそのものをサイコフレームにしたフル・サイコフレーム構造が可能となり、それを採用したユニコーンガンダムが三機開発。ユニコーンガンダムは正に全身がサイコミュの塊のような機体であり、パイロットのNT能力を飛躍的に増幅する性能を持つようになる。
経緯
サイコフレームの研究は一年戦争の頃よりフラナガン機関によって進められていた。終戦後は地球連邦軍によって研究内容は接収され、ニュータイプ研究所が設立。またジオン残党にもフラナガン機関の研究内容は渡っており、アクシズでも独自にサイコミュの研究は進められ、第一次ネオ・ジオン抗争終盤においては、ドーベン・ウルフのようなニュータイプ以外であっても使用できるサイコミュ兵器の開発に成功している。
こうしてどんな人間にもニュータイプ能力の素養があると考えた研究者たちは、人体や精神への影響を少なく、かつスムーズに人の意思を感応できる装置の開発が進めていた。その中でもニュータイプ研究所のナナイ・ミゲルらのチームが開発し実用化にこぎつけた技術が、サイコミュシステムをMSサイズに無理なく搭載することが可能としたサイコフレームだった。
これに目を付けたシャア・アズナブルはナナイの協力を取り付け、サイコフレームとこれを搭載したMSの開発を進めていき、AE社のグラナダ工場の協力を経て、NT専用機であるヤクト・ドーガとサザビーを開発。さらにアムロ・レイとの対等な決着を望んだシャアは、νガンダムを開発していたAE社のフォン・ブラウン工場へサイコフレームの情報をリーク。これにより、サイコフレームの技術はネオ・ジオン、連邦の両陣営へ渡ることとなった。
宇宙世紀0093年の第二次ネオ・ジオン抗争では、サイコフレームを搭載したMSが初めて実戦投入される。小惑星アクシズの地球落下において、アムロのνガンダムは落下する隕石を押し返そうとしたとき、アムロの意思がサイコフレームを通じて伝播し、敵味方関係なくMSがアクシズへ取り付いていく。こうして多くの人の意思がサイコフレームの元に集中した結果、サイコフレームから発生した虹の光がアクシズを包み、地球の引力圏から引き離す奇跡を起こす。この一連の現象は「アクシズショック」と呼ばれ、良くも悪くも人々の心に「希望」として刻まれるのだった。
だが、人智を超えた制御不能な技術であるサイコフレームを地球連邦軍は恐れ、表向きにはサイコフレームの研究・開発の中止を発表する。しかし、発表の裏でジオニズム及びニュータイプ神話の根絶を目的にした「UC計画」のためにサイコフレームの研究はAE社のグラナダ工場で極秘に進められていた。技術進歩によってムーバブルフレームの全てをサイコフレームにする「フルサイコフレーム」が実現するに至る。これを採用したユニコーンガンダムはラプラス事変においてパイロットのNT能力を飛躍的に増幅する性能を持ったことで従来見られたものと同じようなサイコミュ由来の超常現象を数多く引き起こし、最終的に、このサイコフレームの性能をフルに発揮することでコロニーレーザーすら無力化するが、同時に過去・現在・未来に存在する全ての意識を融合し、人機一体となる新たな生物(存在)を生み出したとされる。だが、これはニュータイプの存在を消してしまいたい連邦の思惑に反して人々にニュータイプの可能性を示すこととなった。
ユニコーンガンダムの存在によってサイコフレームの能力が再び危険視されると、連邦とネオ・ジオン残党双方の合意の下、サイコフレームの封印協定が締結。にもかかわらず、宇宙世紀0097年には、「野良サイコフレーム」とも呼べるフェネクスをめぐり、連邦軍、ルオ商会、ジオン共和国がそれぞれの思惑をもってこれの鹵獲を目論み、協定違反を承知でナラティブガンダム、シナンジュ・スタインといったサイコフレームを搭載した機体・新技術を戦場に登場させている。この「不死鳥狩り」作戦においてナラティブとシナンジュ・スタインは失われ、フェネクスは再び行方不明となったことでサイコフレームの研究は停滞。長らくサイコフレーム搭載MSは歴史の表舞台から姿を消すことになる。
宇宙世紀0110年代から0120年代にかけての時代、S.N.R.I.(サナリィ)が発動したフォーミュラ計画における機体にサイコフレームが搭載されているとする資料が見られる。
機能
鋳込まれたチップ単体では実効的な効果を持たないが、コアとなる高出力のメイン・プロセッサを配置することで非常に高効率かつ高密度なサイコミュ・システムとして機能する。よってサイコフレームをMSに採用した場合、マシンの構造材自体にサイコミュ機器(電子機器)の機能を持たせる事になるため、専用の積載スペースを配する必要が無く、単純なプロセッサ搭載量も増加する事から従来のサイコミュより受信許容量や速度が大きく向上し、更には機器の安定性も高まる。
感応度の向上などニュータイプの脳波の増幅・送受信機としての機能が想定されていたが、微弱なオールドタイプの脳波も送受する作用が存在し、それによって感知能力を先鋭化させたり、遠く離れた人に意思を伝えたり、人の意思が集中する接点となる現象が起きている。
人間の思念などに反応した際、発光現象を引き起こしており、この発光現象は機体によって異なるとされ、ユニコーンガンダムは赤色、ユニコーンガンダム2号機「バンシィ」は金色、同3号機「フェネクス」は青色、ナラティブガンダムは赤→青に発光する。また、ある条件化においては緑を基調とした虹色に輝くこともある。この現象は開発元であるアナハイムや、設計に携わったエンジニアでさえ発光するメカニズムを解明できておらず、そもそも材質的にはサイコフレームは発光自体するはずがないとされている。
これらのサイコフレームの共鳴(励起)によってきわめて大規模な物理的作用を引き起こす現象をサイコ・フィールドと呼び、サイコ・フィールドの色はサイコフレームの発光色に準じているらしい。このサイコ・フィールドが起こした不可思議な現象の代表格として、アクシズ落下を阻止した際のアクシズショックが挙げられているが、 これに関するフル・フロンタルの考察によると、地球圏の全人類の無意識に働きかけて小惑星アクシズを押し返すほどの力場を生み出したという。
その後もこの人智を超えた現象はたびたび引き起こされており、宇宙世紀0096年にはユニコーンガンダムとバンシィ・ノルンのサイコフレームがサイコ・フィールドを展開し、照射中のコロニーレーザーを無効化している。このとき、バナージ・リンクスの強い想いからサイコフレームが結晶化することで、ユニコーンガンダムは究極形態「光の結晶体」へ変化している。また0097年では、ユニコーンガンダム3号機 フェネクスが、IIネオ・ジオングのサイコシャードが引き起こしたヘリウム3備蓄基地の臨界を無力化したうえ、IIネオ・ジオングを消し去る現象を引き起こしている。
おもなサイコフレーム搭載機
- MSN-03 ヤクト・ドーガ
- MSN-04 サザビー / MSN-04-2 ナイチンゲール(小説版)
- RX-93 νガンダム / RX-93-ν2 Hi-νガンダム(小説版)
- MSN-06S シナンジュ・スタイン
- MSN-06S シナンジュ
- NZ-666 クシャトリヤ
- RX-0 ユニコーンガンダム
- RX-0 ユニコーンガンダム2号機 バンシィ
- RX-0 ユニコーンガンダム3号機 フェネクス
- F91 ガンダムF91 (搭載機とする資料あり)
サイコフレームで作られた道具
- サイコフレーム試料(T字型の金属)
νガンダムに搭載した新素材サイコフレームをテストするため、ロンド・ベルに合流したチェーン・アギの元へνガンダムの開発担当オクトバー・サランから送られたもの。
ラー・カイラムの機銃を手動で操作してレズン・シュナイダーが操縦するギラ・ドーガの激しい機動を読んで撃墜、α・アジールのビームに対してバリアーを貼るなど不思議な現象が起き、彼女の戦死後、戦場を彷徨うことになったが、戦場に集う人々の意識が繋ぎ合わされ、ついに地球に落下しつつあるアクシズを引き戻すほどの力を発揮する。 - RX-0専用パイロットスーツ
ヘルメットなどにサイコフレームを搭載しており、感応波の増幅やシステムとのマッチングが強化されたとされる。 - サイコ・スーツ
ナラティブガンダムに搭乗する際、ヨナ・バシュタが着用。ナラティブガンダム A装備の複合特殊兵装サイコ・キャプチャーは、サイコ・スーツの力を借りて起動させる。装着者、もしくは外部のサイコ・ウェーブ(感応波)に反応して、スーツのサイコフレーム部分が赤く発光し、ヘルメットのバイザーにニュータイプ特有の閃きのような光が煌めく。
関連動画
関連項目
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- ガンプラ
- 強化人間
- サイコミュ
- ジオニズム
- ジャブロー
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- ネオ・ジオン
- ビームサーベル
- ファンネル
- ミノフスキー粒子
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- モビルスーツ
- ロンド・ベル
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